臨床皮膚科 71巻6号 (2017年5月)

連載 Clinical Exercise・117

Q考えられる疾患は何か? 種瀬 啓士
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症例

患 者:41歳,男性

主 訴:頭皮の肥厚および深い皺襞

既往歴:精神発達遅滞

現病歴:17歳頃に頭部の皮膚肥厚を自覚した.以後顕著となったため,精査目的にて受診.

初診時現症:前額部および被髪頭部の皮膚が全体に肥厚して皺襞を形成し,いわゆる脳回転状皮膚を呈していた(図1a).指趾末端は腫大し太鼓ばち状に,爪甲は時計皿状であった(図1b).

マイオピニオン

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 遺伝外来において医師が果たさねばならない役割は多岐にわたる.まずは的確な診断である.ここには遺伝的多様性と臨床的多様性の問題がある.遺伝的多様性とは,全く異なった遺伝子が変異することにより,とてもよく似た臨床症状が生じることである.例えば先天性魚鱗癬では,さまざまな原因遺伝子の変異により,よく似た症状が生じる.臨床的多様性とは,同じ遺伝子の変異であっても,変異が異なれば全く異なる臨床症状が生じることである.例えばGJB2変異は,Vohwinkel症候群やKID(keratitis-ichthyosis-deafness)症候群といった全く異なる疾患を引き起こす.臨床像のみから遺伝形式を判断することは,時に大きな誤りを生じるために危険であり,患児の両親が次子を希望した場合に同じ疾患を持つ子が産まれる危険率,患者が結婚し出産を希望する場合に同じ疾患が子に遺伝する危険率,を推定する場合は,遺伝子検査を実施して総合的に判断することが望ましい.しかし,遺伝子検査を行い,その結果をただ患者やその家族に伝えるだけでは十分とはとても言えない.遺伝外来を担当する医師には,遺伝子検査の結果を読み解く知識,そしてその結果を的確に伝え,患者またはその両親が自分の意思で的確に判断し,検査や処置を選択できるようにサポートするための,遺伝カウンセリングの知識と技能が絶対に必要である(図).

 このような知識と技能を一朝一夕につけることは困難である.遺伝性疾患には稀少な疾患が多く,経験値を積むこと自体が困難なことも多い.遺伝外来を担当していると,初めて出会う疾患を数多く経験することになる.医師には原因遺伝子から分子的な病態を類推する,基礎研究者としての能力が求められると同時に,「病気の子を産んだ原因は自分にあるのではないか」,「この子をどう育てればいいのか」,「自分の病気を子供に遺伝させたくない」といった患者やその家族の思いに寄り添うカウンセラーとしての能力も求められる.どちらか一方だけでは片手落ちであり,基礎医学から臨床医としての能力,哲学,宗教観を含めた教養まで,全人的な対応能力を磨いていくことが大切である.単なる外来診療だけでなく,的確な遺伝カウンセリング,その裏で縁の下の力持ちとして行う遺伝子変異解析,さらに新たな治療法を導入するためのさまざまな手続きに至るまで,惜しみなく時間とエネルギーを注ぐ必要がある.

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要約 梅毒の診療における自動化法の使用に関する指針の必要性は高まっている.本検討では,倍数希釈法と自動化法の相関性の検討および個々の梅毒症例に関する治療後の抗体価の推移に関する検討を目的とした.梅毒と診断あるいは梅毒を疑われ,自動化法と倍数希釈法を同時に測定されていた血清の抗体価を集積した.倍数希釈法と自動化法の相関性,梅毒の治療前後の抗体価の推移などに関して検討した.18症例52検体の抗体価を解析した.倍数希釈法と自動化法の抗体価は有意な相関性を認めた(r=0.937,p<0.001).単回帰分析の回帰係数は1.57で,切片は−5.08だった.治療前後の抗体価の変化率(治療前の抗体価/治療後の抗体価)の検討では,自動化法の変化率が倍数希釈法のそれに比し大きかった(p<0.02).両方法の抗体価は統計学的に有意な相関性を認めたが,単回帰分析では数値が乖離する可能性も示された.自動化法は倍数希釈法に比べ抗体価の推移を精確に評価できる可能性が示された.

