臨床眼科 71巻11号 (2017年10月)

増刊号 眼科基本検査パーフェクトガイド—理論と実技のすべてがわかる

序文 鈴木 康之
  • 文献概要を表示

 2017年の『臨床眼科』増刊号は「眼科基本検査パーフェクトガイド—理論と実技のすべてがわかる」と題して検査を特集することといたしました。前回増刊号で検査を特集したのは1998年ですので,約20年ぶりになります。その間,多くの新しい検査が現れ,一部は消えていきました。また,検査機器にもいろいろな新機能や新たな解析などが搭載され変化してきています。これらの変化にキャッチアップしていくのはもちろん大事なことで,本増刊号の大きな目的の1つです。

 一方,本増刊号の特徴として眼科検査における新しい変化に対応するだけでなく,「実際に検査ができる」「実際に検査を活用できる」ということを重視いたしました。眼科診療の分野で分業が進み,眼科医の多くはほとんどの検査を視能訓練士などのパラメディカルに施行してもらうことが一般的になっていると思います。視力検査や屈折検査はもちろんのこと,眼底写真撮影,蛍光眼底撮影,動的視野検査,静的視野検査,OCT,角膜形状検査,超音波検査,ERG,VEPなど,すっかりパラメディカルに依存してしまっている先生も少なからずいるのではないでしょうか。当然,眼位検査や両眼視機能検査,調節・輻湊検査などは視能訓練士ならびに斜視・弱視の専門医に丸投げしている先生も多いでしょう。手術などの治療法と同様,検査においても紙の上の知識だけではどうしてもよくわからない部分が出てくるのは必定であり,実際に検査が施行できることは眼科診療において非常に重要なことだと思います。

Ⅰ 眼科検査の理論と実技

視力検査 魚里 博 , 中山 奈々美
  • 文献概要を表示

理論編

視力検査の目的

 裸眼視力,矯正視力を調べる。視力障害となる眼疾患のスクリーニングのみならず,屈折異常の定量や視力矯正具の選定,手術適応の判定などに用いる。

  • 文献概要を表示

理論編

検査の目的および種類

屈折検査の目的

 屈折検査には自覚的屈折検査(視力検査)と他覚的屈折検査がある。本稿では,他覚的屈折検査について述べる。他覚的屈折検査は,眼科臨床における最も基本的な検査である。他覚的屈折検査の目的はさまざまである。例えば,自覚的屈折検査や視力検査を行う際に参考値を得るための検査,乳幼児における調節麻痺下での値を得るための屈折検査,内眼手術前後の屈折値変化を把握するための検査,三歳児健診における弱視の早期発見のためのスクリーニングなどが挙げられる。

  • 文献概要を表示

理論編

はじめに

 現在の角膜形状測定装置は,角膜前面のみの解析であるプラチド写真をもとに解析を行う装置と,光学断面を撮影して角膜の高さ情報を取得し,角膜前後面の解析が可能な装置に大別できる(表1)。前者にはオートケラトメーターやプラチド式角膜形状解析装置が属し,後者は原理にスリット光を使用したものはスリットスキャン式角膜形状解析装置,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)を使用したものは光干渉式角膜形状解析装置と呼ぶ。角膜形状解析の目的は,角膜曲率半径の測定,角膜形状異常の判定,角膜不正乱視に対する評価の3つである。本稿では,それぞれの角膜形状解析装置における原理と適応を述べる。

小児視力検査 後関 利明 , 松井 孝子
  • 文献概要を表示

理論編

はじめに

 小児の視力検査は,児の年齢によって検査方法が異なるだけでなく,児の成長・発達時期で正常値が変化することが成人と異なるポイントである。そして視力検査は自覚的検査である。新生児では反射や他覚的検査がメインとなり,成長によって自覚的検査が可能となる。また児にとって検査は興味がないことが普通で,非協力的である。そのため,検査に集中できないことも多く,1回の検査結果で正常,異常と判断することが難しい。視覚が発達途上の小児は成人と異なる要素をもっていることを意識し,乳幼児向けの検査設備がなくても患児がやってきたときには何らかの形で検査に臨まなくてはならない。全身的,また視覚的な発達を意識し検査を行う。

