総合リハビリテーション 43巻3号 (2015年3月)

特集 脳卒中リハビリテーションのエビデンス

今月のハイライト
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 わが国では,脳卒中治療ガイドライン2015がいよいよ公表されます。脳卒中リハビリテーションのエビデンスは,近年,ランダム化比較試験やメタアナリシスなどエビデンスレベルの高い研究結果が,少しずつではありますが,報告されるようになり,さらに集積されてきています。今回の本特集では,脳卒中リハビリテーションにおける診療体制や主な機能障害に関するエビデンスを取り上げ,これらについてご解説いだきました。

急性期のシステム 高橋 秀寿
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はじめに

 わが国における脳卒中診療は,理想的な脳卒中治療システムとして脳卒中ユニット(stroke unit;SU)が登場し,徐々に全国に普及してきた.また,脳梗塞発症後の遺伝子組み換え型組織プラスミノゲンアクチベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator;rt-PA)治療については,投与開始が3時間以内から4.5時間以内に延長されたが,病院到着から診断,投与までの院内体制の確立は必須であったため,地域住民の認識や救急隊の予診能力などにも焦点が当てられるようになった.また,亜急性期,慢性期を支える医療保険や介護保険でのリハビリテーションのシステムの充実が図られ,地域の病病連携,病診連携,回復期リハビリテーションの充実が図られた.一方,脳卒中治療ガイドライン20041)で,今まで以上に急性期からのリハビリテーション介入の重要性が説かれるとともに,急性期からのリハビリテーション介入の安全性と有効性が明記され,特にSUによるリハビリテーション介入効果の推奨グレードがと高く評価され,脳卒中専門職チームが関与するSUリハビリテーションの治療効果についてもクレードAで推奨された.さらに,2009年の脳卒中治療ガイドラインの改訂2)では,SUでの早期リハビリテーションの導入は発症1年後や10年後の長期的な日常生活動作(activities of daily living;ADL)の改善のみならず,生存率も改善するという研究が報告され,SUのチーム医療精神の重要性を改めて強調している.しかし,付記としてわが国では,まだ海外のような多面的リハビリテーションを行うSUは少ないことを指摘している.現在,脳卒中治療ガイドライン2015のパブリックコメントが終了したところである.

 本稿では,脳卒中ユニットにおけるリハビリテーションのエビデンスについて最近の報告を中心に文献考察も含めて概説する.

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はじめに

 近年の急速な超高齢化において心身機能の低下を来す脳卒中患者は増加傾向にあり,自宅復帰や社会参加のための包括的なリハビリテーションの必要性は明らかに増大している.多くの脳卒中患者は「できるかぎり住み慣れたところでいきいきと暮らす」ことを望んでおり,在宅生活に向けたさまざまな支援が必要である.

 医療における脳卒中リハビリテーションは急性期,回復期,生活期(維持期)に分けられる1-3).急性期リハビリテーションは発症直後から起こりうる心身機能低下の予防と,在宅生活を意識してより早期から日常生活動作(activities of daily living;ADL)能力を改善させることを目的とする.回復期は最大限の機能回復をめざし,良質で密度の濃いリハビリテーションサービスを提供し在宅復帰を支援するために行われる.生活期は獲得した機能をできる限り長い期間維持するため,また生活状況に応じさらなるADL能力向上を目的に実施される.

 2000年4月の診療報酬改定により,特定入院料に回復期リハビリテーション病棟入院料が設けられた.医療費高騰の抑制のために,急性期病院では平均在院日数の短縮化が推進されている.また,介護保険では在宅ケアサービス体制が整備されつつあり,急性期治療と在宅療養の間に位置するのが回復期リハビリテーション病棟であり,社会的にきわめて重要な役割を担う.

 本稿では主に筆者が勤務する小倉リハビリテーション病院(以下,当院)で実際に行っている回復期リハビリテーション病棟における診療活動や急性期,生活期(維持期)との地域医療連携を紹介し,そのエビデンスについて考察したい.

