臨床皮膚科 60巻6号 (2006年5月)

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Qどんなダーモスコピー所見が認められますか?

診断は何でしょう

臨床情報

 52歳,男性,色白の皮膚でsun burnを起こしやすい.3年前,左前腕に褐色の病変が生じているのを家人に指摘された.その後,徐々に拡大してきた.

 初診時,左前腕外側部に13×11mmの境界が比較的明瞭な黒褐色調の局面状皮疹が認められた(図2).外形がやや不整で,色調に多少の濃淡が認められる.体幹などには径数mm大の褐色斑が20~30個散在性に認められた.

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 保健会社によって治療法が変わる

(Medical Decision Affected by Insurance)

 以前にアメリカの医療保険は多種類あることを説明したが,同じ保険会社でも多種の保険があり,個々の保険によってカバーする診療内容,検査,薬,手術が異なるし,カバーする金額も異なる.ある保険会社のある保険では,この治療法をカバーするけれども,別の保険や別の保険会社ではカバーしない.この保険制度を無視して医療を行うと,莫大な医療費が保険でカバーされないので大変なことになる.投薬の場合には,保険がきかないと電話がかかってきて,別の安い薬に変えないといけなかったり,必要性を証明する書類を書かないといけなかったりする.

 これが実際に患者さんの医療にどう影響するかを,実例をもとに検討しよう.私は乾癬外来をもっているので,重症の乾癬患者さんを診る機会が多い.これらの患者さんは,外用薬,光線療法では治療しきれないので,内服や注射が必要になる.例えばメソトレキセートを処方するとしよう.処方量にもよるが,だいたい1か月30~40ドルになる.保険Aでは,投薬1種につき,患者負担は10ドル(1,000円ちょっと)であるのに対し,保険Bでは,10~20%であったりする.保険Bのほうが毎月の保険料の掛け金は少ないことが多い.メソトレキセートを1か月30ドルとした場合,保険Aでは10ドルの支払い,保険Bでは3~6ドルの支払いとなる.保険Bのほうが毎月の掛け金は少なく,メソトレキセートの患者負担額も安く,お得のように思える.では,この患者がメソトレキセートが効かなかったり,副作用が出たり,また長期投与されていて他の薬に変える必要が出てきた場合はどうだろう.例えばシクロスポリンを投与するとしよう.これは1か月400ドルぐらいの薬である.保険Aの患者は10ドルの支払い,保険Bの患者は40~80ドルの支払い,と立場は逆転する.さらに,今流行の注射薬エンブレルの場合,保険会社の対応,患者負担額はまさに多種多様である.この薬は1か月2,500ドル近くかかるのであるが,保険Aの患者はそれでも10ドルの支払いで済み,保険Bの患者は250~500ドルの支払いとなる.こうなると,保険Aのほうが掛け金が少し高くても高額医療のときの患者負担が少なく,安心して最新の高い治療を受けられるということになる.さらにメディケア(老人医療)では20%負担なので,この注射薬エンブレルの場合,500ドル(5万円近く)が持ち出しとなり,第2の保険をもっていない老人にとっては夢の薬となってしまう.また,ある保険では,患者さんが別の内服薬(メソトレキセートやシクロスポリンなど)でも治らなかったり副作用が出てだめだったという証明がないとエンブレルの処方は認められなかったり,さらにひどくなると,エンブレルは保険会社のデータベースに入っていないので,有効性を証明する論文を提出せよなどと言ってくる.これらの障害により,治療法を変更して別の内服薬を投与しないといけないことが往々にしてある.メディケアの場合,エンブレルのような注射薬は20%負担だが,メソトレキセートやシクロスポリンのような内服薬は全額自己負担であるため,今度は患者さんのほうが高いシクロスポリンよりも安いメソトレキセートを処方してくれと言う.

今月の症例

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本論文は抹消されました。

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 61歳,女性. 関節リウマチの既往があり,2年前に右膝人工関節置換術を受けている.先行する感染症状ののち,突然,右下腿に限局して紫斑を生じ,同部が血疱化した.安静のみで改善傾向を示したが,潰瘍が残存した.血疱の生検組織像は真皮中層小動脈の白血球破砕性血管炎の所見で,臨床,経過,病理より右下腿に限局した皮膚アレルギー性血管炎と診断した.右下腿にのみ皮疹が生じた原因として,右膝人工関節置換術の関与が示唆された.

