総合リハビリテーション 38巻1号 (2010年1月)

特集 ITとリハビリテーション

今月のハイライト
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 近年,ますます進化を遂げるIT(information technology)とリハビリテーションについて,実際にITを活用してリハビリテーションに役立てておられる各分野の方々に,その現状や課題,展望などについて,ご解説いただきました.

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はじめに

 400床以上の病院での電子カルテの普及率は,2000年にはわずか0.4%に過ぎなかったが,2008年には37.6%に達している1)(図1).2001年に厚生労働省が「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」で掲げた「2006年までに全国400床以上の病院の6割以上」という目標は達成されなかったが,今後も病院や診療所における電子カルテの導入は着実に進んでいくものと思われる.

 電子カルテ導入のメリットとして,業務効率の改善や省力化,情報共有の改善,医療サービスの標準化・質の向上などが言われている2).チームでの情報共有が重要な位置を占める回復期リハビリテーション病棟は,急性期病院と同等か,それ以上に電子カルテ導入のメリットを享受できるはずである.しかし実際には,回復期リハビリテーション病棟におけるカルテの一元化,一覧化は,2008年には67.5%,84.7%の施設で達成されているものの,電子カルテの普及率は21.1%にとどまり,急性期病院に比べてやや伸び悩んでいる3)(図1).

 都立大塚病院(以下,当院)には2004年に電子カルテが導入されたが,既存の電子カルテでは回復期リハビリテーションチームを支える情報共有ツールとして不十分であると判断し,独自にデータベースを作成し,電子カルテと併用する形で運用している.今回,当院で作成したデータベースを紹介することで,リハビリテーションチームに必要なinformation technology(IT)についての議論の一助となればと考えている.

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はじめに

 脳血管障害や頭部外傷(TBI),認知症などのさまざまな原因により高次脳機能障害や認知機能障害を呈した患者のリハビリテーションでは,その複雑な症状を正確に把握するための一助として,各種の神経心理学的検査による評価が必要不可欠となっている.しかし,記憶障害や注意障害,前頭葉機能障害といった障害の精査のための検査には,実施に長時間を費やすものもあり,疲労などの被験者側の要因や限られた診療時間,また,各施設の設備などの条件を勘案すると,臨床の現場でそのすべてを実施することは現実的でないこともある.そういった場合,患者のどのような認知機能が障害されているのかを簡便に把握するための全般的なスクリーニング検査の実施が有用である.

 この分野で最もポピュラーに用いられているMini-Mental State Examination(MMSE)をはじめ,多くは机上で紙や鉛筆を用いて,検査者による教示によって実施されている.一方で近年,とりわけ海外では,検査媒体としてコンピュータを用いたものがその数を増しているようである.

 本稿ではまず,コンピュータ化された認知機能スクリーニング検査に関する国内外の動向や,その長所,短所について概観する.次にそれらの検査の一例として,東京慈恵会医科大学附属病院(以下,当院)で運用している“CogHealth”について,その内容や特徴などを紹介する.さらに当院での実施例のなかで,慢性期の頭部外傷症例群におけるCogHealthのデータを示し,その臨床的有用性について若干の考察を加えて報告したい.

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はじめに

 記憶障害は,情報が貯蔵できない,検索できない,あるいは活用できない情報障害と考えられる.認知症も記憶障害が中核症状である.例えば,トイレの位置情報が貯蔵できないために失禁に至る,退職後という情報が検索できず出勤しようとする,などが生ずる.したがって,適宜かつ迅速な情報支援が,記憶障害や認知症のリハビリテーションの要となる.そのため,最新のinformation technology(IT)を活用し,ADL(activities of daily living)の自立やQOL(quality of life)の改善を図る必要がある.これは,日常での問題解決を重視した外的補助記憶手段による認知リハビリテーションである.一方,訓練を主体にした認知リハビリテーションも行われている.例えば,見当識訓練や,人名などを間隔伸長法や誤りなし学習で記銘する方法などがある.それらは文献1)を参照されたい.

 ITと聞くと高価で複雑なhigh tech機器を想像する.しかし,それだけでは生活全般を支援できない.廉価で簡単に情報の書き込みや参照ができるlow techメモリーエイドの開発も重要である.本稿では,筆者が開発したものや,市販の情報機器のメモリーエイドとしての応用,さらにhigh tech機器による認知リハビリテーションの試みなどを紹介する.なお,本稿では進行性の認知症を主に想定した.改善している記憶障害には,逆に重度から軽度に向けた方法を適応していけばよい.

