臨床外科 60巻5号 (2005年5月)

特集 外科栄養療法の新たな潮流

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 近代的な臨床栄養管理法は,1950年代のspace dietの研究および1960年代の経静脈栄養法の開発を契機として1970年代に一般化したものである.その後,代謝・栄養学の進歩とあいまって,その管理法は最も基本的な治療手段の1つとして確立されてきた.経静脈栄養法,経腸栄養法ともそれぞれの特徴がほぼ明らかにされ,各種病態における至適投与カロリー量や組成などにはまだ議論の余地はあるものの,エネルギー源投与の手段としては定着している.

 一方,種々の病態における代謝的特徴が解明されるにつれて,栄養基質による疾病の治療手段として病態別栄養管理法の分野が開け,さらに一部の栄養基質による免疫能増強作用が脚光を浴びるようになってきた.また,実地の栄養管理法においてチーム医療としてのnutrition support team(以下,NST)の有用性が証明され,クリニカルパスなどの導入も始まり,栄養療法が再び大きく飛躍する潮流ができてきたように思われる.

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要旨:栄養と疾患との関係については,すでに古代ギリシャのヒポクラテスの時代から指摘されてきたことであるが,近代医学において栄養療法の重要性が認識され飛躍的に発展したのは20世紀に入ってからのことである.系統的かつ合理的な臨床栄養法について多くの研究成果が報告され,実際の臨床医学に応用されて患者がその恩恵に浴することになったのは,さらに最近の数十年のことである.現在では,種々の疾患・病態の基礎にある栄養状態についての検討なくしては治療が成り立たない状況となっており,また,医療を取り巻く社会的要請に対応して栄養療法を専門的に管理するnutrition support team(NST)の設立が急速に普及し,臨床的にも医療経済的にも著明な効果をあげている.本稿では臨床栄養法の発展に関する歴史的事柄について概説し,特に現在の臨床栄養法の基礎となっている最近の展開について述べた.

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要旨:米国において,医師の栄養療法に対する関心は低くなってきている.一方,コメディカルが中心となって栄養療法を実践するようになってきている.米国におけるnutrition support team(NST)の数は減少傾向にあり,発表論文数も減少傾向にある.しかし,栄養療法の中心的役割を果たしている栄養士は臨床の場に進出して医療職としての立場を確立し,栄養療法の高いレベルを維持している.わが国ではコメディカルのNSTに対する関心の高まりに刺激されるかたちで栄養療法に興味を示す医師が増加している.米国の栄養療法の流れに追随する必要はない.わが国独自のかたちで栄養療法の普及を推進していけばよいと考える.

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要旨:栄養管理はすべての疾患治療のうえで共通する基本的医療の1つである.この栄養管理を個々の症例に応じて適切に実施することを栄養サポートと言い,これを職種の壁を越えて実施する集団をnutrition support team(NST:栄養サポートチーム)と言う.NSTの誕生は1968年の中心静脈栄養(TPN)の開発にその発端があり,TPNの普及とともに欧米中に広がった.一方,わが国では欧米のNSTが専属チームであったためにその普及が拒まれてきたが,1998年にわが国独自のNST運営システムであるpotluck party method(PPM:兼業兼務方式)が考案され,これを契機に全国の医療施設にNSTが設立されるようになった.2001年,日本静脈経腸栄養学会は学会主導でこのNSTの設立を支援するNSTプロジェクトを企画した.2004年12月末には298施設にNSTが設立され,さらに200以上の施設でNST稼動の準備がなされている.現在,わが国に普及しつつあるNSTは欧米のものとは異なって,静脈,経腸,経口栄養を一貫して管理するものであり,少子高齢化が進むわが国の医療においてその有用性はよりいっそう高まっていくものと思われる.