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要約 27歳,女性.オコゼ刺傷による右下腿皮膚潰瘍に対して,ゲーベン®クリームを外用していたが難治のため当科を紹介受診した.潰瘍周囲に紅斑,丘疹が広がり,ゲーベン®クリームの外用を中止したところ,潰瘍部の肉芽形成が良好となり植皮術を行った.術後,顔や植皮部にヒルドイド®ソフト軟膏を外用し,瘙痒が出現していたが不定期に外用を続けていた.約1年後に全身に紅斑が拡大し,再度当科を受診した.パッチテストでは,ゲーベン®クリーム,ヒルドイド®ソフト軟膏,これらに共通した添加物であるパラベンが陽性だった.自験例では,最初の接触皮膚炎の診断時に原因成分までは特定しなかったため,パラベン含有薬剤の外用を継続し経過が長期化した.パラベンは身近な医薬品,化粧品に数多く含まれており,難治性の皮膚炎や皮膚潰瘍では,パラベン類へのアレルギーも念頭に置きたい.

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要約 7歳,女児.初診の4か月前より虫よけ剤を使用後に膨疹が出現するため当科を紹介受診した.使用した虫よけ剤のうち1種を用いてオープンパッチテストを施行したところ,塗布30分後に塗布部位に一致して膨疹がみられた.さらに虫よけ剤の各種成分を用いてそれぞれオープンパッチテストを施行したところ,ディート(N, N-diethyl-m-toluamide)塗布部位にのみ膨疹が出現したことから,ディートによる接触蕁麻疹と診断した.オープンパッチテスト中に塗布部位を越える膨疹の拡大や気道・消化器症状などの全身症状の出現はなかった.ディートによる接触蕁麻疹は海外では報告されているが,本邦ではこれまでに報告をみない.近年,蚊などの虫が媒介する病気の予防のためなどで,屋外活動時に,虫よけ剤が頻用されており,同様の症例が増加することが予測される.

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要約 69歳,女性.約半年前より頭皮の「ぶよぶよ」感を自覚するようになった.初診時,頭部全体にヘルメット状に「ぶよぶよ」とした非圧痕性の頭皮の肥厚を認めた.MRIでは,頭皮,特に皮下脂肪層の肥厚を認めた.病理組織学的には,皮下脂肪組織の肥厚があり,成熟した脂肪細胞の増加を認めた.また,脂肪隔壁は浮腫状であり,脂肪隔壁内のリンパ管拡張がみられた.臨床像とあわせて,lipedematous scalp(LS)と診断した.LSは皮下脂肪織の肥厚を特徴とする稀な疾患で,原因,治療ともにいまだ不明な点が多い.女性に好発し何らかのホルモン異常が発症に関係するとの意見がある.自験例も女性であり,甲状腺機能低下症に対し甲状腺ホルモンを投与されていた.

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要約 61歳,男性.当科初診の半年前より両上肢に丘疹が出現し,その後集簇性に多発してきたため精査目的で当科を受診した.初診時,両上肢に直径5mm大までの比較的均一な丘疹が集簇性に多数みられた.皮膚生検病理組織像にて真皮上層に非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を認めた.全身検索にて血清ACE値を含めた血液検査は正常範囲内で,画像検査でも異常はなかった.しかし,問診にて10年前にペースメーカー植え込み術を受けており,1年前に近医眼科で両眼のぶどう膜炎を指摘され,加療中であることが判明した.以上より,サルコイドーシスの苔癬様型皮膚サルコイドと診断した.サルコイドーシスは多臓器に肉芽腫を生じる全身性疾患であるが,各臓器病変の出現は必ずしも同時期ではなく,診断のためには長期間にわたる経過観察が必要と考えられる.

