看護学雑誌 67巻9号 (2003年9月)

特集 急性期で行なう 退院後の安心づくり

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退院計画とその重要性

 退院は,患者・家族にとって,しばしば入院以上に脅威や不安を感じざるを得ないものであり,単に入院中からの治療や看護を継続するためでなく,退院に伴って新たに生じる心理社会的ニーズに注意を向けるためにも,退院計画・退院支援が必要である.

 退院計画(discharge planning)とは,手島によれば,「個々の患者・家族の状況に応じて適切な退院先を確保して,その後の療養生活を安定させるために,患者・家族への教育指導や諸サービスの適切な活用を援助するように病院においてシステム化された活動・プログラム」とされている1).また,アメリカ病院協会は,「患者とその家族が退院後の適切なケアプランをつくるのを助けるために利用可能でなくてはならない,部門を越えた病院全体としてのプロセスである」(アメリカ病院協会,1983)と定義している.

 退院計画の目的は,①良質な患者ケアの継続,②入院が必要な他の患者による病院資源の利用,③退院時の社会資源の適切な利用,の3つを保証することである.

 欧米では,退院後の適切なケアの計画づくりと,必要なサービスのアレンジまでが病院の基本的責任であり,入院中の医療の質を向上させるだけでなく,退院により始まる長期の療養生活に対しても専門的な立場から援助しなければ,もはや病院として社会的責任を果たせなくなってきていると認識されている.

 一方,日本では,退院援助はまだ退院に関して,何らかのトラブルが顕在化しているケースに対しての,個別で特殊な援助としてしか捉えられていない.一般的に入院治療がほぼ終了した段階になってから退院援助を開始して,退院をずるずると遅らせたり,十分な援助をしないまま退院させている例も少なくない.退院後に関する援助なしに,強制的に患者を退院させるだけでは,孤立無援な患者・家族が問題を深刻化させたり,適切ではない病院に転院することにつながり,問題の根本的な解決にはつながらない.

 入院医療は,その患者の生活を脅かしている原因を除去・緩和し,退院後の健康と生活を回復させ安定させるために行なわれるものである.基本的には,すべての患者とその家族に対して,退院後予想される問題を検討し,十分な援助をして退院していただくことが,病院にとって基本的な責務である.退院援助は病院の必須機能として通常業務に組み込むべきであり,病院全体としての業務基準や組織運営管理上の課題として検討すべき事項である.個別の「退院援助」ではなく,病院全体としての「退院計画プログラム」の明確化が,日本の病院に求められている課題である1, 2)

 退院計画機能は,病院が良質な患者ケアを維持する上で必須のものである.退院後も医療は継続されるのであり,退院に向けたコーディネートは,入院中の病院の責任でなされるべきである.コーディネートは入院中のできるだけ早い時点,入院当初より開始する.ときには,入院前から関係部署や担当者(医療ソーシャルワーカー;MSWなど)に連絡を取る場合もある.

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 弘前大学医学部附属病院(以下,当院とする)は,定床 626床,20診療科を有する特定機能病院である.1997年に,正面玄関にあった採血所が病院外へ出ることになり,地下にあった医療相談室をその場所に移転することになった.同時に医療相談室配属の非常勤メディカルケースワーカーが定年退職したことを機に,看護職が相談業務を担当することになり,1998年4月に「継続看護室・医療相談室」が設置された.業務は,看護部長室付の継続看護室担当師長1名,経済面での相談担当の医事課専門職員1名,医事課事務官1名の計3名で運営することになった.このうち継続看護室担当師長の役割と業務内容を表1のように定め,活動を開始した.

