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患者・医師間コミュニケーションの重要性
患者・医師間のコミュニケーションはすべての診療の根幹である.正確かつ迅速な診断は患者や患者家族から適切に,かつ効率的に診療情報を収集することで始まる.また,コミュニケーションにはそれ自体,治療的な働きがあることも知られている.患者の訴えを傾聴し,患者が心配していることに対して保証を与えるだけで,特別な治療をしなくとも問題が解決することは,臨床ではしばしば経験することである.また,適切なコミュニケーションを通じて診療への満足感や医師への信頼感が向上することで,薬剤に対するコンプライアンスが向上し,結果として治療の成功率も向上することが知られている.よりよいコミュニケーションが,慢性疾患の臨床指標,がんの生存率,副作用の出現率など,さまざまな指標を改善させることは多くの研究で実証されているところである1).したがって,コミュニケーション能力は臨床医にとってきわめて重要な診療能力の1つである.
一方,これまで多くの患者調査において,医師に対して望まれる資質や能力の上位項目には一貫して「わかりやすい説明」が挙げられてきた.例えば,2010年の大阪府民の調査では,医師に求める資質として「職場・自宅からの近さ」,「適切な紹介」に次ぐ3番目に「丁寧な説明」が挙げられている2).このように,コミュニケーション能力は,臨床医にとって重要な診療能力であると同様に,一般住民から医師に備えてほしいという要望がきわめて高い資質の1つでもある.
患者・家族と医師の理解のギャップ
国立国語研究所「病院の言葉」委員会は「病院の言葉を分かりやすくする提案」のために,医師を対象とした問題事例調査をインターネット調査の方法で2007年11月に実施した(結果はホームページに公開).医師がインフォームド・コンセントで患者の理解と納得を得るのが困難と感じている医療の専門用語と,その専門用語をめぐる問題事例を収集することによって,理解のギャップが生じる原因を探ることが目的である.
これまでの診療で,患者が専門用語を理解できなかったり,誤解したりして問題になった事例をネット上の調査票に書き込んでもらう調査に医師180人から回答が得られた.
説明することの目的は何か?
「そもそもなぜ説明する必要があるのか?」と書くと,この「インストラクションガイド」自体に難癖をつけているようである.しかし,インストラクションを考える際には,その部分について医療者自身が納得している必要がある.なぜ説明する必要があるのだろうか? 本稿で医師の義務に関する法的解釈などとは独立した視点で述べてみたい.
例えば,『ミシュランガイド』で星マークのついたフランス料理店に行くと,本日のメニューについて店員が丁寧に説明してくれる.私は結構なグルメなのだが,正直よく分からない.店員の説明を聞いていて私が感じることは,ほとんどの場合「心地よい儀式ですね」ということ,もう1つは「よく分からんが,うまそうだということは分かった」ということである.一方で,食堂でとんかつ定食を注文する際に,とんかつの説明を客に逐一行う店員はまずいない.こだわりのとんかつで売っている店なら,店の壁に大きく「うちは白金豚を自然の環境で放牧したものだけを使っています」とか,「ラードを使って低温でじっくり揚げてます」だとか説明が書かれているかもしれない.この説明の意図は明確である.自分の店とほかの店とは違う,という差別化のために客に理解を促しているのである.
では,医療行為はなぜ説明する必要があるのだろうか?
筆者は,判事を務めた経験があるため,また,とある県病院局の顧問や,年間に100近い病院や学会・協会などで講演をする関係上,医師から具体的な質問を受ける機会も多い.質問のなかで,最も多いのが,患者・家族への説明に関するものである.その際,医師がもう少しこの点を知っていてくれればと思うことがある.そこで,本稿では,その知っておいてほしいことを,次の4点に分けて説明したい.
(1)「説明は,医師の法律上の義務である」ということ
(2)「説明は,誰を基準に行うのか」「どこまで行うのか」
(3)同意書の法的効果は免責を保証するのか
(4)法や判例で示された基準を,実際に行うためには,どうすればいいのか
どのような病気なのでしょうか
▲期外収縮はその起源により心房性,心室性,房室接合部性に分けられます.
▲基礎心疾患のない健常者でも認められ,年齢とともにその出現頻度の増加がみられます.
▲日常生活のなかで,突然発作的に心拍数や脈拍数が速くなる病態を発作性頻拍と呼びます.多くは規則正しい速い脈になります(140~220/分前後).
▲発作性頻拍を起こす起源が,心房や房室接合部(房室結節や副伝導路)にあるものを上室頻拍,ヒス束以下の刺激伝導系や心室筋にあるものを心室頻拍と呼びます.
▲普段のリズムから急に頻拍に変化するために,動悸,呼吸困難,胸痛などの胸部症状に加えて,めまい,眼前暗黒感,失神などの血圧の低下が原因と考えられる症状が出現します.
▲頻拍の停止も突然起こることが多く,止まったことを自覚できることが多いのも特徴の1つです.
▲上室性頻脈性不整脈で,動悸(頻脈感),めまい,心不全症状(息切れ,倦怠感)をきたしやすい病気です.
▲再発しやすく,再発を繰り返すうちに長時間続くようになり,ついには不整脈のままとなってしまいます.
▲心房内に血栓ができやすくなり,重症の脳梗塞の原因となります.
▲心臓の拍動は心臓の中の電気的な興奮により行われており,心臓の中に電気刺激を行うための線維が走行しています.心臓の電気刺激を最初に起こす場所が右心房内にある洞結節と呼ばれる部分です.この洞結節の機能が低下したり,消失したりすると,心臓の電気的興奮が起こりにくくなり,結果として脈が遅くなる,徐脈という状態となります.
▲洞結節の機能が低下する原因は,高血圧,膠原病,心臓の炎症(心内膜炎,心筋炎),心筋症,高齢(アミロイド心)など多彩です.
▲脈が遅くなった結果として,息切れやめまい,ひどい場合には意識消失が起こることがあります.
▲心臓は電気的な刺激によって動いています.
▲心臓の電気刺激は右房の上のほうにある洞結節から生じて心房に伝わり,そのあと房室結節を通って心臓のポンプの部屋(心室)にたどりつき,最終的に心室が血液を駆出します.
▲房室結節の働きが悪くなったり,最悪の場合機能が停止してしまうと,電気刺激がポンプの部屋(心室)に届かないようになってしまいます.電気刺激が届かない場合,ゆっくりとした補充の電気活動で遅い脈を保とうとしますが,心臓が血液を必要なだけ十分量送り出すことができなくなってしまう可能性があります.
▲房室ブロックがあると,脈が遅くなったり飛んでしまったりすることによる症状,例えばめまい,失神,または心臓が体に十分な血液を送れないことによって起こる症状(足のむくみ,労作時呼吸困難など)も出現する可能性があります.
▲安定狭心症とは,心臓の筋肉(心筋)を栄養している冠動脈という血管が狭くなることにより,心筋が必要とする酸素量に見合った供給ができなくなり(これを心筋虚血という),その結果,胸の痛みや圧迫感,締め付け感などの発作を起こす病気です.
▲急いで歩いたり,階段の昇りや重いものを持ったとき,あるいは精神的な興奮などで心拍数や血圧が上昇し,心筋の酸素必要量が増加することが誘因となります.通常持続時間は長くなく,安静にすることで数分で症状が改善します.
▲冠動脈が狭くなる原因は,高血圧,糖尿病,高脂血症などにより進行した動脈硬化です.血管のけいれんが原因のこともあります.
▲胸の症状が今まで全くなく,ここ1~2カ月以内に始まった場合や,今までよりも軽い動作でも,あるいは安静にしているときにも症状が出る場合は,不安定狭心症の可能性があります.症状が持続する場合は急性心筋梗塞が疑われ,緊急の対応が必要です.
▲不安定狭心症は狭心症の一種ですが,急性心筋梗塞と発症メカニズムが同一であり,心筋梗塞に移行しやすい危険な状態の狭心症です.
▲運動労作の際に発生していた「胸痛」「胸部圧迫感」「締めつけられるような胸部症状」の狭心症症状が,「発作が頻回になった」「持続時間が長くなった」「軽い運動でも発作が起こるようになった」「発作時の症状が強くなった」「ニトログリセリン舌下錠が効かなくなった」「安静時にも症状が出るようになった」など悪化傾向となることが特徴です.
▲心臓に酸素を送っている大切な血管の中に血の塊ができて詰まってしまうことにより,心臓の筋肉が酸素不足になって死んでしまう病気です.
