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はじめに
様々な程度に肺の間質に炎症や線維化を伴う急性,慢性肺疾患を総括して間質性肺疾患,あるいはびまん性肺疾患と呼ぶ.このなかで原因不明のものを特発性間質性肺炎と呼ぶ.
アメリカ胸部疾患学会(ATS)とヨーロッパ呼吸器学会(ERS)共同の特発性間質性肺炎に関するステイトメント1)では,特発性間質性肺炎は,膠原病など間質性肺疾患の原因が明らかな場合,肉芽腫性疾患および肺脈管筋腫症などの疾患とともにdiffuse parenchymal lung disease(DPLDs,びまん性肺疾患)に分類され(図1),さらに従来の分類(表1)を念頭に置き,表2に示したようにIPF,NSIP,COP,AIP,RB-ILD,LIPに分類された.LIPは一方ではリンパ増殖性疾患に分類されるが,主にNSIPとの鑑別が必要であり,取り上げられている.Giant cell interstitial pneu—monia(GIP)は重金属吸入によるじん肺であると考えられているので除外された.わが国でも特発性間質性肺炎の診断基準の改定案の作成が進行中である2).
これらの疾患は,病理学的な組織パターンに基づいて,症例の背景,臨床症状,X線像および検査所見を十分に考慮し,最終的に臨床症状・徴候,放射線学的所見および病理学的所見を総合して診断(臨床・放射線学的・病理学的診断)される.また,肺生検によつて得られた病理組織像パターンに基づいて特発性間質性肺炎が診断される時には,臨床・放射線学的・病理学的診断と区別するために特発性間質性肺炎の診断名に「パターン」という呼び名を追加することが推奨される.
HRCTは典型的なUIP/IPF症例の診断と他の症例との鑑別に必要である.病理組織を得る生検については,症例がUIP/IPFの典型的な臨床経過やHRCT所見を示す時を除いて,可能な限り侵襲の少ない胸腔鏡下肺生検で病理組織を採取することが推奨される.経気管支的肺生検はDAD/AIPとCOPを除いてほとんどの特発性間質性肺炎の診断に有用ではない.しかし,サルコイドーシスや感染症などを除外する点では有用である.診断手順(図2),X線像の特徴(表3),病理組織所見とその鑑別点(表4,表5)を示した.このような病理組織パターンを示す疾患は特発性間質性肺炎以外にもあり,その疾患を列挙した(表6).
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