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要旨:生体防御を高め,患者のoutcome改善を目的とする栄養法がimmunonutritionと言われ,注目されている.具体的には,早期経腸栄養法や免疫賦活作用があるとされる栄養素(アルギニン,ω-3系脂肪酸など)を豊富に含む製剤(immune enhancing enteral diet:IED)の投与が実践されている.待期手術患者では,IEDの術前・術後投与が術後感染性合併症発生率を約50%減少させるとする多くのエビデンスがあり,条件によっては術後早期投与あるいは術前投与のみでも有効性が確認されている.ICU患者でも外傷など主とする外科系疾患で同様の効果が報告されている.しかし,敗血症患者への投与では有益であるとの報告がある一方で有害との見解もあり,慎重に適応を決定する必要がある.

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要旨:わが国の医療環境はここ数年,激しい変化の時代を迎えており,DPCの導入や病院の機能分化,在宅医療の充実などの新しい医療システムが構築されつつある.しかし,このように効率的な医療が求められているなかで,真に求められているのは安全で質の高い医療であることは間違いない.クリニカルパスはわが国の医療に導入された当初はその効率性が主に注目されたが,その後は独自の進化を遂げ,最近では医療の質改善のためのツールとして重要な役目を担ってきている.パスを使用するうえで栄養管理をしっかりと行うことは,バリアンス発生の予防と患者のquality of life(QOL)向上に役立っている.さらに,地域で共有するパス作成や地域一体型NST構築などによって,一施設だけでなく地域全体の医療の質向上に寄与できるものと考える.

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要旨:小児の栄養管理の現状と解決すべき課題を概観した.(1)栄養アセスメントとしての年齢BMI比(BMI-for-age)の臨床的意義を明らかにしエネルギー必要量/胃容量比(EMR)を提言,(2)経腸栄養法としての小児期の内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の課題,(3)静脈栄養法として,特に低出生体重児での中心静脈カテーテル法(TPN)管理の際のカテーテル関連感染症予防のためのsynbioticsの可能性,を述べた.

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要旨:正しい栄養療法の知識が普及し,漫然たる完全静脈栄養の施行は回避される傾向が強くなっている.上部消化管疾患の手術後に完全静脈栄養もしくは空腸瘻栄養が必須であるのは食道再建を要する手術後のみである.Major surgeryの術前に投与するimmunonutritionは,感染性合併症の発生頻度を有意に低下させることが判明した.Cost/benefitの点からもその有用性は高く評価されてよい.発癌や癌の増殖には脂質の代謝産物が深く関与している.今後,癌細胞内の環境を修飾し抗癌剤の効果を増強する目的で栄養療法が行われる可能性がある.

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要旨:大腸手術後は消化吸収に重要な上部消化管に手術操作が及ばないため,術後,経口による栄養管理が早期に行える特長がある.消化管の安静や中心静脈栄養(TPN)による栄養管理と縫合不全の発生とは関係がないので,術後の生理学的イレウスの期間が経口摂取の開始を遅らせ,一定期間の入院が必要となる主因となる.「術後消化管機能の早期回復」と「低侵襲手術の実施」が栄養管理を円滑に進めるうえで重要となる.具体的には,結腸切除では,(1)早期癌は腹腔鏡下切除術,進行癌は臍部小切開法・内側アプローチによる切除術によって侵襲を最小限にする,(2)術翌日からガムを噛んでもらい消化管機能の回復を促進する,(3)術後2日で水分を,3日目からは個々の患者の好みにあわせた経腸栄養剤を開始する,(4)術後8日目に退院とする,としている.外科医にはNSTを支援する以外に,安全かつ低侵襲で,コスト,合併症の少ない手術の実践と,経験的に行われてきた術後栄養管理を改善する責務がある.

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要旨:慢性肝・膵機能障害の代表として,肝硬変と慢性膵炎の基本的病態,栄養管理について概説した.両者とも栄養障害が合併する頻度は高く,これらの患者に対する手術に際しては,術前に是正が可能なものには栄養療法を施行したほうがよい.肝硬変では機能的分類と病期を正確に診断し,ビタミンや微量元素も含めた栄養評価を行う.分岐鎖アミノ酸療法は代償性肝硬変にも有用性が認められ,今後,周術期栄養療法としての無作為化比較試験による評価が待たれるところである.慢性膵炎では病期と外分泌機能を評価しつつ,栄養障害に対して適切な栄養療法を選択する必要がある.