▲強い胸の痛みが長く続き,冷汗が出たり,気分が悪くなったり,気が遠くなったりします.
▲放っておくと生命の危険があるので,詰まった部分を開通させる治療を緊急に行う必要があります.急いで救急車を呼びましょう.
▲慢性心不全は,心臓のポンプの働きが悪くなった状態です.心筋梗塞や高血圧など,さまざまな心臓の病気から心不全になります.
▲心不全になっても,症状が落ち着いている状態のときは,普通に生活ができます.なんらかのきっかけ(誘因)が加わると心不全が悪くなります.
▲感染性心内膜炎は敗血症のなかでも最も重症なもので,しばしば生命の危険にさらされる重大な病気です.
▲きちんと診断をつけて,適切な内科的治療や,必要に応じて外科治療をすれば治癒が期待できます.
▲感染性心内膜炎では,心血管の内膜に疣腫と呼ばれる血液の塊が付着します.この疣腫の中には病原微生物がいます.そしてこの疣腫から持続的に病原生物が放出され,敗血症が続くのです.
▲感染性心内膜炎は,①感染に伴う症状,②心不全による症状,③塞栓による症状を起こします.
▲心臓の逆流を防止するための弁が硬くなったり,変性したりして,血液が通りにくくなったり,逆流したりする病気です.
▲高齢化社会を反映して患者さんの数は増える傾向にあります.
▲症状は通常ありません.しかし,病気が進行すると息切れや胸痛などの症状が出ることもあるため,重症度を評価するとともに定期的な検査を行う必要があります.
▲肥大型心筋症は,高血圧症などの心臓肥大をきたす病気を認めないにもかかわらず,心室の壁,特に左心室の壁が肥大する病気です.
▲左心室肥大により,左心房から左心室への血液の流入障害や左心室からの血液の流出路に狭窄が生じ,多彩な症状が出現します.
▲厚生労働省難治性疾患克服研究事業の対象疾患(難病)に指定されていますが,病気をしっかりと理解し治療することで無症状のままで経過する例も少なくありません.
▲代表的な心筋疾患であり,左心室拡大と収縮性低下を特徴とし,慢性に経過します.
▲重症度に応じて,さまざまな心不全症状や不整脈を呈します.
▲一般的には徐々に進行する病気です.特発性拡張型心筋症については厚生労働省の難病指定を受けることができます.
▲特発性拡張型心筋症の類縁疾患には虚血性心筋症や全身疾患に伴う二次性心筋症があります.それらとの鑑別診断をしっかりしておくことが治療法を確定するためのポイントです.
▲薬物療法などの進歩により,病状の進行を止めたり,むしろ改善したりすることも不可能ではなくなってきています.慢性的な治療継続が必要なことを理解し,根気強く日常生活での努力を怠らないことが秘訣となります.
どのような病気でしょうか
▲心臓を包んでいる袋(心外膜)に炎症が起こる病気です.
▲原因は特発性(原因不明)・ウイルス性が約8割と多いですが,稀に腫瘍,結核などの細菌,膠原病によるものなどがあります.
▲急性に起こり,息を吸ったときに悪化する胸痛が典型的な症状です.
▲高血圧はサイレントキラーと呼ばれています.
▲わが国では約4,000万人が罹患していると考えられています.
▲本態性高血圧と二次性高血圧に大別され,その約90%が本態性高血圧です.
▲一般的に収縮期血圧(最大血圧)が100mmHg未満の場合が低血圧とされます.
▲血圧が低いこと自体,心臓や血管に悪い影響はなく,体質的な低血圧(本態性低血圧)であれば予後は良好です.
▲何かの原因があって低血圧になる場合(二次性低血圧)には,原因となる疾患の検査や治療が行われます.
▲心臓神経症は,心臓に明らかな病気がないにもかかわらず,心臓が痛い,息苦しい,動悸がひどいなどの症状が出る病気です.
▲症状は,典型的な狭心症や不整脈などとは少し違っていることが特徴ですが,必ずしも症状だけでは診断できません.
▲明らかな心臓病があっても,心臓神経症による発作を合併している場合もあります.
▲若年や中年の女性に多いのですが,男女とも,いずれの年代でも起こることがあります.
▲大動脈の壁が動脈走行に沿って二層に剥がれ二腔になる状態です.
▲高血圧が重大な危険因子で,緊急手術が必要になることもあります.手術とならない場合は内科的に安静と血圧・疼痛管理を行います.
▲血管の老化である動脈硬化が下肢を栄養する血管に起こり,血流不足のために症状を呈する病気です.多くは無症候のうちに進展し,長い目でみると必ず進行します.
▲病状が進んでくると,歩いているうちに足がだるくなってきたり痛くなって(間欠性跛行)きたりします.進行すると安静にしていても痛くなったり,傷が治らなくなったり,潰瘍になったりしたのちに壊疽となること(重症虚血肢)があります.
▲下肢の切断を必要とするような壊疽になることは5年間で1~2%ですが,ほかの臓器の動脈硬化を合併することが多く,5年生存率は70~82%と予後不良の疾病です.
▲肺高血圧症とは,さまざまな原因で肺の血管が細くなり,肺血管抵抗そして肺動脈圧が上昇した状態(肺動脈平均圧25mmHg以上)です.
▲肺高血圧症を疑う症状としては,労作時息切れ,易疲労感,失神,浮腫などがあります.
▲以前は予後不良といわれていましたが,近年,次々と治療薬が開発・市販され,その治療法の選択肢が増え,本症の予後は改善してきています.
▲深部静脈血栓症とは,主に下肢の筋肉内にある深部静脈に血栓ができる病気です.静脈の血流が阻害されることで下肢の腫脹や痛みなどが出現します.
▲肺塞栓症は,主に深部静脈にできた血栓が静脈血流に乗って遊離し,肺動脈に流れ込んで発症します.呼吸困難が最も多い症状ですが,ほかに失神や胸痛など多彩な症状を呈し突然死に至ることもある病気です.
▲肺梗塞は肺塞栓症の一病態で,肺動脈の閉塞により肺組織に出血性の壊死が起きることをいいます.
▲ほかに原因となる病気がない失神の多くを占め,いわゆる「脳貧血」と呼ばれるよくみられる病態です.
▲長時間の立位,空腹,疲労,脱水・発熱時に起きやすく,直前には眼前暗黒感,悪心,脱力感,動悸,冷汗などがみられ,顔面は蒼白になります.
▲比較的若年で起こる頻度が高く,男性より女性に多い傾向があります.
▲失神による外傷や事故の危険がありますが,失神そのものは命に別状はありません.
▲腹部大動脈が拡張して通常の径の1.5倍以上になった状態です.
▲症状のないことが多く,症状のある場合には破裂の危険性が高いと判断されます.
▲腎動脈下腹部大動脈に認められることがほとんどで,腸骨動脈に及ぶこともよくあります.
▲肺の最も奥にある肺胞の感染症です.
▲近年,抗微生物薬が進歩しており,ほとんどの場合,適切な治療で完治します.
▲同時に日本人の死因の第4位でもあり,高齢者,および基礎疾患があると死に至ることもある感染症です.
▲高齢者とは65歳以上の人です.
▲市中肺炎とは入院中以外に罹った肺炎ですが,最近では療養施設入所者などの「医療ケア関連肺炎」という概念もあります.
▲高齢者は肺炎に罹りやすく,再発もしやすくなります.
▲非定型肺炎は,肺炎球菌に代表される細菌性肺炎と違い,乾性咳嗽(空咳)が強くβラクタム系抗菌薬の効果がないなどの特徴があります.
▲通常の細菌性肺炎に対する抗菌薬が効果のない場合,非定型肺炎を疑う必要があります.
▲非定型肺炎の多くを占めるマイコプラズマ肺炎,クラミドフィラ・ニューモニエ肺炎は頑固な咳が出ることが特徴です.非定型肺炎全体では呼吸器以外の症状(頭痛,全身倦怠感など)も目立ちます.
▲感染経路は原因菌の違いによりヒトからヒトへの感染と温泉などの環境からの感染に分けられます.
▲結核菌を含んだ飛沫を吸入することでヒトからヒトに感染する病気です.感染症法で規定されています.
▲感染後すぐに発症することは少なく,多くは抵抗力の落ちたときに肺結核として発症します.
▲結核の症状としては咳,痰,発熱,寝汗,体重減少などがあります.
▲正しく薬を服用すれば完治が期待できます.
