巻頭言
今後10年間の私の課題
間嶋 満
1
1埼玉医科大学リハビリテーション医学教室
pp.299
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108940
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リハビリテーション医学においては従来,主として神経・筋・骨関節系の側面から障害を捉え,治療手段の1つとして運動を用いてきました.私はこれまで,運動障害者の能力低下を呼吸・循環系の側面から捉え,運動障害者の呼吸・循環系の機能(C-R fitness)の評価とそれを改善するための運動処方の開発を行ってきました.その際のキーワードがAnaerobic Threshold(AT)でした.そして,脳卒中患者ではC-R fitnessが低下しており,その要因は運動時の1回心拍出量の低下であること,またATレベルでの運動がC-R fitnessの改善に有効であることを報告してきました.
ところで,運動障害者のC-R fitnessの評価に際して施行される運動負荷試験時に,脳卒中患者においては約10%に心電図上心筋虚血の所見が認められています.しかも,その全例で胸部症状が発現しませんでした.また,運動障害患者の血液検査成績をみていますと,高トリグリセリド血症を有する例が多いことに気付きました.脳卒中患者にみられる無症候性心筋虚血や運動障害者の高トリグリセリド血症が何故生じるのかを全く別々の方向から検討していくうちに両者の接点としてインスリン抵抗性が浮上してきました.
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