ADL 川口 杏夢 , 道免 和久
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はじめに

 日常生活動作(activities of daily living;ADL)は,ニューヨークでDeaver(医師)とBrown(理学療法士)によって提起され,その後Sokolow,Rusk,Lawtonらによって発展した概念である.日本リハビリテーション医学会の1976年の定義によると,ADLとは「ひとりの人間が独立し生活するために行う基本的な,しかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体動作群をいう.この動作群は,食事,排泄などの目的をもった各作業(目的動作)に分類され,各作業はさらにその目的を実施するための細目動作に分類される.リハビリテーションの過程や,ゴール決定にあたって,これらの動作は健常者と量的,質的に比較され記録される」とある.つまり,ADLは身辺動作(self care)を意味し,家事動作,交通機関の利用などの応用動作は生活関連動作(activities parallel to daily living;APDL)として,区別して用いることが提唱されている.近年は高齢化社会が進むなかで,脳卒中後を含む高齢者の,基本的身辺動作だけではなく,社会的な生活能力を評価する必要性が大きくなってきた.これを反映し,日常生活において基本的な排泄,食事,移動,整容,更衣など生命生活維持に関連した活動を「基本的ADL(basic ADL;BADL)」買い物や金銭管理や食事の支度など周辺環境に関連した活動を「手段的ADL(instrumental ADL;IADL)」両者を合わせて「拡大ADL(extended ADL;EADL)」とも呼ぶようにもなったが,それらの定義については一定のコンセンサスは得られていない部分も多い.本稿では,脳卒中後の患者のADL(BADLからEADLまで)について,日本脳卒中治療学会による脳卒中治療ガイドライン2009年を基にしてさらに近年の知見を加え,評価や治療方法に関するエビデンスを考察する.

歩行 長谷 公隆
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はじめに

 脳卒中による異常歩行の代表は片麻痺歩行であり,典型的には筋緊張亢進を伴って痙性歩行を呈する.片麻痺歩行の特徴は,麻痺肢の不安定性を体幹および非麻痺肢が補う非対称性にあるが,その歩行障害の病態は麻痺の重症度や併存する症候によって多様である.また片麻痺に加えて,小脳障害,深部感覚障害による失調,多発性脳梗塞などでみられる高次歩行障害(higher-level gait disorders)も問題となる.したがって,脳卒中による歩行障害の治療法は,病態を診断・評価したうえで選定しなくてはならず,ガイドラインで推奨される治療法がすべての症例で有効な訳ではないことに留意する必要がある.

 脳卒中は介護状態に至る最も重要な疾患であり,片麻痺歩行の帰結を高めるべくさまざまな治療技術の効果が検証されている.脳卒中ガイドライン2009が発表されて以降も数多くの成果が呈示されており,限られた紙面上でこれらすべてについてのエビデンステーブルを作成することは不可能である.脳卒中治療ガイドライン2015の公表が間近となっているが,本稿では,体系的レビューを中心に片麻痺歩行の評価・治療に関するエビデンスを紹介する.

コミュニケーション 渡邉 修
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はじめに

 人間社会において,コミュニケーション能力をもっとも阻害する要因は,言語機能の障害である.失語症(aphasia)は,大脳言語野(言語処理に関するプログラム)の損傷により,話す,聞く,読む,書くことに障害が表れる.構語障害(dysarthria)は,これらの中枢のプログラムは保持されているが,発話の際に使われる口唇,舌,咽頭筋,喉頭筋が適切に機能せず,「呂律が回らない」症状を生む.いわゆる錘体路が大脳皮質運動野から前核細胞にいたる,いずれかで損傷を受けることによるが,これらの構語にかかわる筋群は両側性支配を受けることが多いので,多発性脳梗塞などの両側性病変や脳幹病変で問題になりやすい.さらに小脳および小脳への入出力線維の損傷で失調性発語(dyspraxia of speech)がみられる.以上が,コミュニケーションにおいて,特に言語がかかわる(言語性コミュニケーション)主な機能的構造部位である.

