総合リハビリテーション 39巻1号 (2011年1月)

特集 再生医療―臨床応用へ向けての現状と課題

今月のハイライト
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 再生医学・医療は現在の医学界のみならず社会全体のトピックスであり,日進月歩の勢いで進歩を遂げている.中枢神経系を中心とした機能再建に当たっては,リハビリテーション医学・医療が果たす役割も大きく,大いにその将来が注目されている.しかし,実際の臨床応用に関しては,さまざまな問題があるのも事実と考えられる.本誌でもこの5~6年間,再生医療に関する話題を取り上げているが,臨床を視野に入れた企画はなされていない.そこで今回は,リハビリテーション関連の各種疾患を中心に,再生医学・医療の臨床応用に向けての特集を企画した.本誌の幅広い読者が再生医療を身近に感じられるように,各執筆者にはわかりやすい啓蒙的な解説をお願いした.

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はじめに

 成熟した組織の再生能力の低さゆえ,組織損傷を伴う疾患,特に脳梗塞,脊髄損傷などの中枢神経障害に対する治癒を目的とした介入は非常に困難である.これまで,これらの疾患に対する治療は専ら二次損傷の予防のみに焦点が当てられてきた.しかし,近年の発生学・生理学の分野における研究の進展により,さまざまな臓器の基礎となる組織幹細胞,さらにはその発生の基礎にある胚性幹細胞(ES細胞)の存在,あるいは組織再生を阻害する機構の詳細が次々と明らかとなり,それらを用いた再生医学研究の分野は特に盛り上がりをみせている.最近は移植などの介入を行うだけでなく,再生医学的な手法により得られた組織再生を適切な機能の獲得につなげるという観点から,機能分化を誘導することも重要なテーマに位置づけられている.そのなかで機能の再教育過程として,リハビリテーションを対象とした研究報告は徐々に増加しており,その生理学的なメカニズムも明らかにされつつある.さらに最近では,再生医学的な手法との併用の可能性についても議論がなされるようになっている.

 本稿では,再生医学,リハビリテーションの分野における基礎研究の近年の進展,再生医療とリハビリテーションの併用の試み,将来的に再生医療の分野においてリハビリテーションが果たしうる役割について概説する.

脳卒中 田口 明彦
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はじめに

 わが国は高齢化社会を迎えており,それに伴う身体障害者の急激な増加は深刻な社会問題となっている.平成20年度の厚生労働白書によると,ほぼ全介助が必要な要介護3以上の患者数は全国に169万人おり,そのうちの約1/3に相当する55万人は脳血管障害が原因疾患とされている.しかし,脳梗塞に対する確立された治療法は,現状では発症3時間以内における血栓溶解療法のみであり,治療可能期間(therapeutic time window)の長い新規治療法の開発が切望されている.

 このような状況に対処するため,国立循環器病研究センターでは,①骨髄血管系幹細胞による脳梗塞治療の臨床試験,②骨髄血管系幹細胞による脳梗塞予防法の開発,を行っており,本稿ではそれらの現状および今後の展望について概説する.

脊髄損傷 渡辺 雅彦
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はじめに

 脊髄損傷患者数は,全世界で250万人とされている.以前は脊椎損傷治療には長期臥床が不可欠であり,そのための褥瘡や塞栓症の合併症から脊髄損傷患者の生命予後は不良であった.しかしながら,脊椎手術をはじめとする医療の進歩により,その生命予後は飛躍的に改善した.一方,そのために多くの患者が長期間にわたり障害を抱え,不自由な生活と苦難を強いられている.患者の障害を軽減することは非常に重要なことである.20世紀初頭に,解剖学者Cajalが「成体哺乳類の中枢神経系は自己再生能をもたない」ことを提唱して以来,中枢神経は再生しないと信じられてきたが,近年の基礎研究の成果は近い将来での脊髄再生の可能性を強く期待させるものである.

 脊髄損傷遺残障害を軽減するための方策には,①2次障害の拡大を軽減するneuronal and glial protection,②軸索(axon)の伝導を回復するneurorestauration,③軸索を再生するregeneration,④脊髄を再生するneuroreconstructive therapyなどがある(表).本稿では,損傷脊髄再生に向けての基礎研究の現状を概説する.

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はじめに

 Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は,X染色体上のジストロフィン遺伝子変異により,骨格筋の細胞質膜の裏打ちタンパク質であるジストロフィンが欠損し,膜が脆弱性になり,骨格筋線維が変性・壊死する重症のX連鎖性の筋疾患である.幼児期から始まる筋力低下,動揺性歩行,登攀性歩行,仮性肥大を特徴とする.