▲気道に炎症が生じ,気道の敏感さ(過敏性)が増したり空気の流れ(気流)が制限されたりする反応により,発作的に咳や喘鳴,呼吸困難が起こる病気です.
▲アレルギーを起こしやすい遺伝的素因が関与するアトピー型喘息と,ウイルス感染などをきっかけとして起きるアレルギー以外のメカニズムの炎症によって発症する非アトピー喘息があります.
▲主にタバコが原因で肺が壊れて,息が吐き出しにくくなる病気ですが,予防も治療もできます.
▲咳,痰と,階段を上ったり走ったりすると息苦しさが強くなります.
▲でも,安静にするとすぐ息苦しさが減るのが特徴です.
▲気管支は木の枝のように枝分かれを繰り返しながらしだいに細くなっていきます.気管支拡張症はその枝の一部が病的に拡がり,働きをなくした状態をいいます.
▲症状として長引く咳,毎日のように大量に出てくる痰が特徴です.
▲原因として,呼吸器感染症の後遺症,免疫系の異常,全身性の病気の一部としてみられる場合などがあります.
▲原因となるような物質(外因性抗原)を繰り返し吸入することによって起こる,アレルギー性の肺炎です.
▲外因性抗原を吸入する量や期間により肺の反応は変化し,急性,慢性の2つに分けられます.急性のものでは外因性抗原から離れることで回復しますが,慢性に吸入し続けると,当初は発熱などのエピソードを繰り返し(再燃症状軽減型),または発熱なく(潜在性発症型),徐々に肺に線維化(肺がヘチマのように固くなること)が起こり,呼吸困難が進行します.肺の線維化が進んだ方では抗原から離れていても病状が進行し,薬剤に反応しなくなることもあります.
▲外因性抗原には真菌(カビ),細菌,鳥のフン・羽毛,イソシアネート(接着剤,塗料),キノコ胞子などがあります.
▲残念ながら有病率などは正確には把握できていません.
▲原因不明で,全身の臓器に発症する可能性がある疾患です.「非乾酪性類上皮細胞肉芽腫」と呼ばれる結核に類似した病巣が形成されるのが特徴です.
▲症状は罹患する臓器によって異なり,目のかすみ,視力低下,咳,呼吸困難,皮疹,不整脈などさまざまです.無症状の方も30~40%います.
▲難病に指定されていますが,多くの人は重篤な障害をきたすことはありません.一部の方は慢性の経過をとりますが,自然に治癒する場合もあります.
▲息苦しさを感じ,自然に呼吸が速くなります.強い不安感を伴うこともあります.そのときに,手指や口唇の周囲がしびれ,こわばることもあります.
▲不安,緊張などをきっかけとして生じることが多く,しばしば繰り返して生じます.
▲若い女性に多く見られますが,男性にも高齢者にも起こりえます.
▲肺や気管支には問題がありませんので,過換気発作が治まってしまえば,心配ない病気です.
どんな病気なのでしょうか
▲何らかの原因になる疾患に伴って,両側肺に浸潤影を呈する(X線で両側の肺がまっ白になる)重症の急性呼吸不全で,心機能の低下を伴わないものをいいます.
▲原因になる疾患はさまざまですが,敗血症が最も多く,死亡率35~65%の重篤な病気です.
▲肺に集積した好中球(白血球の一種)から放出される活性酸素や蛋白分解酵素などによって,肺胞隔壁の透過性が亢進することで生じる肺水腫がこの病気の本態です.
▲睡眠呼吸障害(SDB)には睡眠時無呼吸(SA)と睡眠中の低換気により動脈血の二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇して,結果として低酸素血症になるタイプ(睡眠関連低換気/低酸素血症:SRHH)と特定不能な睡眠時無呼吸/睡眠関連呼吸障害があります.
▲SAには無呼吸中に呼吸努力を伴い,呼吸再開時に鼾を伴う閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と,無呼吸中に呼吸努力を伴わない(胸・腹が動かない)中枢性睡眠時無呼吸(CSA)があります.心不全,脳卒中患者にはCSAの1種類であり,無呼吸を伴い呼吸が漸増,漸減するCheyne-Stokes呼吸がみられることがあります.
▲SRHHには生まれつきの睡眠時の浅呼吸,チアノーゼ,無呼吸を伴うタイプ,原因不明で浅い呼吸を伴うタイプ,内科疾患(COPD,神経筋疾患など)に伴い睡眠中の特にREM睡眠期に低呼吸が顕著になるタイプがあります.
▲胸膜炎とは,肺を覆う臓側胸膜と胸壁を裏打ちする壁側胸膜の間に炎症が生じる病気です.
▲自覚症状としては咳や胸痛がみられることが多く,胸水が増えてくると,呼吸困難を自覚することがあります.
▲胸水が貯留する原因はさまざまです.
▲肺炎の治りが悪く,肺の外にも菌がたまっている状態の感染症です.
▲発熱,呼吸苦に加えて胸痛を伴うことがあります.
▲難治性で再発もしやすく,長期の治療が必要なことがあります.
▲しばしば,飲み込み(嚥下)機能の低下による誤嚥が原因となっていることがあります.
▲肺の一部が破れて空気が漏れ,肺が縮んでしまう病気です.
▲多くは保存的な治療で治りますが,そのうち約半数の人が再発します.
▲稀に両方の肺に気胸を起こしたり,胸腔の内圧が非常に高まったり,出血を伴う場合があり,重症化することがあります.
▲肺癌は罹患率・死亡率がともに高く,癌のなかでも治りにくい疾患です.
▲疫学的には喫煙が最も大きな原因です.
▲治癒のためには早期発見が重要ですが,早期発見は難しい病気です.
▲口の中の粘膜に起こる炎症をまとめて「口内炎」といいます.
▲口内炎にはいろいろな種類がありますが,アフタ性口内炎が一般的です.
▲原因不明のもの,ウイルスや機械的刺激によるもの,また全身疾患の一部の症状として現れる場合があります.
▲胃液が食道に逆流することによって,食道粘膜が傷ついたり,胸やけなどの症状が出たりする病気です.
▲生命予後に影響するような病気ではありませんが,不快な症状のために日常生活がつらく,生活の質が低下することが知られています.
▲生活習慣の改善とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の服薬で症状が大きく改善することが知られています.
▲食道癌はわが国の男性のがん死亡の第6位(2001年当時)を占める癌で,進行癌では今後も治療成績の改善が必要とされる難治療です.
▲進行癌は嚥下困難などで気づくことが多くみられます.
▲喫煙・飲酒が危険因子で,頭頸部癌との重複が多くみられます.
▲急性胃炎とは,胃粘膜に急性炎症を起こした状態です.胃部不快感などを伴い内視鏡的には発赤・浮腫・出血を認めるものを指します.
▲急性胃粘膜病変(AGML)とは,胃や十二指腸に出血・びらん・潰瘍がしばしば混在的に生じて,急激な上腹部痛や消化管出血を起こす病気です.
▲原因として薬剤性が多く,それを除去することで治癒します.
▲上腹部症状を主訴とする良性疾患で,組織学的胃炎,内視鏡的胃炎,臨床的胃炎に分類されます.
▲Helicobacter pylori感染が組織学的胃炎と内視鏡的胃炎の主な原因であることが判明しています.
▲臨床的胃炎は,食生活,生活習慣やストレスとの関連性が高いとされ,現在では機能性ディスペプシアと定義されています.
▲Helicobacter pylori(ヘリコバクターピロリ:以下,ピロリ菌)は,胃粘膜上に生息し,ウレアーゼ活性で胃内の強酸から自身を守り,鞭毛により胃粘液中を移動しています.
▲ピロリ菌感染は一般的に幼少期(5歳以下)に起こるとされています.
▲消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)のほとんどはピロリ菌感染によるものと考えられており,ピロリ菌が陽性であれば除菌治療を行ってください.
▲鎮痛剤(非ステロイド系抗炎症薬:NSAIDs)の服用により発生する胃潰瘍,十二指腸潰瘍です.
▲本来NSAIDsは鎮痛剤ですが,血液をサラサラにするために少ない用量のアスピリンを服用している方も大勢います.この場合に発生する胃潰瘍,十二指腸潰瘍を含むこともあります.
▲胃ポリープとは,胃にできる隆起した病変のうち,上皮性(粘膜より発生した)良性病変です.
▲胃粘膜下腫瘍とは,胃にできる隆起した病変のうち,非上皮性(粘膜より下の部分から発生した)腫瘍の総称です.