 一方,コミュニケーションのなかには,いわゆる非言語性コミュニケーションといわれる能力がある.社会的コミュニケーション(social communication)とも呼ばれる.表面的な言葉ではなく,言葉の背後にある話し手の意図を理解する能力やその場の状況を判断し,適切に対応する能力,自己を抑制し相手に配慮する能力,社会規範を遵守する能力もその1つである.前頭葉と右大脳半球が主座と考えられる.身振り,手振り,うなずき,視線の動きなど,いわゆるbody languageや表情認知,適切なコミュニケーションを行ううえでの,不安,うつ,易怒性などに対する感情のコントロールも社会的コミュニケーション能力を構成する要因となる.

 また,円滑なコミュニケーションを行うためには,注意・遂行機能が求められる.注意の分散ができないことで,複数の人と意見を述べ合う,理解しあうことが困難となる.長く注意を持続できないことで,長時間の会話にはついていけなくなる.早い会話にもついていけない.その結果,話のタイミングを逸することもある.また,論理立てて話を進めることが困難となり,伝える内容は単純な事項に限られてくる.情報処理速度が低下する場合,話のスピードは低下し,たとえ理解できたとしても,判断には時間を要する.さらに,記憶機能が低下すれば,数日前にあった人を同定することができない,適切な話を始めることができない,相手からの過去の話題についていけないなどの問題が生じる.

 本稿では,以上のコミュニケーションを構成するさまざまな要素のなかで,失語症,構語障害および社会的コミュニケーション障害についてのリハビリテーションのエビデンスについて,文献的考察を行う.本文で記載するリハビリテーション内容の勧告グレードは,本邦で2009年に発表された脳卒中治療ガイドライン20091)に準拠(グレードA:行うよう強く勧められる,グレードB:行うよう勧められる,グレードC1:行うことを考慮しても良いが,十分な科学的根拠がない,グレードC2:科学的根拠がないので,勧められない,グレードD:行わないように勧められる)し,報告されている論文のエビデンスレベルおよび筆者の経験からそれぞれ,勧告グレードを評定した.

巻頭言

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 医学部を卒業してすぐ,母校の内科の大学院に入学した.いろんな研究グループの研究を見て歩き,もっとも惹かれたのが「呼吸調節研究グループ」であった.血中酸素,二酸化炭素濃度といったさまざまな情報が中枢神経系にインプットされ,その結果,呼吸運動・換気というアウトプットがある.その間の中枢機構はほとんどブラックボックスであり,それを解明しようという呼吸生理のグループであった.ただ内科の臨床研究グループであり基礎の教室ではないので,直接ブラックボックスを開けることはせず,その手法としてインプットをさまざまに変化させたときのアウトプットを観察し,ブラックボックスの中を想像するというものであった.時はまさに分子生物学や遺伝子解析全盛の時代で,ノックアウトマウスなどを使ったもっと直接的なアプローチで生命を解明しようという時代であった.したがって,多くの若い野心的な研究者にとって,そのようなブラックボックスを外から撫で回して中を想像するような研究はまだるっこしいと考えられていた.しかし自分にはそのような臨床生理学が自分の頭脳にフィットしとっても面白く感じられ,のめりこんでいった.

 そんななか,そのような臨床生理の学問や研究を一番必要としていて取り組むのが熱心なのが,療法士を中心としたリハビリテーションの世界だと実感したのが,内科からリハビリテーション科に転科した理由の1つである.薬物療法中心の内科の世界だとどうしても標的分子があっての治療となる.ところがリハビリテーション医療の日常は,リハビリテーションというインプットを加えて,ADLというアウトプットみることの連続である.そのときの標的は漠然とした人体全体でありブラックボックスである.どのようなインプットを加えるかはかなりの部分で経験則に則っており,アウトプットを見ながら日々試行錯誤している.この試行錯誤の中からブラックボックスを少しでも解明し,アウトプットの向上に役立てようするのがまさに臨床生理学の真髄と思われる.

