Japanese
English
症例報告
鼠径部の多発リンパ節腫脹,胸腹水貯留を認めたメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の1例
A case of methotrexate-related lymphoproliferative disorders with multiple lymphadenopathy and thoracicoabdominal fluid retention
内田 理美
1
,
舩越 建
1
,
菊池 拓
2
,
坂田 康明
2
,
山上 淳
1
Rimi UCHIDA
1
,
Takeru FUNAKOSHI
1
,
Taku KIKUCHI
2
,
Yasuaki SAKATA
2
,
Jun YAMAGAMI
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科
2慶應義塾大学医学部内科
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Internal Medicine, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患
,
胸腹水
,
鼠径リンパ節腫脹
,
血球異常
Keyword:
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患
,
胸腹水
,
鼠径リンパ節腫脹
,
血球異常
pp.434-438
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205121
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要約 78歳,女性.関節リウマチに対して24年間メトトレキサート(MTX)の内服をしていた.入院4か月前より認めていた両下腿浮腫,びらんが増悪をきたし入院した.その際に汎血球減少を認め,入院5日目に鼠径リンパ節腫脹と腹部膨満を,6日目に呼吸困難が出現し,血液検査所見では白血球・LDH・可溶性IL-2受容体が上昇し,CTでは大量の胸腹水の貯留・両鼠径リンパ節腫脹を認めた.右鼠径リンパ節の病理組織像では異型細胞が密に増殖し,免疫染色ではEBERが陽性であった.MTX関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-related lymphoproliferative disorders:MTX-LPD)と診断し,汎血球減少のため休薬したMTXの中止に加えて利尿剤投与,酸素投与を行った.約14日で胸腹水は改善傾向となり,鼠径リンパ節が縮小し,末梢血は正常化した.胸腹水を合併し重篤化するMTX-LPDは稀であるが,MTXの中止のみで改善することから,追加治療の要否に関する見極めが難しい.改善しない場合や初期から重度の症状がある場合は,全身管理や化学療法を要する場合がある.
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