総合リハビリテーション 27巻4号 (1999年4月)

特集 リハビリテーション専門職種の現状と問題点

今月のハイライト
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 リハビリテーションには多くの専門職がチームを組んでこれにあたるが,最近の社会情勢また医療事情を反映して,それぞれの専門職もいろいろな課題を抱えている.今回はいくつかの職種をとりあげ,各職種を代表する方々に現状や問題点を解説していただいた.リハビリテーション関連職種の相互理解の一助となれば幸いである.

リハビリテーション医師 石神 重信
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 医療のなかで確立していないリハビリテーシヨン

 リハビリテーションが,高齢者問題を機に脚光を浴びて社会的に認知されたかのような印象があるが,医療のなかではどうであろうか.大学病院はじめ大きな病院でも,リハビリテーションが独自に外来や入院ベッドをもっているところはごく少ない.一般病院ではセラピストの数は少ないし,専門職種もすべてそろっているわけではなく,早期リハビリテーションも十分に行われている病院も少ないといった状態である.これらの問題は,リハビリテーション医だけのものではなく,リハビリテーション専門職全体の問題点でもあるが,そういった自覚をもつ専門職種は残念ながら少ない.セラピストは働く場が確保されていればよいといった意識なのだろうか.リハビリテーションが医療にしっかりとした立脚点をもたなければ,やがてはリハビリテーション関連職種すべてが専門性を失いかねないと考えている.

 リハビリテーションという言葉だけが一人歩きして無制限に拡大解釈し,そのすべてをわれわれの領域と勘違いしてはならない.少なくともリハビリテーション医師は,リハビリテーション医療の適応と限界を明確にする必要がある.ここではリハビリテーション医療が抱える問題とリハビリテーション医の対応,リハビリテーション医の教育・育成の問題に絞って考えたい.

理学療法士 奈良 勲
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はじめに

 戦後,わが国の疾病構造は医学などの急速な進歩によって大きく変化した.その結果,平均寿命は50年間の間に30歳以上伸び世界一の長寿国となったが,同時に要介護状態となる高齢者も急増している.また,ライフスタイルの変化により成人病(生活習慣病)が増加し,脳卒中後遺症などによる障害高齢者も増えている.都市化に伴う家族構成や居住環境の変化,女性の社会進出といった社会構造の変化は,従来の家族をはじめとした共同体による障害者の介護を困難にさせている.これらの問題に取り組むには関連領域との連携プレーが不可欠である.本稿がその一助になれば幸いである.

作業療法士 寺山 久美子
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 「日本作業療法士協会平成11年度主要目標」(案)より

 社団法人日本作業療法士協会(以下,協会)はほぼ10年を見通した「長期活動計画」を策定し,その計画のもとに体系的な活動を展開してきている.現在進行中のものは,「第2次長期活動計画」(1991-2000年)で,1996年には医療法改正,介護保険制度,障害者プランの進行など,激変する保健医療福祉界の動きに対応して大幅な修正を行い,また,年度毎に小幅な見直し修正をしつつ今日に至っている.この協会グランドデザインのもとに年度毎の主要目標を設定し,事業展開に優先順位やメリハリをつけ,協会内外の当面のニーズも汲み取る活動を心がけてきた.したがって,協会主要目標をみると,日本の作業療法士の今の問題意識や課題を読みとることができる.

 平成11年度のものは現時点では理事会で審議中の段階であるが,ほぼ以下の6項目に固まりつつある.

言語聴覚士 柏木 敏宏
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はじめに

 言語聴覚士法が平成10年9月1日に施行された.昭和38年,理学療法士と作業療法士の法制化の動きとともに始まった資格法制化の議論にようやく決着を見た.関係各位のご尽力,ご協力に改めて感謝申し上げる次第である.本稿では,言語聴覚士法の特徴を概説し,言語聴覚療法の普及,発展のために早急に整備が必要な問題のいくつかを論じる.

義肢装具士 田澤 泰弘
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はじめに

 リハビリテーション医療の普及とリハビリテーション医学の進歩により,医療技術者に,より高度な専門性が要求されるようになった.このような環境のなかで義肢装具士の果たす役割も大変重要になり,社会的にも義肢装具の専門家の国家試験制度が必要となって,義肢装具士法が誕生した.昭和62年5月21日に衆議院本会議で,また同27日の参議院本会議にて義肢装具士法案が可決された.翌昭和63年10月に第一回の国家試験が始まり,現在まで2,428名の義肢装具士が誕生している(表).

