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最近よく考えることは,今後わが大学を含めて,大学医学部・附属病院はどうなっていくのだろうかということである.1978年に創立された大分医科大学は病院開院四半世紀を迎えている.その間,様々な変動・変革があったが,2004年からの新研修システムほどショックの大きなものはなかった.1県1医科大学のスローガンのもとに,新設医科大学は地域医療に様々な貢献をしてきた.その基礎に医局講座制があった.当初はある意味,効率よく貢献をするためのシステムとしても十分機能していた.その後の様々な批判は承知していても,そして功罪は相半ばとまでいわなくとも,その良い面への認識があまりにも乏しかったのではないか? そしてその受け皿が確保されないまま新しい研修システムが導入され,旧来の医局講座制は崩壊に直面している今,考えなければいけないことが多い.
新しい研修システムが始まり3年が終わりつつある.3年目のUターンはわが大学ではあまり多くなかった.若い医師は地方の大学には還らず,教室員は高齢化して,大学の診療スタッフは年々歳々少なくなる危機に直面している.そのぶん,地域の病・医院はスタッフ不足にこれまで以上に悩まされることになる.このことは当初からの想定内であったと思われる.さらに若い医師によれば,大学,特に国立大学の診療では,直接的な診療とは関係ない“いわゆる雑用”が大学以外の病院に比して多すぎるので,いやだとの批判を聞くことが多い.これは人員が少ないところほど雑用も多く回ってくるという悪循環を招いている.このような批判は従前から指摘されていた訳だが,国立大学医学部附属病院は医師数が一番多い部署であるから,あるいは一番人数的に余裕のある職種は若い医師層なので,その職種が雑用を賄う人材として考えられていたからである.医師でないとできない仕事をやってもらって,病院収入を上げることに専念し,医師免許が必要とされない仕事は医師がしなくてよいという発想はなかった.併せて医師以外の職種の場合は,それは私の仕事ではないということは少なくないが,医師の場合は「それは私の仕事ではない」と言えない環境にある.言えば,診療行為はそこでストップする.困るのは患者さんである.
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