▲粘膜下腫瘍は悪性のこともあり,注意が必要です.
▲胃粘膜上皮から発生した癌腫をさし,組織型はほとんどが腺癌です.広義にはそれ以外の組織から発生した悪性腫瘍(GIST,悪性リンパ腫など)も含みます.
▲日本人が最も罹りやすい癌です.
▲早期癌ではそれ自体による症状はなく,健診や人間ドッグまたは随伴する慢性胃炎の症状(胃もたれ,胃部痛)で検査を受けた際に発見されます.
▲進行癌では出血による吐・下血や貧血,狭窄または閉塞による腹部症状,転移などで診断されることもあります.
▲大腸の炎症が再燃と寛解(よくなったり悪くなったり)を繰り返す病気で,原因はまだ特定されていません.
▲粘血便(ねばねばした粘液や血液が混ざった便)や下痢が続き,繰り返すことが特徴的な症状です.
▲いわゆる難病(特定疾患)に指定されていますが,病気を上手くコントロールすれば,これまでと同様の日常生活を送ることができます.
▲口から肛門までの消化管に炎症を起こし潰瘍ができる病気です.
▲発症の原因は不明ですが,Crohn病は遺伝病ではありません.遺伝的素因,食事や衛生状態などの環境因子,腸内細菌の変化などが複雑に関与して発症すると考えられています.
▲Crohn病では長期的視野にたって治療戦略を考えることが重要です.進行すると腸管狭窄や瘻孔をきたし機能障害が起こります.
▲Crohn病は厚生労働省の特定疾患に指定されています.
▲明確な便秘の定義はありません.排便回数による定義では,週2回以上の排便がない状態が1カ月以上続くことを慢性便秘とするというものがあります1).しかし,排便回数が少なくてもまったく症状がない人もおり,排便回数に加え,排便時のいきみ,残便感,硬い便などの症状を加えた慢性便秘症の定義もあります.
▲明確な定義がないこともあり,慢性便秘症をもつ人の割合に関する正確なデータはありません.
▲大腸の検査をして癌などの病気がない機能性便秘が大半を占めますが,内分泌疾患,膠原病,神経疾患などの一症状として便秘をきたす場合があります.また,治療に用いる薬物の中には便秘を引き起こすものもあります.
▲ウイルス,細菌,寄生虫などが腸管に感染して,下痢,発熱,腹痛などの症状を起こす病気です.
▲ほとんどが1週間以内に治まりますが,一部の病原体は重篤な合併症を引き起こすことがあります.
▲下痢が1週間以上続く場合,回数が多い場合,強い腹痛を伴う場合,血便がみられる場合は,ほかの疾患を鑑別する必要があります.
【偽膜性大腸炎/Clostridium difficile感染症(CDI)】
▲抗菌薬の使用に伴う腸内細菌叢の撹乱(菌交代現象)を背景にClostridium difficile(CD)という菌が異常増殖して起きる病気です.CDIのうちで大腸の表面に多数の偽膜がみられるものを偽膜性大腸炎と呼んでいます.
▲薬剤開始後数日~2, 3週間後に下痢,発熱などの症状が出始めます.
▲入院中の高齢者や重症の患者さんに起こりやすく,重症化することもあります.
【抗生物質起因性出血性大腸炎】
▲急激に強い腹痛と血液の混じった下痢が起きる病気です.
▲抗菌薬服用を開始して数日後にみられ,原因のほとんどは合成ペニシリンです.
▲大腸を栄養する血管に一過性の循環障害が起こり,血流が悪くなり,その血管に支配されている大腸粘膜に潰瘍やびらんができる病気です.
▲突然下腹部や左側の腹痛が出現し,その後下痢になり,排便を繰り返すうちに血便に変わることが多い病気です.症状は一過性であり,ほとんどの場合,自然によくなります.
▲大腸や小腸に原因がないのに,下痢・便秘などの便通異常と,腹痛や腹部膨満感などの腹部症状が慢性的に続く症候群です.
▲消化管運動の障害により発生するといわれ,消化管がストレス,食事,薬,ホルモンなど,わずかな刺激に対して非常に過敏になります.
▲発症にストレスが大きく影響することから,脳と消化管の機能的関連性としての「脳腸相関(brain-gut interactions)」が重要な役割を果たしています.
▲大腸憩室とは大腸壁の抵抗減弱部分にみられる囊状の突出です.
▲加齢や繊維の少ない食生活,腸管の運動異常などが発症に関連しているといわれています.
▲わが国では大腸憩室の7割が右側結腸(盲腸から上行結腸)にみられます.
▲憩室症だけでは無症候性のことも多く,臨床上問題となるのは憩室炎や憩室出血などの合併症をきたしたときです.
▲ポリープとは粘膜の限局した隆起を表す用語です.したがって,大腸の粘膜に発生した隆起を大腸ポリープといいます.
▲ポリープには腫瘍性と非腫瘍性があり,それを構成する細胞によってさまざまな種類のポリープがあります.
▲大腸ポリープは慣用的に疾患名として大腸の“腺腫”を指して使われています.
▲家族性(遺伝性)に多数のポリープがみられるものや特殊なポリープが多発する疾患もあります.
▲大腸に発生する悪性腫瘍です.
▲下血・腹痛・腹満や排便障害などが主な症状ですが,かなり進行した状態にならないと自覚症状が出ない場合が多い病気です.
▲わが国の大腸癌の死亡率は,男性が肺癌,胃癌,肝癌に次いで第4位,女性では第1位となっている病気です.
▲人間の正常な肛門の基本的な構造が時間をかけて徐々にその大きさや形を変え,出血や脱出などの症状をきたすようになったもので,良性の病気で悪性化していくものでもありません.
▲症状の有無を問わなければ中年以上の80%にあるともいわれるほど頻度の高いもので,肛門疾患の半数を占める病気です.その多くは長時間の怒責や,下痢・便秘などの排便異常や生まれつきの肛門部構造の違いなどが関与して症状を呈するようになります.
▲排便時脱出,出血,粘液排出,残便感,肛門の腫れなどの症状があり,ときに疼痛を伴うこともあります.大きくなると歩行や運動など排便時以外にも症状が出現するようになり,生活上の不都合をきたすようにもなります.
▲何らかの原因で肝臓に急性に炎症が生じ,発熱,黄疸,倦怠感や食欲低下などの症状をきたします.
▲A型・B型肝炎ウイルスによる急性肝炎が多いのですが,薬物性肝障害や自己免疫性肝炎も原因となります.
▲肝臓は再生能力の高い臓器であり,基本的には安静で自然に治癒する病気です.
▲A型急性肝炎では10~15%に遷延化,B型急性肝炎のジェノタイプAでは約20%に慢性化がみられます.
▲B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)に持続感染している人をHBVキャリアといいます.
▲HBVキャリアは,肝機能異常がない無症候性キャリアの方と,肝機能異常を認める慢性肝炎の状態の方に分けられます.
▲無症候性キャリアの状態では,自覚症状はないのが一般的です.しかし,慢性肝炎の状態になるとGOTやGPTなどの上昇が認められ,疲れやすい,だるい,などの自覚症状が出てくる場合もあります.
▲肝臓と血液中にウイルスがいます.日常生活では感染しません.
▲ウイルスの感染経路は,医療行為,昭和時代までの輸血,入れ墨,覚醒剤などでの注射器の回し打ちです.
▲自覚症状はありません.肝癌のリスクが年単位でゆっくりと,しかし確実に高まっていく病気です.
▲体調の良さ,検査値の低さに惑わされず,しっかり監視しましょう.治療を前向きに考えましょう.
▲肝細胞に中性脂肪が脂肪滴として沈着している脂肪沈着症を脂肪肝といいます.
▲脂肪肝のうち,約10%は壊死・炎症,線維化も伴うNASH(non-alcoholic steatohepatitis)であり,肝硬変,肝細胞癌に移行します.
▲一般に生活習慣病の側面が強く,食べ過ぎ,飲み過ぎ,運動不足の生活を背景とします.
▲合併する他の疾患と併せて生活全体の治療・改善を考えていくのが望ましい病気です.
▲中年以降の女性に多く,長く(ときに生涯)続く病気です.
▲発症原因は不明です.自己免疫機序により,自分の体の免疫系が肝臓の細胞を攻撃して肝炎を起こすと考えられています.
▲肝臓以外に甲状腺,唾液腺,涙腺,関節などさまざまな臓器に自己免疫疾患(膠原病)を併発することがあります.