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要旨:嚥下障害への対応の目的が経口栄養摂取による早期の社会復帰であり,呼吸機能の安全な確保であることを前提にして,4(5)期型の摂食嚥下過程(先行期,準備期,口腔期,咽頭期,食道期)の各段階で嚥下障害を惹起する背景について述べた.外科臨床における術後管理のために行われる処置の多くに嚥下障害のリスクを高くするものが多いことを述べ,摂食嚥下障害へのすべての対応に先立って行うべき口腔ケアの必要性について概説した.

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はじめに

 褥瘡医療は,医師と看護師が行う分野だけではなく,栄養管理やリハビリテーション技術の重要性が認識され,チーム医療が最も必要とされる領域である.栄養管理はスキンケアや体圧分散管理と異なってダイレクトに創部に反映するものではないが,全身状況を改善して間接的に褥瘡の予防を進め,治療効果を促進するには管理栄養士の関与が必須であると考えられる.

在宅PEG栄養管理 岡野 均
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要旨:1980年にPonskyらによって報告された経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)は,その安全性と簡便性からわが国でも広く施行されるようになってきている.さらに,介護保険の導入によって在宅PEG患者も増加しつつある.本稿では,在宅におけるPEGによる栄養管理(在宅PEG栄養管理)について,在宅移行前と移行後の留意点を述べた.安定した在宅PEG栄養管理を目指すには,地域一体型の栄養サポートチーム(地域一体型NST)作りが必要である.在宅PEG栄養管理は安全で安定した経腸栄養管理法と考えられ,種々の原因によって経口摂取のできない症例に対してファーストチョイスとなる栄養管理法である.

カラーグラフ 内視鏡外科手術に必要な局所解剖のパラダイムシフト・8

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はじめに

 現在,開腹手術では常識であったことが腹腔鏡下手術では常識ではなくなり,開腹手術では無意識に行えていたことが,腹腔鏡下手術では意識を改革しなければ,またはほかの方法を用いなければ行えなくなっている.ここにパラダイムシフトが発生しているわけであるが,われわれはこのことを意識せずに日常的に腹腔鏡下手術を行っていることが多い.腹腔鏡下胆囊摘出術はいまや世界各国で広く行われており,手技も安定しているが,この標準手術のなかにも数多くの新しいパラダイムが存在する.これを再認識し理解することは,内視鏡下手術全体で起こっているパラダイムシフトを理解し,これを安全に施行するうえで大切な役割を果たすと考える.本稿では,内視鏡下手術の新しいパラダイムに関連する考察を交えながら,筆者らが行っている腹腔鏡下胆囊摘出術の基本手技を解説する.

臨床外科交見室

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創傷治療に熱心な一部の病院を除く日本の大部分の病院や診療所では,毎日,熱心に創の消毒が行われている.また,もし消毒を行わなければ,患者サイドからも「なぜ,創を消毒しないの?」とクレームさえ寄せられることがある.わが病院では最近は少しずつ変わってきているが,2004年12月に行われたある外科研究会では,市民病院クラス以上の数施設のなかで外傷治療で消毒を施行していない施設は1施設もなかった.

 外科分野では「消毒」と称して実に多くの行為が行われている.なお,今回のテーマの対象はあくまで人体に対する消毒であり,医療器具や手術覆布などの話ではない.術後創部の毎日の消毒に始まり,外傷の処置前後の消毒,あるいは皮膚膿瘍の切開前の消毒,また手術前の術野の消毒,あるいは術中の消化管切除端の消毒,尿路バルーンの挿入前の局部の消毒やIVHカテーテル挿入のための皮膚消毒など,思いつくままでもこれだけ挙げられる.しかし,現時点でこれらのうち本当に必要であるのは手術前の術野の消毒とIVHカテーテル挿入前の皮膚消毒ぐらいであろう.

