徹底分析シリーズ 続 痛み治療の素朴な疑問に答えます3
巻頭言
馬場 洋
1
1新潟大学医学部 麻酔科学講座
pp.365
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200829
- 販売していません
- 文献概要
本特集は結果的に“素朴な疑問”というよりも,回答者を悩ませるような設問が多くなってしまい,4月号も例外ではありません。
リドカインの静脈内投与は帯状疱疹後神経痛などの神経障害性痛には少なくとも一時的には有効であることが多いですが,具体的な投与法,量,施行頻度,継続期間などが明記されているガイドラインはありません。私個人としては,気管支喘息患者に星状神経節ブロックや頸部胸部硬膜外ブロックをして喘息発作を起こされたことはありませんが,点滴ルートをとろうとして駆血帯を巻いただけで喘息発作を起こされた経験があります。喘息発作については,単に交感神経ブロックで説明できるほど簡単なものではないと感じていました。「アスピリンはピリンという言葉が含まれているがピリン系ではない」と,昔はよく言われたものですが,今は医師側の誤解よりも患者側の勘違いが問題となるようです。脊椎手術後の神経ブロックも悩ましい問題です。脊椎手術後で硬膜外腔がなくなっている,あるいは明らかに癒着していると思われる部位から硬膜外穿刺をする人はいないでしょうが,皮切部位から1〜2分節離して硬膜外穿刺をすると,意外と簡単に硬膜外腔に到達できることもあります。硬膜外膿瘍(感染)のため椎弓切除術をして除圧した後,どれくらい経過すれば脊髄刺激電極(異物)を入れてもよいのでしょうか。
まだまだ,グレーゾーンの多い痛みの治療ですが,悩ましい疑問に回答していただいた執筆者には心から御礼申し上げます。2015年の初編と今回の続編が麻酔科医およびペインクリニシャンに有益な情報を与えてくれることを期待しつつ,本特集を終えたいと思います。
Copyright © 2017, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.