臨床眼科 71巻12号 (2017年11月)

特集 視神経炎最前線

企画にあたって 稲谷 大
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 これまで視神経炎といえば,いわゆる特発性視神経炎に行うステロイドパルスが治療の主流として用いられてきたが,たとえステロイド治療を行わなくても6か月後の視力予後には差がないというOptic Neuritis Treatment Trialの結果がよく知られてきたため,以前は視神経炎の患者に対して治療をせずにのんびり様子をみていたこともしばしばであった。その後,抗AQP4抗体陽性視神経炎の概念が登場し,重篤な視力低下をきたしている視神経炎に対しては,抗AQP4抗体陽性の症例が多数含まれており,早急にステロイドパルス治療を開始すべきという考えに移ってきている。さらに最近では,抗MOG抗体陽性視神経炎も発見され,これらの視神経炎に関連するグリア細胞や免疫細胞が明らかになってきており,学術的にも大変興味深い展開になってきている。

 視神経炎にもOCTが診断に活用されるようになり,鑑別や重症度の評価にOCTが有用であることがわかってきた。また,OCT angiographyでは,網膜の微小血管や脈絡膜の血管の様子も無侵襲で観察できるようになり,前部虚血性視神経症(AION)と緑内障視神経症との血管障害の違いがわかり,これまで鑑別が困難であった緑内障視神経症とを明確に区別できる可能性が広がってきている。

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はじめに

 視神経炎には特発性視神経炎や多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)に関連した視神経炎,抗アクアポリン(aquaporin:AQP)4抗体陽性視神経炎や自己免疫性視神経症,感染性やサルコイドーシスによる視神経炎などがある。そのうち代表的な視神経炎は脱髄が原因となる特発性視神経炎やMSに関連した視神経炎である。

 本稿では,臨床上よく遭遇する特発性視神経炎とMSの視神経炎の診断,治療,および最近の光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)やOCT angipographyによるトピックスについて述べる。

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はじめに

 虚血性視神経症(ischemic optic neuropathy:ION)は,視神経を栄養する血管の循環障害により,急激な視力・視野障害をきたす疾患である。視神経への血液供給は,主に短後毛様動脈と網膜中心動脈の枝による。すなわち,前篩状板部や篩状板部では短後毛様動脈系による血流支配であり,後篩状板部では軟膜血管叢と網膜中心動脈の枝の血流支配を受けている(図1)。臨床的に,発症後の急性期に視神経乳頭腫脹を伴うものを前部虚血性視神経症(anterior ischemic optic neuropathy:AION)と呼び,前篩状板部および篩状板部の血流障害によると考えられている。一方,急性期に視神経乳頭腫脹がみられないものを後部虚血性視神経症(posterior ischemic optic neuropathy:PION)と呼んでいる。

 IONは病因によっても,動脈炎性(arteritic-ischemic optic neuropathy:A-ION)と非動脈炎性(non-arteritic-ischemic optic neuropathy:NA-ION)に分類される。9割以上がNA-IONであり,A-IONの疾患頻度は少ない。この2つでは,治療・視機能予後が大きく異なるため,どちらによるものかを見きわめることは,臨床上非常に重要である。すなわち,非動脈炎性では有効な治療法はないが一般的には非進行であるのに対し,動脈炎性は早期にステロイド治療を開始しないと,高頻度で僚眼にも発症してしまう。本稿では,IONをA-ION,NA-IONに分けて,各IONの病因,臨床症状と診断を中心に概説する。

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はじめに

 レーベル遺伝性視神経症(Leber hereditary optic neuropathy:LHON/OMIM#535000)はミトコンドリアの点変異による急性ないし亜急性の視神経症である。典型的には片眼の急激な視力低下と中心視野欠損で発症し,数週から数か月の間隔をおいて対側眼に同様の症状をきたす。光覚を失うことは稀で,多くは手動弁から(0.01)程度の視力で経過するが,ごく少数の症例で自然回復がみられる1)

 LHONはミトコンドリア疾患のため母系遺伝し,これまで10〜20歳代の若年男性に好発するとされてきたが,近年は高齢者での発症報告例が増加してきている。本邦でのこれまでの疫学調査では,1995年にHottaら2)が11778変異の患者の発症年齢の平均値を23.4歳と報告していたが,2014年の新規発症患者を調査したところ,発症時の平均年齢は33.5歳とこの20年で10歳上がっており,40歳代以上の中高年の患者は全体の40%以上を占めていた(図1)3)。本邦ではこれまで正確な患者数も把握されておらず,統計的に予測値を算出するにとどまっていたが,2016年に指定難病となり,今後は疫学調査も進むことが期待される。

