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はじめに
日常生活動作(activities of daily living;ADL)は,ニューヨークでDeaver(医師)とBrown(理学療法士)によって提起され,その後Sokolow,Rusk,Lawtonらによって発展した概念である.日本リハビリテーション医学会の1976年の定義によると,ADLとは「ひとりの人間が独立し生活するために行う基本的な,しかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体動作群をいう.この動作群は,食事,排泄などの目的をもった各作業(目的動作)に分類され,各作業はさらにその目的を実施するための細目動作に分類される.リハビリテーションの過程や,ゴール決定にあたって,これらの動作は健常者と量的,質的に比較され記録される」とある.つまり,ADLは身辺動作(self care)を意味し,家事動作,交通機関の利用などの応用動作は生活関連動作(activities parallel to daily living;APDL)として,区別して用いることが提唱されている.近年は高齢化社会が進むなかで,脳卒中後を含む高齢者の,基本的身辺動作だけではなく,社会的な生活能力を評価する必要性が大きくなってきた.これを反映し,日常生活において基本的な排泄,食事,移動,整容,更衣など生命生活維持に関連した活動を「基本的ADL(basic ADL;BADL)」買い物や金銭管理や食事の支度など周辺環境に関連した活動を「手段的ADL(instrumental ADL;IADL)」両者を合わせて「拡大ADL(extended ADL;EADL)」とも呼ぶようにもなったが,それらの定義については一定のコンセンサスは得られていない部分も多い.本稿では,脳卒中後の患者のADL(BADLからEADLまで)について,日本脳卒中治療学会による脳卒中治療ガイドライン2009年を基にしてさらに近年の知見を加え,評価や治療方法に関するエビデンスを考察する.
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