入門講座 ICF:国際生活機能分類・3

ICF-CY 上出 杏里 , 橋本 圭司
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はじめに

 第1回,第2回の入門講座では,ICF(International Classification of Functioning,Disability and Health)について取り上げられたが,第3回では,ICFの派生分類の1つであるICF-CY(International Classification of Functioning,Disability and Health for Children and Youth)について取り上げる.

 ICF-CYは,ICFと同様に世界保健機関(World Health Organization;WHO)が開発した「国際分類ファミリー(WHO Family of International Classifications,WHO-FIC)」に属し,国際疾病分類第10版(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems;ICD-10)およびほかの派生分類,関連分類を補完している.ICD-10は,主に健康状態を表す共通言語として国内の医療現場に定着しているが,その健康状態に関わる生活機能,障害についての共通言語であるICFおよびICF-CYの使用は十分に汎化されていない.両者を一緒に使用することで,一患者・児を全人的な視点から捉え,多分野で普遍的に使うことが可能となるため,ICFおよびICF-CYの活用を啓発していく必要性は非常に高い.今回,ICF-CYについて,その内容および活用方法とその課題について述べる.

実践講座 経頭蓋直流電気刺激の臨床・3

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はじめに

 従来,脳卒中後片麻痺者の上肢機能障害に対するリハビリテーションは,麻痺が軽度であれば麻痺側上肢のリーチ訓練や把持訓練,手指巧緻動作訓練,両手協調訓練などの上肢機能訓練を実施し,また,中等度から重度であれば非麻痺側の残存機能の強化,利き手交換訓練を含む代償運動訓練および装具・自助具の活用や環境整備を行うことで,日常生活活動(activities of daily living;ADL)の再獲得を目的としたアプローチを実施することが主流であった.

 脳損傷後の機能回復については,神経生理学的な脳機能研究や動物実験などにより,脳内の神経システムに急性期ばかりではなく慢性期においても可塑的な変化が生じていることが明らかにされてきている1,2).また,これまでの多くの研究により,上肢機能の回復において神経システムの可塑的な変化を誘発するために,脳損傷後のリハビリテーションが有効であると考えられている.

 そして近年,脳内の可塑的な変化を誘発し脳損傷後の機能回復を促進する手法として,非侵襲的脳刺激法(non-invasive brain stimulation;NIBS)が注目されている.NIBSは,頭皮上より大脳皮質を直接刺激することで神経細胞の興奮性をコントロールすることを可能とする.その代表的なものとして経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation;tDCS)が知られている.tDCSを使用した臨床研究では,健常人3-6)での注意機能・ワーキングメモリー・プランニング・短期言語学習における改善,パーキンソン病7)や重度うつ病8)および脳卒中者9),外傷性脳損傷者10)の注意機能の改善が報告されている.

 ここでは,tDCSの臨床的な応用として,脳卒中後片麻痺者の上肢機能障害に対する使用について概説する.

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要旨 【目的】トイレ動作が自立するためには,便座へのアプローチ,ドアの開閉など周辺動作も含めた,いくつもの細かい行程から構成される一連の動作が自立する必要がある.トイレ動作における構成動作の難易度について,脳卒中片麻痺患者を対象に検討した.【対象】2008年1月〜2009年11月に,当院に入院した初発脳卒中片麻痺患者で,入院時の移動手段が車椅子であった患者のうち,トイレ動作が全自立もしくは全介助であった者を除く106名(右片麻痺57名,左片麻痺49名)を分析対象とした.【方法】当院で独自に作成,使用しているトイレ動作評価表の結果について,各構成動作の難易度に着目して,後方視的解析を行った.また,麻痺側による違いについても検討した.【結果】最も難易度の高い構成動作は,「下衣上げ」であり,続いて「ドア開閉」,「下衣下げ」,「方向転換」であった.麻痺側別では,上位の項目は,ほぼ同様の傾向であったが,右片麻痺ではトイレ動作そのものである「方向転換」,「立ち上がり」,「車椅子着座」などが,左片麻痺では「便座へのアプローチ」,「フットレスト下肢のせ」,「フットレスト下肢下ろし」などの周辺動作の項目が,反対側に比べ難易度順が上位となっていた.【結語】トイレ動作を構成する一連の動作のなかで,麻痺側にかかわらずもっとも難易度が高いのは「下衣上げ」であり,早期からの取り組みの重要性が示唆された.