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はじめに

 リハビリテーション領域における看護婦の専門性については,以前から論議されている.リハビリテーション看護婦(士)はスペシャリストなのか?ジェネラリストなのか?という両面からの論議である.

 現代リハビリテーションの思想がわが国に導入されて半世紀近い.その歴史的背景や看護教育の経緯からみてみると,結核のサナトリウムや精神科領域での看護には確かな独自性があり,高い看護の専門性がうかがえる.

 1964年の東京パラリンピックや,1981年の国際障害者年などでの理念の1つであるノーマライゼーションの考え方の普及によって障害者に対する接し方や考え方に大きい変化が見られるようになった.このような歴史の流れのなかでリハビリテーション専門病院が新設され,当初は現在ほど施設基準は厳しくなく,看護婦の数も少ないながら慢性・回復期の看護を主体的に実践してきた経緯がある.リハビリテーションという言葉は使用せずともリハビリテーション看護そのものを行っていたわけである.

 1989年(平成元年),学術交流を目的として日本リハビリテーション看護学会を創設し,10年目の今日,会員数2,360人になった.現在,年1回の研修会と学会を開催し,リハビリテーション看護の質の向上をめざしている.この10年間の発表演題数は256題,そのうち約50%がADLに関したものであった.会員の専門志向は増す方向にあるが,以下,会員の一人である石鍋氏の論文「リハビリテーション看護の『専門的機能』と『専門的技術』の検討」を参考に私見を述べてみたい.

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はじめに

 ソーシャルワーカーの現状と課題を述べるには資格問題を避けることはできない.過去,本誌において,長谷川によって論じられているが1),資格制度に対してはさまざまな意見があり,統一意見を出すことが困難な状況にある.本論では,前記論文の後,今日までの数年間の経過を概説し,今後の課題についての私見を述べるにとどめたい.

 ソーシャルワーカーの資格に関して,1997年以降大きな変革があった.一つは社会福祉士の規制緩和,もう一つは新たな国家資格である精神保健福祉士の創設である.

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 リハビリテーション工学とは

 この特集で取り上げている職種のなかで,リハビリテーションエンジニアには次のような特徴がある.①リハビリテーションの現場で働いている人はきわめて少数である,②資格制度はない,③教育システムもない,④したがって職務領域が不明確であり,定義すら明確でない.

 そもそもわが国のリハビリテーション工学の発祥は,1960年代の終わりから70年代のはじめにかけて各地に開設された研究機関やリハビリテーションセンターにリハビリテーション工学部門ができたことに由来する.

巻頭言

今後10年間の私の課題 間嶋 満
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 リハビリテーション医学においては従来,主として神経・筋・骨関節系の側面から障害を捉え,治療手段の1つとして運動を用いてきました.私はこれまで,運動障害者の能力低下を呼吸・循環系の側面から捉え,運動障害者の呼吸・循環系の機能(C-R fitness)の評価とそれを改善するための運動処方の開発を行ってきました.その際のキーワードがAnaerobic Threshold(AT)でした.そして,脳卒中患者ではC-R fitnessが低下しており,その要因は運動時の1回心拍出量の低下であること,またATレベルでの運動がC-R fitnessの改善に有効であることを報告してきました.

 ところで,運動障害者のC-R fitnessの評価に際して施行される運動負荷試験時に,脳卒中患者においては約10%に心電図上心筋虚血の所見が認められています.しかも,その全例で胸部症状が発現しませんでした.また,運動障害患者の血液検査成績をみていますと,高トリグリセリド血症を有する例が多いことに気付きました.脳卒中患者にみられる無症候性心筋虚血や運動障害者の高トリグリセリド血症が何故生じるのかを全く別々の方向から検討していくうちに両者の接点としてインスリン抵抗性が浮上してきました.

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 本年1月,障害者関係3審議会合同企画分科会から「今後の障害保健福祉施策の在り方について」(以下,意見書と略)が提言された.意見書では,新しい福祉サービスの利用制度のあり方,障害保健福祉サービス水準の確保,利用者の保護など今後の障害保健福祉施策の目指すべき方向が示されている.

