特集 急性期で行なう 退院後の安心づくり
安心を保障する「工夫」―中小病院の生き残り戦略
木村 憲洋
1
1医療法人杏林会今井病院企画情報室
pp.886-891
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100781
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中小病院にとっては,厳しい時代である.2002年4月の診療報酬マイナス改定に始まり,2003年4月にはサラリーマン本人の3割負担が導入された.さらに,2002年10月から褥瘡対策未実施減算と安全管理対策未実施減算が始まり,院内に専門委員会を設置して対策を講じるなど,手間がかかり人員が必要となるような業務も増えている.人件費はどんどんかさむし,管理職の負担も増加している.500床以上の大病院などは,このような委員会に人員を充当しても職員全体の数が多いので,全体への影響は微々たるものであろうが,中小病院では委員会を1つ増やすことは大きな業務負担となる.
このような状況のなかで,急性期病床を標榜する中小病院が生き残るうえでの課題は何だろうか.患者に対して「安心」を提供することが重要な戦略となってくるのは間違いない.では,どのような戦略をとればそれが可能になるのだろうか.中小病院は,余分な人員を容易に増やすことは難しい.なぜなら,近年の診療報酬改定の影響をいちばん受けているのも中小病院であり,少しでも費用を削減したい病院が多いからである.しかし,患者や地域の医療機関のニーズは増加する一方であり,新たなサービスなど業務が増加することも避けられない.このどちらの問題にも対応し解決することが現在の中小病院の経営課題である.知恵を絞りこの難局を乗り切ることが,勝ち組みへの絶対条件であり,知恵が出せなければ経営破たんするかもしれない.そこで,今後の運営のキーワードをあげれば,①地域連携,②在宅医療,③工夫,である.本稿ではこれら3つのキーワードについて考察してみたい.
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