Japanese
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特集 心室中隔欠損症(VSD)
心室中隔欠損症(VSD)に合併する大動脈弁閉鎖不全(AI)およびValsalva洞動脈瘤
Ventricular septal defect associated with aortic insufficiency and aneurysm of sinus Valsalva
加藤 裕久
1
,
横地 一興
1
,
藤岡 康彦
2
Hirohisa Kato
1
,
Kazuoki Yokochi
1
,
Yasuhiko Fujioka
2
1久留米大学小児科
2久留米大学第2外科
1Dept. of Pediatrics, Kurume Univ. School of Med.
22nd Dept. of Surgery, Kurume Univ. School of Med.
pp.873-880
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203107
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I.心室中隔欠損(VSD)の自然歴と大動脈弁閉鎖不全(AI)の合併
先天性心疾患の中でもっとも頻度の高いVSDは,図1のようにその自然歴も多様であり,内科的管理や外科的治療を決定する上で,重症度の判断とchronologicな自然歴の診断が重要である1〜3)。VSD自然歴のmainstreetは,自然閉鎖や縮小などの軽快方向であるが,若干の増悪方向への因子もある。例えば,乳児早期の強い心不全,呼吸不全,肺炎の合併,1〜2歳すぎより肺血管抵抗の上昇(Eisenmenger化),右室流出路狭窄の発生,心内膜炎などがあるが,AIの合併も増悪因子の重要なものの一つである。普通比較的軽症と思われるVSDに3〜4歳すぎよりAIが発生し,放置するとしだいに増悪し,心不全におちいる。
この合併症の問題点として,①比較的軽症で血行動態的にsmall VSDと思われる例にAIが合併してくることが多い。②AIが合併すると進行性のことが多く,大動脈弁の変形や肥厚が高度になり,弁置換を必要とするまで進展することがあり,外科的治療上も問題となる。③日本人に頻度が高いこと,欧米ではVSDにAIが合併する頻度は3.3%〜6.6%4〜6)といわれている。
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