看護管理 29巻2号 (2019年2月)

特集 各施設の実践はここまで進化した!「ユマニチュード」の成果と展望 自由・平等・博愛・優しさを伝え合うケアを目指して

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フランスで30年の歴史を持つ「ユマニチュード」。『看護管理』誌の2013年10月号特集で初めて紹介したところ,すぐに完売し,急性期看護の現場から大きな反響をいただきました。

この間,身体抑制の廃止に向けた取り組みが活発化するなど,認知症高齢者に対する倫理的ケア実践への意識が高まりました。ユマニチュードの哲学と技術が普及したことも大きな要因になっていると思われます。

最初の特集から5年が経過し,これまでユマニチュードが臨床現場にもたらした成果を振り返るため,再び特集を企画しました。先駆的あるいは組織的実践の成果を共有するとともに,さらなる普及・発展に向けて課題と共通解を紐解きます。

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わが国におけるユマニチュードの導入は,本田美和子氏がユマニチュードと出会ったことに端を発する。2012年に専門職向けの研修が開始されてから7年。この間,ユマニチュードは,認知症ケアの質やそれを実践する病院の組織風土の向上などに,多くの成果をもたらした。

本稿では,ユマニチュードの普及と導入支援に尽力してきた本田氏が,先行事例,研修制度,臨床研究などを紹介する。加えて,ユマニチュードの継続的実践に向けた今後の展望を述べる。

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郡山市医療介護病院は120床の療養型病院として,高齢者医療を核に急性期医療と地域・在宅療養をつなぐ役割を果たしてきた。2014年に病院を挙げてユマニチュードを導入してから5年が経過。「優しさを伝えるケア技術」の組織的導入により,患者・家族へのケアの質が向上したことはもちろん,優しく温かい組織風土が定着したという。宗形初枝看護部長にこの間の成果を伺った。

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調布東山病院では,地域住民が住み慣れた場所で生を全うするための全人的な医療を目指し,組織全体でのユマニチュードの実践をトップマネジメントが意思決定した。その基盤として,ユマニチュード推進室を発足,認定インストラクターの専従看護師2名を配置している。本稿では,専従看護師の安藤氏が組織に浸透させるためのこれまでの経験を振り返る。

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林氏はユマニチュードがわが国で紹介された当初から研修を受けて実践を開始し,7年が経過した。現在は認定インストラクターとして研修を通じた普及活動にも携わる。本稿では,これまでの実践者および認定インストラクターとしての経験を振り返り,今後を展望する。

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聖マリア病院は,地域の高度急性期を担う病院として日々多くの重症患者を受け入れている。集中治療室に勤務する筆者は,ユマニチュードの哲学と技術を学び,日常のケアの矛盾に向き合っている。その結果,集中治療室での身体抑制やせん妄の発生を低減させることにつながった。本稿では,超急性期の臨床におけるユマニチュードの成果と課題を報告する。

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ユマニチュードを導入したほとんどの施設では,「壁」にぶつかった経験を持つという。発祥の地フランスでも同じことが起き,その壁を乗り越えて今がある。日本の医療現場において,どうすればユマニチュードを根づかせることができるのか。すでに導入した各施設の管理者に,ユマニチュード導入・実践の「環境づくり」を中心に経験を語り合っていただいた。

巻頭 あしたのマネジメントを考えるヒント, このひとに聞く・2

嘉村賢州氏 嘉村 賢州
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メンバーが信頼で結びつき,指示命令系統がない?!

今話題の「ティール組織」について教えてください

次世代の組織モデルとして話題の「ティール組織」。ピラミッド型の階層構造も売上目標もなく,メンバーが信頼関係で結びつき,各自が裁量権を持ってやりがいを感じながら自立的に働いている……などと聞くと,理想的な組織の姿と思われますが,本当に実現可能なのでしょうか。また,看護組織にも適用できるのでしょうか。マネジメントの常識を覆すティール組織について,書籍『ティール組織』の解説者である嘉村賢州氏にお話を伺いました。

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筆者は日本での臨床経験の後,カナダに渡り,現在は高度実践看護師であるナース・プラクティショナーとしてプライマリ・ケアをフィールドに活動している。本稿では,高度実践看護師の役割開発と活動領域の拡大に有効な「PEPPAフレームワーク」を紹介する。加えて,日本における高度実践看護師の今後の役割開発について考察する。

シリーズ 看護管理者の組織学習・2

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看護組織がさまざまな環境の変化にさらされる現在,看護管理者には多くの役割が求められている。看護管理者が相互に学び合い,支援し合いながら少しずつ成長し,個人としてではなく管理チームとしてマネジメントを実行することが必要であり,看護管理者を含めた「学習する看護組織」の形成が重要である。シリーズ第2回では,「学習する看護組織」をつくるための具体的なアプローチである「マネジメント・コンパス」を提案する(全3回予定)。

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はじめに

 日本看護協会では2014年度から重点事業として「看護師のクリニカルラダー」の標準化を目指し,2016年に「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」を公表した1)。これは2025年問題への対応として,あらゆる場における全ての看護師に共通する看護実践能力の指標として,看護師の質の向上に活用されている。しかしまだ,助産師のクリニカルラダー(CLoCMip)のような認証制度にまでは確立されておらず,施設を超えてラダーを客観的にどう測定していくのかということについては具体的な方策が示されていないのが現状である。