 継続看護室担当師長は,午前中は正面玄関付近に立ち,外来患者の受診介助,受診相談,ボランティアを統括しての新入院患者の病棟案内,そして急変時の方や車椅子での1人受診時の介助などに,すぐに対応できるように待機している.継続看護室は病院玄関わきの,退院した患者や家族が必ず通る場所にあるため,いつでも声をかけられて「安心できる」という声もある.窓口はカウンター型でオープンにしているせいか,入院・外来を問わず,看護・受診等の相談だけでも,年間1500件以上の対応となっている.退院調整数は,筆者が継続看護室の配属となってから3年間で 105事例あった.本稿では,患者・家族の承諾が得られた4事例について,退院調整のプロセスをふりかえり,患者・家族に対する継続看護室のかかわり方と,その効果について述べる.

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「退院調整専門看護師」の誕生から地域連携を担う現在まで

 「退院調整に専門的に取り組む看護師1名の配属」.これが,1994年,当院が質の高い退院に向けて取り組んだ最初の課題だった.ベッド調整を行なっていた看護部は,慢性的なベッド不足に頭を悩ませる毎日だった.そこで,1992-1994年の3年間に,脳外科的疾患で入院し自宅退院した患者239名を対象に,追跡調査を実施した.その結果,

1)退院=見放された感じがした

2)在宅に対する病院側の準備が不十分のまま退院となった

3)退院時の問題点は,退院後もそのままの状況であった

という3点が明らかとなった.また,院内の3か月以上の長期入院患者状況は,全体の22%にも達していた(図1).こうしたまぎれもない事実を明らかにした結果,1名の退院調整専門看護師が誕生した.

 その後,退院調整専門看護師の活動は,保健・福祉・医療の各機関との連携を充実させること,院内と院外とを結ぶ連携窓口をつくりあげることへ広がり,2002年4月より地域連携室として再スタートした(図2).現在スタッフは,看護師3名・事務1名で,退院調整を中心とした調整・相談業務と病診連携業務をともに担当している.

 退院調整の取り組みを開始して9年を経過,その間私は,調整を依頼する側から依頼される側へと立場が変わった.本稿では,その両方の立場から,安心を提供できる退院調整に必要なことは何かをまとめた.

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はじめに

 ストーマ造設患者が安心して退院できるためには,患者または家族がストーマのセルフケアに必要な技術を確実に習得していることが必須である.しかし,診療報酬の度重なる改定で大学病院では平均在院日数の短縮が命題となり,早期退院の推進のために,ストーマセルフケアが確実にできなくても退院予定を指示することも少なくない.そこで看護師は,入院時から計画的に退院に向けたストーマセルフケア指導を行なうことが必要となる.

 当病棟では,年間約60例のストーマ造設術を受ける患者の看護にかかわっており,そのうち90%以上が,複雑なケアを必要とするイレオストミー(回腸ろう造設術)症例である.その看護の経験から,本稿では,ストーマ造設患者が安心して退院を迎えるための援助について述べる.

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 当黎明会大塚クリニックでは,在宅診療を主に現在本院と4つの分院から,都内を中心に合計約600名の患者宅を訪問している.看護師は総勢17名在籍しており,すべて病棟勤務経験者である.患者の紹介元は地域の介護事業者が約31%であり,病院からの紹介は約25%を占めている.過去1年間に約160名の患者を病院から受け入れている.

 病院からの紹介は,現場の医師や医療連携室,また医療ソーシャルワーカー(以下,MSWとする)からとまちまちである.また,地域の保健所や介護事業者より当院を紹介された患者・家族等から直接電話を受けることも少なくない.したがって,当院へ最初に伝わる情報も個人差があるのが現状である.

 本稿では,在宅医療への移行にあたり,情報収集や整理・調整など当院にて行なっていることを中心に,今後の課題や病院看護師への要望などを報告する.

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患者の不安は医療不信につながる

 訪問看護をしていると,患者から入院していた病院に対する不信感をよく耳にする.それは,入院中になされたせっかくの治療も看護もすべて否定されるような残念な言葉である.このような思いが患者・家族のなかにあると,継続して看護にあたる訪問看護師にとっても,導入時から患者との関係づくりにつまずいてしまうことがしばしばある.病院側は在院日数短縮に必死.その陰に退院を「追い出される」「見捨てられた」と感じている患者の心情が隠されている.退院時に患者の病院に対する医療不信が起きないようにはできないものか.

