増刊号 眼科基本検査パーフェクトガイド—理論と実技のすべてがわかる
Ⅰ 眼科検査の理論と実技
両眼視機能検査
半田 知也
1
,
戸塚 悟
2
1北里大学医療衛生学部視覚機能療法学
2北里大学病院眼科
pp.87-96
発行日 2017年10月30日
Published Date 2017/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212465
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理論編
両眼視機能検査の目的と種類
両眼視とは,左右眼に別々に映った視物を大脳の後頭視覚中枢において同時に両眼で見ている状態を示す1)。両眼視が正常な場合は左右眼のそれぞれに映った視覚情報を後頭視覚中枢において融像(両眼融像)することで単一の視覚情報として知覚(両眼単一視)できる。左右眼からの視覚情報は左右眼の解剖学的位置ズレ(瞳孔間距離)に依存して,異なる方向から捉えられた水平方向にわずかなズレ(両眼視差)をもつ視覚情報である。両眼視差が後頭葉視覚中枢において検出されることによって両眼立体視を得られる。一方,両眼視に障害が認められる場合は両眼単一視が得られず,正常な立体視を得ることはできない。両眼視機能検査は,日常生活では自覚しにくい両眼視機能を機能分割して各種評価する。両眼視機能検査は,自覚的応答が可能な乳幼児から高齢者までが対象であるが,斜視・弱視患者の診断,小児の視覚発達評価を中心に,屈折矯正手術の術前・術後の視機能評価などにも用いられる。
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