呼吸と循環 55巻2号 (2007年2月)

特集 気管支鏡手技を用いた医療の最新動向

気管支鏡の歴史 金子 昌弘
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はじめに

 すべての医師にとって,病人の体内でどのような変化が起きているのかを知りたいというのは,永遠の願いであり,そのために古来多くの医師は患者の目や鼻,口を覗き,さらには直腸や膣から指を入れて観察するとともに,体を触りたたき,音を聞いてきた.

 その後の産業革命前後の科学技術の進歩により,前者は内視鏡として進歩し,その後の光源の発達,グラスファイバーの進歩,超小型CCDカメラの開発により電子スコープとなり,後者はX線の発見により飛躍的な進歩を遂げ,その後の超音波,CT,MRIなどの発展へとつながってきた.

 これらの進歩は一見全く別の方向にも見えるが,最近は本来の人体の内部を,できるだけ非侵襲的に観察し治療したいという医師の願いを叶えるべく,両者の癒合した総合的な診断・治療の技術として新たな医療の分野を開拓しつつある.

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はじめに

 肺癌の治療成績をみると,早期の段階で発見,治療を行わないと満足のいく結果は得られてはいない.わが国においては肺癌検診を中心に,胸部X線写真や喀痰細胞診,現在では胸部X線CTも行われるようになり,肺門部早期肺癌や末梢の小型肺癌が多数発見されるようになった.これらのなかで主に喀痰細胞診を契機に精査が行われる中枢気道病変の確定診断には気管支鏡が必須である.従来の白色光単独の検査では病変の同定に困難があったが,蛍光気管支内視鏡の発展とともに気管支の微小病変の高い診断率が報告されている1,2)

 われわれも,蛍光気管支内視鏡2~5)あるいは拡大気管支ビデオスコープ6,7),高解像度気管支ビデオスコープ8)を日常の臨床に使用し,その有用性を報告してきた.新しい特殊な光として,蛍光を発生させる青色の光に加え,青色と緑色の狭帯域光を用いるNarrow Band Imagingが開発され実用化されている7,8).更に近年,超音波気管支鏡の発展9~12)に伴い,中枢気道病変および末梢病変に対する新たな評価が可能となった.

 本稿では,肺癌の早期診断あるいは病期診断に関わる最新の気管支内視鏡診断法について述べる.

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早期肺癌について

 今のところ世界的に統一された中心型早期肺癌の定義はない.日本では中心型早期肺癌の内視鏡基準を,1)気管から亜区域支までに限局すること,2)病巣の末梢辺縁が内視鏡的に可視できること,3)病巣の長径が20mm以下であること,4)組織学的に扁平上皮癌であることとし,その所見を,①無所見型,②肥厚型,③結節型,④ポリープ型と分類している1).一方で末梢発生早期肺癌に関しては,亜区域支より末梢に発生し,胸膜浸潤がなく,リンパ節転移および遠隔転移のない20mm以下の癌を候補としていた.しかし,中心型の組織型が扁平上皮癌が中心であるのと異なり,末梢発生の小型肺癌の80~90%は腺癌である.外科切除で5年生存率が100%近い組織型もあるが,線維芽細胞増殖を伴うものはリンパ節転移を20~25%に伴い5年生存率も70~75%に低下する.そのため肺野末梢の早期肺癌に関しては確定された定義はなく,内視鏡的に根治を期待できる手技も確立されてない.このため,気管支鏡的な治療対象も中心型早期肺癌となる.

 早期肺癌においても,一般的には外科切除が治療の第一選択とされてきた.そのため癌病巣そのものが小さいにもかかわらず,肺葉切除,2葉切除または片肺切除が施行されてきた.これに対し,患者のなかには外科適応を満たさない心肺機能低下症例も存在する.さらに,1~4%には同時に別の肺癌を合併し2),その頻度は15%に達することもあるという3).また,第2の肺癌を発症する危険性は1~25%/年とする報告もある4)

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はじめに

 中枢の気道狭窄は悪性疾患では肺癌,食道癌,種々の癌の縦隔リンパ節転移,転移性気管内腫瘍などにより起こり,急速な呼吸状態の悪化,呼吸不全を引き起こすことがあり,救命のためには迅速かつ的確な対応が迫られる病態である.

 本稿では,気管支鏡による救命治療として,悪性腫瘍による高度中枢気道狭窄に対する内視鏡的治療,特にハイブリッドステントを用いた気道狭窄に対する緊急治療について報告する.