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はじめに

 視覚障害者には大きく「移動」と「情報」の2つの障害がある.特に一般社会では視覚的な情報に頼っている部分が多く,新聞や雑誌・本などから活字情報を得るなど,生活のなかのほとんどの場面で視覚を使うことが多い.しかし,生活のなかでパソコンを使うことができれば,その情報障害を克服することが可能となる.

 本稿では,視覚障害者が用いるIT(information technology)機器について紹介し,リハビリテーションにおける今後のIT機器の役割について考える.また筆者は,2001年から視覚と聴覚の両方に障害のある盲ろう者に対して大阪府立中央図書館などでパソコン利用支援を行っている.「移動」や「情報」の障害にプラスして「コミュニケーション障害」のある盲ろう者への支援の現状も簡単に紹介し,その課題について紹介する.

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はじめに

 リハビリテーション工学という単語から筆者が最初に思いつくのは日本リハビリテーション工学協会である1).同協会は1986年3月に発足し,すでに二十余年の歴史を有する.同協会は北米リハビリテーション工学協会(RESNA)2),欧州リハビリテーション工学協会(AAATE)3),豪州リハビリテーション工学協会(ARATA)4)などと協定を結んで活動をしている.

 日本リハビリテーション工学協会が主催した2009年のカンファレンスでは,視覚障害,言語聴覚障害,肢体不自由,知的障害・発達障害,高齢者,安全性・リスク,起立・移動・歩行,職種・自助具,移乗・移動,計測と解析,スポーツ・余暇,車いす適合と評価,電動車いす,コミュニケーション,住環境整備,スイッチ・入力,移動・バリアフリー,自立支援,社会参加,意思伝達装置ガイドライン,機能回復・代替といった一般発表のセッションが開催された5).IT関連の発表も多く,例えば「脊髄損傷者の携帯電話利用のための自助具」,「凸点の高さが携帯電話における操作性に及ぼす影響」,「視覚障害者,聴覚障害者,車いす使用者の歩行・移動のための情報案内による支援システム指針」,「学習障害のある人の利用に配慮したウェブ閲覧支援ツールの開発」,「携帯電話を利用した会話補助ソフトウェア」などをテーマにした発表が見受けられた.

 リハビリテーション工学協会に限らず,一般の工学系学会でも,リハビリテーション工学や支援工学に関連する発表が増えている.例えば,IT関連の代表的な学会である電子情報通信学会(会員数約3万5千人)では,1999年に福祉情報工学研究会が発足し,活発に活動している6,7).このようにリハビリテーション工学や支援工学の分野ではITはすでに基幹技術として取り入れられており,事例は枚挙に遑がない.

 そこで本稿では,ITの象徴的な産物である携帯電話を中心とした「高次脳機能障害者によるIT利用の実態調査」と「ITを利用した高次脳機能障害者の支援機器」を紹介する.

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 第47回日本リハビリテーション(以下,リハ)医学会学術集会は,本年5月20日(木)~22日(土)に,初夏の陽光あふれる鹿児島市で開催されます.川平和美先生は今回のメインテーマを,“今日の先端科学を明日のリハへ”とされています.最新の脳科学や画像診断学,分子生物学などの進歩を,リハに積極的に取り入れる意気込みが感じられます.

 川平先生は自然豊かな鹿児島県鶴田町で育ち,高校,大学時代はラグビー部で活躍して花園出場も果たし,その薩摩の熱気は今も健在です.卒業後,鹿児島大学第一内科に入局し,1977年から霧島分院(現・霧島リハセンター)で私と共に新しい自律神経検査法の確立や本態性高血圧の研究を行い,学位も取得しました.また当時から,脳卒中片麻痺や尿失禁,心理,性機能障害のリハにも取り組み,地域啓蒙活動も始めました.

講座 脳血管内治療・1【新連載】

脳血管内治療の概要 荒川 秀樹
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はじめに

 脳神経外科領域における脳血管内治療は,ここ10年ほどの間にその役割が拡大してきており,今後もさらにその発展が期待されている分野である.脳血管内治療の最大の利点は,開頭手術と比較して,患者の肉体的負担が少ないことが挙げられる.その反面,すべての症例において応用可能ではないことや,長期的な治療成績に関してのデータが不足している点などが,欠点として挙げられている.

 本稿では,脳血管内治療の概要や適応などに関して総論を述べる.各論については,次号以降の本連載を参照されたい.

