連載 印象に残ったリハビリテーション事例
讃美歌312番―ある青年の結婚式
先崎 章
1
1東京福祉大学社会福祉学部
キーワード:
びまん性軸索損傷
,
脳外傷
,
讃美歌
Keyword:
びまん性軸索損傷
,
脳外傷
,
讃美歌
pp.83-85
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101689
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教会で讃美歌を歌いながら
車窓に広がる雨上がりの田園は日に照らされて光り輝き,さしずめ毛深い緑色のカーペットのようである.5月終わりの静かな日曜日,各駅停車に乗り,1時間半で関東郊外の小さな駅に降り立った.改札に向かう人は4,5人で,いったいどこに来てしまったのだろう,と案内状を見直した.懸念はほどなく安心に変わった.駅から会場への送迎バスで15分ばかり,新緑の田園の向こうから,緑の木々が生い茂る一帯が近づいてきた.幾重にも折り重なった木立が垣根となっている.入り口のバラのアーチをくぐると,レンガづくりの洋館がたたずんでいた.すでに50人以上の参列者が中で時を待っていた.
宴の前に,敷地中の教会で結婚式があった.外国人牧師による開会宣言と祈祷の後,曲が流れた.「ミナサマ,サンビカ312バンヲ,ウタイマショウ」
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