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はじめに

 肺癌をはじめ,肺末梢の病変に対するアプローチの必要性が高まっている.それに応える形で,外径が細く,画像も鮮明で,かつ生検を得るためのチャンネルを有する気管支鏡が日本で開発された.通常,極細径気管支鏡は外径3mm以下の気管支鏡を指し1),日本では1999年に外径2.8mm,操作チャンネル径1.2mmの極細径気管支ファイバースコープが市販された.その後,2003年には挿入部のグラスファイバーの映像を気管支鏡根部のCCDで画像処理して,テレビ画面に結ぶハイブリッド・スコープが開発された(図1).これにより,同じサイズの極細径気管支鏡でありながら従来型に比べ,より鮮明な画像が得られるようになった.極細径気管支鏡は通常径気管支鏡に比べ細い気管支への挿入が可能であり2),末梢肺野病変の診断2~4)や処置5),中枢狭窄気道病変の評価において効果が期待できる.さらに低侵襲で安全な検査も実現可能である6)

 極細径気管支鏡は,従来の電子スコープと比べて先端部の外径が2.8mmと半分以下であり,点滴のラインほどしかない(図2).扱いも通常の電子内視鏡のそれとは異なり,屈曲部の曲率半径が小さく,広い空間ではむしろ先端がフラフラする感覚があり,通常径の気管支鏡とは全く異なる内視鏡と考えて扱うほうがよい.

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はじめに

 消化器・甲状腺・乳腺領域において,超音波検査は現在欠くことのできない検査として確固たる地位を獲得している.また,体表の超音波検査と内視鏡技術の融合で超音波内視鏡が開発された.消化器領域における超音波内視鏡は1980年に開発され,現在では腫瘍の深達度診断において欠くことのできない検査となってきた.

 呼吸器領域では,1992年にHurterらにより初めて気管支鏡下にラジアル走査型超音波プローブを用い気管支内外病変を観察したことが報告された1).その後プローブの細径化が進み,気管支鏡の鉗子チャンネルに挿入可能な超音波プローブが開発され飛躍的に普及してきた.今では気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography;EBUS)は気管支鏡医にとって診断・治療の不可欠なアイテムのひとつとなってきた.現在も様々な方向性をもって開発は進行中である.今回は,EBUSに関する概説と最新の知見や研究成果について解説を行う.

巻頭言

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 最近よく考えることは,今後わが大学を含めて,大学医学部・附属病院はどうなっていくのだろうかということである.1978年に創立された大分医科大学は病院開院四半世紀を迎えている.その間,様々な変動・変革があったが,2004年からの新研修システムほどショックの大きなものはなかった.1県1医科大学のスローガンのもとに,新設医科大学は地域医療に様々な貢献をしてきた.その基礎に医局講座制があった.当初はある意味,効率よく貢献をするためのシステムとしても十分機能していた.その後の様々な批判は承知していても,そして功罪は相半ばとまでいわなくとも,その良い面への認識があまりにも乏しかったのではないか? そしてその受け皿が確保されないまま新しい研修システムが導入され,旧来の医局講座制は崩壊に直面している今,考えなければいけないことが多い.

 新しい研修システムが始まり3年が終わりつつある.3年目のUターンはわが大学ではあまり多くなかった.若い医師は地方の大学には還らず,教室員は高齢化して,大学の診療スタッフは年々歳々少なくなる危機に直面している.そのぶん,地域の病・医院はスタッフ不足にこれまで以上に悩まされることになる.このことは当初からの想定内であったと思われる.さらに若い医師によれば,大学,特に国立大学の診療では,直接的な診療とは関係ない“いわゆる雑用”が大学以外の病院に比して多すぎるので,いやだとの批判を聞くことが多い.これは人員が少ないところほど雑用も多く回ってくるという悪循環を招いている.このような批判は従前から指摘されていた訳だが,国立大学医学部附属病院は医師数が一番多い部署であるから,あるいは一番人数的に余裕のある職種は若い医師層なので,その職種が雑用を賄う人材として考えられていたからである.医師でないとできない仕事をやってもらって,病院収入を上げることに専念し,医師免許が必要とされない仕事は医師がしなくてよいという発想はなかった.併せて医師以外の職種の場合は,それは私の仕事ではないということは少なくないが,医師の場合は「それは私の仕事ではない」と言えない環境にある.言えば,診療行為はそこでストップする.困るのは患者さんである.

