Japanese
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特集 再生医療―臨床応用へ向けての現状と課題
脳性麻痺
Cell therapy for cerebral palsy with autologous embryonic blood stem cells.
大野 典也
1
Tsuneya Ohno
1
1前東京慈恵会医科大学
1The Jikei University School of Medicine
キーワード:
脳性麻痺(CP)
,
自家さい帯血移植
,
多能性幹細胞
Keyword:
脳性麻痺(CP)
,
自家さい帯血移植
,
多能性幹細胞
pp.37-41
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101936
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はじめに
少子高齢化社会の度合いを急速に増しつつあるわが国において,健康医療問題は最優先課題である.そのなかでも,最先端医療の端緒を拓くことが期待される再生医療においては,さまざまな規制や制度上の問題が存在している.特にわが国における本分野の臨床研究の遅れは深刻である.
脳性麻痺は,胎生期・周産前期から周産期,さらに出生後5歳以前までに発症する脳神経の機能障害である.その発症頻度は1,000人の出生に対して2~3人と,比較的高い.この脳性麻痺に対する臨床研究が,米国のデューク大学のグループを中心に,2005年から開始された.200症例程のパイロット・スタディの後に,2010年には正式な臨床治験が開始された.現段階での有効性の評価は時期尚早であり,また疾患の性質上,効果判定には慎重な解析を待つ必要がある.しかし現時点でも,従来はリハビリテーション以外に的確な治療方法のない重症脳性麻痺において著効例が散見されている.
本稿では,最先端の再生医療の現状を報告し,筆者らの経験を踏まえて,その臨床応用に向けての現状と課題について報告する.
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