Japanese
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増大特集 新・リハビリテーション技術
障害編・その他
記憶障害:評価法とリハビリテーション―代償訓練を中心に
Memory impairment: Assessment and rehabilitation.
三村 將
1
,
村山 潤子
1
Masaru Mimura
1
,
Junko Murayama
1
1昭和大学医学部精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Showa University School of Medicine.
キーワード:
記憶障害
,
代償訓練
Keyword:
記憶障害
,
代償訓練
pp.1283-1290
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109942
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はじめに
他のリハビリテーションと同様,認知リハビリテーションcognitive rehabilitationにおいても,その目標は脳損傷に起因する機能障害を訓練によって軽減し,適切な環境のもとで可能な限り生活能力障害を少なくしていくことである.認知リハビリテーションの対象領域は,失語・失行・失認のような巣症状,注意障害や記憶障害といった欠落症状,さらには遂行機能障害や行動障害など,広い範囲の高次脳機能障害が含まれる.本項では,臨床的に目にする機会の多い記憶障害に対する認知リハビリテーションの動向を概説する.
記憶障害のリハビリテーションを適切に行っていくためには,まず,患者の記憶障害の様態を正確に把握することが重要である.記憶障害の重症度,障害されている記憶領域と保たれている記憶領域,他の高次脳機能障害の有無などに関する情報が記憶障害のリハビリテーションの立案には不可欠である.次に,機能評価の結果に基づいて,患者の問題点に即したテーラーメイドのリハビリテーションプログラムを考えることになる.記憶障害における生活能力障害は例えば,人の名前を忘れる,予定や約束を忘れる,場所を忘れて道に迷う,といった日常生活上の問題として現れてくる.このような生活上の問題点の改善を図るため,記憶障害のリハビリテーションは,①患者主体であること,②実現可能で明確であること,③達成までの期間が特定されること,④効果の測定が可能であることを念頭に置いて,目標設定がなされるべきである.
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