 治療としては,プレドニゾロンやデフラザコートの糖質コルチコステロイド療法が,ある程度DMDの進行を抑制する.次世代の治療法としては,ジストロフィン転写産物のスプライシングに重要な配列を標的としたアンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いて,スプライシングパターンを変え,premature stop codonを回避するエクソン・スキッピング法が注目されており,日本も,欧米を中心に行われている国際共同治験に参加しようとしている.しかし,アンチセンス・オリゴヌクレオチドの効果は一過性であり,ジストロフィンの発現を維持するには繰り返し投与が必要である.また,心筋に取り込まれる効率が低いこと,患者によって用いるアンチセンス配列が異なること,治療費が高額になることが懸念材料として残っている.

 遺伝子治療研究は,骨格筋での長期発現が可能なアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが主流であり,骨格筋に親和性のある血清型やsystemic deliveryに威力を発揮する血清型が用いられてきた.しかし,ヒトではAAV抗体を有している人が多く,また,一度投与すると中和抗体ができるため,2度目以降の投与は有効でない.さらに,ベクターに搭載できる外来遺伝子のサイズに制限があり,AAV単独ではDMDの治療法とはなりにくいと考えられる.一方,骨格筋は旺盛な再生能力を有しており,最近のiPS細胞の出現に刺激されて,幹細胞を用いた再生医療はDMDの治療法として大いに期待されている.

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はじめに

 幹細胞は再生医療,特に神経再生におけるツールとして注目されている.本稿では,幹細胞を用いた移植治療の有力なターゲットであるパーキンソン病について,細胞移植治療の現在までの研究成果や,今後,臨床応用する前にどのような問題を解決すべきかについて述べる.

脳性麻痺 大野 典也
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はじめに

 少子高齢化社会の度合いを急速に増しつつあるわが国において,健康医療問題は最優先課題である.そのなかでも,最先端医療の端緒を拓くことが期待される再生医療においては,さまざまな規制や制度上の問題が存在している.特にわが国における本分野の臨床研究の遅れは深刻である.

 脳性麻痺は,胎生期・周産前期から周産期,さらに出生後5歳以前までに発症する脳神経の機能障害である.その発症頻度は1,000人の出生に対して2~3人と,比較的高い.この脳性麻痺に対する臨床研究が,米国のデューク大学のグループを中心に,2005年から開始された.200症例程のパイロット・スタディの後に,2010年には正式な臨床治験が開始された.現段階での有効性の評価は時期尚早であり,また疾患の性質上,効果判定には慎重な解析を待つ必要がある.しかし現時点でも,従来はリハビリテーション以外に的確な治療方法のない重症脳性麻痺において著効例が散見されている.

 本稿では,最先端の再生医療の現状を報告し,筆者らの経験を踏まえて,その臨床応用に向けての現状と課題について報告する.

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 第48回日本リハビリテーション医学会学術集会は,赤居正美先生を大会長として,本年6月2日(木)~4日(土)に幕張メッセ国際会議場で開催されます.

 赤居先生は1974年に東京大学医学部を卒業後,同整形外科学教室に入局し,東京大学,帝京大学,埼玉医科大学の各医学部附属病院,他で整形外科の臨床研修を積み,1977~1978年にはNew Zealand,Aucklandの病院に整形外科の臨床医として留学されました.その後,複数の大学病院において精力的に整形外科医としての診療と研究の業績を積まれる間に,リハビリテーション医学との関わりを増し,リハビリテーションに携わる医師や理学療法士などの教育にも積極的に関わるようになりました.1996年から東京大学医学部附属病院リハビリテーション部副部長を務めた後,2001年に国立障害者リハビリテーションセンターに異動され,運動障害研究部長として研究スタッフの充実と活性化に実績をあげ,現在は病院長として管理者の才を発揮されています.

講座 加齢とアンチエイジング・第1回【新連載】

老化と寿命のしくみ 米井 嘉一
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はじめに

 抗加齢(アンチエイジング)医学の目標は健康増進を行い,日々の生活の質(quality of life;QOL)を向上させ,最終的に健康長寿を達成することである1).抗加齢医学は予防医学の範疇に属する.老年医学と抗加齢医学には共通点と相違点がある.老年医学の対象は高齢者(65歳以上)であるが,抗加齢医学ではすべての年齢が対象となる.老化のメカニズムはあらゆる科学を結集して究明すべき命題である.老化に関する研究は老年医学に携わる研究者の功績が大きく,医学的学問背景は共通と言える.老年医学は高齢者医療に特化して利用されているが,抗加齢医学ではこれらの研究成果を予防医学的に利用する.