綜説

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はじめに

 気管支喘息の病態異常は気道の慢性炎症であるという概念が確立されているが,これまでは比較的大きい気道の疾患と考えられてきた.近年,様々な研究の結果,喘息の気道炎症は中枢気道にとどまらず,末梢気道から肺胞へも波及していることが明らかになってきた.

 本稿では,喘息の末梢気道病変について解説するとともに,それに対する治療について述べる.

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 冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)は,ステントの導入により急性冠動脈閉塞,緊急バイパス術といった合併症が激減し,より安全な治療法となった.また,2004年より本邦においても薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent;DES)が認可され,ステント再狭窄の問題も克服されようとしている.ステントが登場した当初はステントの血栓性閉塞が高率に認められたが,ステントの高圧拡張が導入されたことに加えて,アスピリンとチクロピジンによる抗血小板療法が用いられるようになり,その頻度は1%以下にまで減少した.しかし,チクロピジンには肝障害,無顆粒球症,あるいは血栓性血小板減少性紫斑病といった,ときには死に至る重篤な副作用が稀にみられ安全性の面での懸念がある.

 これに対して新しいチエノピリジン系薬剤であるクロピドグレルは,こうした副作用の発生頻度が低く,欧米ではステント留置後の標準的治療法としての地位を確立している.本稿ではクロピドグレルに関する最新の知見を中心に,PCIに関する抗血小板療法について概説する.

Bedside Teaching

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血液ガス分析とは

 「血液ガス」とは,本来「血液中に存在するガス状の物質」を指す.医学の領域で「血液ガス」というと,血中の酸素(O2)と二酸化炭素(CO2)のことをいう習慣になっている.現在では,「血液ガス分析」とは,電極法による自動血液ガス分析装置を用いて測定される酸素分圧(PO2),二酸化炭素分圧(PCO2)に加え,pHならびにこれらから演算されるパラメータを含んだものを指している.酸素飽和度(SO2)はCOオキシメータで測定されるが,血液ガス分析装置との一体型が普及しており,同じく「血液ガス分析」に含めて扱われる.

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はじめに

 PDE III阻害薬は「inodilator;血管拡張作用を有した強心薬」(inotropes+vasodilator)として,特に急性心不全,もしくは慢性心不全の急性増悪に対して使用されつつある薬剤である1).とはいえ現状は,まだその使用頻度は少なく,従来からの強心薬であるカテコラミンが主流を占めている.

 PDE III阻害薬が避けられやすい理由として,「血管拡張作用を有するため血圧の低下を来す」,「心室性不整脈が生じやすい」,「腎機能低下症例には使いにくい」などが挙げられているが,本当のところは「急性心不全治療は従来の強心薬にて十分対応可能であり,あえて不慣れなPDE III阻害薬を使用する必要がない」と考えられていることが主な理由であろう.

 PDE III阻害薬でなければ乗り切れない病態が本当に存在するのかどうかは,なかなか難しいところではあるが,PDE III阻害薬がより適している病態は本当に存在する.本稿では,その点について自験例を交えて概説したい.

連載 プライマリ・ケアのための呼吸・循環器診療⑪

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1 はじめに

 循環器疾患における臨床において心電図検査は不可欠な検査の一つである.そして心電図検査は循環器専門医のみが行う検査ではなく,一般臨床現場でルーチンに施行される検査である.特に夜間救急外来などでは臨床症状(胸痛など)から虚血性心疾患を疑い心電図検査が施行され,一般臨床医の判断を必要とされるケースが少なくない.

 この項では,後期研修医として内科医を目指す若手医師や一般内科医における,臨床現場でしばしば遭遇する心筋虚血の心電図の読み方のポイントと理解のための考え方を中心に示す.

Current Opinion

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中皮腫をめぐる最近1年間の話題

 アスベストによる健康被害が社会的に注目されている.中皮腫はその成因の多くがアスベストと関連している.中皮腫は曝露開始から発症までの潜伏期間が非常に長い.1999~2001年度の3年間に石綿による中皮腫として労災認定された93件の潜伏期間は11.5~54.2年(平均38年)であった1).日本での過去のアスベスト使用量とこの長い潜伏期間から今後日本での中皮腫患者はさらに増加していくと考えられており,統計学的には今後40年で胸膜中皮腫により10万人が死亡するとされる2).ところが,厚生労働省の中皮腫による死亡統計では,2004年の死亡数は953人であったが,2005年には911人と減少した.これは,女性の死亡数の減少による.女性の腹膜中皮腫は,卵巣癌との鑑別が難しく,中皮腫自体が減ったというより,社会的に注目が集まるなか,より厳密な診断が求められるようになり慎重に診断がなされるようになったためと考えられている.いずれにしても,中皮腫患者はその数はわからないが今後増加していくと考えられ,治療効果の改善を含めた症例への対策が求められている.

