Japanese
English
症例報告
精神遅滞を伴う脳性麻痺児に対する構音訓練の試み
Articulation Therapy for Cerebral Palsy with Mental Retardation: A Case Report.
見上 昌睦
1,2
,
田口 憲司
3
Masamutsu Kenjo
1,2
,
Kenji Taguchi
3
1共栄学園短期大学社会福祉学科児童福祉学専攻
2福岡教育大学障害児教育科
3筑波大学附属桐が丘養護学校
2Department of Special Education, Fukuoka University of Education
3Kirigaoka School for Physically Handicapped Children and Youths, Attached to Tsukuba University
キーワード:
精神遅滞
,
脳性麻痺
,
構音訓練
,
親指導
Keyword:
精神遅滞
,
脳性麻痺
,
構音訓練
,
親指導
pp.367-371
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108953
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はじめに
構音障害の臨床研究のなかで,精神遅滞を伴う脳性麻痺児に関する報告1)は少ない.近年では,補助的・代償的コミュニケーション手段の獲得やAAC(Augmentative and Alternative Communication)の利用を促す援助・研究に重きが置かれているように思われる.しかし,脳の可塑性と言語獲得の臨界期学説2),および発声発語運動制御技能(speech motor control skill)が成人並みに達するのが思春期である3)ということなどを考慮すると,対象児に構音訓練を行える可能性のある場合,その効果が得られやすい適切な時期と,障害および発達の状態を踏まえた訓練方針や方法を工夫・検討し,援助を試みていく必要があるのではなかろうか.
重度・重複脳性麻痺児はコミュニケーションをとろうとすることにより緊張を高めてしまう場合が多く,何らかの方法で緊張をほぐしながら発声・発語へと誘導していく必要がある4).そこで,われわれは全身および口腔周辺筋のリラクゼーションを併用することにより,構音訓練のレディネスを高めたいと考え,構音へのアプローチの直前に呼吸および口腔周辺筋の弛緩訓練を実施することとした.
以上を踏まえ,精神遅滞を伴う12歳代の重度の脳性麻痺児に構音訓練を試みたので報告する.
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