外科の常識・非常識 人に聞けない素朴な疑問 16

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【素朴な疑問】

 汎発性腹膜炎の手術では,腹腔内を大量の生理食塩水で洗浄したのちドレーンを留置するのがわが国の常識である.ドレーンをダグラス窩だけではなく,横隔膜下やモリソン窩などの数箇所にも留置するのが普通である.ところが,外国の外科教科書には「汎発性腹膜炎にドレーンは不要」と書かれており,限局性の膿瘍でなければドレーンはおかない.わが国の常識は,間違っているのであろうか.

【ドレナージの意義】

 汎発性腹膜炎の手術時にドレーンを留置する理由としては,貯留した血液や滲出液のドレナージ,再燃した腹膜炎の早期発見,腹腔内膿瘍の予防,さらには消化管吻合部の縫合不全対策などが挙げられている.

日米で異なる外科レジデント教育・医療事情・11

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◇はじめに◇

 一般外科は米国の大学病院においては腫瘍外科と分かれていることが多い.腫瘍外科は肝癌や膵癌の手術,あるいは食道癌の手術をする科であり,一般外科は主としてそれ以外のいわゆる外科全般を扱う科である.よって,一般外科ではヘルニア,腹腔鏡下胆【嚢】摘出術や腹腔鏡下Nissen fundoplication,(肥満のための)腹腔鏡下胃バイパス術に加え,大腸の手術を主に扱うことになる.もちろん施設ごとに一般外科と腫瘍外科の住み分けはかなり異なる.一般市中病院では腫瘍外科という看板はなく,一般外科の名の下に癌の手術も行われるし,スローンケターリング癌センターなどの専門施設では腫瘍外科のなかにいくつものグループが部門ごとに分かれている.

 さて,レジデント教育においては一般外科と腫瘍外科であまり差は認められない.卒後5年目のチーフレジデントがチームリーダーとして朝回診し,指導医と意見を交わしながら病棟の患者の治療を行い,チーフレジデントは基本的にすべての主要な手術の術者となる.M&Mカンファレンス(morbidity and mortality conference)およびほかのカンファレンスの準備などはチーフレジデントの仕事となる.いわゆる米国でのスタンダードな外科レジデンシーのやり方である.ここで強調しておきたいのはチーフレジデントはレジデント終了後に,独立して米国でスタンダードな治療および手術ができるようになるという目的を持って指導医が教育している点である.これは何度も過去10回にわたって触れているが,日米教育の大きな違いである.米国では卒後5年目の外科医が病棟医長レベルの仕事を任されているのは知っておいたほうがよいであろう.

病院めぐり

竹田綜合病院外科 輿石 直樹
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当院は,北東に磐梯山の雄大な姿を仰ぎ見る福島県会津若松市に位置しています.昭和3年に開設された竹田内科医院を前身とし,現在の竹田綜合病院の体を成したのは昭和25年8月からです.現在は標榜診療科25科,入院病床数1,097床,常勤医師数111名(臨床研修医を含める),非常勤医師数28名で,会津地域の中核病院としての役割を担っています.

 地域医療支援病院や日本医療機能評価機構の認定病院の指定を受けており,地域に根差した医療を展開しています.また,32学会の教育研修施設に認定されており,今年度からは臨床研修指定病院の指定を受けて初期研修医の受け入れを開始し,現在は7名の初期研修医が研修を行っています.

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当センターは,21世紀に向けて国立医療機関に相応しい機能の強化をはかるため国立福岡中央病院と国立久留米病院を統合・合併し,1994年7月に開設した高度総合診療施設です.広くアジアに向かって発展する福岡市のシーサイドももち地区とプロ野球ホークス球団の本拠地である福岡ドームのすぐ隣に立地し,福岡市の中心分から車で10分の距離にありながら,病室からは博多湾が一望できるという素晴らしい環境にあります.

 病床数は700床(一般650床,精神50床)で,医師数は2005年1月1日現在で202名(うちレジデント49名,研修医49名)です.現在,循環器,癌など10分野の政策医療の専門施設,エイズ・広域災害の九州ブロック拠点病院であるほか,地域医療支援病院,単独型臨床研修指定病院,急性期特定病院,DPC試行病院,日本医療機能評価認定病院(1999年第1回認定,2004年再認定)という急性期病院の5つ星を全部取得しており,日本を代表する病院の1つであると自負しています.

