特集 急性期で行なう 退院後の安心づくり
急性期病院における退院前ケアカンファレンスと包括的地域ケアシステム―尾道市医師会・長期支援ケアマネジメントプログラム
片山 壽
1
1尾道市医師会
pp.882-885
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100780
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本文中,ここでは患者と利用者は同義語として使用する. 医療費の抑制策が次々に打ち出される日本であるが,急性期病院に課せられる平均在院日数の短縮化は,急性期と慢性期(回復期)の医療における機能分担を明確化することで,地域医療の再編を促し,患者本位の医療とケアが継続的に地域のシステムとして提供できるか否かの命題を,現場につきつけている.
とくに,医療連携パターンは基本論として存在するが,世界一の高齢国家となったわが国では,急性期医療後に残存した高齢患者の生活機能障害(後遺症など)を,在宅主治医を中心とした在宅医療・ケアシステムで支えねばならないので,病診連携はそのフィールドを大きく転換・拡大する必要に迫られている.
しかし,急性期疾患で機能障害を持ってしまい,大きな不安をかかえる患者の安心を支える退院支援のシステム化は大きく立ち遅れており,在宅移行のポイントなどでは,病診連携は患者本位に機能していないといえる.
ここで必要な方法論は,クリティカルパスから,退院支援にあたって個人の尊厳を重視した「在宅重視型ケアマネジメントパス」への継続性と,フォローアップにおける多職種協働,主治医間連携といえるが,さらに介護保険が導入したケアマネジメントという手法の深い理解が必要である.
本稿では,尾道市医師会のすすめている,急性期病院群との本質的な病診連携を基盤とした,地域ケアマネジメントのシステムによる,利用者の長期支援ケアマネジメントプログラム(図)を紹介し,急性期以後の長期フォローアップの受け皿として機能する地域ケアの再編について述べてみたい.
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