IOL検査 須藤 史子 , 島村 恵美子
  • 文献概要を表示

理論編

IOL度数計算の目的と現況

 水晶体再建術は,挿入する眼内レンズ(intraocular lens:IOL)の度数で術後屈折値を新たに設定することができる。患者が希望しない術後屈折値は患者にとって満足を得られず,術後合併症となる。

 術後屈折誤差の要因は,超音波Aモード法の時代は過半数が眼軸長測定ミスといわれていたが,光干渉眼軸長測定装置の普及により術前生体計測の精度は大きく向上し,今は術後IOLの位置予測の問題が大きいとされる。IOLの位置は術後前房深度(effective lens position:ELP)として仮定されるが,これは度数計算式により左右され,ELPを適合させるための変数がIOL定数である。したがって,IOL度数計算で最も基本かつ重要なことは以下の3つに集約される。それは,①眼軸長と角膜屈折力の生体計測の精度を上げる,②適切な計算式を選択する,③最適なIOL定数を使用する,の3点である1)

  • 文献概要を表示

理論編

眼位・眼球運動検査の目的

 間欠性外斜視では,斜位を保っているときには眼位は正位であり,一見斜視に見えない。内斜視も外見上あまり目立たない。上下斜視はさらに目立たない。そのため,眼位異常は交代遮閉試験などを用いて検査しなければ検出できないことも多い。強い複視の訴えがあるにもかかわらず斜視の診断に至らず,長い間,複視に悩まされていた患者も少なくない。眼球運動も神経支配を考えながら診る習慣をつけ,眼位と眼球運動に相関を見いだし,診断へ導くことが重要である。

  • 文献概要を表示

理論編

調節・輻湊検査の意義

 本検査は視機能で最も大切な近見反応を検査するものである。近見反応は輻湊・調節・縮瞳の三要素から成り立っており,それを惹起する3つの刺激(手掛り)として両眼視差,像のボケ,拡大がある(図1)。それらの運動の潜時をみると,輻湊,調節,縮瞳の順であり,前二者がその主体を占め,両者はクロスリンクしている。この近見反応により両眼立体視,奥行き感,遠近での距離における明視など,QOVが成立する。

 近見反応を詳細にみると,その働きは輻湊-開散,調節緊張-調節弛緩,縮瞳-散瞳の両相がいずれも受動的でなく,能動的に正確かつ十分に働くことが必要である。

両眼視機能検査 半田 知也 , 戸塚 悟
  • 文献概要を表示

理論編

両眼視機能検査の目的と種類

 両眼視とは,左右眼に別々に映った視物を大脳の後頭視覚中枢において同時に両眼で見ている状態を示す1)。両眼視が正常な場合は左右眼のそれぞれに映った視覚情報を後頭視覚中枢において融像(両眼融像)することで単一の視覚情報として知覚(両眼単一視)できる。左右眼からの視覚情報は左右眼の解剖学的位置ズレ(瞳孔間距離)に依存して,異なる方向から捉えられた水平方向にわずかなズレ(両眼視差)をもつ視覚情報である。両眼視差が後頭葉視覚中枢において検出されることによって両眼立体視を得られる。一方,両眼視に障害が認められる場合は両眼単一視が得られず,正常な立体視を得ることはできない。両眼視機能検査は,日常生活では自覚しにくい両眼視機能を機能分割して各種評価する。両眼視機能検査は,自覚的応答が可能な乳幼児から高齢者までが対象であるが,斜視・弱視患者の診断,小児の視覚発達評価を中心に,屈折矯正手術の術前・術後の視機能評価などにも用いられる。

色覚検査 中村 かおる , 田中 芳樹
  • 文献概要を表示

理論編

色覚異常の混同色

先天色覚異常

 正常色覚には異なって見える色が,色覚異常では類似の色に見える現象を混同色あるいは仮性同色という。2色覚のこのような混同色は,国際照明委員会(Commission Internationale de l'Eclairage:CIE)のxy色度図上では混同色軌跡で表される(図1)1)。特に白色光と区別できない色光の波長は,1型2色覚では495nm,2型2色覚では500nm付近にあり,これを中性点という。また,1型色覚では長波長側の視感度が低い2)。主な混同色は,赤と緑,橙と黄緑,茶と緑,青と紫,緑と無彩色,ピンクと無彩色などである3)。異常3色覚でも頻度は低いが,同様の混同を示す。色覚検査表は,この混同色理論を利用して作成されている。

