Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
プラトンの『パイドロス』―ソクラテスが語る病跡学的な見解
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.86
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101950
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天才と狂気の関係は古くから論じられてきた問題であるが,紀元前370年代に書かれたプラトンの『パイドロス』(藤沢令夫訳,岩波書店)は,この問題を論じた最も古い文献の一つである.
たとえば,『パイドロス』には,ソクラテスが「狂気には二つの種類があって,その一つは,人間的な病いによって生じるもの,もう一方は,神に憑かれて,規則にはまった慣習的な事柄をすっかり変えてしまうことによって生じるもの」と指摘して,「われわれの身に起こる数々の善きものの中でも,その最も偉大なるものは,狂気を通じて生まれてくるのである.むろんその狂気とは,神から授かって与えられる狂気でなければならないけれども」と語る場面がある.
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