 クリニカルラダーは,卓越した業績を生む人材の持つ行動特性を指すコンピテンシーと共に捉えられることが多い。ベナーは看護師が看護ケアを修得し,熟練するには「初心者レベル(novice)」「新人レベル(advanced beginner)」「一人前レベル(competent)」「中堅レベル(proficient)」「達人レベル(expert)」の5段階を経るとしている2)。多くの病院ではこのベナーの5段階のレベルを基に院内認定資格として,「クリニカルラダー」を設定している場合が多い。

 京都大学医学部附属病院(以下,京大病院)ではベナーの理論を参考にして18項目で構成される3つの評価票を作成し,項目の達成度に応じて初心者レベルから達人レベルまでを評価している。「一人前レベル」であるラダーⅢに到達するまでには,評価が繰り返し行われることから,この仕組みの課題として,①面接に時間を要することで評価者と被評価者の負担が大きいこと,②被評価者が受け身になりがちなこと,などが挙げられていた。

 そこで,クリニカルラダー評価の際に活用できる補助的なツールとして「臨床実践能力判定テスト」を開発しようと,看護管理者と研究者が協働して取り組むこととなった。この取り組みは基礎研究で得られた知見を臨床場面で実用できる手法として確立するための橋渡し研究,いわゆる「トランスレーショナルリサーチ」の実践でもあった。

連載 マグネットジャーニー 聖路加国際病院のチャレンジ・1【新連載】

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本連載では,聖路加国際病院看護部が「マグネットホスピタル認証」を取得するまでの道のりを「マグネットジャーニー(マグネット認証への旅)」として紹介していきます。「CNSと管理の研究会」伴走のもと走り続けるこの過程はチャレンジに満ちています。

第1回では,マグネットホスピタルについて解説するとともに,マグネットホスピタル認証を目指すこととなったきっかけについて述べます。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・13

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第12回では,看護師の配置ルールを検討するための前段階として,超過勤務時間を配置管理のアウトカム指標に採用した経緯について解説しました。第13回では,「超過勤務時間を最もよく説明してくれるモデル」として,どのように看護師算定ルールを改善していったかについて紹介したいと思います。

連載 看護×経済学 経済学で読み解く看護サービスと医療政策・2

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本連載は経済学の視点から,看護サービスの特性や取引の規模,看護師の生産性や雇用環境,診療報酬や介護報酬が及ぼす影響などさまざまなデータを活用しながら解説します。

第2回は,「訪問看護」の実態を見ながら,看護とはどのようなサービスなのか考察していきます。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・10

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアログを軸にしながら,読書の皆さんとともに追い求めていきます。

今回は,「共創造」につながる合意形成のプロセスについて考えていきたいと思います。

連載 特定行為研修を修了した看護師としての実践・2

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医療の質の維持と,院内の体制づくり

 米沢市立病院(以下,当院)は山形県の県南地域の急性期医療を担う中核病院で,病床数は322床(一般279床,ICU5床,地域包括ケア38床)です。地方の病院の勤務医不足は深刻な問題となっており,当院も例外ではありません。

 当初,看護部長から,医療の質を維持するためには「特定行為に係る看護師の研修制度」の活用が必要であるとして,そのための研修受講について打診がありました。看護師長の役割との両立は可能であるのか不安がありましたが,看護部長からは,この新しい研修制度のための院内の体制づくりを担ってほしいこと,そのために看護師長という役割を最大限活用してほしいことを託され,研修受講に至りました。

連載 コーチングと組織の関係性システムから考えるコミュニケーション 1人ひとりがイキイキ活きるチーム創り・13

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 昨年の1月から開始した本連載ですが,次回3月号が最終回となりました。残り2回で,私自身(原田)が関係性システムを創り続けた先に何を見ているのかについて書きたいと思います。

連載 看護師長のための介護保険の基礎知識・2

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 介護保険制度は,2000年に従来からの老人福祉制度と老人保健(老人医療)制度を再編成する形で創設された経緯があります。そのため,この制度の保険給付(利用できる介護サービス)は,福祉・医療両面の多岐にわたります。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・13

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病棟や外来で患者さんを手助けし,緩和ケア部門では家庭的な雰囲気を漂わせる病院ボランティア。その力が十分に発揮できるマネジメントの知恵とは?

 今回は,ホスピスボランティアの募集や選考,育成セミナーからトラブル対処まで,ドイツでの取材からご紹介します。ドイツではホスピスボランティアはとても尊敬される名誉な活動なのです。お話を聴いたのは,フランクフルト市の伝統ある市民団体「市民研究所」で20年も働く,ボランティアコーディネーターです。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・151

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 絵本というジャンルの表現手段を使うと,こんなふうに魅惑的な世界を描き出すことができるのだと,あらためて深い感慨を覚えた2つの作品に出逢えた。1冊はフランスの絵本作家イザベル・シムレール作の『ねむりどり』だ。

 この絵本を手に取ったとき,表紙絵の強烈な色調に,まず目が釘付けになった。画面の中央になだらかな丘陵のような形をしたものが真っ赤に塗られ,光が当たる陵線付近は黄色い細密な線で輝かせている。その赤の右側と下方は,白くふっくらとしたものが広がっている。画面の上方は,湖面だろうか,深い青紫色が広がり,さざ波が輝くなかに小さく2羽の白鳥が浮かんでいる。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
29巻2号 (2019年2月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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