▲治療をしないと多くが肝硬変に進展しますが,免疫抑制薬(ステロイド)がよく効き,標準的治療を受ければ一般健常人に近い予後が期待できます.
▲肝硬変による腹水は肝臓の病状が悪化したときに起こるものです.今後入退院を含め,よりしっかりと内科的診療を行う必要があります.
▲肝臓で本来解毒される物質が,肝臓の障害あるいは血流の変化により直接脳に作用して意識障害が出現する病気です.
▲意識障害は可逆的な場合がほとんどです
▲意識障害のレベルはさまざまで,軽いものは精神心理テストをしないとわかりません.
▲肝性脳症の原因はほとんどが肝硬変です.
▲肝硬変の予後は肝予備能で決まりますが,脳症が出てくると一般に予後はよくありません.
▲原因物質ではアンモニアが重要で,その代謝産物のグルタミンも脳のむくみを起こすことが知られています.
▲門脈とは腸からの栄養や毒素を肝臓に集める血管系ですが,門脈圧亢進症では何らかの異常が起こって門脈圧が上昇した状態となります.多くの場合,肝硬変症が原因です.
▲門脈圧亢進症は自覚症状に乏しく,余命に最も影響する食道・胃静脈瘤の把握と管理が重要です.
▲進行してくると腹水や脳症,肝腎症候群,耐糖能障害などが問題となるため,生活にはさまざまな注意が必要です.
▲原因は不明ですが,自己免疫という機序で肝臓の中の小さな胆管が破壊されるため,肝臓で産生され,胆管を通じて十二指腸へ排出されるべき胆汁が,肝臓内および血液中にうっ滞(停滞)し,全身の組織にビリルビンが沈着して黄疸が生じる病気です.
▲多くの場合,肝臓に炎症が生じ,放置して炎症が続けば肝硬変へと進展することもあります.
▲わが国では病初期で見つかることが多く,大部分(7~8割)は症状が出ることなく一生を終えます.
▲一部は炎症とうっ滞した胆汁により肝細胞が次第に破壊されて線維に置換され,徐々に肝硬変へと進行します.肝硬変に至ると肝臓の働きが低下して,黄疸が増強し,腹水貯留,意識障害(肝性脳症)を生じて肝不全という状態を呈します.食道静脈瘤もできます.
▲ウルソデオキシコール酸(UDCA)に病気の進展を遅らせる効果が認められており,治療薬として広く使用されています.
▲肝障害に伴う症候が出ている患者さんは,特定疾患として医療費の補助が受けられます.
▲アルコール性肝障害とは過度のアルコール摂取によって引き起こされる肝障害の総称です.
▲飲酒量・飲酒期間により,アルコール性脂肪肝,アルコール性肝炎,アルコール性肝線維症,アルコール性肝硬変といった病態が存在します.
▲肝細胞癌(以下,肝がん)は無症状の時期にエコー・CTなどの画像検査で見つかることが多いので病気を実感しにくいのです.しかし,放置するといずれは自覚症状があらわれ,症状が出てからだと確実な治療(根治)は難しくなります.無症状の段階で運良く発見されたのなら,チャンスを逃さぬよう前向きに治療を考えてください.
▲C型肝炎・B型肝炎など慢性の肝臓病を背景に発生する場合が多いので,がんの治療だけでなく,もとの肝臓病(慢性肝炎・肝硬変)のケアも大切です.
▲小さいうち(腫瘍径で3~4 cmまで)に見つければ,1個目の肝がんはどのような治療法を選んでも,ほぼ確実に片付けることができるでしょう.しかし,初回治療成功後でも慢性肝炎-肝硬変を基盤に,忘れたころに2,3個目の肝がんが出てくることも稀ではない.治療後も綿密なフォロー・アップ検査が肝心です.
▲2,3個目の肝がん発生を減らすために,また万一出てきた際にできるだけ有利な条件で再治療に臨めるように,基礎肝疾患の治療が大切なのです.肝機能を良好に保てれば,何回でも適切な追加抗癌治療ができ,長生きにつながります.
▲無症候性胆石症とは,胆囊内に結石が形成されていますが,腹痛,嘔気,嘔吐,背部痛などの胆石症状を認めない病態です.
▲胆囊ポリープとは,胆囊粘膜にポリープができた状態です.ポリープを形成する組織成分により経過観察する場合から手術を要する場合まで治療法はさまざまです.
どのような病気なのでしょうか1) ▲胆囊に炎症をきたす病気です.
▲症状として右季肋部痛(心窩部痛),圧痛,発熱があります.
▲症状が出現しても我慢してしまい,医療機関への受診が遅れると,重篤な状態になる場合があります.我慢せずに医療機関を受診することをお勧めします.
▲成因として胆囊結石をもっている人が多いので,急性胆囊炎を起こす可能性があることを知っておく必要があります.
▲激しい腹痛を伴う膵臓の急性炎症です.
▲原因として最も多いのが飲酒と胆石です.
▲ほとんどの患者さんは後遺症を残さずに改善しますが,10~20%が重症となります.
▲重症化した患者さんの死亡率は8%です.
▲膵臓でつくられる消化酵素が活性化されて,自分の膵臓を自己消化する膵臓の慢性炎症です.
▲原因としてはアルコール性が最も多く,次いで原因不明の特発性が続きます.
▲初期では上腹部痛や腰背部痛が典型的な症状であり,進行すると消化吸収不良や糖尿病が出現します.
▲膵臓という消化と血糖調節にかかわる臓器に発生した悪性腫瘍です.
▲主な症状として,黄疸,腹痛,背部痛,食欲不振,腹部膨満感があります.
▲進行が速いため,早急に手術あるいは抗腫瘍薬による治療が必要です.
▲抗腫瘍薬による治療では,腫瘍の消失はほとんど望めませんが,増大の抑制,縮小が期待されます.
▲黄疸に対しては内視鏡を用いた治療,疼痛に対してはモルヒネなどの鎮痛薬による治療を行います.
▲急性糸球体腎炎は今まで腎炎にかかったことがない人に,かぜや扁桃腺炎後しばらくして血のまじった尿(血尿),むくみ,尿の出が悪い(乏尿),血圧上昇などの症状が突発的に出てくる病気です.
▲病因では溶血性連鎖球菌によるものが最も多いです.
▲好発年齢は3~10歳ですが,成人でもよく起こります.
▲病気の経過は良好で,小児ではほとんどが治癒しますが,成人では20~30%の人が慢性化するので注意が必要です.
▲高度の蛋白尿によって起きる病気ですが,蛋白尿の原因はさまざまですので,専門医に診断を受けることが大切です.
▲顔面や手足がむくんできたり,体重が急に増加したり,尿の泡立ちが消えない場合,この病気を疑う必要があります.
▲完全に尿蛋白が消えることもありますが,再発もありますので,根気強く,病気に立ち向かう必要があります.
▲血尿,蛋白尿が持続し,ゆっくりと腎機能が低下していく慢性腎炎の1つです.
▲顕微鏡でみてわかる顕微鏡的血尿と蛋白尿が特徴で,急性の上気道炎や扁桃炎後に目で見てすぐにわかる肉眼的血尿が現れることがあります.
▲経過とともに高血圧や腎機能低下(腎不全)になることがあります.
▲糖尿病の代表的な合併症の1つです.
▲糖尿病の治療が不十分だったために腎臓が悪くなり,尿に蛋白が混じってきた状態です.
▲これ以上悪化しないように,自覚症状がなくてもしっかり治療する必要があります.
【膀胱炎】
▲肛門の近くにいる細菌が,尿の出口から膀胱の中に侵入して繁殖し,膀胱に炎症を起こす病気です.特に女性は肛門と尿道の距離が近いため,女性に多い病気です.
▲膀胱に刺激が加わるために尿意を強く感じ,また,尿を出した後も残っているような感覚があります.しかし膀胱炎だけでは高熱になることはありませんので,発熱がみられた場合は腎臓などの実質臓器にまで感染が広がっている可能性が高いです.
【腎盂腎炎】
▲膀胱から尿管を逆行して菌が繁殖し,腎臓にまで炎症が及んだ病気です.
▲通常は片側性の腰背部痛が出現することが多いですが,時に両側になったり,腰背部痛よりも腹痛が目立ったりすることもあります.しかも急性腹症と間違われるような激しい腹痛を起こすことがあります.また,「原因不明熱」ではっきりした痛みを呈さないこともあります.高齢者や糖尿病患者にそのような方の割合が多いようです.