 本稿では,在宅療養患者の増加とともに増えるであろう,このような問題を解決するきっかけとして,訪問看護ステーション所属の訪問看護師の立場から,退院を迎える患者・家族のケアについて,病院看護師への要望を述べてみたい.

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はじめに

 急性期病院において,さまざまな社会資源活用で退院円滑化をはかることはいうまでもない.この領域は,医療ソーシャルワーカーの領域と思われがちであるが,看護師が一定の知識をもつことで,ソーシャルワーカーとの連携が容易になり,より円滑な退院が可能となる.本稿では,介護保険と医療保険で得られるサービス活用について,退院援助の観点から述べてみたい.

退院援助で何が問題か

「ADL低下障害者の自宅退院」

 退院援助で問題なのは,ADL(Activity of Daily Living)低下障害者の場合に尽きる,といっても過言ではない.逆に,歩行できる方の退院援助が問題になることは少ない.また,「転院」は本来の退院ではなく,別の医療機関での療養継続であり,さまざまな制度活用を行なうものではない.つまり,本来の退院は「自宅退院」である.そこで,本稿では「ADL低下障害者の自宅退院」について話を進めたいと思う.

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 2003年4月より,身体障害者・知的障害者・障害児の人たちへの福祉サービスが「支援費制度」という新たな制度に変わりました.従来,障害者福祉制度は行政側(措置権者)がサービス提供を決定する「措置」という形ですすめられてきましたが,支援費制度は障害者自身によるサービス選択と利用をめざす仕組みであるといわれています.しかし,スタート前より介護保険制度との統合論や財源・サービス量,市町村格差などさまざまな課題が指摘されていました.ここでは介護保険制度との比較をとおして,支援費制度を考えてみたいと思います.

支援費制度の流れ(図)と介護保険制度との関係

 介護保険制度と支援費制度の違いについて一覧表にしてみました(表)ので,それをもとに支援費制度の課題についてポイントをしぼって考えてみたいと思います.

 介護保険制度は少子高齢社会の到来に伴う介護の問題を,国民全体の課題としてその合意形成に努めるとともに,ゴールドプラン・新ゴールドプランと,長い時間をかけて市町村の提供サービスの整備がはかられてきました.それに対し支援費制度は,基盤整備が不十分であるといわざるを得ない状況であり,全国的なサービスの標準化と底上げが急務であるといえます.

 また,介護保険制度はケアマネジャーが要介護者のためのケアプランを作成し,在宅生活を支えるための役割を担っていますが,支援費制度では法律上ケアマネジャーの規定がなく,誰が障害者たちの生活を支えるためのコーディネーターの役割を果たすのかという疑問も指摘されてます.

 さらに,介護保険制度の要介護度は施設での介護のタイムスタディを長い年月をかけて行なったうえでの分類ですが,支援費制度と介護保険が統合された場合,障害者にあてはまるのだろうかということ,また,現行の介護保険制度ではサービス支給額に上限があるため,長時間サービスを受けている障害者にとってはサービスが減ること,1割負担による利用者負担増などさまざまな課題があげられます.

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 当院は,神経内科・リウマチ膠原病など慢性難治性疾患とその治療を支えるリハビリテーションの専門病院である.対象は,生涯,疾患と障害を抱えるであろう人が多く,病気や障害があっても療養生活の幸せ(QOL)を向上させることを理念としてきた.

 入院患者は全道から当院を訪れる.スタッフはこれまでも生活支援の視点をもちかかわってきたが,併設施設としては訪問看護ステーションのみであり,必然的に他の病院や施設,地域のさまざまな機関との連携を必要とし,内外のネットワークづくりをしてきた.

 2001年には,当院がもつリハビリの特性を生かし,新基準の回復期リハビリテーション病棟を開設し,一般病棟113床・回復期リハビリテーション病棟82床・医療療養病棟98床となった.回復期リハビリテーション病棟の開設により,亜急性期病院としての色合いが強くなり,連携システムの再構築が重要と考え,2003年4月には地域医療連携室を開設した.