実践講座 精神・神経系薬物療法の知識・1【新連載】

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はじめに―第2世代抗精神病薬の登場

 1950年代にクロルプロマジン(コントミン®)やハロペリドール(セレネース®)のような抗精神病薬が登場し,精神科薬物療法(とくに統合失調症治療において)は革新的変化を遂げた.その後も多くの抗精神病薬が開発されたが,数十年の長きにわたってクロルプロマジン,ハロペリドールを中心とする薬剤が主流であり続けた.これらの薬剤を第1世代抗精神病薬(あるいは定型抗精神病薬)という.しかし,今世紀においては,従来の抗精神病薬とは異なる第2世代抗精神病薬が薬物治療の主流になっている.

 本稿では,今日の抗精神病薬治療の中心である第2世代抗精神病薬の特徴を概説する.

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要旨:〔目的〕協調運動障害例の手すり高さについて検討し,考察することである.〔対象・方法〕対象は,男性12名,女性8名(小脳梗塞9名,小脳出血3名,脳幹梗塞1名,脳幹出血4名,脊髄小脳変性症3名;平均年齢62.5±15.1歳)であった.対象者が手すり歩行の際,各高さでの自覚的な歩行しやすさ,歩行スピード,歩数,5ms毎の3次元加速度を測定した.手すりの長さは3.5m,高さは,①大転子,②上前腸骨棘,③上前腸骨棘と腋窩の中点,④腋窩の4種とした.各症例の失調症状はICARSによって評価した.〔結果〕自覚的歩きやすさでは,20名中4名は通常の手すりの高さである①を選択した.残り14名は②~④の高さを選択し,2名は①~③の複数回答であった.②~④の高めを選択した群ではICARS得点が有意に高かった.各歩行時間中の3次元加速度ベクトル合力を加算すると,16名が②~④の高め手すりで最低値となった.〔結語〕協調運動障害が重度である場合,通常位置よりも高い手すりで歩きやすい症例が多い.

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要旨:〔目的〕体表からモーターポイント(以下,MP)の位置を推定するための指標を検討する.〔対象・方法〕解剖実習体6体について,内側広筋は上前腸骨棘と膝蓋骨上縁中央,前脛骨筋は腓骨頭と外果を解剖学的指標に選び,それらを結ぶ線を基準線とした.最も太い筋枝の筋への侵入部を主たるMPとして,基準線との距離を測定した.前脛骨筋は主たるMP(MP1)と,深腓骨神経の本幹より分岐し,下行して基準線の中程の筋腹に至る筋枝の最終侵入部(MP2)の測定を行った.〔結果〕内側広筋のMPは,基準線上の平均62.6%遠位で,その3.9cm内側に位置した.前脛骨筋のMP1は基準線上の平均9.9%遠位で,その2.8cm内側に位置し,MP2は基準線上の平均47.1%遠位で,その2.5cm内側に位置した.〔結語〕基準線上の割合(%)は,脂肪除去などの影響を受けにくく,指標として有用と考える.

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要旨:脳卒中麻痺側上肢への機能訓練として随意運動介助型電気刺激(integrated volitional control electrical stimulation;IVES)が注目されている.今回,回復期脳卒中片麻痺患者20名の麻痺側上肢に対してIVESによる訓練を3週間行い,1週間の効果が保持されるかどうかについて検討した.また,保持期間後の手関節背屈自動運動角度(a-ROM)の変化によって,向上群,維持群,減少群の3群に分類し,効果が保持されているかについて検討した.手関節a-ROMの平均は,開始時17.8度,3週後30.0度,保持期間後30.3度で,開始時と3週後に有意差を認めたが(p<0.01),3週後と保持期間後に有意差は認めなかった.3群の開始時手関節a-ROMの平均は,向上群20.7度,維持群22.1度,減少群9.2度であった(p=0.33).減少群の開始時筋緊張は比較的高いか,または低緊張であり,3群間に有意差が認められた(p<0.05).IVES後の機能保持に対しては,開始時の筋緊張が影響を与えていることが示唆された.

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はじめに

 われわれの得る情報の約8割が視覚から得られるものであり,視機能の低下は日常生活に大きな影響を及ぼす1).特に75歳以上になると加速的に視力低下を来すので2),高齢者の視機能の維持を図るうえで視覚ケアは重要である.対象者の多くが高齢者である通所リハビリテーションにおいても,視機能維持に取り組む必要性があろう.通所リハビリテーションの目的として,「日常の継続した健康管理」,「心身機能の維持・改善」が挙げられる3).これまでにこれらの目的を果たすために,「運動器の機能向上」,「口腔ケア」などへの取り組みが報告されているが,視機能低下については,日常生活への影響が大きいにもかかわらず,通所リハビリテーションでの報告は少ない.