 本稿では,ヒトにおける老化と寿命の仕組みについて抗加齢医学的見地から解説する.

実践講座 地域連携パス・第1回【新連載】

地域連携パスの概況 辻 哲也
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はじめに

 2006年6月に「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」(医療制度改革法案)が成立し,そのなかで「医療機能の分化と連携」がこれから目指す医療の大きな柱の一つとして示された.各都道府県では,従来,二次保健医療圏のなかで各医療機関がばらばらに急性期や回復期を担当しており,相互の連携なく存在しているという状態であった.しかし,今後,都道府県が主体となって策定することになる医療計画においては,既存の二次医療圏にとらわれずに,実際の患者の診療・受療行動にマッチした日常医療圏において,それぞれの施設が自らの機能を明示しながら,有機的に連携することが求められている1)

 また,2006年の診療報酬改定で大腿骨頸部骨折を対象疾患として,地域における医療機関相互の連携を評価する「地域連携診療計画管理料」が新設された.2007年4月施行の第5次改正医療法では,「地域医療連携については,地域連携クリニカルパスの普及などを通じた連携体制の確立を図るため,診療報酬上の評価等によりその支援に努めること」と明記され,2008年の診療報酬改定では,対象疾患として脳卒中が加わった.連携パスの普及などを通じて医療機能の分化と連携を図ろうとする医療行政上の施策とあいまって,地域における診療連携ネットワークの形成を重視する流れは加速してきている.

 本稿では,地域連携を実施するうえでの重要なツールである地域連携パスの概要について,脳卒中を中心に解説する.

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要旨:〔目的〕パーキンソン病患者の歩行障害の運動学的特徴を,3次元動作解析装置を用いて客観的に検討する.〔対象・方法〕パーキンソン病患者24例(66.1±8.1歳)を対象に,3次元動作解析装置(VICON MX®)を用い,Hoehn and Yahr stage 1・2群(歩行障害軽度群mild disturbance群;MD群)とstage 3・4群(歩行障害重度群severe disturbance群;SD群)の2群間で,自由歩行時の速度,歩幅,ケイデンス,下肢関節角度変化および骨盤角度変化を測定し,比較検討した.〔結果〕MD群と比較して,SD群は歩行速度が有意に減少した.歩行中の下肢関節角度変化,骨盤側方傾斜は有意に減少していた(p<0.05).歩行速度は歩幅,股・膝関節角度変化とそれぞれ有意な正の相関を認めた.また,歩行速度はUPDRS part Ⅲ下肢項目と有意な負の相関を認めた.〔結語〕パーキンソン病患者の歩行速度の減少は,下肢関節角度変化の減少による歩幅減少が関連していることが示唆された.

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要旨:〔目的〕在宅生活をおくる高齢者において,社会的関係性を示すソーシャルサポート(social support;SS)やソーシャルネットワーク(social network;SN)などの社会的要因が対象者の心理状態や生活機能にも影響を及ぼすことが先行研究により報告されている.本研究の目的は,在宅脳卒中患者の抑うつ症状に対して,SSやSNがどのような関連性を有しているのかを明らかにすることである.〔対象・方法〕対象は76名の在宅脳卒中患者であった.調査内容は,抑うつ症状,生活機能(ADLおよびIADL),SSおよびSNなどについてであった.なお,評価尺度については,抑うつ症状をGDS(Geriatric Depression Scale)15項目版,ADL評価はBarthel Index,IADL評価は老研式活動能力指標(以下,老研式)を用いた.また,SSおよびSNの評価については,「老化に関する縦断的研究マニュアルに基づくソーシャルサポート質問表」を使用した.〔結果〕「非うつ」は28.9%,「うつ傾向」47.4%,「うつ状態」23.7%であった.また,抑うつ症状を有する在宅脳卒中患者の特徴として,ADL自立度が低く,老研式(知的能動性)の低下(意欲の低下,やる気低下)や手段的サポートの低下も認めた.さらに,抑うつ症状に対する各要因の関連性を検討した結果においても,「手段的サポート」と「老研式(知的能動性)」は有意な説明変数であった.〔結語〕抑うつ症状を有する在宅脳卒中患者の生活機能を維持していくためには,SSに関連する相談業務の充実や,知的能動性を向上させるような生活支援が求められていることが示唆された.