  • 文献概要を表示

理論編

眼圧検査の目的

 眼圧(intraocular pressure)は眼球内圧が大気圧に対してどの程度高値になっているかを表し,mmHgの単位で評価される。眼圧は毛様体無色素上皮からの房水産生と隅角からの房水排出量によってコントロールされ,強度の高眼圧は角膜混濁,充血,眼痛,虹彩炎,および急性緑内障として急激に進行する視神経乳頭の圧迫による視神経障害をきたし,慢性的な軽度〜中等度の高眼圧は徐々に進行する視神経障害をきたす。一方,低眼圧は低眼圧黄斑症,脈絡膜剝離,角膜のデスメ膜皺襞などを起こして,視力低下をきたす。眼圧検査は眼科診療でのルーチン検査の1つであり,被検眼の眼圧値の評価や異常な高眼圧・低眼圧の検出,および各種レーザーや手術などの侵襲による眼圧変動の評価,緑内障治療における眼圧下降効果の評価のために行われる。

隅角検査 森 和彦 , 丸山 悠子
  • 文献概要を表示

理論編

隅角検査の目的および種類と使い分け

 隅角検査は房水流出路である隅角を観察する検査であり,緑内障病型診断や治療方針決定,手術後の房水流出路の評価など,緑内障の日常診療に必要不可欠な検査である。基本は接触式隅角鏡を使用した細隙灯顕微鏡下での観察であるが,その他の検査法として超音波を用いた接触式の超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicroscopy:UBM),非接触式の前眼部光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)などの前眼部画像解析装置を用いた方法がある。図1に各種隅角検査の特徴,図2に前眼部画像解析装置の比較を示す。隅角鏡による検査はどちらかといえば定性的であるのに対し,UBMや前眼部OCTは定量的検討が可能である。一方,前眼部解析装置による隅角検査は断面像もしくは再構成画像であり,動的検査や微細な異常所見を捉えることは困難である。隅角には緑内障以外でも種々の異常所見が出現する疾患も多く,隅角鏡による隅角検査は眼科基本検査の1つであるといえる。

視野検査 庄司 信行 , 平澤 一法
  • 文献概要を表示

理論編

視野検査の目的

 視野とは,視線を固定した状態で見える範囲を指す。視野の内部は視感度が異なり,感度を高さとした立体的な表現は「視野の島」として知られている1)。この立体的な感度分布において,地図の等高線にあたるものを等感度線(イソプター)と呼ぶ1)。視野検査の目的は,この視感度の分布を定量的に測定し評価することである2)。視野異常はさまざまな疾患で生じることが知られており,その位置や形状などによって障害部位の特定が可能になることが多く,視野検査は診断的な価値の高い検査である。しかし,視標の大きさや,視標と眼の距離,視標や背景の輝度,視標の色,瞳孔径などにより結果は異なる。視野の結果を比較する際には,これらの条件を一定にする必要がある。

涙液検査 横井 則彦 , 出口 英人
  • 文献概要を表示

理論編

涙液検査の目的

 涙液は,眼表面の構成要素であり,瞼裂部を覆う涙液層とメニスカスに貯留する涙液に分けることができる。眼科一般診療において,涙液検査といえば,涙液の量あるいは質を調べる検査を指し,涙液の質の検査としては,涙液層の安定性の検査が最も重要である。

 涙液検査は,ドライアイをはじめとする眼表面疾患や流涙症の診断あるいはそれらの病態把握や治療の選択に不可欠であり,流涙症においては涙液量の検査が,ドライアイにおいては角膜上の涙液層の安定性の検査が最も重要な検査となる。

  • 文献概要を表示

理論編

OCT検査の目的・対象

 光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は,非侵襲的に眼底の断層像をイメージングする機器である。近年OCTが実臨床の場に広く普及し,今やOCTなしで高い診療レベルを維持するのは困難となった。

 従来のOCTでは網膜の構造を定性的・定量的に評価することが目的であったが,ハードウェア・ソフトウェアの進歩により,硝子体・脈絡膜・強膜・網膜血管まで描出可能となり,最新のOCTでは眼底のさまざまな組織構造を評価することができる1)