 今回われわれは,通所リハビリテーションが中心となって,視覚に関わる職種(施設)である盲学校教員(盲学校),認定眼鏡士(眼鏡販売店),眼科医(医院,病院)と連携を図り,視覚ケアを行うビジョンケアネット(vision care net;VN)を構築した.新しい取り組みであるVNの概要について紹介する.

連載 障害者にみられる足・趾の問題と対応【新連載】

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 外反母趾には,中足部の開帳足や扁平足,後足部の距骨下関節外反などの変形に加えて,重度の場合には前足部のハンマー・トゥ(hammer toe,槌趾:基節骨が背屈し,中節骨は逆に底屈して,末節骨は中間位あるいは背屈傾向にある趾をいう.金槌の形のように変形する)やマレット・トゥ(Mallet toe,マレット趾:末節のみの屈曲変形を生じている状態)を合併することが知られている.また,主訴とはならないものの,多くの人の母趾が外反変形している.

 そこで,足部の基本構造を確認しながら,外反母趾が発生する原因,また外反母趾が誘発されるメカニズムについて述べたい.

連載 リハビリテーション関連の各種統計【新連載】

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リハビリテーション科専門医

 日本リハビリテーション医学会が認定するリハビリテーション科専門医は,リハビリテーション医学・医療に関する専門的な知識や技術を有する医師とされ,その制度は1980年に発足した1).認定の要件は,種々の疾患に基づく障害の全般的なリハビリテーション医学について十分な臨床経験を有すること,指導医としての役割も併せもつため学問的背景を十分に備えていることである.その認定は,研修歴,経験症例報告,学会報告および論文報告の審査の後,筆記および口答試験によってなされる.また,専門医認定後も時代の進歩に即したリハビリテーション医学の内容に精通し,より質の高いリハビリテーション医療を提供できるよう,生涯教育研修および5年ごとの資格更新が課されている.

 2009年6月現在,1,746名のリハビリテーション科専門医が認定されている.過去5年間の専門医の推移を図1に示す2-6).移行措置の影響もあり,年間100~200名のリハビリテーション科専門医が新たに誕生しているが,2008年度で移行措置が終了したため,今後の専門医数の増加は毎年数十名にとどまると予想される.

連載 印象に残ったリハビリテーション事例

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教会で讃美歌を歌いながら

 車窓に広がる雨上がりの田園は日に照らされて光り輝き,さしずめ毛深い緑色のカーペットのようである.5月終わりの静かな日曜日,各駅停車に乗り,1時間半で関東郊外の小さな駅に降り立った.改札に向かう人は4,5人で,いったいどこに来てしまったのだろう,と案内状を見直した.懸念はほどなく安心に変わった.駅から会場への送迎バスで15分ばかり,新緑の田園の向こうから,緑の木々が生い茂る一帯が近づいてきた.幾重にも折り重なった木立が垣根となっている.入り口のバラのアーチをくぐると,レンガづくりの洋館がたたずんでいた.すでに50人以上の参列者が中で時を待っていた.

 宴の前に,敷地中の教会で結婚式があった.外国人牧師による開会宣言と祈祷の後,曲が流れた.「ミナサマ,サンビカ312バンヲ,ウタイマショウ」

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 紀元前5世紀にヘロドトスによって書かれたと伝えられる『ホメロス伝』(松平千秋訳,『イリアス(下)』岩波文庫)は,盲目の詩人ホメロスの人生を描いたという点において,世界で最も古い病跡学的な文献の一つである.

 『ホメロス伝』によれば,イオニアの古都キュメに,ギリシアから移民してきたメラノポスという貧しい男がいた.彼がオミュレスという男の娘と結婚して生まれたのがクレテイスという娘である.両親の死後,クレテイスはある男と秘かに情を通じて身重になってしまったためにスミュルナという町に移り,そこでホメロスを産んだ.その後,手仕事で自分と子どもの身を養うことになったクレテイスは,あちこちから仕事をもらい,力の及ぶ限りのことをして息子を育てた.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 大作家の多くは,人の迷惑顧みず,日々とんでもない行動を繰り返す異型の精神の持ち主である.もちろん,異型性だけでは大作家にはなれない.自己と周囲の関係性を把握できる眼力や,人々を魅了する表現力に恵まれていることが必須の条件.太宰治のように.