 本稿では,筆者らがこれまで実践してきた院内ネットワークづくりを振り返りまとめるとともに,地域医療連携室の今後について考えてみたい.

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 本文中,ここでは患者と利用者は同義語として使用する. 医療費の抑制策が次々に打ち出される日本であるが,急性期病院に課せられる平均在院日数の短縮化は,急性期と慢性期(回復期)の医療における機能分担を明確化することで,地域医療の再編を促し,患者本位の医療とケアが継続的に地域のシステムとして提供できるか否かの命題を,現場につきつけている.

 とくに,医療連携パターンは基本論として存在するが,世界一の高齢国家となったわが国では,急性期医療後に残存した高齢患者の生活機能障害(後遺症など)を,在宅主治医を中心とした在宅医療・ケアシステムで支えねばならないので,病診連携はそのフィールドを大きく転換・拡大する必要に迫られている.

 しかし,急性期疾患で機能障害を持ってしまい,大きな不安をかかえる患者の安心を支える退院支援のシステム化は大きく立ち遅れており,在宅移行のポイントなどでは,病診連携は患者本位に機能していないといえる.

 ここで必要な方法論は,クリティカルパスから,退院支援にあたって個人の尊厳を重視した「在宅重視型ケアマネジメントパス」への継続性と,フォローアップにおける多職種協働,主治医間連携といえるが,さらに介護保険が導入したケアマネジメントという手法の深い理解が必要である.

 本稿では,尾道市医師会のすすめている,急性期病院群との本質的な病診連携を基盤とした,地域ケアマネジメントのシステムによる,利用者の長期支援ケアマネジメントプログラム(図)を紹介し,急性期以後の長期フォローアップの受け皿として機能する地域ケアの再編について述べてみたい.

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 中小病院にとっては,厳しい時代である.2002年4月の診療報酬マイナス改定に始まり,2003年4月にはサラリーマン本人の3割負担が導入された.さらに,2002年10月から褥瘡対策未実施減算と安全管理対策未実施減算が始まり,院内に専門委員会を設置して対策を講じるなど,手間がかかり人員が必要となるような業務も増えている.人件費はどんどんかさむし,管理職の負担も増加している.500床以上の大病院などは,このような委員会に人員を充当しても職員全体の数が多いので,全体への影響は微々たるものであろうが,中小病院では委員会を1つ増やすことは大きな業務負担となる.

 このような状況のなかで,急性期病床を標榜する中小病院が生き残るうえでの課題は何だろうか.患者に対して「安心」を提供することが重要な戦略となってくるのは間違いない.では,どのような戦略をとればそれが可能になるのだろうか.中小病院は,余分な人員を容易に増やすことは難しい.なぜなら,近年の診療報酬改定の影響をいちばん受けているのも中小病院であり,少しでも費用を削減したい病院が多いからである.しかし,患者や地域の医療機関のニーズは増加する一方であり,新たなサービスなど業務が増加することも避けられない.このどちらの問題にも対応し解決することが現在の中小病院の経営課題である.知恵を絞りこの難局を乗り切ることが,勝ち組みへの絶対条件であり,知恵が出せなければ経営破たんするかもしれない.そこで,今後の運営のキーワードをあげれば,①地域連携,②在宅医療,③工夫,である.本稿ではこれら3つのキーワードについて考察してみたい.

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―深澤さんと私は大学時代の同級生で,別々の臨床で看護師としてはたらいたのち,基礎教育の同じ職場で1年間働いていました.深澤さんは小児看護の臨床で看護師として勤務され,看護基礎教育にも携わったのちに米国に渡り,そこで出産と育児を経験されています.帰国後にMBA(経営学修士号)を取得され,この春,トータルキャリアマネジメントを中心とした会社を立ち上げられました.まず,MBAを取得された動機はなんだったのでしょうか.