  • 文献概要を表示

理論編

検査の対象と目的

対象

 緑内障,視神経乳頭陥凹,高眼圧,緑内障疑い,乳頭の判定が困難な症例などが対象となっている。

  • 文献概要を表示

理論編

眼底カメラ,超広角走査レーザー検眼鏡

目的

 眼底検査に並行して,経時的な眼底所見の変化を確認・記録するため,複数の医療者とディスカッションするため,または診断や研究において定量的・客観的に分析するために眼底写真を撮影する。また,オプトス社の超広角走査レーザー検眼鏡(scanning laser ophthalmoscope:SLO)装置は疑似カラー撮影ではあるが,必要最小瞳孔径が2mmで眼底の200°の広範囲が約0.3秒と短時間で撮影可能であり,散瞳ができない状況や散瞳不良の症例での眼底評価目的に有用である1)(図1)。

ERG 島田 佳明 , 上田 伊代
  • 文献概要を表示

理論編

ERGの目的

 網膜電図(electroretinogram:ERG)は,網膜に生じている電圧の光刺激による変動を記録したもので,網膜機能を他覚的に評価できる。発見から150年,研究がノーベル賞を受賞して50年を経過した歴史的研究対象/臨床検査で,現在も発達を続けている1,2)

EOG・VEP 新井田 孝裕 , 鈴木 賢治
  • 文献概要を表示

理論編

EOG

検査の目的

 眼電位図(electro-oculogram:EOG)は眼球運動を利用した眼球常在電位の間接的記録法で,網膜,特に色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)の機能を評価する際に用いられる。

超音波検査 国松 志保 , 三嶋 弘一
  • 文献概要を表示

理論編

検査の目的

 後眼部の評価にあたっては,光干渉断層計や光学的眼軸長測定装置の登場により,非侵襲的に,短時間で,定量的なデータを得ることができるようになったが,角膜混濁・白内障・硝子体出血による眼底透見困難例ではレーザー光が到達できないと測定不可能となる。超音波検査では,眼底透見困難例でも検査可能であり,眼内異物の有無や,腫瘍の大きさを測定するにも必要不可欠な検査である。

CT・MRI 増田 洋一郎
  • 文献概要を表示

理論編

CT・MRI検査の概要

 コンピューター断層撮影(computed tomography:CT)(図1)は,X線断層撮影によって得られた画像をコンピューターで再構成することによって身体の断面を画像化することができる。また,造影剤を注入し,病巣の明確化と血流のある血管を描出することが可能である。磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:MRI)(図2)は,磁場の変化を体内に及ぼすことにより,身体の水素原子の挙動変化をコンピューターで再構成することで身体の断面を画像化することができる。CT同様,造影剤により病巣の顕在化を測ることができる。また,磁気共鳴血管撮像(magnetic resonance angiography:MRA)は,造影剤なしで血流のある血管を3D画像化することができ,血管異常を検出することが可能である。CT・MRIにはそれぞれ利点と欠点があり,検査をするうえでそれぞれの特徴を知ることが重要である。

Ⅱ 検査の診断・治療への活用法

  • 文献概要を表示

 本稿では,角膜炎の診断・治療に関する各種検査を診察の流れに沿って解説する。

 角膜の生理機能は,①透明で外界の光を眼内に導くこと,②網膜に焦点を合わせるために眼球全体の2/3の屈折力を担っていること,③眼瞼,涙液,結膜などのオキュラーサーフェスを構成する組織と一体となってその機能が維持されることである。また,角膜は透明で血管成分がないのが特徴である。

  • 文献概要を表示

 涙道疾患には,先天的要因,退行性変化,腫瘍,感染,外傷などさまざまな原因が関与している。これらの病態は涙道と関連する限り,流涙を主訴とすることが大部分であるため(表1),流涙の原因を鑑別することが,診断・治療の前提となる。

 本稿では,流涙を鑑別するための検査方法および実際の組み合わせ方について述べる。

  • 文献概要を表示

 近年の白内障手術は,術式の進歩やデバイスの改良により,良好な視機能が安全に得られるようになった。しかし,同時に患者の術後視機能に対する期待値も高くなっている。ゆえに術前の評価をおろそかにすると,術後に思わぬ落とし穴に嵌まることになる。本稿では,白内障の診断および治療に関する検査について,術前後の評価を含めて解説する。