 このような社会的関心が高まるにしたがって,治療や成因を明らかにするための研究にもまた大きな関心が寄せられている.2003年,大規模な第III相試験によってcisplatinと葉酸代謝拮抗剤pemetrexed(商品名Alimta)の併用投与群はcisplatin単独投与群と比べ有意に予後が良いことが確認されて以来3),pemetrexedを中心に中皮腫の治療に関する報告がなされた.また,アスベスト曝露者を経過観察していくうえで有用な手法となることが期待される血清マーカーの報告も興味深い.臨床におけるpositron emission tomo-graphy(PET)や基礎研究におけるマイクロアレイなど近年でてきた手法による検討結果も報告されつつある.ここでは最近1年間の中皮腫に関連する主な論文発表を振り返ってみた.

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高血圧治療をめぐる最近1年間の話題〔メタボリックシンドロームと生活習慣の是正〕

 近年,わが国では生活様式の欧米化に伴って肥満,脂質代謝異常,耐糖能異常などメタボリックシンドローム(MS)を構成する代謝異常を有する患者が増加し,心血管病リスク上昇との関連が注目されている.1999年にWHOがMSの診断基準を発表して以来,海外でいくつかの診断基準が公表されてきたが,わが国でも2005年にMSの診断基準が発表された1)

 本基準では,内臓脂肪蓄積がMSの成因基盤として主要な役割を担っていることが明記されている.内臓脂肪蓄積の評価法として腹囲測定が用いられ,男性85cm以上,女性90cm以上が腹部肥満と診断され,必須項目となっている.これは,内臓脂肪量評価の標準的方法である,臍レベル腹部CT像での内臓脂肪面積100cm2に対応する.内臓脂肪蓄積に加えて,高トリグリセリド血症(150mg/dl以上)かつ/または低HDLコレステロール血症(40mg/dl未満),高血圧(130mmHg以上かつ/または85mmHg以上),空腹時高血糖(110mg/dl以上)の3項目のうち2項目以上あればMSと診断する.

 高血圧はMS患者の重要な臨床所見のひとつである.MSの病態は完全には解明されていないが,インスリン抵抗性が重要な背景因子と考えられている.インスリン抵抗性は交感神経活性亢進,レニン-アンジオテンシン系活性亢進,腎尿細管でのNa再吸収亢進など,各種の機序を介して昇圧を招くと推測されている.さらに,インスリン抵抗性自体も動脈硬化を進展させる可能性が示唆されている2).したがって,MSにおける降圧療法はインスリン抵抗性の改善を主体として考えるべきであり,第一に生活習慣の修正を行う.わが国の高血圧治療ガイドライン3)(JSH2004)では生活習慣の修正項目として,1)食塩制限,2)野菜・果物の積極的摂取およびコレステロール・飽和脂肪酸の摂取制限,3)適正体重の維持,4)運動療法,5)アルコール制限,6)禁煙,の6項目を挙げている.また降圧薬のうち,ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)はインスリン抵抗性を改善させる効果を有するが,糖尿病の新規発症抑制効果という観点からはARBに注目が集まっている.

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 睡眠時無呼吸症候群(SAS)診断におけるポリソムノグラフ(PSG)で空調,防音などの検査室環境の影響を検討する目的で,同種の検査機を使用している東海大学病院(空調・防音の検査室46名:専用室群)と大磯病院(40名:一般個室群)のPSGを前向き研究として比較した.Epworth sleepiness scaleは両群で有意差なく(7.9±0.7対7.2±0.7,mean±SE),無呼吸指数も有意差はなかった(47.5±4.6/hr対44.2±3.9/hr).Stage1の浅睡眠は専用室群が一般個室群より有意に短く(全睡眠の22.9%対37.1%),stage(3+4)の徐波睡眠は専用室群が一般個室群より有意に長かった(10.2%対4.0%).Stage2およびREM睡眠は群間で有意差はなかった.一般個室でのPSGは,専用検査室と比べて睡眠の質が低く評価される可能性に留意すべきである.