実践講座 リハビリテーションにおける画像診断

4.脊髄損傷の画像診断 柴崎 啓一
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はじめに

 脊髄損傷の診断に当たっては,まず,受傷機転の聴取,および全身および四肢の理学的所見の詳細な観察により,臨床像を把握することが肝要である.受傷機転の詳細な聴取によって脊椎・脊髄損傷の概要を推測できる場合が少なくない.また,全身状態を観察する際には,合併した他臓器損傷を検索すると共に,頭・頸部あるいは背腰部の挫傷などの存在を確認することにより,受傷機転並びに損傷の概要が推測できる場合が少なくない.ついで,四肢の運動および知覚機能などの神経症状に関する詳細な検索では,肛門周囲の知覚と肛門括約筋反射を必ず検索し,四肢麻痺例についての呼吸状態の観察も頸髄損傷高位の診断および全身管理に際して重要である.

 脊髄損傷の原因の大半は転落事故などによる鈍力損傷であり,一部の例外的な症例を除けば脊椎損傷を伴っている.このため,脊髄損傷に合併した脊椎外傷に関して,限局性圧痛,脊柱変形あるいは異常可動性などの病的所見を検索することも不可欠である.

 しかし,脊髄損傷例の詳細な病態把握には各種の画像診断法による検索も欠かすことができない,従来は脊髄損傷例に対する画像診断法としては,各種のX線学的検査法を体系的に行って,損傷脊椎に関する徹底的な病態把握を行い,画像所見から損傷脊髄の病態を推測していた.近年,損傷脊髄自体の病態を画像として描出できるMRIの普及とともに,脊椎・脊髄損傷に対する画像診断法への取り組み方も変化してきている.現在ではMRIが脊髄損傷に対する中心的な画像的診断法として採用され,損傷脊髄の病態把握はもとより,治療法選択にも不可欠の検査法となっている.

 以下,脊髄損傷例に対して国立療養所村山病院で行っている画像診断法の概要を紹介する.

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はじめに

 日本人のほとんどは入浴が習慣化しており毎日入浴をし1),その入浴方法は頸部まで浸かる全身高温浴に約10分間入るものである.この全身高温浴はヒトの体温調節系と心血管系に大きな影響を及ぼすため2-4),心筋梗塞や脳血管障害の誘因になり得ることが報告されている5).そのため,入浴中の事故原因を究明し,その防止策を図るための「安全な入浴法」を提言することは重要であると考えられる6-8).これまでに安全な入浴方法として,入浴時の浴室環境温と湯温の差を少なくすること,入浴時間を短かくすることが挙げられている.具体的には湯温の低いぬるま湯に浸かること,脱衣所や浴室内の環境温を上げることが考案されている6-8)

 われわれは,これまでに38℃のぬるま湯と43℃の熱めの湯を用いて,その湯温水が循環動態と体温調節機能にどのような影響を及ぼすかを検討した9).その結果,湯温38℃の入浴は,循環動態と体温調節機能に与える影響が湯温43℃に比べて小さく,入浴終了後に暖まる温度であることがわかった9).しかし,浴室内の温度が生体に与える影響は不明である.特に冬期の入浴は外気温により冷された身体を急激に加温するため,生体への影響は大きいと予想される.

 そこで,今回は入浴時の環境温と湯温の差を軽減させる方法の一つである浴室内の環境温を加温することが,入浴時のヒトの循環動態と体温調節機能にどのような影響を及ぼすのかを知るために,浴室を28℃で加温した状態での入浴と,冬期の浴室の平均温である14℃の環境温での入浴を比較検討した.

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はじめに

 平成9年4月からの難病患者福祉推進事業の施行に伴い,地域においてホームヘルプ,日常生活用具給付などの支援が可能となった.このような事業を機能的に推進するためには,地域で生活する難病患者が日常生活を営むうえで問題となる日常生活活動(activities of daily living;ADL)や能力障害(disability)を適切に評価することが必要である.現在わが国では在宅患者のADLの評価には,厚生省「障害老人日常生活自立度」判定基準(以下,厚生省判定基準)1)が用いられることが多い.しかし,これは移動と身辺処理からなる基本ADL(basic ADL)の評価ではないため,更衣や整容などの動作が自立しているか否かといったADL領域の個々の評価が不可能であり,在宅で生活するうえで問題となる能力障害が明確になりにくかった.