 LHONでは95%以上の症例でmtG3460A,mtG11778A,mtT14484Cのいずれかの一塩基置換が検出される。これらはprimary mutationと呼ばれるが,すべて呼吸鎖複合体Ⅰを構成する蛋白をコードしている。遺伝子変異によって複合体Ⅰの機能不全をきたし,網膜神経節細胞のアポトーシスに至ると考えられているが,なぜ網膜神経節細胞のみにこのような変化が起きるのかはわかっていない。また,発症には何らかの環境因子が酸化ストレスとして関与していると予想されており,疫学調査では喫煙や大量のアルコールの摂取がリスクファクターであることが示唆されている4)

 現在有効な治療法は確立されていないが,眼血流を改善する目的で点眼薬やビタミンBなどのサプリメントが用いられることがある。また近年,LHONをはじめとするミトコンドリア病に対しコエンザイムQ10誘導体である,イデベノンの内服が有効であるというデータが蓄積されつつある。変異遺伝子を正常のものと置き換える,または正常遺伝子を導入して呼吸鎖の機能を回復あるいは補塡する,といった遺伝子治療も試みられている。

 本稿では,主にイデベノンと遺伝子治療に関する最近の臨床試験の成績について述べる。

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はじめに

 本稿では,抗アクアポリン(aquaporin:AQP)4抗体陽性視神経炎の診断と治療について述べる。抗AQP4抗体陽性視神経炎の診断には血清抗AQP4抗体検査が重要であるが,適切に検査を行うためには,まず視神経炎を的確に診断することが重要である。抗AQP4抗体陽性視神経炎は難治性視神経症であり,急性期の治療の第一選択はステロイドパルス療法であるが,ステロイドパルス療法を行っても視機能の改善が得られない症例は多く存在する。急性期の治療にはそのほかに血液浄化療法があるが,眼科医単独では行いにくい治療方法である。本稿では,特に視神経脊髄炎および視神経脊髄炎関連疾患に対する血液浄化療法の既報における結果について考察し,また血液浄化療法にはどのようなものがあるか,血液浄化療法の副作用などについて述べる。

抗MOG抗体陽性視神経炎 毛塚 剛司
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はじめに

 特発性視神経炎は,大多数の症例でステロイド点滴療法に反応して寛解する。少数例ではあるが,ステロイド治療に抵抗性の場合もあれば,ステロイドを減量するとすぐに再発してしまう症例も存在する。特発性視神経炎は,自己免疫機序が原因となり発症に至ることが推察されており,特に特異抗体による視神経炎でその傾向が強いとされる。特異抗体陽性視神経炎では,ステロイド抵抗性である抗アクアポリン(aquaporin:AQP)4抗体陽性例に引き続き,最近,抗ミエリンオリゴデンドロサイトグリコプロテイン(myelin-oligodendrocyte-glycoprotein:MOG)に対する抗体が陽性となる視神経炎も発見された1〜3)。本稿では,抗MOG抗体陽性視神経炎において推察される病態や視力予後などについて述べていきたいと思う。

IgG4関連疾患と視神経症 高比良 雅之
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はじめに

 IgG4関連疾患とは,血清のIgG4が上昇し,全身のさまざまな臓器や器官にリンパ形質細胞浸潤病変がみられる病態である。その疾患概念は2001年のIgG4関連自己免疫性膵炎の報告1)により誕生し,また眼領域では2004年に初めてIgG4関連ミクリッツ病が報告された2)。その後の症例の蓄積を経て,2015年に本邦から公表されたIgG4関連眼疾患の診断基準では,その3大病変として涙腺,三叉神経,外眼筋の腫大が示された3)。一方,それらに比較して発症頻度は低いものの,最も重篤で留意すべき病態は視神経症である。他の視神経炎や緑内障との鑑別の観点からも,IgG4関連視神経症という病態の存在を知っておくべきである。

難治性視神経炎の全国調査 後関 利明
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はじめに

 現在,厚生労働省,日本眼科学会,日本神経眼科学会の協力のもと,難治性視神経炎診療ガイドライン委員会を立ち上げ,難治性視神経炎の全国調査が進行中である。本稿では,過去の全国調査を振り返るとともに,現在進行中の全国調査の概略について述べたい。

