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実践講座 小児の痙縮治療・1【新連載】
ボツリヌス治療—脳性麻痺:下肢
botulinum toxin treatment for children with cerebral palsy:lower limb
瀬下 崇
1
Takashi Seshimo
1
1心身障害児総合医療療育センターリハビリテーション科
1National Rehabilitation Center for Children with Disabilities
キーワード:
脳性麻痺
,
ボツリヌス治療
,
下肢
Keyword:
脳性麻痺
,
ボツリヌス治療
,
下肢
pp.735-739
発行日 2017年7月10日
Published Date 2017/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201026
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ボツリヌス治療は“名脇役”
脳性麻痺患者の下肢痙縮に対するボツリヌス治療は論文数も多く,ボツリヌス毒素の発売当初など「痙縮治療の第1選択で,奇跡の薬である」かのように宣伝された時期もあった.たしかにボツリヌス治療は外来で実施可能で,筋弛緩効果から歩容の改善や痙縮に伴う痛みが改善できる.しかし,治療効果は一過性かつ限定的であり,ボツリヌス治療単独で成立するものではなく,リハビリテーションによる運動学習の促通や自宅でのストレッチ指導,装具やギプス治療など本来行われるべき治療が十分に実施されなければ満足のいく効果が得られない.ボツリヌス治療はいわば名脇役といった役どころで脳性麻痺患者を診療するうえで便利なツールではあるが,高価で副作用もあるので取り扱いに配慮が要る薬でもある.数多く実施するなかで,ほとんどのケースで奇跡は起きないというのが正直な感想であり,その有効性を振り返るべき時期にさしかかっている.ボツリヌス治療を実施するうえで,筆者が普段こころがけていることを交えて議論したい.
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