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要旨 【目的】下腿傾斜センサー制御式の機能的電気刺激装置(WalkAide®:WA)が脳卒中片麻痺患者の歩行へ及ぼす即時的影響を明らかにした.【対象】東京湾岸リハビリテーション病院の回復期リハビリテーション病棟に入院した患者のうち,杖の使用の有無を問わず裸足での歩行が身体介助なしに10m以上可能な脳卒中片麻痺患者14名(平均年齢61.0±12.9歳,発症後期間104.8±38.7日)を対象とした.【方法】WA装着,非装着の2条件での10m歩行を測定課題とした.測定項目は,歩行時間距離因子,歩行安定性の指標の1つである歩行周期時間の変動係数,歩行中の股関節,膝関節,足関節角度とした.歩行周期時間の計測には小型加速度計を,関節角度の計測には三次元動作解析装置を用いた.解析は,各指標について,WA装着,非装着の2条件間の比較を対応のあるt検定を用いて行った.【結果】WAを装着することにより,歩行速度(装着条件37.4±16.2m/分,非装着条件34.7±16.8m/分,p<0.05),歩行周期時間の変動係数(装着条件:5.1±1.6%,非装着条件:6.9±2.5%,p<0.01),麻痺側初期接地の足関節背屈角度(装着条件:10.2±22.3°,非装着条件:20.7±20.3°,p<0.01)が有意に改善した.【結語】WAの装着は,回復期脳卒中片麻痺患者の歩行速度,歩行安定性,麻痺側初期接地の足関節背屈角度を即時的に改善する.

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要旨 [目的]タッチパネルディスプレイとグラフィカル開発環境を用いて開発した,半側空間無視症状の客観的把握のための評価ツールの有効性を検証すること.[対象と方法]BIT行動性無視検査(Behavioral Inattention Test;BIT)における線分抹消・星印抹消課題のようなオブジェクト選択課題をベースに,色彩や点滅などによって無視空間への視覚的注意を促すアプリケーションを試作し,右半球病変脳卒中患者8名を対象とした試用評価を実施した.[結果]作業課題に含まれる要素(着色,オブジェクトの消去,点滅やその順序性)によってオブジェクトの見落とし数,所要時間が変化する結果が認められた.また,オブジェクト選択に要する反応時間には左右空間で偏りが認められた.[結語]反応時間の空間分布特性を評価することで,無視症状の客観的把握と軽微な無視症状検出の可能性が示唆された.今後改善を加え,多症例の評価実験を行うことで臨床現場で有効に活用できるリハビリテーション評価ツールに仕上げていく予定である.

集中講座 臨床研究倫理ことはじめ・第15回

実践編(その3) 神山 圭介
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 前回までに引き続き,倫理審査の申請に関連する事項について,読者から寄せられた質問にお答えします.

 なお本稿執筆時点(2014年12月上旬)で,新たな「人を対象とする研究に関する倫理指針」は正式に公布されていませんので,以下「指針」と記載した箇所は現行の「臨床研究に関する倫理指針」を指すものとし,新指針(案)に関する部分はその旨を明記することとします.

連載 障害者の競技スポーツ振興への道—東京パラリンピックを目指して

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 一口にスポーツと言っても競技・種目はさまざまであるように,障がい者スポーツもレクリエーション的なものから,競技性の強い種目まで多くのスポーツがある.障がい者スポーツに多くの種目,そして目的がある以上,それをサポートする人逹もさまざまな役割がある.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 大正15年7月に発表された『狂った一頁』(『川端康成全集第二巻』,新潮社)は,川端康成が書いた唯一のシナリオで,同年9月に衣笠貞之助監督の手で映画化されているが,この作品は,鉄格子が目立つ大正期の「脳病院」を舞台にしているという点で,精神医学的にも注目される作品である.