 「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」(監督/根岸吉太郎)は,太宰治の同名短編小説に,心中未遂事件といった太宰にまつわるエピソードを付加したものである.

リハビリテーション関連Q & A

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Q:学校において骨形成不全症児の運動実施はどのように判断するのでしょうか?

(東京都・K)

A:骨形成不全症はⅠ型コラーゲンの遺伝子変異を原因とする疾患で,骨脆弱性を示す骨系統疾患の代表です.重症度にばらつきが大きく,一生の間に数回しか骨折しない患者から,出生時すでに複数箇所を骨折している患者までいます.したがって,運動をどこまで許可するかは患者の状態によって異なります.

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1.Dupuytren拘縮におけるハンドセラピィと治療成績について

 倉敷中央病院リハビリテーションセンター

  浅田 由貴・石田  崇

 対象は4例4手,全例男性で,平均年齢は74歳であった.Meyerding分類でgrade 1が1手,grade 3が2手,grade 4が1手で,術式は全例,拘縮解離術,そのうち2例は動脈皮弁術が施行された.術後ハンドセラピィは1日1~2回の自動・他動運動を施行し,自主訓練の指導,確認を行った.退院後は外来継続し,平均フォローアップ期間は127.5日であった.結果,Tubiana判定基準による総合評価ではvery goodが1手,goodが3手であった.Buck-Gramcko法による指の総合運動機能評価では,優が4手であった.ED改善率は平均92.7%であり,罹患指別では,示指100%,中指91.4%,環指90.9%,小指85.4%であった.医師との連絡をとりながら早期よりハンドセラピィを施行し,入院中より自主訓練の指導,確認を行い,外来フォローへ移行したことで,日常生活のなかでの使用状況や自主訓練の実施状況の確認を行うことができ,全例において術前より症状の改善を認めた.今後は,長期経過や満足度についても調査したいと考える.

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 著者である大谷藤郎氏は,元厚生省医務局長で,退官後は「らい予防法」の廃止に努め,ハンセン病患者や精神障害者の人権回復に尽力され,1993年には公衆衛生領域の最高の賞であるレオン・ベルナール賞を受賞された.本書には大谷氏のこうした活動の源泉であり,思想形成に影響を与えた人々の紹介とともにご自身の半生を叙述し,障害差別と戦う人々へのメッセージがこめられている.障害者の支援に関わるリハビリテーション分野のさまざまな職種を超えて,大勢の方にお読みいただきたいと願い,ご紹介させていただく.

 大谷氏は1972年に,国立療養所課長に転じた.個人的な思い出で恐縮だが,その前年1971年の夏,本来なら卒業して医師免許を取得していたはずの同級生3人とともに奄美大島の和光園(ハンセン病療養所)に滞在した.名目は自発的夏期臨床実習であったが,楽しい思い出とともに今でも心に残っているのは,島で遊んだ子供たちの写真に添えて,ある子について「入所者の子は生まれると直ちに職員が引き取り育てることになっています」という職員からの手紙の文面だった.大谷氏は現役時代に療養所の処遇改善に多大な尽力をされたが,「らい予防法」の本質的な問題には言及できなかった.

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文献抄録

編集後記
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 久しぶりに,新年号から論文のタイトルまわりのデザインを変更しました.ただ表紙は,「内容がすぐに分かり,便利」という声もありますので,そのままにしました.今は学術誌でも,イラストと色の少ないものは売れませんが,「総合リハ」のデザインは少し地味でもいいかなと思います.

 数年前に配属された部署で,若手部員で書店のブックフェアのためにポップを作ったことがあります.各々担当する本を1冊決めて,皆できるだけ目立つようにカラフルなものを作りましたが,そのなかで一つだけ,紺色の紙にキャッチコピーを書いただけのシンプルなものがあり,地味なのにインパクトは絶大でした.結局,そのポップがよかったのか,本の内容そのものがよかったのかはわかりませんが,ブックフェアの売上げも最も高かったので,私はそれ以来,地味に目立つのが一番強いのだと思うようになりました.雑誌も購入していただくには,デザインや売り方をいろいろ考える必要がありますが,やはりシンプルだけれど存在感のあるものが理想的だと思います.

基本情報

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総合リハビリテーション
38巻1号 (2010年1月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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