深澤 私は病院で臨床をしているときには,「看護はこうあるべき」といった思いが強くあり,しかしそうした「思い」をうまく実践にうつせないことの葛藤がありました.病院組織全体のなかにも理論と実践のギャップがあると感じていましたし,教育に携わっているなかでもギャップを感じていました.それは,組織に問題があったということではなく,むしろ私が働いてきた病院や学校はさまざまなシステムが整ったよい組織でしたので,あくまでも私自身の当時の思いというか,「自分なりの看護観」のようなものでした.

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 わが国は,どの国も経験のない急な速度で高齢社会を迎え,同時に工業化,高度経済社会へと変貌を遂げた.そのなかで多くが長寿をまっとうできるようになった一方で,高齢社会は慢性疾患の増加を生み,加えて医療の進歩による救命率上昇によって,高齢障害者の急増を招いた1, 2).ごく最近まで平均寿命の短い社会であったわが国は,高齢障害者に対する社会的支援が乏しく,高齢化に伴い顕在化した介護問題から,生活に困窮する高齢者もまた増加した.

 これらの社会的変化を背景に,1983年に老人保健法が施行され,その後1989年に高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン),1999年には新ゴールドプランによって高齢者ケアに対する社会的サービスの整備が進められてきた.さらに,1997年9月に介護保険法が公布され,所得保障,医療保障に続く第3の新しい社会ニーズである介護に対する社会保障の一環として,2000年から介護保険による新しい社会システムが稼動を始めた.

 これらの基盤整備により利用可能な在宅ケアの種類は多様となり,人々がケアサービスを選択できる時代となった.利用料についても,保険制度により経済的負担が軽減され,要介護度による一定基準が保証された.介護ニーズに社会が応えることができなかったときの病院は,「社会的入院」といわれる入院の必要のない高齢者を多く抱えていた.介護ニーズを社会保障で充足できるシステムの始動は,病院看護のあり方をも変革するものである.

 高齢者は慢性疾患や障害を持つ比率が高く,何らかの理由で入院治療したあとにADL(日常生活動作)の低下が起こること,施設から在宅へと移行するとき本人や家族の戸惑いが大きいことが指摘されている3, 4).すなわち,退院後に介護を必要とする人々が大量に存在するということだ.したがって,介護保険による一貫した社会的支援である在宅ケアシステムを退院直後から起動していくことが,自立支援にとって不可欠である.退院時の病院と地域の連携がうまくいかない場合,とくに退院直後はケア提供が空白になる危険性がある.このケアの空白期間を避けるために,入院中に病棟あるいは病院から地域のサービス機関へ情報を提供するなど,患者・利用者について,情報を共有する必要がある5).その意味では,入院中にサービス調整会議を行なうことが非常に重要になる.また,退院する高齢者にとって適切なケアを速やかに導入できる体制を築くことは,看護の世界で長年その重要性がいわれてきた継続看護の理念と実践の実行が可能になったことを意味する.

 さて,介護保険施行から3年が経った.介護保険施行当時と比べ,退院周辺の状況は充実されてきているだろうか.本稿では,介護保険施行後6か月を経た時点で,病院の看護職に注目し,介護保険に対する関心度,ケアサービス調整会議(以下,調整会議)の開催状況などについて質問紙調査を行なった結果と,その後の取り組みの成果を報告する.

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はじめに

 わが国における年齢調整別乳癌罹患数が年々上昇傾向にあることから,乳癌検診が行なわれるようになって久しい.乳癌治療では手術が基本であるが,合併症の1つに術側上肢のリンパ浮腫がある.リンパ浮腫は放置しても生命にかかわる状態でないからか,現在のところリンパ浮腫の正確な発症率は不明であり,原因および有効な治療手段もいまだ確立されていない.そのため,リンパ浮腫について適切な説明や治療が受けられない患者や,病院を受診した際に病名不明という理由から病院を転々とする患者が存在する.