 一方,代表的な基本ADL評価として汎用されているBarthel Index2)は,在宅における評価が全項目自立と判定されても,必ずしも自立生活可能を意味しないことがある.このような背景から,家事遂行や金銭管理などの手段的日常生活活動を含めた尺度である拡大ADL尺度3)が開発され,在宅脳卒中患者に対する有用性については報告されているが4),在宅の難病患者についての検討は未だ行われていない.また,ADLのみならず,日常生活にかかわる広範な能力障害の評価尺度として開発された英国人口統計情報局社会調査部による評価5)(OPCS disability instrument,以下OPCS)は,イギリスでは障害者に対するケアプランに用いられているが,本邦での使用の報告は少ない.

 本研究は在宅神経筋難病患者を対象に,厚生省判定基準,Barthel Index,および拡大ADL尺度のADL評価尺度と,OPCSによる能力障害の評価尺度を用いた評価を実施し,各評価尺度の特徴を明らかにすることを目的とした.

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はじめに

 構音障害の臨床研究のなかで,精神遅滞を伴う脳性麻痺児に関する報告1)は少ない.近年では,補助的・代償的コミュニケーション手段の獲得やAAC(Augmentative and Alternative Communication)の利用を促す援助・研究に重きが置かれているように思われる.しかし,脳の可塑性と言語獲得の臨界期学説2),および発声発語運動制御技能(speech motor control skill)が成人並みに達するのが思春期である3)ということなどを考慮すると,対象児に構音訓練を行える可能性のある場合,その効果が得られやすい適切な時期と,障害および発達の状態を踏まえた訓練方針や方法を工夫・検討し,援助を試みていく必要があるのではなかろうか.

 重度・重複脳性麻痺児はコミュニケーションをとろうとすることにより緊張を高めてしまう場合が多く,何らかの方法で緊張をほぐしながら発声・発語へと誘導していく必要がある4).そこで,われわれは全身および口腔周辺筋のリラクゼーションを併用することにより,構音訓練のレディネスを高めたいと考え,構音へのアプローチの直前に呼吸および口腔周辺筋の弛緩訓練を実施することとした.

 以上を踏まえ,精神遅滞を伴う12歳代の重度の脳性麻痺児に構音訓練を試みたので報告する.

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はじめに

 脳血管障害患者における嚥下障害はさまざまな種類,程度にわたって認められ,臨床的な評価には嚥下ビデオレントゲン検査(以下,VF検査1))が不可欠である.しかし,VF検査で誤嚥を認めない患者のなかに,誤嚥性肺炎を疑わせるような発熱を頻発する場合も見受けられる.このような患者では,夜間睡眠中の唾液の不顕性誤嚥が原因と考えられるが,それを診断することは非常に困難である.

 われわれは,このような場合に嚥下シンチグラフィ(以下,嚥下シンチ)を利用することで,非侵襲的に唾液の不顕性誤嚥を評価できた慢性期脳血管障害の2症例について,嚥下シンチの所見ならびに臨床経過を報告する.

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はじめに

 脳血管疾患では何らかの後遺症が残ることが多く,それが重度の場合には本人だけではなく介護に当たる家族にとっても大きな心身の負担となり,経済的にも制約を受けることが多い.近く公的介護保険制度が導入されることになり,在宅医療はさらに推進されるものと予想されるが,脳卒中患者の在宅介護の状況については詳細な調査報告は少なく,またあっても比較的限られた対象で行われているのでその実態については明らかでない点が多い1-8)

 そこで,われわれは脳卒中発作により急性期に入院した患者の,退院後の家庭における介護の状況と就業状態について調査を行ったので報告する.

一頁講座 脳卒中の装具

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 特徴

 ラチェット式膝継手(いわゆるStep Lock式膝継手)は,Orthotic Technical Supply社製のラチェット機構を備えた膝継手であり,膝関節の完全伸展までに9段階での自動ロックがかかる仕組みを持っている.図1のようにレバーを下げると屈曲方向に対してロックのかかる状態となり,伸展した膝関節角度からの屈曲が制限される.ロックの解除はレバーを上げることにより行われ,膝関節の屈曲方向への動きが自由となる.