 この精神科病院の小使は,誰にも知られることなく,秘かに自分が勤める病院に妻を入院させていた.彼は時折,妻の病室を訪れては,そっと柏餅を差し入れたり,他の患者からの暴力を防いだりして妻を守っていたが,既に彼のことを認識できなくなっている妻は,彼の好意を無表情のまま黙って受け取るだけだった.この小使には,かつて船員をしていたころ,妻を虐待したり,妻を捨てて放浪したという負い目があったのである.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 韓国映画「情愛中毒」(監督/キム・デウ)は,R-18作品として公開されているが,筆者鑑賞時の観客はほとんどが女性であった.なるほど,本作は「韓流スター」作品の系譜に属するのであり,そこに商業的価値がある.こんな美しい男にこんなふうに愛されたい,という少女漫画的ともいえる夢見心地の世界にひととき身を委ねるための装置なのだ.

 キム・ジンピョン大佐(ソン・スンホン)の表の顔は,ベトナム戦争の英雄であり,軍団長の娘と見合いで結婚した出世間違いなしのエリート.裏の顔は,消えることのない戦場のトラウマによって,不眠,悪夢,パニック障害に苦しむ病者だ.

学会印象記

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はじめに

 日本ボツリヌス治療学会第1回学術大会は,兵庫医科大学眼科教授の三村治大会長のもと,2014年9月19日(金),20日(土)の2日間にわたり,東京コンベンションホール(東京)において開催された.

 日本ボツリヌス治療学会はこれまで9回にわたって開催された「神経・筋疾患に関するボツリヌス療法研究会」を母体とし,ボツリヌス療法およびその対象病態に関する会員の基礎知識および臨床能力の向上に寄与するとともに,社会に対して知識の啓発を行うことを目的に設立された非営利団体である.リハビリテーション科,脳神経外科,神経内科,整形外科,眼科,小児科,皮膚科,基礎医学などの各科・各領域の会員が所属する学際領域の学会であり,診療科や研究分野の垣根を越えてともに学ぶことができるのが大きな特徴である.

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1.統計からみる相談支援—リハビリテーションセンターSWの相談支援・成人編

 横浜市総合リハビリテーションセンター地域

 リハビリテーション部相談調整課

  佐藤 佳子

 横浜市総合リハビリテーションセンター(以下当センター)の相談窓口には,電話・来所などの方法で本人・家族・支援者などさまざまな相談者から,多様な相談が入る.例年の統計から,成人部門の場合は相談総件数のうち約3分の1が当センターの機能を利用している現状であるが,診療予約に至る相談のみでなく,二次相談支援機関としての役割を求められるような相談も数多くみられる.本研究では,実際に寄せられている相談について2012年度の相談統計データをもとに分析し,診療予約に至らない3分の2の相談内容を検証した.検証結果から,介入することが多かった相談やソーシャルワーカーの対応について考察し,当センターの成人ソーシャルワーカーとしての業務を振り返ることにした.

お知らせ

第6回呼吸療法セミナー

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文献抄録

投稿規定

投稿および著作財産権譲渡承諾書

次号予告

編集後記
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 1995年3月20日,職場に台湾の友人から電話がかかってきました.「オオ!無事ダッタカ!」.なんでもTVを見ていたら,本郷三丁目の駅とばたばたと倒れている人々の映像が繰り返し流れたそうで,心配して連絡をくれたとのこと.あの日,「とんでもない事件が起きた!」と思ったことは今でもよく覚えています.「地下鉄サリン事件」から20年.事件の年に生まれた子供はもう20歳になります.

 警視庁が創立140年として行った「みんなで選ぶ警視庁140年の十大事件」アンケートの結果が紹介されていました.第1位は「地下鉄サリン事件」に代表される「オウム真理教事件」.そして第2位は「東日本大震災」.2011年3月11日からまだ4年です.TVで見た津波の映像は生々しく記憶に残っています.一方,先月福島市で,街中で除染作業が行われている光景を見たときは,「もう」4年も経つのにと思ったり…….

基本情報

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総合リハビリテーション
43巻3号 (2015年3月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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