今月の表紙

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 症例は62歳,男性。右眼の成熟白内障手術を希望して来院された。全身疾患に不整脈があり,アミオダロン塩酸塩を来院時まで200mg/日,5年1か月22日間(計375.6g)投与されていた。受診時の視力は右15cm 指数弁,左0.1(1.2)であった。両眼の角膜下方に色素沈着を認め,Orlando分類でアミオダロン角膜症grade Ⅲ(右),Ⅱ(左)を認めた(写真は右眼)。投与から発症までの期間は不明である。

 白内障はEmery-Little分類でgrade 5(右),grade 3(左)であった。超音波水晶体乳化吸引術+眼内レンズ挿入術を行い,術後視力は両眼(1.2)を得た。角膜混濁が瞳孔領にかかっていなかったため,視力に影響しなかったと思われる。

連載 今月の話題

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 加齢黄斑変性治療の第一選択は抗VEGF治療であるが,効果不十分な際のレスキュー治療の1つとして光線力学療法(PDT)が見直されてきている。欧米人よりPDTの有効性の高かった日本人では,より積極的にPDTを抗VEGF治療に組み込むことで,早期に病状安定化をもたらせる可能性がある。

連載 熱血討論!緑内障道場—診断・治療の一手ご指南・第22回

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今月の症例

【患者】35歳,男性

【主訴】左眼の視力低下

【現病歴】2013年に左眼の霧視を訴え,近医より紹介された。左眼の角膜浮腫と高眼圧を認め,開放隅角緑内障の診断で,左眼に線維柱帯切開術を施行された。その後数年間は左眼の眼圧経過は良好であったが,2016年に再び眼圧上昇をきたした。緑内障治療点眼薬および経口炭酸脱水酵素阻害薬を使用したが,眼圧が40mmHgと高かったため,左眼に線維柱帯切除術を施行した。手術記録を図1に示す。術後にレーザー切糸は行っていない。術後1か月の間,眼圧は4〜8mmHgで推移したが,前房深度も保たれており,脈絡膜剝離もないため経過観察した。術後2か月の再診時,左眼の視力低下が改善しないことを訴えた。

連載 蛍光眼底造影クリニカルカンファレンス・第21回

網膜腫瘍 古田 実
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疾患の概要

 網膜組織に原発する主な真性の悪性/良性腫瘍は,網膜芽細胞腫(retinoblastoma)/網膜細胞腫(retinocytoma),網膜色素上皮腺癌〔retinal pigment epithelium(RPE)adenocarcinoma〕/網膜色素上皮腺腫(RPE adenoma),およびリンパ系腫瘍の原発性硝子体網膜リンパ腫(primary vitreoretinal lymphoma:原発性眼内リンパ腫)である。その他の網膜腫瘤のほとんどが奇形の一種である過誤腫(hamartoma)であり,組織の構成成分の構成比率に先天的な異常があって腫瘤を形成したものである。これには星状膠細胞性腫瘍,血管性腫瘍などがある。過誤腫は母斑症に関連して生じていることがあり,母斑症の診断に大きく貢献する。表1に網膜層別の代表的病変と合併する代表疾患を列挙する。網膜腫瘍は英語名,日本語名ともに複数の名称が存在し難解であるため,補足的に英語名も併記した。

海外留学 不安とFUN・第23回

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2012〜2014年のロンドン

 留学期間中の2012〜2014年のロンドンは特にいろんなイベントがあった期間でした,エリザベス女王の即位60周年のDiamond Jubileeに始まり,ロンドンオリンピック,ウイリアム王子誕生など,普段はニュースで見るようなことを現地で体験できたのは私を含め家族のよい思い出になっています。留学中は日本にいるときと比較にならないほど時間に余裕があり,家族で過ごせた楽しい期間でもありました。

 そんななかで,留学中のボスであるGarway-Heath教授(Ted)には毎年クリスマスシーズンには,ラボのメンバーと一緒に私の家族も自宅でのクリスマスパーティに招待いただき,家族含めてたびたび食事にも招待いただきました。帰国後の今でもARVO(Association for Research in Visual Science and Ophthalmology)に参加の際は夕食に誘っていただいたり,ロンドンに行った際には自宅での食事に誘っていただいたりと大変親切にしていただいており,今年2017の夏休みに家族でロンドンに行く予定にしているのですが,その際にも私たちを自宅へ招待してくれるとのことでとても楽しみにしています。

