Japanese
English
Bedside Teaching
「β遮断薬時代」における強心薬―PDE III阻害薬の臨床応用
Inotropes in The Beta-blocker Era: Clinical use of PDE III inhibitor as inodilator
加藤 真帆人
1
,
北風 政史
1
Mahoto Kato
1
,
Masafumi Kitakaze
1
1国立循環器病センター心臓血管内科
1Department of Cardiology, National Cardiovascular Center
pp.205-212
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100540
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はじめに
PDE III阻害薬は「inodilator;血管拡張作用を有した強心薬」(inotropes+vasodilator)として,特に急性心不全,もしくは慢性心不全の急性増悪に対して使用されつつある薬剤である1).とはいえ現状は,まだその使用頻度は少なく,従来からの強心薬であるカテコラミンが主流を占めている.
PDE III阻害薬が避けられやすい理由として,「血管拡張作用を有するため血圧の低下を来す」,「心室性不整脈が生じやすい」,「腎機能低下症例には使いにくい」などが挙げられているが,本当のところは「急性心不全治療は従来の強心薬にて十分対応可能であり,あえて不慣れなPDE III阻害薬を使用する必要がない」と考えられていることが主な理由であろう.
PDE III阻害薬でなければ乗り切れない病態が本当に存在するのかどうかは,なかなか難しいところではあるが,PDE III阻害薬がより適している病態は本当に存在する.本稿では,その点について自験例を交えて概説したい.
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