Japanese
English
症例報告
胃癌を合併しヨウ化カリウムが奏効した多中心性細網組織球症の1例
A case of gastric cancer associated multicentric reticulohistiocytosis succesfully treated with potassium iodide
齋藤 友紀
1
,
林 周次郎
1
,
山内 瑛
1
,
神永 朋子
1
,
濱﨑 洋一郎
1
,
籏持 淳
1
Yuki SAITO
1
,
Shujiro HAYASHI
1
,
Akira YAMAUCHI
1
,
Tomoko KAMINAGA
1
,
Yoichiro HAMASAKI
1
,
Atsushi HATAMOCHI
1
1獨協医科大学病院皮膚科
1Department of Dermatology, Dokkyo Medical University Hospital, Tochigi, Japan
キーワード:
多中心性細網組織球症
,
ヨウ化カリウム
,
悪性腫瘍
,
胃癌
,
TNF-α
Keyword:
多中心性細網組織球症
,
ヨウ化カリウム
,
悪性腫瘍
,
胃癌
,
TNF-α
pp.429-433
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205120
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要約 65歳,男性.初診の1か月前より手指の結節と四肢の関節痛が出現した.初診時,両手指に圧痛を伴う大豆大の多発性結節と全身の関節痛があった.手指結節部から施行した皮膚生検ですりガラス様細胞質を有する大型の組織球様細胞を多数認め,それらの細胞はCD68が陽性で,CD1aとS100蛋白は陰性であった.臨床所見および病理組織所見より多中心性細網組織球症(multicentric reticulohistiocytosis:MR)と診断した.また,全身精査で胃癌の合併を認めた.ヨウ化カリウム600mg/日の内服を開始し,3か月後に皮疹は平坦化した.胃癌に対しては,患者の意向により治療は行っていない.本症はこれまで205症例の本邦報告例があり,そのうち胃癌を含めた消化器系の癌は7例あった.悪性腫瘍を合併したMRは悪性腫瘍の治療によりMRも軽快することが多いが,自験例においては悪性腫瘍を治療せずMRの軽快を認め,ヨウ化カリウムがMRに有効である可能性を示唆された.
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