Japanese
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特集 再生医療―臨床応用へ向けての現状と課題
リハビリテーションの果たす役割
The role of rehabilitation medicine in clinical application of regenerative medicine.
向野 雅彦
1
,
里宇 明元
2
,
木村 彰男
1
Masahiko Mukaino
1
,
Meigen Liu
2
,
Akio Kimura
1
1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンターリハビリテーション科
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University Tsukigase Rehabilitation Center
2Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
再生医学
,
幹細胞
Keyword:
再生医学
,
幹細胞
pp.7-11
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101928
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はじめに
成熟した組織の再生能力の低さゆえ,組織損傷を伴う疾患,特に脳梗塞,脊髄損傷などの中枢神経障害に対する治癒を目的とした介入は非常に困難である.これまで,これらの疾患に対する治療は専ら二次損傷の予防のみに焦点が当てられてきた.しかし,近年の発生学・生理学の分野における研究の進展により,さまざまな臓器の基礎となる組織幹細胞,さらにはその発生の基礎にある胚性幹細胞(ES細胞)の存在,あるいは組織再生を阻害する機構の詳細が次々と明らかとなり,それらを用いた再生医学研究の分野は特に盛り上がりをみせている.最近は移植などの介入を行うだけでなく,再生医学的な手法により得られた組織再生を適切な機能の獲得につなげるという観点から,機能分化を誘導することも重要なテーマに位置づけられている.そのなかで機能の再教育過程として,リハビリテーションを対象とした研究報告は徐々に増加しており,その生理学的なメカニズムも明らかにされつつある.さらに最近では,再生医学的な手法との併用の可能性についても議論がなされるようになっている.
本稿では,再生医学,リハビリテーションの分野における基礎研究の近年の進展,再生医療とリハビリテーションの併用の試み,将来的に再生医療の分野においてリハビリテーションが果たしうる役割について概説する.
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