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特集 気管支鏡手技を用いた医療の最新動向
気管支鏡による早期肺癌の治療
Bronchoscopic Treatment of Early Stage Lung Cancer
武政 聡浩
1
,
石井 芳樹
1
Akihiro Takemasa
1
,
Yoshiki Ishii
1
1獨協医科大学呼吸器・アレルギー内科
1Department of Pulmonary Medicine and Clinical Immunology, Dokkyo University School of Medicine
pp.155-163
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100533
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早期肺癌について
今のところ世界的に統一された中心型早期肺癌の定義はない.日本では中心型早期肺癌の内視鏡基準を,1)気管から亜区域支までに限局すること,2)病巣の末梢辺縁が内視鏡的に可視できること,3)病巣の長径が20mm以下であること,4)組織学的に扁平上皮癌であることとし,その所見を,①無所見型,②肥厚型,③結節型,④ポリープ型と分類している1).一方で末梢発生早期肺癌に関しては,亜区域支より末梢に発生し,胸膜浸潤がなく,リンパ節転移および遠隔転移のない20mm以下の癌を候補としていた.しかし,中心型の組織型が扁平上皮癌が中心であるのと異なり,末梢発生の小型肺癌の80~90%は腺癌である.外科切除で5年生存率が100%近い組織型もあるが,線維芽細胞増殖を伴うものはリンパ節転移を20~25%に伴い5年生存率も70~75%に低下する.そのため肺野末梢の早期肺癌に関しては確定された定義はなく,内視鏡的に根治を期待できる手技も確立されてない.このため,気管支鏡的な治療対象も中心型早期肺癌となる.
早期肺癌においても,一般的には外科切除が治療の第一選択とされてきた.そのため癌病巣そのものが小さいにもかかわらず,肺葉切除,2葉切除または片肺切除が施行されてきた.これに対し,患者のなかには外科適応を満たさない心肺機能低下症例も存在する.さらに,1~4%には同時に別の肺癌を合併し2),その頻度は15%に達することもあるという3).また,第2の肺癌を発症する危険性は1~25%/年とする報告もある4).
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