特集 内科 疾患インストラクションガイド―何をどう説明するか
消化器疾患
肝細胞癌
伊東 和樹
1
1肝臓病・子育てよろず相談伊東クリニック
pp.294-297
発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105521
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どのような病気なのでしょうか
▲肝細胞癌(以下,肝がん)は無症状の時期にエコー・CTなどの画像検査で見つかることが多いので病気を実感しにくいのです.しかし,放置するといずれは自覚症状があらわれ,症状が出てからだと確実な治療(根治)は難しくなります.無症状の段階で運良く発見されたのなら,チャンスを逃さぬよう前向きに治療を考えてください.
▲C型肝炎・B型肝炎など慢性の肝臓病を背景に発生する場合が多いので,がんの治療だけでなく,もとの肝臓病(慢性肝炎・肝硬変)のケアも大切です.
▲小さいうち(腫瘍径で3~4 cmまで)に見つければ,1個目の肝がんはどのような治療法を選んでも,ほぼ確実に片付けることができるでしょう.しかし,初回治療成功後でも慢性肝炎-肝硬変を基盤に,忘れたころに2,3個目の肝がんが出てくることも稀ではない.治療後も綿密なフォロー・アップ検査が肝心です.
▲2,3個目の肝がん発生を減らすために,また万一出てきた際にできるだけ有利な条件で再治療に臨めるように,基礎肝疾患の治療が大切なのです.肝機能を良好に保てれば,何回でも適切な追加抗癌治療ができ,長生きにつながります.
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