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◇はじめに◇
一般外科は米国の大学病院においては腫瘍外科と分かれていることが多い.腫瘍外科は肝癌や膵癌の手術,あるいは食道癌の手術をする科であり,一般外科は主としてそれ以外のいわゆる外科全般を扱う科である.よって,一般外科ではヘルニア,腹腔鏡下胆【嚢】摘出術や腹腔鏡下Nissen fundoplication,(肥満のための)腹腔鏡下胃バイパス術に加え,大腸の手術を主に扱うことになる.もちろん施設ごとに一般外科と腫瘍外科の住み分けはかなり異なる.一般市中病院では腫瘍外科という看板はなく,一般外科の名の下に癌の手術も行われるし,スローンケターリング癌センターなどの専門施設では腫瘍外科のなかにいくつものグループが部門ごとに分かれている.
さて,レジデント教育においては一般外科と腫瘍外科であまり差は認められない.卒後5年目のチーフレジデントがチームリーダーとして朝回診し,指導医と意見を交わしながら病棟の患者の治療を行い,チーフレジデントは基本的にすべての主要な手術の術者となる.M&Mカンファレンス(morbidity and mortality conference)およびほかのカンファレンスの準備などはチーフレジデントの仕事となる.いわゆる米国でのスタンダードな外科レジデンシーのやり方である.ここで強調しておきたいのはチーフレジデントはレジデント終了後に,独立して米国でスタンダードな治療および手術ができるようになるという目的を持って指導医が教育している点である.これは何度も過去10回にわたって触れているが,日米教育の大きな違いである.米国では卒後5年目の外科医が病棟医長レベルの仕事を任されているのは知っておいたほうがよいであろう.
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