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要約 症例1:75歳,男性.初診5か月前より左上背部,右上腕に環状紅色局面が出現した.症例2:11歳,女児.初診2週間前に左外果に環状紅色局面が出現し,その後,四肢にも同様の皮疹が出現した.症例3:63歳,男性.初診3年前より右手背に環状紅色局面が出現した.3症例とも病理組織学的に環状肉芽腫と診断した.いずれの症例もステロイドの外用だけでは改善せず,ナローバンドUVBを併用することで皮疹は略治した.ナローバンドUVBが有効であった環状肉芽腫の症例報告を検討すると病変が浅層にあるほど略治までの紫外線照射量が少ない傾向にあった.紫外線治療の作用機序として紫外線の真皮深達度範囲内で組織球,リンパ球に細胞毒性効果を発揮する直接的効果と,表皮のLangerhans細胞からIL-10を遊離させてマクロファージを抑制する間接的な効果が考えられており,病変の深度が略治までの紫外線照射量と相関している可能性を考えた.

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要約 77歳,女性.突然左下腿の圧痛を伴う紅斑を発症し,前医にて結節性紅斑を疑われ加療を受けるも,難治のため紹介され受診した.CT angiography,超音波Duplex scan法にて精査したところ,下肢微小動静脈瘻による硬化性脂肪織炎と診断した.圧迫による保存的加療では改善せず,動静脈瘻の結紮切離術および小伏在静脈高位結紮術にて軽快した.2012年3月より2015年4月までの3年間に下肢の皮膚症状を主訴に来院し下肢静脈超音波検査を施行した564症例で2.6%に下肢微小動静脈瘻がみられた.潰瘍や静脈瘤のみでなく,紅斑,硬化性脂肪織炎などにおいても下肢微小動静脈瘻が原因である症例が少なからずみられた.下肢の皮膚症状の原因として,下肢微小動静脈瘻は検索すべき重要な疾患である.

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要約 47歳,男性.初診の1か月前より左頰部に腫脹を自覚し,当科を受診した.左頰部から左鼻部にかけて軽度の熱感と瘙痒を伴う腫脹を認め,血液検査では,好酸球,IgEの上昇がみられた.病理組織学的に,好酸球とリンパ球の浸潤を伴う血管の増生と血管内皮細胞の腫大を認めた.左頰部の腫脹は消失したが,その後,左下顎に瘙痒を伴う多発する紅色結節が出現した.下顎部の結節の病理組織像は,表皮から皮下脂肪織に好酸球の浸潤を伴うリンパ球の密な浸潤とリンパ濾胞の形成を認めた.Angiolymphoid hyperplasia with eosinophiliaとの鑑別を要したが,臨床および病理組織学的所見より木村病と診断した.ステロイド内服療法にて皮疹は消退傾向を示した.木村病は臨床像が多彩となることがあり,経過中に適宜皮膚生検を施行し,評価することが重要である.

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要約 65歳,男性.初診の1か月前より手指の結節と四肢の関節痛が出現した.初診時,両手指に圧痛を伴う大豆大の多発性結節と全身の関節痛があった.手指結節部から施行した皮膚生検ですりガラス様細胞質を有する大型の組織球様細胞を多数認め,それらの細胞はCD68が陽性で,CD1aとS100蛋白は陰性であった.臨床所見および病理組織所見より多中心性細網組織球症(multicentric reticulohistiocytosis:MR)と診断した.また,全身精査で胃癌の合併を認めた.ヨウ化カリウム600mg/日の内服を開始し,3か月後に皮疹は平坦化した.胃癌に対しては,患者の意向により治療は行っていない.本症はこれまで205症例の本邦報告例があり,そのうち胃癌を含めた消化器系の癌は7例あった.悪性腫瘍を合併したMRは悪性腫瘍の治療によりMRも軽快することが多いが,自験例においては悪性腫瘍を治療せずMRの軽快を認め,ヨウ化カリウムがMRに有効である可能性を示唆された.

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要約 78歳,女性.関節リウマチに対して24年間メトトレキサート(MTX)の内服をしていた.入院4か月前より認めていた両下腿浮腫,びらんが増悪をきたし入院した.その際に汎血球減少を認め,入院5日目に鼠径リンパ節腫脹と腹部膨満を,6日目に呼吸困難が出現し,血液検査所見では白血球・LDH・可溶性IL-2受容体が上昇し,CTでは大量の胸腹水の貯留・両鼠径リンパ節腫脹を認めた.右鼠径リンパ節の病理組織像では異型細胞が密に増殖し,免疫染色ではEBERが陽性であった.MTX関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-related lymphoproliferative disorders:MTX-LPD)と診断し,汎血球減少のため休薬したMTXの中止に加えて利尿剤投与,酸素投与を行った.約14日で胸腹水は改善傾向となり,鼠径リンパ節が縮小し,末梢血は正常化した.胸腹水を合併し重篤化するMTX-LPDは稀であるが,MTXの中止のみで改善することから,追加治療の要否に関する見極めが難しい.改善しない場合や初期から重度の症状がある場合は,全身管理や化学療法を要する場合がある.

