Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「赤い天使」―セックス・ボランティアをほうふつさせる「従軍看護婦・西さくら」の実践
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.87
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101951
- 有料閲覧
- 文献概要
若尾文子が全盛だった1960年代は,私にとっては少年時代であり,女の隠微な世界を描いていた若尾出演作品をリアルタイムで見ることはなかった.子ども心にさえ,たとえば,老齢の域に達した夫をもちながらも,出入りの若い男とアバンチュールに浸るといった「よろめきキャラ」がすでに立っていた.一言で表現するならジュクジュクした嫌な女.
そんな固定観念を吹き飛ばしたのが「赤い天使」(監督/増村保造)である.1966年の公開当時は成人向指定であり,子どもの私は興味津々だったが見ることができなかった.最近になってリバイバル上映され,40年以上の時空を経て,その全貌に接することができた.子どもの感覚でも見ておきたかった.自己形成に影響を与えたはずだ.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.