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はじめに
リハビリテーション工学という単語から筆者が最初に思いつくのは日本リハビリテーション工学協会である1).同協会は1986年3月に発足し,すでに二十余年の歴史を有する.同協会は北米リハビリテーション工学協会(RESNA)2),欧州リハビリテーション工学協会(AAATE)3),豪州リハビリテーション工学協会(ARATA)4)などと協定を結んで活動をしている.
日本リハビリテーション工学協会が主催した2009年のカンファレンスでは,視覚障害,言語聴覚障害,肢体不自由,知的障害・発達障害,高齢者,安全性・リスク,起立・移動・歩行,職種・自助具,移乗・移動,計測と解析,スポーツ・余暇,車いす適合と評価,電動車いす,コミュニケーション,住環境整備,スイッチ・入力,移動・バリアフリー,自立支援,社会参加,意思伝達装置ガイドライン,機能回復・代替といった一般発表のセッションが開催された5).IT関連の発表も多く,例えば「脊髄損傷者の携帯電話利用のための自助具」,「凸点の高さが携帯電話における操作性に及ぼす影響」,「視覚障害者,聴覚障害者,車いす使用者の歩行・移動のための情報案内による支援システム指針」,「学習障害のある人の利用に配慮したウェブ閲覧支援ツールの開発」,「携帯電話を利用した会話補助ソフトウェア」などをテーマにした発表が見受けられた.
リハビリテーション工学協会に限らず,一般の工学系学会でも,リハビリテーション工学や支援工学に関連する発表が増えている.例えば,IT関連の代表的な学会である電子情報通信学会(会員数約3万5千人)では,1999年に福祉情報工学研究会が発足し,活発に活動している6,7).このようにリハビリテーション工学や支援工学の分野ではITはすでに基幹技術として取り入れられており,事例は枚挙に遑がない.
そこで本稿では,ITの象徴的な産物である携帯電話を中心とした「高次脳機能障害者によるIT利用の実態調査」と「ITを利用した高次脳機能障害者の支援機器」を紹介する.
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