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 アミロイドーシスは,臓器へのアミロイド沈着による多臓器障害を特徴とする疾患である.今回,アミロイドーシスにて死への転帰をたどり,非結核性抗酸菌症,囊胞内感染が誘因とされた症例を経験した.患者は73歳,男性.発熱,咳嗽が出現し,肺炎の診断で入院治療を受けていた.喀痰検査で抗酸菌塗抹ガフキー5号を呈し,肺結核が疑われて当院に紹介入院となった.当院入院時,画像で右肺に内部の液体貯留を伴う囊胞と周囲の浸潤影を認め,喀痰塗抹検査でガフキー4号であり,非結核性抗酸菌と同定された.治療を開始し,1週目から消化器症状が出現した.消化器内視鏡で十二指腸に多発するびらんを伴う発赤を認めた.組織診で粘膜下筋層のアミロイド沈着がみられたため,続発性のAAアミロイドーシスと診断した.アミロイドーシスに対してジメチルスルホキシドによる治療で一旦は改善したものの,肺炎とアミロイドーシスの悪化により死亡した.

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 冠動脈インターベンションを世界で最初に行ったのはGruentzigである.彼は,1977年にスイスのチューリッヒで右股動脈穿刺に細いカテーテルを用い,前下行枝の高度狭窄の拡張に成功した.そしてこの手技を,PercutaneousTransluminal Coronary Angioplasty,すなわちPTCAと命名した.

 その後,ステントやロータブレーター,DCAなどの出現によりPTCAをPCI(PercutaneousCoronary Intervention)と呼ぶようになった.歴史的には股動脈穿刺の後,Stertzerらにより右前腕穿刺で行うPTCAも普及した.

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 このたび出版された第2版は,1997年の第1版に続く改訂版である.しかし,単なる改訂版ではなく,ほとんど全面的に書きかえられたことが明瞭であり,木田厚瑞教授のこの本に賭ける情熱と熱気を堪能させるものとなった.

 第2版では疾患の一般的な解説を避け,また原理など基礎的な事項は最低限に抑えられており,実地的なマニュアルとして一新された.コンセプトが明快に書かれていること,在宅酸素療法の関連領域..つまり包括的リハビリテーション,医療連携,医療倫理とインフォームド・コンセントを踏まえたうえで,在宅酸素療法の効果など実際的な記載となっている.

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あとがき 相澤 久道
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 現在の呼吸器病学の成立に最も大きな貢献をなしたものは,呼吸機能,CTをはじめとする画像検査,そして気管支鏡だと思っている.この3つが有機的に結びついたとき最先端で最良の医療が提供できるばかりでなく,研究としてもこの3つの手法の組み合わせによって将来大きな発展が期待できる.診断学の基本は形態と機能の評価である.呼吸機能検査と画像検査は生体の外部から形態と機能を評価するものである.これに対し,気管支鏡は局所の形態・機能を調べ,必要に応じて検体の採取も行うことが出来る.呼吸器科医として基本中の基本の手技である.その意味で,今月の特集「気管支鏡手技を用いた医療の最新動向」は我々にとって大変役に立つ論文が揃っている.気管支鏡の診断学的価値は言うに及ばず,治療手技としても応用の範囲が拡がりつつあることがよく分かる.

 気管支鏡のさらなる応用はないかと考える.昔,東北大学の赤坂喜三郎先生は気管支鏡を用いて微小電極を気管支平滑筋に挿入し平滑筋の活動電位を測定した.おそらくヒトの生体で気道平滑筋の電位を測定した唯一のものである.また,瀧島任先生はanterograde catheterにより気管支内に留置したセンサーにより,中枢と末梢の気道抵抗を分離測定している.この方法は現在も研究的に応用されており,喘息の末梢気道病変の検出などに海外でも用いられている.いずれも素晴らしいアイデアであり,論文を読んだ時は興奮したものである.このような機能的な面の評価に気管支鏡が使えないだろうかと考えてしまう.それも研究目的だけで終わらず,日常臨床にも応用できないかと考える.心電図や心エコーのようにベッドサイドで行うことの出来る検査が最終的な目標である.今このようなことを考えると,夢のような話と思われる.

基本情報

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呼吸と循環
55巻2号 (2007年2月)
電子版ISSN:1882-1200 印刷版ISSN:0452-3458 医学書院

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