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要旨:〔目的〕本研究では,拘縮肩患者における拘縮側および非拘縮側の上肢挙上角と脊柱彎曲角(胸椎後彎角および腰椎前彎角)との関係について検討した.〔対象・方法〕拘縮肩患者22例(拘縮側22肩,非拘縮側22肩)を対象に,上肢下垂位,90°,120°,150°挙上位(非拘縮側のみ)における胸椎後彎角と腰椎前彎角を計測し,各挙上肢位で比較した.〔結果〕拘縮側では,90°挙上位より有意な胸椎後彎角の減少および腰椎前彎角の増加が認められた.非拘縮側では,120°挙上位より有意な胸椎後彎角の減少および腰椎前彎角の増加を示した.〔結語〕拘縮側挙上時にみられる過度な胸-腰椎伸展運動は,上肢挙上運動に連動する脊柱の生理的伸展運動の変化を招き,非拘縮側挙上時の脊柱共同作用にも影響を及ぼすことが示唆された.

連載 症例による座位保持装置の紹介【新連載】

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 呼吸障害や摂食・嚥下障害を呈する重症心身障害児(以下,重症児)は,頻回の吸引,気管切開や人工呼吸器,胃腸瘻を含む経管栄養の管理など,濃厚な医療ケアを必要とする.呼吸障害と摂食・嚥下障害は,誤嚥性肺炎の発症など,相互に関連し悪影響を及ぼす.さらに日常の身体状況(体温調節や筋緊張の程度,排泄や睡眠リズムなど)にも影響する.また,これらの身体状況は姿勢によっても大きく変動する.重症児の全身状態の安定は,介護しやすい状況を維持することに直結するため,姿勢管理は非常に重要である.

連載 リハビリテーション関連のHP紹介【新連載】

学会関連 加藤 徳明
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 近年,インターネット利用者の増加は目覚ましいものがあり,リハビリテーションの分野においてもさまざまな情報をホームページ(HP)から得ることが多い.今回はリハビリテーション関連学会などのHPを紹介する.

連載 印象に残ったリハビリテーション事例

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相談を受けて

 私の先輩のS先生からお母さんのことで相談を受けました.「おふくろが認知症になって,どのように対応したらよいか困っているんだ.女房とそのことで喧嘩になってね」と,言います.

 「どのような症状があるのですか」

笑顔の最期 染矢 富士子
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初診時―そして自宅へ

 車いすで初めてリハビリテーション部の診察室にこられたのは,Aさん(男性)が72歳の時でした.Aさんは街で写真屋をしていましたが,57歳で腎細胞癌がみつかり,以後さまざまな治療を受けて15年間闘病生活を続け,満身創痍ながらも自宅で独歩の生活をされていました.通院は車を運転して出かけられる状態でした.今回は急性腎不全のため緊急入院しました.透析,除水後,内シャントを作成(2回目に成功)し,状態が落ち着いたとのことで退院に向けてのリハビリテーション受診でした.病室内であれば歩けるだけの体力があり,入院してから4か月経過していましたが,下肢の筋力低下は軽度でハーフスクワットも可能でした.リハビリテーションはこれまで経験がなかったのですが,何度も病気との修羅場を乗り越えてきた自信からか,意欲的に希望され,週2回の透析に合わせた通院リハビリテーションについても言及していました.とうに病気の告知はされており,本人,家族ともにすでにDNR(do not resuscitate:緊急時の心肺蘇生の拒否)の方針が確認されていました.

 しかし,この時が体力の最後のピークだったのです.耐久性訓練が軌道に乗りかけた2週間後に,膵頭部転移腫瘍部からの出血のため,貧血が進行し,輸血も間に合わない状態となりました.介助でやっとトイレ往復できる状況で「立てんようになった」と寂しげな一言があり,本人が希望するまでリハビリテーションはお休みとしました.さらに2週間後にライン管理が取れると,伝い歩きでトイレに行く練習からリハビリテーションを始めることになり,その状態のまま1か月後に介護保険の申請をして自宅に戻りました.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 天才と狂気の関係は古くから論じられてきた問題であるが,紀元前370年代に書かれたプラトンの『パイドロス』(藤沢令夫訳,岩波書店)は,この問題を論じた最も古い文献の一つである.