▲菌が血液中に侵入して「菌血症」となることも多く,その場合,悪寒・戦慄を伴う発熱をきたします.
▲この疾患は早期に抗菌薬治療を行う必要があります.
【前立腺炎・副睾丸炎】
▲前立腺に細菌が感染し,排尿時痛,排尿困難,発熱などがみられます.
▲若い方では性行為に関連した疾患であることが多いですが,高齢の方でもともと前立腺肥大などがあり排尿障害がある場合は,腸内の細菌が侵入して感染を起こすことがあります.
▲中高年では前立腺炎に合併して副睾丸炎が起こることがあります.
【尿道炎】
▲主に淋菌やクラミジアなどが原因となって尿道に炎症を起こす病気です.
▲尿道から膿が出てきたり,排尿時に激痛をきたしたりします.
▲性行為によって人から人にうつる病気の1つで,パートナーも治療の対象になります.放置すると不妊症の原因となったりすることもあります.
▲腎臓の機能が急激に低下する状態です.
▲症状は急性腎不全の重症度,進行速度,原因によって異なります.
▲さまざまな原因により発症し,適切な対応により腎機能の回復が期待できます.
▲糖尿病,慢性腎炎あるいは高血圧などの原因で,年単位,場合によっては10年以上の経過で腎臓の働きが低下してくる病気です.
▲早期から中期の段階では自覚症状に乏しいことが特徴であり,そのため診断が遅れ,知らないうちに進行している場合もあります.
▲できるだけ早期に発見して治療を開始すれば,進行を遅らせることができます.
▲常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)は最も頻度の高い遺伝性腎疾患です.PKD遺伝子変異により両側腎臓に多数の囊胞が進行性に発生・増大し,腎臓以外の種々の臓器にも障害が生じます.加齢とともに両腎に囊胞が増加・増大し,進行性に腎機能が低下して70歳までに約半数が末期腎不全に至ります.
▲常染色体劣性多発性囊胞腎(ARPKD)は,PKHD1遺伝子変異により,新生児期から腎集合管の拡張による両側腎臓の腫大と胆管の異形成ならびに門脈周囲の線維化を含む肝臓の異常を認める遺伝性囊胞性腎疾患です.
▲腎・尿管結石は尿の通り道に石ができている状態です.
▲腎結石は,腎盂という広い空間に存在するため,痛みを伴うことは少なく,多くは血尿や検診で発見されます.
▲尿管結石は腎盂から転げ落ちた結石が尿管に詰まってしまい,尿の流れを悪くし,腎盂が拡張するため,急な腰背部痛・悪心・嘔吐などの症状が出現します.
▲下部尿路症状の原因は多様で,特に中高齢男性に多くみられます.
▲前立腺,下部尿路,神経系,その他の全身的な疾患,病態が関与しています.頻度の高い原因としては,前立腺肥大症,過活動膀胱,低活動膀胱,脳血管障害,多尿などが挙げられます.
▲男性のみに存在する前立腺が腫大するに伴い,下部尿路が閉塞され,さまざまな下部尿路症状(排尿症状,蓄尿症状,排尿後症状を含む)を生じる疾患です.
▲有病率が高く加齢とともに増加し,良性疾患ではありますが,生活の質(QOL)を著しく低下させ,重症になると尿閉や腎機能障害を起こすこともあるので注意が必要です.また前立腺癌との鑑別が必要になります.
▲前立腺癌は発症年齢が高く,ほかの悪性腫瘍よりも進行が比較的緩徐であるという特徴があります.
▲前立腺特異抗原(PSA)という,診断にも進行・再発の把握にも有用な腫瘍マーカーが存在します.
▲近年はPSA検診を受ける人が増加し,早期に発見される例が増えています.ただ,骨転移を起こしやすく,初診時に転移している症例も依然として存在します.
▲前立腺全摘除術という手術療法以外にもホルモン療法や放射線療法など治療の選択肢が多く,治療法の決定には,平均余命と治療による生命予後の延長との比較,QOLを加味した生存期間についての考慮が必要です.
▲勃起(ぼっき)時に陰茎の硬さが不十分で腟内挿入が不能,または挿入できても持続時間が不十分で満足な性交のできない状態です.
▲原因の約50%はストレスや性的パートナーとの人間関係のこじれ,精神疾患などによる心因性(または精神疾患性)です.残りの50%は体に何か器質的な疾患のある場合に勃起障害となります.生活習慣病(高血圧,高脂血症,糖尿病,虚血性心疾患など),神経疾患(脳血管障害,脊髄損傷など),内分泌疾患(加齢男性性腺機能低下症など)などが代表的です.特に中高年以上の方では,勃起障害の裏に糖尿病や虚血性心疾患が隠れている場合もあるので注意が必要です.
▲射精障害(早漏や遅漏),性欲低下,オルガズム障害など,ほかの男性性機能障害と勃起障害を混同しないようにしてください.これらの疾患と勃起障害とは原因や治療法が異なります.
▲機能性頭痛(一次性頭痛,慢性頭痛とも呼びます)の代表的なものです.片頭痛は発作性に出現する血管性頭痛です.一方,緊張型頭痛は,疾患としての独立性に論議がありますが,持続性の頭痛です.
▲片頭痛は,概して片側性,拍動性の(脈拍に合わせてズキズキする)頭痛で,悪心・嘔吐を伴うことがあり,日常生活動作に支障を与えることが稀ではありません.
▲緊張型頭痛は,筋肉由来,精神的背景のあるものなど原因・誘因はさまざまで,生活動作には支障をきたしませんが,毎日続くことが最大のつらさです.
▲脳虚血(脳に血が行きにくくなること)に伴い,神経症状が出現する病気ですが,24時間以内に症状が消失するものと定義されています.
▲症状が改善したからといって,放置してよい病気ではありません.脳梗塞の前ぶれともいわれており,高率に脳梗塞を起こすため,入院が必要です.
▲突然もしくは緩徐に脳血管がつまり,意識障害や運動・感覚麻痺,言語障害などの異常な神経症状をきたします.
▲血管が詰まる原因の多くは高血圧,脂質異常症,糖尿病などによる動脈硬化や,不整脈などの心疾患です.
【脳内出血】
▲脳を栄養する細い血管(穿通枝)が切れて脳内に血のかたまり(血腫)を形成する病気です.
▲血腫の大きさや,形成される部位によって半身麻痺,言語障害または意識障害などさまざまな神経症状が出現し,場合によっては緊急手術を必要とすることや手術不可能で致命的な経過をとることもあります.
▲原因の多くは高血圧によるものですが,血管がもろくなる病気(脳アミロイド症)などほかの原因もあります.
【くも膜下出血】
▲脳を包んでいる「くも膜」と脳の表面との間(くも膜下腔)に出血をきたし,脳全体に障害を及ぼす病気です.
▲この病気は突然の激しい頭痛で発症するのが特徴です.その他,吐き気を伴ったり,重篤な場合は意識障害を呈したりします.
▲原因の多くは脳動脈に形成された“こぶ”のような膨らみ(脳動脈瘤)が破裂することです.この病気は脳疾患のなかでも非常に重篤な病気の1つで,現在の医療水準でも半数以上の患者さんは後遺症を残したり,致命的な経過をとったりするといわれています.
▲認知症とはさまざまな原因により大脳の高次機能が後天的に障害される病態で,記憶障害を含む複数の認知機能障害が認められ,職業上,社会生活上,支障をきたした“状態”です.
▲認知症を引き起こす原因疾患にはさまざまなものがありますが,Alzheimer病,血管性認知症が多くみられます.
▲脊髄から枝のように分かれて手足へと伸びている末梢神経と呼ばれるところが傷んでしまった状態です.
▲末梢神経には運動神経,感覚神経,自律神経があり,力が入りにくい,痛み・しびれ,感覚が鈍い,汗が出ないという症状が出ます.
▲1本の神経が傷んだ状態(単神経障害),数本の神経が傷んだ状態(多発単神経障害),手足の先に伸びている神経全体が傷んだ状態(多発神経障害)の3パターンがあり,それぞれ原因が異なります.
▲末梢神経のうち,主に運動神経が障害され,急速に下肢から上肢へ筋力低下・運動麻痺が出現し,発症4週以内に症状がピークに達し,その後,徐々に回復する疾患です.
▲予後は良好で半年以内に社会復帰できることが多いです.ただし,約20%の方に何らかの後遺症が残し,死亡例も数%にみられます.