 上肢の浮腫を放置しておくと,日常生活や社会活動が制限される.そのような状態にある患者が抱える不安と恐怖は大きいと考えられ,看護の果たす役割も大きくなると思われる.そこで今回,リンパ浮腫患者への適切な看護の示唆を得ることを目的に,リンパ浮腫に関するこれまでに発表された文献を検討したので報告する.

連載報告 「健康生成論」に学ぶストレスにどう対処する? 旧ユーゴ紛争を生き抜いた女性たちのインタビューより・3(最終回)

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 今までの連載を通して,旧ユーゴ紛争と健康生成論,そして,実際に旧ユーゴ紛争を経験した女性たちのストーリーとSOC(首尾一貫感覚)について紹介してきた.

 前回紹介した2人の回答者,7(30歳,ジャーナリスト,SOC最高得点者)と11(28歳,看護師,SOC最低得点者)は,SOCの形成・成熟時と考えられる20代初期までの経験や現状を比較しても大差はないにもかかわらず,ストレスフルな出来事に対する受け止め方や,SOCの得点に大きな違いがあった(図).なぜなのだろうか?

 最終回である今回は,この理由を推察したうえで,病気や死という大きなストレッサーを常に抱えている医療現場に,健康生成論やSOC概念,今回の調査結果を応用する可能性を考える.

連載 日常看護のブラッシュアップⅡ 改良と改革・9

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 現在,薬の飲ませ方がわからないという母親が増えています.筆者らの経験からいえば,半数以上の保護者が内服に苦労しているようです.兄弟がいても個人の性格はそれぞれ違い,その患児に合った内服方法がみつからず,確実に内服ができない状況があります.

 小児に限った話ではありませんが,内服薬は,症状や体重を考慮して処方され,指示どおりに内服してはじめて期待した効果が得られます.病気で機嫌が悪い子どもに薬を飲ませるのは,簡単なことではありません.発達段階により内服方法もさまざまで,薬の必要性を理解するのは難しく,母親も薬の重要性や内服方法について意外に理解していません.そこで,乳児期と幼児期の2つの事例をとおして,経口与薬の方法や母親への援助について考えてみました.

連載 まんが医学の歴史・6

連載 聴診器はこうして使う! 根拠がわかるヘルスアセスメント実践講座・5

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 今月号で呼吸器シリーズの最終回となりました.前回は,異常呼吸音の副雑音を取り上げ,断続性ラ音,連続性ラ音,胸膜摩擦音について解説しました.副雑音の種類やその発生のメカニズム,各副雑音が聴診される代表的疾患について理解することは,呼吸器疾患患者のフィジカルアセスメントを行なううえでは必要不可欠なものであることを理解していただいたことと思います.今回は,看護師の皆さんが臨床でよく遭遇する代表的な呼吸器疾患を扱い,その疾患の病態の概要,呼吸音の特徴,そして,具体的な例を用いて解説していきます.

学習目標

1)気管支呼吸音が聴診される代表的疾患,およびその呼吸音の特徴について理解する

2)呼吸音の消失または減弱がみられる代表的疾患,およびその呼吸音の特徴について理解する

3)断続性ラ音,連続性ラ音が聴診される代表的疾患,およびその呼吸音の特徴について理解する

連載 鵜の目タカノ目ケアマネの目・3

在宅は善? 施設は悪? 高野 龍昭
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 神経難病のために家族での看病が難しくなり,急性期病院に入院した患者さん.ナースがご本人・ご家族に上手に退院指導をして,再び家に帰ることになりました.退院当日,病院でたくさんの笑顔に囲まれて患者さんが見送られようというそのウラで,家族が「とても家で看る自信はない」と担当のケアマネジャーに泣きついていたとしたら,あなたはどう感じますか.なぜご家族はそんな不安を抱えていたのでしょう.

 今回は,そんなタカシさん(仮名,60歳・男性)とご家族のお話です.

