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はじめに
わが国における脳卒中診療は,理想的な脳卒中治療システムとして脳卒中ユニット(stroke unit;SU)が登場し,徐々に全国に普及してきた.また,脳梗塞発症後の遺伝子組み換え型組織プラスミノゲンアクチベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator;rt-PA)治療については,投与開始が3時間以内から4.5時間以内に延長されたが,病院到着から診断,投与までの院内体制の確立は必須であったため,地域住民の認識や救急隊の予診能力などにも焦点が当てられるようになった.また,亜急性期,慢性期を支える医療保険や介護保険でのリハビリテーションのシステムの充実が図られ,地域の病病連携,病診連携,回復期リハビリテーションの充実が図られた.一方,脳卒中治療ガイドライン20041)で,今まで以上に急性期からのリハビリテーション介入の重要性が説かれるとともに,急性期からのリハビリテーション介入の安全性と有効性が明記され,特にSUによるリハビリテーション介入効果の推奨グレードがと高く評価され,脳卒中専門職チームが関与するSUリハビリテーションの治療効果についてもクレードAで推奨された.さらに,2009年の脳卒中治療ガイドラインの改訂2)では,SUでの早期リハビリテーションの導入は発症1年後や10年後の長期的な日常生活動作(activities of daily living;ADL)の改善のみならず,生存率も改善するという研究が報告され,SUのチーム医療精神の重要性を改めて強調している.しかし,付記としてわが国では,まだ海外のような多面的リハビリテーションを行うSUは少ないことを指摘している.現在,脳卒中治療ガイドライン2015のパブリックコメントが終了したところである.
本稿では,脳卒中ユニットにおけるリハビリテーションのエビデンスについて最近の報告を中心に文献考察も含めて概説する.
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