▲パーキンソン病とは,脳の特定の神経細胞が衰弱して減るために引き起こされる病気です.
▲特徴的な症状としては,ふるえたり,筋肉が硬くなったり,動作が遅くなったり,バランスを崩して転びやすくなったりします.表情が硬い,早口の小声,小刻みな前のめりの歩き方なども特徴的な症状です.このような,いわゆる運動症状と呼ばれるものには,抗パーキンソン病薬がよく効きます.
▲ゆっくりと症状が進行していくものの,薬によって症状をコントロールすることで,ふつうの人と変わらない生活を送ることができます.
▲てんかんとは,大脳の神経の過剰で突発的な活動に由来し,発作を繰り返す慢性の脳疾患です.
▲長期間にわたって薬物内服などを継続する必要があるものの,多くの場合はうまく付き合うことが可能な疾病です.
▲貧血とは血液の細胞の中で赤血球という体に酸素を運ぶ役割をしている細胞が減っている状態です.
▲症状はないことがよくありますが,貧血が進行すると,気分が落ち着かなかったり,疲れやすかったり,少し運動しただけで息切れがするなどの症状が出ます.決して立ちくらみだけが貧血の症状ではありません.
▲貧血の原因にはさまざまなものがありますが,あなたの場合は赤血球の材料となる鉄分が減少しているために貧血になっていることから鉄欠乏性貧血といいます.
▲ビタミンB12の吸収障害により血液細胞のDNA合成が障害され,有効な血液細胞の産生ができなくなる病気です.貧血のほか,白血球や血小板の減少をきたすこともあります.
▲昔は原因不明で治療手段がなく,死に至る病であったことからこの病名がつきましたが,現在はビタミンB12補充療法により血液異常は改善します.
▲再生不良性貧血は難病の指定(公費対象)になっています.
▲主症状は血球低下に伴う貧血症状,出血症状,感染徴候です.
▲罹病期間が長く,病気についてしっかり理解し,治療薬の効果,副作用,合併症などを十分理解したうえで治療を受けることが重要となります.
▲全身の細胞に酸素を運ぶ赤血球が,本来の寿命より早く壊れる病気です.
▲赤血球を造る能力が壊れる速度に追いつかないと貧血になり,だるさ,息切れ,動悸などの症状が出ます.また,壊れた赤血球により黄疸となります.
▲一番多いタイプでは副腎皮質ステロイドがよく効きます.しかし,薬剤減量に伴う悪化もみられ,病気が一生続くことが珍しくありません.
▲赤血球が増えている状態ですが,赤血球数が絶対的に増加するものと,相対的に増加するものがあり,それぞれ病態が異なります.
▲赤血球数が絶対的に増加するもののうち,赤血球数が自律的に増殖するものが真性多血症と呼ばれ,造血幹細胞が腫瘍性に増殖する骨髄増殖性腫瘍の1つです.
▲真性多血症では,JAK2という遺伝子に変異を有する症例が多く認められます.
▲病名の通り,慢性に経過する血液の悪性疾患です.造血幹細胞という未熟な段階の血球に遺伝子異常が起こり発症します.遺伝子異常が起きる原因についてはわかっておらず,お子さんやお孫さんなどに遺伝することはありません.
▲日本では多くの方が初期(慢性期)のうちに発見されますので,診断時には自覚症状がないこともよくあります.しかし,無治療のままであったり,治療を自己中断したりすると,慢性期から移行期,急性期へと進行し,急性白血病類似の病態(急性転化)を呈し,治療が困難になります.
▲血小板が作られてはいるのですが,何らかの原因により血小板にくっつく蛋白(自己抗体)が産生され,それにより血小板が破壊され血小板が減少する病気です.
▲血小板が低下することにより,出血症状(鼻出血・歯肉出血・紫斑・過多月経など)を認めます.
▲小児に多い急性型と成人に多い慢性型とに分けられます.
▲特定疾患治療研究事業の対象疾患であり,申請することで支払った治療費に対する公費負担が受けられます.
▲骨髄にある血液を造る元の細胞が変異して,それから形の変な(異形成)異常な血液細胞が造られて逆に正常な細胞が少なくなる病気です.
▲症状や病気の進展状況や死亡率などの臨床的側面は不均一です.そのため,治療法とも関連して詳細な分類が作られています.病名だけでなく,分類(病型)まで診断しておく必要があります.
▲血球減少の進行はさまざまで,一部は急性骨髄性白血病に進行するものもありますが,白血球減少による感染症.血小板減少による出血などで生命に危険があることもあります.
▲高齢者を中心に患者数は増加傾向にあります.
▲悪性リンパ腫はリンパ系組織に発生する悪性腫瘍です.
▲単一の病気ではなく,さまざまな病型があるので,自分がどのような病型かを知っておくことも必要です.
▲放置すれば致死的となりえますが,病型により数週間~数年と自然経過に大きな差があります.発生臓器によってもかなり経過が異なります.
▲1型糖尿病は,生活習慣などは関係なく,自分の免疫などが原因でインスリンを分泌する膵β細胞が破壊されて,インスリンを出すことができなくなり,血糖値が高くなってしまう病気です.
▲慢性に血糖が高い病気で,軽症の場合はほとんど症状がありません.しかし,空腹時血糖値が200mg/dlを超えるほどに悪化すると,口渇,多飲,多尿などの自覚症状が現れます.
▲診断後にすぐに治療を始めれば重大な合併症を起こすことは少ないのですが,放置や治療の中断により網膜症・腎症などが悪化します.動脈硬化の病気にも注意が必要です.
▲病状は,加齢とともにゆるやかに進行する傾向があります.
▲糖尿病による神経障害や血流障害を伴った足に起こる難治性の病気です.
▲足潰瘍は,皮膚が欠損した状態で,感染を合併すると周囲が赤くなり,膿汁(うみ)も出てきます.足壊疽は,皮膚や皮下組織などが死滅して暗褐色や黒色に変色する病気で,重症の血流障害や細菌感染が原因となります
▲治癒までに時間がかかることが多く,重症化すると,場合によっては切断などの外科的処置が必要となることがあります.
▲ブドウ糖を栄養として体に取り込むために必要なインスリンというホルモンが足りなくなって生じる病気です.
▲ご自身の膵臓のインスリン生産能力によってはインスリン治療を継続していく必要があるかもしれません.
▲もともと自分の体からインスリンが出ていたときのようにご自身の生活にインスリン治療を合わせていく必要があり,そのためには病気やインスリンに対する知識も必要になります.
▲「脂質異常症」とは,血液中の脂質[コレステロール,トリグリセリド(TGまたは中性脂肪)]が「異常」をきたしている状態を指します.具体的には,悪玉(LDL)コレステロールの増加,トリグリセリドの増加,善玉(HDL)コレステロールの低下,あるいはこれらの組み合わせで起こっている状態を指します.
▲以前は,高コレステロール血症,高脂血症などが動脈硬化症とそれによる病気(心筋梗塞や脳梗塞など)の危険因子として治療管理の対象となっていました.しかし,危険因子としての重要性はHDLコレステロールの低下やその他の脂質代謝の異常も含めて考えなければならないことから,このような呼び方(脂質異常症)になりました.
▲原因は生活習慣と遺伝的背景の両面が重要です.適切な食餌・運動療法が必須ですが,薬物による治療が必要な場合もあります.家族性高コレステロール血症などの遺伝的背景を軽視せず,見逃さないことも重要です.脂質異常症の改善は,心筋梗塞のリスクを減らします.
▲高尿酸血症は,体質(遺伝的背景)や肥満,メタボリックシンドロームなどにより血液中の尿酸が増加する状態です.
▲放置すると関節や皮膚,腎臓などに尿酸の結晶が蓄積し,さまざまな臓器障害を起こすことがあります.
▲痛風は,高尿酸血症により関節に蓄積した尿酸の結晶がきっかけとなって強い痛みを伴う関節炎を起こす病気です.
▲高尿酸血症を治療しなければ何度も再発を繰り返します.
▲脂質代謝(中性脂肪,HDL-コレステロール),血圧,空腹時血糖の3項目のうち,2つ以上の異常がある方のなかで,腹囲腹腔内脂肪蓄積(ウエスト周囲長の増大で示される)している,動脈硬化と関連する疾患です.
▲特に自覚症状を有する疾患ではありません.
▲近年の飽食,車,インターネット,携帯電話の使用による運動不足などの生活習慣の変化に伴い増加の一途を辿っている疾患です.
