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要旨:〔目的〕在宅生活をおくる高齢者において,社会的関係性を示すソーシャルサポート(social support;SS)やソーシャルネットワーク(social network;SN)などの社会的要因が対象者の心理状態や生活機能にも影響を及ぼすことが先行研究により報告されている.本研究の目的は,在宅脳卒中患者の抑うつ症状に対して,SSやSNがどのような関連性を有しているのかを明らかにすることである.〔対象・方法〕対象は76名の在宅脳卒中患者であった.調査内容は,抑うつ症状,生活機能(ADLおよびIADL),SSおよびSNなどについてであった.なお,評価尺度については,抑うつ症状をGDS(Geriatric Depression Scale)15項目版,ADL評価はBarthel Index,IADL評価は老研式活動能力指標(以下,老研式)を用いた.また,SSおよびSNの評価については,「老化に関する縦断的研究マニュアルに基づくソーシャルサポート質問表」を使用した.〔結果〕「非うつ」は28.9%,「うつ傾向」47.4%,「うつ状態」23.7%であった.また,抑うつ症状を有する在宅脳卒中患者の特徴として,ADL自立度が低く,老研式(知的能動性)の低下(意欲の低下,やる気低下)や手段的サポートの低下も認めた.さらに,抑うつ症状に対する各要因の関連性を検討した結果においても,「手段的サポート」と「老研式(知的能動性)」は有意な説明変数であった.〔結語〕抑うつ症状を有する在宅脳卒中患者の生活機能を維持していくためには,SSに関連する相談業務の充実や,知的能動性を向上させるような生活支援が求められていることが示唆された.
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