 長下肢装具にStep Lock式膝継手を付けることの利点としては,ring lockやdial lockに比べて自力でのロックが容易であること,膝関節屈曲位からの立ち上がり動作によって自動ロックがかかることなどが挙げられる.また,多段階に伸展位でロックすることができるので,膝関節に屈曲拘縮があったり,下肢の痙縮により屈曲位を取りやすい症例では,訓練中に徐々に膝関節を持続伸張させる目的で使用することも可能である.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 フェリーニの「道」を見たとき,完璧な映画をひとつ挙げなさいと問われた時の答だと思った.完璧さという意味でこれ以上のものはない.この作品のモチーフは,“魂の覚醒”だと言われている.軽度の知的遅れがあるジェルソミーナが,大道芸人ザンパノとの旅の過程でいろいろな人と出合い,さまざまな体験をするのだが,そのことによって“魂の覚醒”がもたらされるのだ.ラストは,ジェルソミーナを失ったザンパノの“魂の覚醒”.

 そんな“魂の覚醒”という言葉を思い出させたのが,あのシャロン・ストーンが肢体障害児の母親役ということで話題になった「マイ・フレンド・メモリー」(監督/ピーター・チェルソム).

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 坂口安吾の『白痴』(昭和21年)は,戦時下における場末の小工場とアパートにとりかこまれた商店街を舞台にした短編だが,この荒廃した街の最大の人物は,主人公の隣りに住む「気違い」だった.彼は,相当な資産家なのだが,そんな彼がわざわざこんな路地を選んで家を建てたのも,「泥棒乃至無用の者の侵入を極度に嫌った結果」だった.彼の家の玄関は,門と正反対の裏側にあって,グルリと建物を廻らないと辿り着くことができない構造になっていた.彼は,「浮世の俗物どもを好んでいない」のである.

 彼の年齢は30歳前後で,万巻の読書に疲れたような顔をしていた.防空演習があった時,彼は,「着流し姿でゲタゲタ笑いながら見物していた」が,俄に防空服装に着替えたかと思うと,バケツをひったくって奇妙な声をかけて水を汲んだり投げたりした.そして,梯子をかけて塀に登り,屋根の上から,演説を始めたのである.

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 秋田県リハビリテーション研究会は平成10年11月現在,医師84名,看護職48名,理学療法士81名,作業療法士38名,言語療法士9名,義肢製作者10名,医療ソーシャルワーカー・介護福祉士,他22名,リハビリテーション機器販売関係者9名で構成されている.これまで研究会は年2回の割合で開催され,内容は一般演題と特別講演からなっている.

 今回の研究会では特別講演の講師として日本リハビリテーション看護学会副会長の半田幸代先生にお願いし,「リハビリテーション医療における看護の役割―チームメンバーとしての専門性」という演題でご講演頂いた.リハビリテーション看護婦のチームのなかでの位置づけ,心がけるべきこと,などについてのわかりやすいお話で,各リハビリテーション専門職種にとって有用な講演であった.

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文献抄録

編集後記
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 ・職場に新人を迎え,あるいは新人として新職場に入り,あちこちが活気に溢れ,窓から外を見れば桜が満開でとてもいい季節です.

 ・今月はリハビリテーション関連職種の特集です.リハビリテーションは初期治療から訓練,療育を経て,学校・職場,家庭,地域社会への復帰を最終目標として,それらの個々の過程にさまざまな職種が関わり合ってアプローチをしていく実践的な学問です.日頃,一緒に仕事をしていながらもお互いの大きなところでの(職域集団としての)現状とか問題にはあまり関心がないものですが,この機会にちょっとだけでもその辺に目を向けるのもいいかと思います.全体的にはとくに医療保険制度改革や社会福祉基礎構造改革と関連して個々には枠組みや概念,教育・研修制度等々の変革が否応なしに迫られており緊急にやらなければならないことが山積しています.読んだのはいいけれどお花見気分が吹っ飛んでしまったなんてことのないように,まずお花見をしてから読みましょう,お互いの悩みを分かち持つやさしさが大事です.

基本情報

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総合リハビリテーション
27巻4号 (1999年4月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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