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要約 64歳,女性.2か月前から増大する,人中左側の結節を主訴に当科を受診した.初診時,人中左側に境界明瞭でドーム状に隆起する27×22mmの弾性やや軟の淡紅色結節がみられた.血液検査では異常所見はなかった.病理組織学的に真皮毛包周囲を中心に,密なリンパ球様細胞の増殖がみられた.一部で毛包内にも浸潤していたが,表皮内浸潤はみられなかった.これらの細胞は,CD3陽性,CD4>CD8陽性であった.T細胞受容体遺伝子再構成が陽性であったことから,毛包向性菌状息肉症(T3N0M0,stage ⅡB)と診断した.結節は,諸検査の結果を待つ間に,無治療で平坦化する傾向がみられていた.顔面全体にナローバンドUVB療法を開始し同部の結節は完全に消退に至ったが,照射野内の耳前部,頰部に浸潤を触れる紅斑が新生した.以上の経過より人中部の結節は自然消退と考えた.毛包向性菌状息肉症の自然消退はこれまで報告がなく稀と思われた.

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要約 1か月,男児.生後2週頃,両親が左下肢の腫脹に気付いた.当科初診時,左下腿伸側に約3×2cm大の皮下に硬結を伴う紫青色斑を認めた.超音波検査では筋膜に沿って10mm大の扁平で不整な低エコー域を認め,周囲の皮下脂肪組織に不整な高エコー域を伴っていた.初診より2か月後の超音波検査で腫瘤の増大と血流の増加を認めた.生検により血管芽細胞腫と診断した.初診より6か月目には縮小傾向となり,1年後にはほぼ消失した.2年後,再発は認めず,超音波検査でも明らかな病変を描出することはできなかった.自験例では超音波検査は血管芽細胞腫の診断のみならず経過観察や再発の有無の確認において有用であった.

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要約 39歳,女性.約20年前左下腹部に茶褐色の色素斑を自覚した.その後緩徐に増大を認めていた.初診1年前から急速に増大したため当科を受診した.初診時60×30×30mmの下床との可動性を有する,弾性やや硬の表面茶褐色の腫瘤を認めた.神経線維腫症1型の家族歴はない.全摘生検を施行した.病理組織像では核分裂像を認める紡錘形細胞の束状性,錯綜性の配列を認めた.免疫染色でS100蛋白,SOX10,NSE陽性であり悪性末梢神経鞘腫瘍と診断した.全身CT検査で内臓悪性腫瘍や転移がないことを確認し,局所の拡大切除と全層植皮術による再建を行った.術後20か月経過し局所再発や転移は認めていない.非神経線維腫症1型の患者に生じ長期の経過をとった悪性神経鞘腫瘍を経験し,その鑑別と疾患の特性について過去の報告と比較検討し,①高齢男性に多く発症部位に偏りがない,②赤色調でやや硬い腫瘍,③長期の経過中に急激に増大,④S100蛋白陽性,⑤予後不良例は若年者が特徴であると考えた.

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要約 55歳,男性.初診1年半前より右第5趾腹側に紅色皮疹が出現した.近医でステロイド外用の加療を受けていたが,改善を認めず他の皮膚科を数件受診後,前医の皮膚生検で無色素性悪性黒色腫と診断され,当院を紹介受診した.初診時,右第5趾腹側に径21×16mmの弾性やや硬,表面に褐色の痂皮を伴う扁平な紅斑局面を認めた.ダーモスコピーでは毛細血管拡張と白色領域が混在していた.拡大切除ならびにセンチネルリンパ節生検を施行,tumor thickness 4.4mm,センチネルリンパ節に明らかな転移はみられなかった.末端黒子型無色素性悪性黒色腫T4bN0M0,Stage Ⅱcと診断した.術後3か月後の現在,局所の再発および転移は認めていない.扁平な紅斑局面を呈する無色素性悪性黒色腫はきわめて稀で,臨床像のみから黒色腫を疑うことは困難であり,当院初診までに多数の医療機関受診を要した.足底の治療抵抗性の紅斑局面は悪性腫瘍も念頭に積極的に生検すべきであると考えた.