▲何より大切なことは,ご自身がメタボリックシンドロームは動脈硬化を促進し,最終的には心血管疾患に至るハイリスク状態であることを理解し,ご自身が生活習慣を見つめ直し,減量つまり内臓脂肪軽減を図ることが重要であると認識することです.
▲体に必要不可欠なホルモンが足りなくなってしまっているので,内服あるいは注射で足りないホルモンを補わなければならない病気です.
▲さまざまな疾患が原因になります.
▲正式には「副腎皮質機能低下症」と呼ばれる病気です.
▲副腎の表層にある「副腎皮質」という部分の働きが弱まり,十分なホルモンがつくれなくなっています.
▲適量のホルモン補充が不可欠であり,実施しないと重篤な状態に陥ります.
▲女性に多く,体内の甲状腺ホルモンが多くなりすぎて,動悸,息切れ,手の震えや体重減少などをきたす病気です.
▲多くはBasedow病によりますが,ほかの疾患が原因のこともあります.Basedow病では,目の症状(眼球突出など)をきたすことがあります.
▲内科的治療は年単位にわたることが多いですが,適切な治療・管理を受ければ,急性期を除けば通常と変わりない日常生活を送れます.
▲「慢性」なので,良くなったり悪くなったりを繰り返しながら,一生続くことが多い病気です.
▲しかし,質(たち)の良い病気であるともいえます.定期的に経過さえみていけば,心配ありません.
▲この病気について最低限の知識をもっておいてください.これから説明いたします.
▲甲状腺の炎症により,発熱や頸部の痛みが起こります.甲状腺ホルモンが増加します.
▲治療しなくても数カ月で自然に治りますが,ステロイド薬を服用すると速やかに症状が軽減します.
▲副甲状腺から過剰に副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌される病気です.PTHは主に腎臓と骨に作用し,血清カルシウムを上昇させる働きがあります.そのため原発性副甲状腺機能亢進では,血清カルシウムが上昇するほか,骨量の低下,尿路結石などさまざまな症状が出現します.原則的には手術によって腫大した副甲状腺を摘出する必要があります.
▲PTHの分泌を促進させる病態により,PTHの分泌が亢進する状態を二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)と呼びます.主に慢性腎臓病の重篤な合併症の1つです.内科的治療で管理可能ですが,著しく進行した場合には副甲状腺摘出術が必要となります.
▲おおよそ4週間の周期で繰り返す「排卵-月経」に乱れが生じ,月経周期,期間,量などが乱れている状態です.
▲内科疾患や内服薬の影響で発生することもあります.
▲多くの場合は自然に改善しますが,繰り返す,程度がひどい,妊娠を希望している場合は婦人科診察が必要です.
▲妊娠,癌の可能性は少ないですが,念のため婦人科診察を受けたほうが安心です.
▲閉経前後の45~55歳頃に,ほてりや発汗,頭痛,不眠,憂うつ感,イライラ感などの多彩な症状を示す症候群です.
▲加齢に伴って,女性ホルモンであるエストロゲンが出なくなることによる変化がさまざまな症状を引き起こしますが,この年代における対人関係や家族関係など心因的な要素も大いに関係します.
▲症状の程度に個人差がありますが,重症化すると日常生活にも支障をきたすことがあり,十分なカウンセリングを行ったうえで,症状に応じた治療を行うことが必要です.
▲アナフィラキシーは急性に発症し,死に至ることがある全身性のアレルギー反応です.
▲主に皮膚症状,呼吸器症状,循環器症状,消化器症状を呈します.
▲二相性反応があり,少なくとも24時間は経過観察が望ましいです.
▲原因は薬物,食物,刺虫傷が多いですが,原因がわからないことも少なくありません.
▲花粉によって引き起こされるアレルギー疾患で,くしゃみ,鼻水,鼻づまり,目のかゆみなどを主な症状とする疾患です.
▲手足の関節をはじめとする全身の関節の痛みや腫れが起こり,治療しないと軟骨や骨が壊れてしまう可能性がある病気です.
▲関節症状以外にも,発熱,貧血,体のだるさなどの症状がみられたり,皮下結節(リウマトイド結節),間質性肺炎,皮膚潰瘍などを合併することがあります.
▲この病気についてしっかり理解し,発症早期からきちんと治療すれば,これまでと変わりない日常生活を送ることができます.
▲リウマチ性多発筋痛症(PMR)は肩や下肢の強い痛みとこわばりを症状とする高齢者に多い疾患で,少量のステロイドが奏効します.
▲側頭動脈炎(TA)は,頭頸部の中~大血管(特に浅側頭動脈)に炎症をきたす高齢者にみられる疾患です.PMRの症状がしばしば認められ,特に視力障害に注意する必要があります.
▲全身性エリテマトーデスは自己免疫反応によって全身のさまざまな臓器に炎症を起こす病気です.
▲再燃と軽快を繰り返す経過をとることが多いですが,症状の出かたや重症度は人によってかなり多様です.
▲以前は予後不良な病気でしたが,現在では適切に治療することによって,日常の生活では大きな問題がなく過ごせることが多くなっています.
▲皮膚の硬化の広がりにより2つのタイプに分けられ,病態が少し異なります.
▲手指・足趾から皮膚硬化が始まる病気で,進行が速いタイプであっても4~5年で,その後はむしろ皮膚が萎縮して軟らかくなることが多いです.
▲硬化の病変は,消化管,肺などの内臓にまで及ぶ可能性があります.
▲血流障害も伴い,皮膚潰瘍なども生じることがあります.
▲四肢近位部や頸部の骨格筋の筋力低下をきたし,亜急性または慢性に進行します.
▲皮膚筋炎では顔面や体幹,四肢関節伸側などに紅斑を主とした皮疹も出ます.
▲間質性肺炎を合併することがあります.
▲悪性腫瘍を合併することがあります.
▲Sjögren症候群は腺組織が自己免疫による炎症を起こす病気で,涙腺の障害によるドライアイ,唾液腺の障害によるドライマウスが最も一般的にみられる症状ですが,それ以外にも全身が「乾く」病気です.
▲乾燥症状のみのことも多いですが,皮膚病変や関節炎を起こすことや,肺や肝臓,腎臓,神経などの臓器が障害されることもあります.関節リウマチなどの膠原病,甲状腺や肝臓などの自己免疫疾患が合併することもあります.
▲再発性口腔内アフタ性潰瘍を初発症状として皮膚症状,眼症状(図1),陰部潰瘍など多彩な症状が繰り返し出現する炎症性疾患です.
▲個々の症例によって症状の組み合わせが異なり,日常生活への影響や予後は異なるため症状に応じた対応が必要です.
▲難病指定されている病気ですが,一般に予後は悪くなく,眼症状についても新しい治療の効果が期待されています.
▲比較的若年の男性に多く,慢性の腰痛が炎症によって生じます.腰痛は朝のこわばりとして現れ,動くと楽になります.
▲根治療法はありませんが,治療により炎症を抑え,脊椎の癒合や変形が進行しないようにします.
▲インフルエンザウイルスによる感染症です.突然の高熱から始まり,咽頭痛,頭痛,関節痛,倦怠感など全身症状が強いのが特徴です.2~3日で解熱し,その頃から鼻漏,咳嗽など呼吸器症状が目立ってきます.
▲健康成人では1~2週間で回復しますが,高齢者などや基礎疾患をもつ人は,肺炎を起こしやすいので注意が必要です.
▲予防にはインフルエンザワクチンを流行前に接種することが有効です.発病したら,早期にノイラミニダーゼ阻害薬で治療することが大切です.
▲ヘルペスウイルスの仲間に分類されているEpstein-Barr(EB)ウイルスが初めて感染した場合に発症する疾患です.
▲急性感染症で,発熱,化膿性扁桃炎,頸部リンパ節腫脹,肝・脾腫が主な症状です.多くの場合には自然治癒する予後良好な疾患です.
▲稀に,重症肝炎,脳炎,無菌性髄膜炎,Guillain-Barré症候群などを合併することがあります.
▲ブドウ球菌は,黄色ブドウ球菌とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌に分けられます.
▲黄色ブドウ球菌感染症は,比較的軽症な皮膚軟部組織感染症から致死的な全身感染症まで非常に幅が広いです.
▲黄色ブドウ球菌による菌血症は致死率が高く,感染性心内膜炎や化膿性椎体炎などさまざまな合併症を起こします.