Japanese
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特集 再生医療―臨床応用へ向けての現状と課題
脊髄損傷
Regeneration of injured spinal cord.
渡辺 雅彦
1
Masahiko Watanabe
1
1東海大学医学部外科学系整形外科学
1Department of Orthopaedic Surgery, Surgical Science, Tokai University School of Medicine
キーワード:
脊髄損傷
,
麻痺
,
機能障害
Keyword:
脊髄損傷
,
麻痺
,
機能障害
pp.19-23
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101932
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はじめに
脊髄損傷患者数は,全世界で250万人とされている.以前は脊椎損傷治療には長期臥床が不可欠であり,そのための褥瘡や塞栓症の合併症から脊髄損傷患者の生命予後は不良であった.しかしながら,脊椎手術をはじめとする医療の進歩により,その生命予後は飛躍的に改善した.一方,そのために多くの患者が長期間にわたり障害を抱え,不自由な生活と苦難を強いられている.患者の障害を軽減することは非常に重要なことである.20世紀初頭に,解剖学者Cajalが「成体哺乳類の中枢神経系は自己再生能をもたない」ことを提唱して以来,中枢神経は再生しないと信じられてきたが,近年の基礎研究の成果は近い将来での脊髄再生の可能性を強く期待させるものである.
脊髄損傷遺残障害を軽減するための方策には,①2次障害の拡大を軽減するneuronal and glial protection,②軸索(axon)の伝導を回復するneurorestauration,③軸索を再生するregeneration,④脊髄を再生するneuroreconstructive therapyなどがある(表).本稿では,損傷脊髄再生に向けての基礎研究の現状を概説する.
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