特集 急性期で行なう 退院後の安心づくり
地域連携の充実とより病棟に密着した退院調整をめざして
平田 貴代美
1
1済生会山口総合病院地域連携室
pp.852-855
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100773
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「退院調整専門看護師」の誕生から地域連携を担う現在まで
「退院調整に専門的に取り組む看護師1名の配属」.これが,1994年,当院が質の高い退院に向けて取り組んだ最初の課題だった.ベッド調整を行なっていた看護部は,慢性的なベッド不足に頭を悩ませる毎日だった.そこで,1992-1994年の3年間に,脳外科的疾患で入院し自宅退院した患者239名を対象に,追跡調査を実施した.その結果,
1)退院=見放された感じがした
2)在宅に対する病院側の準備が不十分のまま退院となった
3)退院時の問題点は,退院後もそのままの状況であった
という3点が明らかとなった.また,院内の3か月以上の長期入院患者状況は,全体の22%にも達していた(図1).こうしたまぎれもない事実を明らかにした結果,1名の退院調整専門看護師が誕生した.
その後,退院調整専門看護師の活動は,保健・福祉・医療の各機関との連携を充実させること,院内と院外とを結ぶ連携窓口をつくりあげることへ広がり,2002年4月より地域連携室として再スタートした(図2).現在スタッフは,看護師3名・事務1名で,退院調整を中心とした調整・相談業務と病診連携業務をともに担当している.
退院調整の取り組みを開始して9年を経過,その間私は,調整を依頼する側から依頼される側へと立場が変わった.本稿では,その両方の立場から,安心を提供できる退院調整に必要なことは何かをまとめた.
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