 たとえば,『パイドロス』には,ソクラテスが「狂気には二つの種類があって,その一つは,人間的な病いによって生じるもの,もう一方は,神に憑かれて,規則にはまった慣習的な事柄をすっかり変えてしまうことによって生じるもの」と指摘して,「われわれの身に起こる数々の善きものの中でも,その最も偉大なるものは,狂気を通じて生まれてくるのである.むろんその狂気とは,神から授かって与えられる狂気でなければならないけれども」と語る場面がある.

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 若尾文子が全盛だった1960年代は,私にとっては少年時代であり,女の隠微な世界を描いていた若尾出演作品をリアルタイムで見ることはなかった.子ども心にさえ,たとえば,老齢の域に達した夫をもちながらも,出入りの若い男とアバンチュールに浸るといった「よろめきキャラ」がすでに立っていた.一言で表現するならジュクジュクした嫌な女.

 そんな固定観念を吹き飛ばしたのが「赤い天使」(監督/増村保造)である.1966年の公開当時は成人向指定であり,子どもの私は興味津々だったが見ることができなかった.最近になってリバイバル上映され,40年以上の時空を経て,その全貌に接することができた.子どもの感覚でも見ておきたかった.自己形成に影響を与えたはずだ.

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リハビリテーション医療の場に必須の書籍

 兵庫医科大学リハビリテーション医学教室教授の道免和久先生は,脳卒中上肢麻痺改善のためのCI療法をわが国に導入しその普及に努めるなど,日本におけるリハビリテーション医学・医療のゆるぎないオピニオンリーダーの一人であり,氏の数々の業績と活躍にはリハビリテーション医療の臨床に携わっている多くのスタッフはじめ,リハビリテーション医療を必要としている患者さんからも高く評価されている.

 その道免先生が編集した『リハビリテーション評価データブック』がこのたび発刊された.道免先生は,この著作の構想から上梓までには10年の歳月を要したとしており,今日のリハビリテーション医学・医療において汎用されている機能評価法をほぼ網羅すべく渉猟してある.その項目数は800にも及ぶが,コンパクトな辞書サイズとして編集されている労作である.

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脳画像初学者の最初の1冊

 脳画像の読影・読像を講義科目に据えているPT・OT・ST養成学校がいまだに少数派であることから,PT・OT・STにとっては脳機能や脳画像の読影・読像は,自学自習しないと獲得できない知識や技術である.しかし脳科学の進歩は,脳機能の知識や脳画像の読影・読像技術を“習っていないから知らなくてもよい”知識や技術にはしてくれない.現代の脳神経疾患リハビリテーションでは,脳損傷部位を脳画像で確認し,障害が脳損傷部位の機能局在や体部位局在と合致するか否かを照合することは重要な評価であり,脳機能の理解や脳画像の読影・読像は必須の技術となっている.

 では,脳機能の知識や脳画像の読影・読像技術をいかに自学自習していくのか.脳機能解剖学,脳画像診断学などの専門書を読みあさるのも一考であろう.しかし,脳機能や脳画像に親しみのないPT・OT・STにとっては,その知識量の多さに圧倒され徒労に終わってしまうかもしれない.そこでまずは1冊目の自学実習書としたいのが,森惟明先生,鶴見隆正先生の手による『PT・OT・STのための脳画像のみかたと神経所見,第2版』である.

お知らせ

2011年度成人片麻痺ボバース講習会

文献抄録

投稿規定

投稿および著作財産権譲渡承諾書

次号予告

編集後記
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 明けましておめでとうございます.今月は論文を執筆する際にぜひご活用いただきたい「上手なリハ論文の書き方・改訂版」を掲載しました.これは1995年に作られたリハ論文の書き方について解説した資料を,近年の投稿論文の傾向に合わせて改訂したものです.主な構成は本誌「各投稿欄の位置づけ」「上手な論文の書き方」「本誌投稿論文審査の基準」などです.特に「上手な論文の書き方」の項を充実させ,論文執筆に必要な知識を,すべての論文に共通するもの,各投稿欄ごとに必要なものに分けてまとめました.さらに,投稿規定の改訂も行いました.大幅な変更等はありませんが,日頃よくいただく質問を踏まえて改訂しましたので,投稿時の注意点や手順がよりわかりやすくなったと思います.また,投稿規定の隣に「投稿論文チェックリスト」をつけましたので,ご活用いただければ幸いです.近年の投稿数の推移をみると,2009年は2005年に比べて8割増,2010年は12月現在,2009年と同様のペースで投稿いただいております.今年も皆様の論文をお待ちしております.

基本情報

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総合リハビリテーション
39巻1号 (2011年1月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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