連載 聴こえんゾ!・14

背中が痛い! 山内 しのぶ
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 腰が痛い.背中が痛い.首が痛い.朝起きてみたら,体のB面一帯(背中側)が,とにかく痛かった.首を上下に動かせない.下が向けない.

なぜなんだ!

原因を考えようとして,やめた.そんなことよりも,とにかく痛い.

「病院に行ったほうがいいんじゃない?」

通りかかった家族が言った.

「ヤダよ.行かない」

憮然と答えた.

 注射が痛い.薬が苦い.独特のにおいが嫌.病院が嫌いだという人の,その理由の大部分は,こんなところだろう.その気持ちはよーくわかる.

 しかし,私が病院が嫌いな理由は,別のところにある.それは….

 会話をすることに,疲れるから.

連載 カズのもっとカンボジア日記・13

人生の山越え 崎間 和美
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 ここ最近,ちょっとカンボジアが嫌いになっていました.何もかも.本当に何もかもに腹が立ったんです.お店で支払いをするとき並ばないといっては「ちゃんと並んでよ!」と発狂し,朝4時から法事の音楽で目が覚めては「うるせーなぁ.人の迷惑考えろよー」と怒り….以前は“おもしろい!!”と思ったことが神経を逆なでするようになって,毎日,重箱の隅をつつくように,ブーブーと文句をたれていました.あげくの果てには,“私,どうしてこんなとこにいるのよ?”とまで思うようになり,柄にもなく生意気に,人生への絶望感まで感じたりして….

◆子どもたちのサバイバル

 そんなある日,いつものように心のなかでブーブー文句をたれながらオートバイで家へ帰る途中,足も届かないような大きな自転車に乗った小さな男の子を見かけました.荷台にはこぼれ落ちそうになるほどの野菜が入った大きなカゴがくくりつけ,“よいしょ,よいしょ”と運んでいるのです.バランスを取るのもたいへんそう.男の子は12歳くらいかな.表情は真剣そのもの.その何かと戦っているような表情からは,家族の生活を支えている責任感と迫力を感じました.日本ならせいぜいお母さんに頼まれてイヤイヤおつかいをしている年齢だよなあ.

 その男の子を見たとき,何かがするするっと胸のなかに入ってきた気がしました.そして,“そうだよ! これ,これ! これだからカンボジアが好きなんだ”と,思わずうんうんと1人でうなずいてしまいました.暗闇のなかから急に扉が開いて光が差し込んできたような感覚.

連載 こんにちは患者会です

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活動の特徴

 口唇口蓋裂は先天異常のなかで最も頻度の高い疾患で,500-600人に1人の割合で出生するといわれています.当会は,国内ではこの疾患の正しい知識を社会に広め理解を求めるとともに,患者家族の精神的・肉体的な支援を,国外では経済的な理由で手術を受けることのできない患者たちの支援と自立を目的として活動しています.

 当会は1992年1月1日に看護師をはじめ医療従事者を中心に,各企業,各方面の方々に広く参画していただき発足しました.2002年6月20日には法人格を取得し,新たに特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会として,現在では全国の31大学の歯学部,医学部また各地の病院より協力を得て,医療全般にその活動の規模を広げて援助活動を行なっています.

 当会では,国内の患者・家族からの電話による育児や治療,その他,口唇口蓋裂に関する悩み相談(ホットライン)の設置,講演会の開催,小冊子・ビデオ等による一般への周知・啓蒙活動,書籍の紹介,会報の発行などを行なっております.また,発展途上国(ベトナム,ミャンマー,インドネシア,モンゴル,チュニジア,ラオス)へ,毎年診療隊を派遣し,口唇口蓋裂の子どもたちへの無料手術ならびに医療技術移転を行なっており,看護師の方々より診療隊への参加や,口唇口蓋裂の子どもたちへの当協会活動の紹介,ナースユニフォーム事業への協力など多くの援助をいただいております.

連載 少女の口音・30

夏の日 草野 光恵

基本情報

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看護学雑誌
67巻9号 (2003年9月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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