はへほ調music scene
マーラー 交響曲第9番 ニ長調
嘘つき村
pp.356-357
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200827
- 販売していません
- 文献概要
春である。桜である。この原稿掲載号が全国に数えるほどしかいない絶滅危惧種のLiSA定期購読者に配送される日は,新年度の初日なのである。胸高鳴らせて麻酔科後期研修の門を叩いたのに手術室へ通されることもなく,朝早くから桜の樹の下で花見の場所取りをさせられている新人レジデント達は,茣蓙に座るのも疲れ果て,医局にあった得体の知れない黄色い表紙(早春にふさわしい菜の花カラーである)の雑誌のページを繰りつつ昼間から安酒をあおっているのである。
このイエロージャーナル,一見「臨床に役立ちそう」な,しかし実際は「セイタカアワダチソウ」程度しか役に立たない記事で埋め尽くされている。そんな中「掃き溜めに鶴」と言える珠玉の一編を汗水垂らして書いている人物は,酒宴の毛氈ではなく針の筵に座っているのである。企業の「春闘」にならって筆者が一文字につき1円の微々たる賃上げを要求し,菅原道真公が詠んだように「東風」が吹いても某編集嬢は文字通り「婆耳東風」で労使交渉の結末は火を見るよりも明らかである。
Copyright © 2017, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.