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はじめに

 Sentinel lymph node(SLN)の生検は,転移の有無の診断が治癒率や術後の生体機能障害に多大な影響を及ぼす癌に施行されていた.近年,リンパ節郭清が過大侵襲となる可能性のある直腸癌にもSLNの概念が適応されつつある1~5).しかし,直腸癌のリンパ流は複雑で6,7),SLN navigation surgery(以下,SLN-NS)の概念が他臓器癌と同様に成立するか否かは明らかでない8,9)

 本稿では99mTc-Sn colloidを使用し,SLN-NSの手技を用いて直腸癌のリンパ流を検討した.

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はじめに

 近年,消化管間葉系腫瘍においてgastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)と称する概念が一般に広く認識されるようになり,報告例も増加している.しかし,悪性度診断に関しては分子病理学的な見地から種々の因子が検討されてはいるものの,臨床経過以外は絶対的な指標がないのが現状である.

 今回,われわれは術後の局所再発に対して再度局所切除を施行し,結果的に長期の経過観察が可能であった直腸原発GISTの1例を経験したので報告する.

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はじめに

 多発性骨髄腫は,わが国ではほかの悪性腫瘍を合併する頻度が3.3~7.3%と比較的高いと言われている1,2).最近では化学療法の進歩ならびに末梢血幹細胞移植によって長期生存が可能となり,フォローアップ時の注意が必要となっている.

 今回,われわれは多発性骨髄腫と診断したのち6年経過後にS状結腸癌を発症した症例を経験したので報告する.

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はじめに

 女性化乳房症とは,男性において片側または両側の乳腺組織の増大によって乳房が病的に腫大した状態であり1),日常診療において比較的よく遭遇する疾患である.その多くには経過観察あるいは薬物治療が行われ,手術は(1)薬物治療に反応しない場合,(2)再発を繰り返す場合,(3)癌の疑いがある場合,(4)整容的見地から患者が望む場合,などに行われるが1~4),臨床上は手術的に乳腺を摘出することは少ない1)

 今回,われわれは全身麻酔下に女性化乳房症に対して内視鏡併用乳腺摘出術を行う機会を得たので報告する.

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はじめに

 胃癌の大腸転移は比較的稀であり,日常診療で遭遇する機会は少ない.また,CA19-9産生胃癌についても報告例は少ない.今回,われわれは異時性結腸転移をきたしたCA19-9産生胃癌の1例を経験したので報告する.

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はじめに

 小腸の平滑筋腫は比較的稀な疾患であり,小腸良性腫瘍の45%を占めるとされるが,術前診断は困難なことが多い1).今回,著明な石灰化を伴う子宮筋腫または卵巣腫瘍と術前診断され,腹腔鏡補助下に摘出された回腸平滑筋腫の1例を経験したので報告する.

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はじめに

 近年,胆膵疾患における内視鏡的あるいは経カテーテル的診断・治療の進歩は著しいものがある.胆管結石における内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST),乳頭バルーン拡張術(EPBD),あるいは胆道悪性閉塞におけるステント挿入などは現在,確立された治療として多くの施設で行われている1~3).これらの診断あるいは治療において,その基本となるのは胆道造影である.現在ではMRCPが胆管結石などにおいてかなりの診断能を発揮しており4),診断のみの内視鏡的逆行性胆膵管造影(以下,ERCP)は減少傾向にあるが,癌の浸潤範囲などに対しては胆道造影がいまだに優れている.しかし,ERCPではときにカテーテルの乳頭挿入が困難な症例がみられることや,技術の習得にある程度の鍛錬が必要なことも事実である.

 最近,カテーテルの先端部の角度が自由に変えられる先端彎曲機能を保持したERCPカテーテル(スイングチップカニューレ(R):オリンパス)が発売された.最近,われわれは,このスイングチップカニューレを胆道造影やステント挿入などのERCP関連手技に使用しているので,本稿ではその使用経験を報告する.

基本情報

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臨床外科
60巻5号 (2005年5月)
電子版ISSN:1882-1278 印刷版ISSN:0386-9857 医学書院

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