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要約 目的:Acute syphilitic posterior placoid chorioretinitis(ASPPC)の2例の報告。

症例:第1例は右眼視力低下で受診した53歳男性。右眼黄斑部に黄白色病巣を認めた。梅毒血清反応が陽性であり,光干渉断層計,蛍光眼底造影の所見よりASPPCと診断し,アンピシリンの内服で眼所見は軽快した。第2例は左眼視力低下で受診した54歳男性。左眼黄斑部に黄白色病変と視神経乳頭発赤を認めた。梅毒血清反応,画像検査含めASPPCと診断した。ペニシリン点滴加療で眼所見は軽快した。

結論:眼底に黄白色病巣を認めた場合,ASPPCも鑑別に入れることが重要であると考えられた。

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要約 目的:白内障術後のデスメ膜剝離に対し治療を行った6例の臨床経過を報告する。

対象と方法:デスメ膜剝離に対し,既往歴,発生時期,剝離範囲,治療,術後最高視力,術後角膜内皮細胞密度減少率について検討した。

結果:デスメ膜剝離の発生時期は核乳化吸引時1眼,皮質吸引時1眼,hydration時3眼で,残りの2眼では発生時期は不明であった。他院より紹介となった症例はPEA後5日目に治療を行ったが,他の6眼では手術終了時に初回治療が行われ,全例で前房内空気注入が行われた。術前平均視力は0.6,術後平均視力は0.9であった。平均角膜内皮減少率は42.4%であったが,最大で74.5%減少した症例もあった。

結論:早期にデスメ膜剝離を発見し,前房内空気置換にてデスメ膜の復位を得ることが予後に重要と思われた。

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要約 目的:筆者らが最近経験した眼梅毒5症例を報告する。

対象と方法:対象は5症例8眼。レトロスペクティブスタディ。

結果:全例35〜50歳の男性であり,梅毒第2期であった。2例は男性間性交渉者,3例はHIV感染を合併していた。髄液検査を行った3例すべてに神経梅毒があった。両眼性(3例),汎ぶどう膜炎(4眼)が最も多かった。所見別には虹彩毛様体炎(7眼)が最も多く,次いで視神経乳頭腫脹(6眼),硝子体混濁(5眼)が多かった。全例に駆梅を行い予後はおおむね良好であったが,黄斑萎縮を残した症例が2例あった。

結論:眼梅毒所見は多彩であり,ぶどう膜炎や視神経乳頭炎の鑑別には梅毒を念頭に置く必要がある。

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要約 目的:乳児血管腫は日本人の小児の約1%に発症する良性腫瘍である。近年βブロッカー内服の有効性が報告され,筆者らも速やかに軽快した2例を経験したので報告する。

症例:症例1は生後2か月の女児。右顔面から眼窩にかけての血管腫。初診時は腫瘤により開瞼できなかったが,βブロッカー内服により軽快し,視力左右差なく発達した。症例2は生後3か月の女児。右眼球突出。βブロッカー内服により眼球突出は速やかに軽快した。

結論:乳児血管腫は自然消退する疾患であるが,視覚障害を含めた機能低下の可能性がある場合や整容上問題となる場合には治療が必要であり,βブロッカー内服は効果的な治療であると考えられた。

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要約 目的:緑内障患者の治療実態を調査し,配合点眼薬の使用状況を検討した。

対象と方法:57施設に受診した緑内障,高眼圧症4,288例の使用薬剤を調査し,さらに2012年の前回調査と比較した。

結果:PG/β配合点眼薬とCAI/β配合点眼薬の使用は,2剤例28.7%と10.0%,3剤例21.7%と44.0%,4剤以上例17.9%と63.2%であった。2剤はPG/β配合点眼薬,3剤以上はCAI/β配合点眼薬が多かった。前回調査と比較し,PG/β配合点眼薬は2,3剤例で,CAI/β配合点眼薬は多剤併用では有意に増加した。

結論:配合点眼薬は多剤併用例では60%以上で使用され,経年変化でも増加している。

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要約 目的:大阪医科大学附属病院眼科における糖尿病眼筋麻痺を検討した。

