連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・151
美しい夢幻の世界に心漂わせて……
柳田 邦男
pp.190-191
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201214
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絵本というジャンルの表現手段を使うと,こんなふうに魅惑的な世界を描き出すことができるのだと,あらためて深い感慨を覚えた2つの作品に出逢えた。1冊はフランスの絵本作家イザベル・シムレール作の『ねむりどり』だ。
この絵本を手に取ったとき,表紙絵の強烈な色調に,まず目が釘付けになった。画面の中央になだらかな丘陵のような形をしたものが真っ赤に塗られ,光が当たる陵線付近は黄色い細密な線で輝かせている。その赤の右側と下方は,白くふっくらとしたものが広がっている。画面の上方は,湖面だろうか,深い青紫色が広がり,さざ波が輝くなかに小さく2羽の白鳥が浮かんでいる。
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