特集 内科 疾患インストラクションガイド―何をどう説明するか
患者にどう説明するか
効果的な説明―その技術とアート
松村 真司
1
1松村医院
pp.10-12
発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105448
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患者・医師間コミュニケーションの重要性
患者・医師間のコミュニケーションはすべての診療の根幹である.正確かつ迅速な診断は患者や患者家族から適切に,かつ効率的に診療情報を収集することで始まる.また,コミュニケーションにはそれ自体,治療的な働きがあることも知られている.患者の訴えを傾聴し,患者が心配していることに対して保証を与えるだけで,特別な治療をしなくとも問題が解決することは,臨床ではしばしば経験することである.また,適切なコミュニケーションを通じて診療への満足感や医師への信頼感が向上することで,薬剤に対するコンプライアンスが向上し,結果として治療の成功率も向上することが知られている.よりよいコミュニケーションが,慢性疾患の臨床指標,がんの生存率,副作用の出現率など,さまざまな指標を改善させることは多くの研究で実証されているところである1).したがって,コミュニケーション能力は臨床医にとってきわめて重要な診療能力の1つである.
一方,これまで多くの患者調査において,医師に対して望まれる資質や能力の上位項目には一貫して「わかりやすい説明」が挙げられてきた.例えば,2010年の大阪府民の調査では,医師に求める資質として「職場・自宅からの近さ」,「適切な紹介」に次ぐ3番目に「丁寧な説明」が挙げられている2).このように,コミュニケーション能力は,臨床医にとって重要な診療能力であると同様に,一般住民から医師に備えてほしいという要望がきわめて高い資質の1つでもある.
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