対象と方法:2005〜2009年に受診した後天性眼運動神経麻痺224例のうち,糖尿病性眼筋麻痺の占める割合,性別・年齢,治癒までの期間,疼痛の頻度,複合神経麻痺の有無について検討した。

結果:224例中糖尿病性眼筋麻痺は46例であり,男性30例,女性16例,治癒までの期間は平均14.5週で,疼痛を訴えたのは10例,複合神経麻痺は1例であった。

結論:糖尿病性眼筋麻痺は後天性眼運動神経麻痺の約20%を占め,疼痛を訴える症例もある。眼球運動障害を契機に糖尿病が見つかる場合もあり,眼運動神経麻痺の症例では糖尿病の検索を積極的に行うべきである。

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 序文には,「眼腫瘍は数も少なくまた治療に当たっては専門的な知識が必要であるがゆえに,大学でさえも眼腫瘍を扱わない施設が増えている。しかし,第一線の眼科医はこの病変は腫瘍なのではないか? と考えて,それを適切な施設に送ることが必要である。そのためには,眼腫瘍に対する広範な知識を必要とする。だからこそ,毎日眼腫瘍を扱うわけではない一般眼科医にも眼腫瘍の知識を持っていてほしい」という内容のことが書かれています。

 私の場合,大学に勤務していた頃までは眼腫瘍もそれなりに最終的な主治医として診ていましたが,開業してからは,その疾患が眼腫瘍であると思えば,専門の施設に紹介するようにしています。それでも,神経眼科学を専門にしていますから,年に3,4例は眼瞼の悪性腫瘍や眼窩腫瘍が紛れ込んできます。編者の東京医科大学教授の後藤浩先生には,そんな患者さんの治療をお願いしたりもします。

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 近視人口は世界中で増加している。とりわけ日本は,世界的に近視の割合が最も高い民族集団であり,その数は5000万人以上と考えられている。

 一般に近視というと,裸眼ではものがはっきりと見えなくても,眼鏡をかければはっきりと見える眼の状態であり,病気ではないと理解されているのではなかろうか。正確に言えば,近視にはいわゆる成長期に発症するものの成人後にはその進行が止まる学童近視と,近視の進行が成人後も継続し眼鏡では矯正できない状況(失明)に至る病的近視に分けられる。数の上では学童近視が多数を占めるが,病的近視の患者数も決して少なくなく,わが国の失明原因の上位を占める重篤かつ頻度の高い疾患である。以前は糖尿病網膜症などが失明原因の上位を占めたが,治療法の確立とともにその地位を他の疾患に譲りつつある。そして,それに代わって失明原因の中心になろうとしているのが病的近視だといえる。

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欧文目次

ことば・ことば・ことば くすりや
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 ギリシャに旅行をするときに,ギリシャ文字を知っていると楽しく,便利でもあります。

 まず出会うのが「空港」のαεροδρομο(aerodromo)です。「こんなものか」と思いましたが,あとで調べると,δρομοは「道路」のことでした。納得がいったのが,アテネの市内にあるアクロポリスακροπολισです。解剖学でacromion「肩峰」を知っていたので,「高いところにある町」ということを実感しました。英語のacronymは「頭文字語」で,NATOやTPP,ユネスコUNESCOのような略語を指します。AMDやPOAGもそうです。

べらどんな ヤード・ポンド法
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 英国のEUからの離脱が決まって,あちらの八百屋さんと肉屋さんが大喜びをしているという。

 日本のように遠くから見ているとわからないが,EUに加入すると,日常生活のかなり細かいことまで決められるらしい。道路標識も従来はマイルだったのが,キロメートルで表示するというのがその例である。

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次号予告

あとがき 寺崎 浩子
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 秋の気配も色濃くなってまいりました。本年の日本臨床眼科学会も終わり,学会で新しいデータや診断手法,治療に触れられて意気込んでいらっしゃる先生も多いかと存じます。

 今月の特集は「視神経炎最前線」です。特発性視神経炎,虚血性視神経症,遺伝性視神経症,抗AQP4抗体陽性視神経症,抗MOG抗体陽性視神経症,IgG4関連疾患などが組まれており,それぞれに,病態,診断,治療方針が示されています。これらには,至急を要するもの,重篤なもの,再発性,遺伝性など,難治な視神経炎が含まれているわけで,明日来院するかもしれない患者さんのためにも,よく読んで臨床診断を整理しておくことが大切です。

基本情報

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臨床眼科
71巻12号 (2017年11月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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