  • 文献概要を表示

 緑内障疫学調査(多治見スタディ)において,緑内障の新規発見率は約9割であることが判明し1),積極的に眼科を受診する,あるいは人間ドックを受けない限り,緑内障は(進行例を除いて)早期に発見することが困難な疾患であるといえる。医療サイドとしては,眼科での検査・診察や人間ドックの眼底写真読影にて,緑内障の存在を示唆させるような眼圧上昇や視神経乳頭陥凹拡大所見などを見逃さないようにしなければいけないが,眼圧レベルや視神経乳頭所見からすぐに緑内障と確定診断できるわけではないことに注意したい。ここでは緑内障の診断に至る一連の検査をまとめていく2)。検査は多岐にわたるため,通常は数回に分けて検査を行い,総合的な判断を下していくことが多い。

  • 文献概要を表示

 網膜硝子体疾患の診断・治療に関する検査の主な目的は,適切な治療を選択するための病態診断と,治療効果の判定にある。本稿では網膜・硝子体疾患の診断・治療に関する各種検査を診察の流れに沿って解説する。

  • 文献概要を表示

 ぶどう膜炎診療で行われる検査には,病名診断を目的とした検査,治療効果を目的とした検査,免疫抑制薬の使用に関連した検査がある。本稿では,ぶどう膜炎の診断,治療に関する各種検査を診察の流れに沿って解説する。

  • 文献概要を表示

 視神経炎の検査の目的は,①視神経に炎症が存在することを確認すること,②炎症の原因が何かを確定すること,③治療の効果を確認することにある。また,①の「視神経に炎症が存在する」は,視神経のみに病変があるのか,複合病変の一部としてのものなのか,炎症性か非炎症性かの鑑別も含まれる。一般的に,視神経のみの炎症を視神経炎と呼ぶ。

  • 文献概要を表示

眼窩・眼周囲組織にみられる眼腫瘍の症状

眼窩腫瘍が診断に至るまでのプロセス

 眼窩腫瘍の発見動機として多いのは眼球突出と眼球偏位,あるいは眼球運動障害に伴う複視などであるが,訴えとしては眼瞼の腫脹,すなわち「まぶたが腫れた」という表現のことが圧倒的に多い(図1)。あるいは,「目つきがおかしい」「顔の雰囲気が以前と違う」といった訴えのこともある。また,眼球突出によって相対的に眼瞼内反の状態となり,異物感の訴えが診断の契機となることがある。また,稀ではあるが,眼窩における血流の鬱滞により球結膜血管の拡張や蛇行,結膜浮腫のほか,腫瘍による眼球への圧迫が原因で網脈絡膜皺壁を生じたり,視神経への圧迫が視神経乳頭の腫脹やシャント血管を形成し,診断のきっかけとなる場合がある(図2)。

 一般に視神経腫瘍などを除けば,視力低下や視野障害などの視機能障害をきたすことは稀である。涙腺原発の悪性腫瘍,特に腺様囊胞癌では,知覚神経への浸潤による眼窩痛が診断のきっかけとなる。いずれにしても腫瘤が眼瞼皮膚の直下に及ぶ場合には病変を直接触知することができ,診断につながる可能性もあるが,多くは上記の臨床症状や所見をもとに眼窩CTやMRIなどの画像診断検査が行われ,臨床診断に至ることになる。

  • 文献概要を表示

 斜視・弱視診療で行われる検査には,斜視に関しては,まず診断目的の検査,次に治療を行う際の機能評価,定量評価目的の検査がある。また弱視の検査には,視力低下の原因が器質疾患によるものか弱視によるものかの鑑別診断,弱視の分類,程度の判定(治療できる弱視なのか,できない弱視なのかの予後の推定)を目的とする検査がある。本稿では斜視・弱視の診断・治療に関する各種検査を診察の流れに沿って解説する。

基本情報

03705579.71.11.jpg
臨床眼科
71巻11号 (2017年10月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

文献閲覧数ランキング(
2月11日~2月17日
)