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要約 35歳,男性.Alport症候群による慢性腎不全に対して7年前に生体腎移植を受け,以後免疫抑制剤,ステロイドを内服していた.肛囲のコンジローマの多発による坐位保持困難を主訴に来院した.初診時,陰茎に幅3cmほどで帯状に,肛門周囲にはくるみ大の,臀裂周囲には手拳大の腫瘤が多発していた.臨床,病理組織像から巨大尖圭コンジローマと診断した.切除組織から外陰部に感染するヒトパピローマウイルスを網羅的に検索したところ,低リスク型の6,11型,高リスク型の52,59型を検出した.自験例は免疫抑制剤内服中であったことが尖圭コンジローマの巨大化,高リスク型HPVの感染の要因となったと考えた.悪性腫瘍との鑑別が重要であるが自験例では病理組織学的所見から区別しえた.

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欧文目次

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 ウェアラブル機器とは体に装着可能なアイテムに組み込まれた電子機器で,内部に小型デバイスが搭載されており,データ収集や行動追跡をリアルタイムで記録できるツールである.医療機関内で収集される情報は,患者の生活中の限られた断片的なものであり,ウェアラブル機器を用いることで個人の活動を継続的かつ詳細に計測し,日常生活のなかの多種多様な情報を効率よく収集することができる.しかし,これまでのウェアラブル機器は個人の身体活動および心拍数などバイタルサインを追跡することしかできず,ユーザーの健康状態を分子レベルで解析することはできなかった.

 本研究で著者らは,汗の分析に注目した.汗に含まれるNaやK,乳酸塩,グルコースなどを分子レベルで解析することにより,個体の生理状態を詳細に記録できると考えた.汗の分泌に関する多変量パラメータを統合し,汗から得られる複雑な情報を抽出するために,著者らは多重感知システムfully integrated wearable sensor arrays(FISA)を開発した.FISAはウェアラブルイオンセンサーにより電気信号を生成,それを増幅・フェルタリングし,処理,無線伝送を独立した回路で行う.多項目の情報を測定する間も個々の動作を維持できるため,大規模かつリアルタイムに生理学的・臨床的研究を進めることができるツールである.この機器を使用することで,汗分泌物の解析や皮膚体温の測定により,運動による生理学的動態変化を精密に記録できることがわかった.

次号予告

あとがき 中川 秀己
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 新しい年度が始まり,新入レジデント,新入スタッフを迎える季節となりました.われわれの教室では今年は女医さんのみの入局で,ついに教室員約70名の6割が女性という構成になりました.以前,女性医師の復職・キャリアパス支援を考えて,教室員全員でバックアップ体制を構築することと,有効な対策を選択するための事前準備として,女性医師の妊娠・出産・子育て,夫の転勤の動向を前もって掴んでおくことの重要性を述べました.しかしながら,昨今職場でともに働くスタッフ(医師,看護師,パラメディカルなど)の男女のワーク・ライフ・バランスを考え,その人のキャリアと人生を応援しながら,組織の業績も結果を出しつつ,自らも仕事と私生活を楽しむことができる経営者・管理者であるイクボスの重要性が唱えられてきています.実際,安倍晋三首相が「働き方改革」政策をここ3年の内閣最大のチャレンジとし,昨年9月に小池百合子東京都知事,女性医師が多い日本産婦人科学会が「イクボス宣言」を行っています.

 イクボス10カ条として,①理解,②ダイバーシティ,③知識,④組織浸透,⑤配慮,⑥業務改善,⑦時間捻出,⑧提言,⑨有言実行,⑩隗より始めよ,が挙げられています(安藤哲也 NPO法人ファザーリング・ジャパンファウンダー/代表理事より).

基本情報

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臨床皮膚科
71巻6号 (2017年5月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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