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 67歳,女性.両下腿に発症した小結節を主訴に受診した.病理組織像および培養結果より下腿結節性肉芽腫性毛包周囲炎(Wilson, 1954)と診断した.抗真菌薬内服により略治したが,再発を繰り返す.関節リウマチに対する長期ステロイド内服の影響が疑われた.

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 2か月,女児.生後10日から出現した全身に多発する結節を主訴に来院した.初診時,最大9mmまでの9個の結節が散在性に認められ,病理組織学的に若年性黄色肉芽腫と診断した.眼科的には右眼底に脈絡膜隆起性病変を認めたが,内臓諸臓器には異常を認めなかった.生後6か月まで皮膚結節は増大・増数し,最大径30mmまで,数は20個以上まで増加したが,その後,結節は徐々に平坦化してきた.自験例のように大型の結節が多発する若年型黄色肉芽腫は,調べえた限り報告されておらず,稀な症例と考えられた.

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 25歳,男性.2004年3月頃から下腿に圧痛を伴う紅斑と関節痛が出現した.皮疹の所見,生検組織像から結節性紅斑(EN)と考え,入院のうえ安静と消炎鎮痛薬の内服で改善したため退院した.8月中旬より下腿の紅斑が増加し潰瘍化してきたため再入院した.潰瘍周囲の紅斑の生検で,真皮下層から脂肪織に壊死性血管炎の像がみられた.抗核抗体,MPO-ANCA,PR3-ANCAはいずれも陰性であった.下肢のしびれ感,腹痛,下血も出現した.下部消化管内視鏡で上行結腸粘膜の発赤を認めた.胸腹部CTおよび腹部大動脈分枝の動脈造影では異常所見はなかった.結節性多発動脈炎(PN)と診断しステロイドパルス療法を行ったところ,下血・腹部症状は消失し,下腿の潰瘍も徐々に上皮化した.PNは時にEN様皮疹で発症することがあり,注意を要する.

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 29歳,女性.2004年2月より発熱,両側肺門リンパ節腫脹,ぶどう膜炎で発症し,経気管支肺生検により類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断された.同5月に両下腿に圧痛のない,皮下浸潤を触れる爪甲大の淡紅色斑が多発した.真皮浅層から皮下脂肪織に類上皮細胞肉芽腫を認め,結節性紅斑様皮疹と診断した.6月下旬,嚥下困難が出現し,神経サルコイドーシスと診断,PSL40mg/日を開始したところ,結節性紅斑様皮疹は消退した.PSL減量後,7月末頃から,下腿前面や足底に,爪甲大~鶏卵大の淡褐色,葉状の鱗屑を伴った角化性紅斑が敷石状に集簇し,局面を形成,魚鱗癬様外観を呈した.表皮の菲薄化,角質肥厚,顆粒層の減少,真皮浅層から皮下脂肪織に類上皮細胞肉芽腫を認め,魚鱗癬様皮疹と診断した.PSLを増量し,皮疹は軽快した.皮膚サルコイドのなかでも稀な結節性紅斑様皮疹,魚鱗癬様皮疹を生じた1例を報告した.

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 65歳,女性.全経過を通じて筋症状・筋原性酵素の上昇がなく,典型的な皮膚筋炎の皮膚症状を認めたことよりamyopathic dermatomyositisと診断した.初診5か月後より手指末端・足底部の荷重部位に潰瘍や壊死を伴う凍瘡様紅斑と紫斑,坐骨部には径1cm大の穿掘性潰瘍が出現し,同時期に間質性肺炎を発症した.ステロイド治療に抵抗性であり,びまん性肺胞障害型の間質性肺炎,皮膚潰瘍の増悪と縦隔気腫の併発を認めたため各種免疫抑制剤の使用を試みるが効果はなく,感染性肺炎により死亡した.皮膚筋炎に合併する急速進行性の間質性肺炎はステロイド抵抗性であり,早期から免疫抑制剤の併用が効果的といわれている.筋症状を認めない例や皮膚潰瘍がみられる例では予後不良の間質性肺炎を呈することが多く,的確で迅速な診断と治療選択が必要であると考えられた.

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 43歳,女性.初診2か月前より口腔内にびらん,疼痛が出現し次第に増悪した.初診時,頬粘膜,舌,硬口蓋,下口唇粘膜面に膿苔を付すびらんが多発していた.皮膚病変はみられなかった.抗デスモグレイン(Dsg)1抗体36.7Index,抗Dsg3抗体882.0Indexと高値であった.プレドニゾロン(PSL)60mg内服にて粘膜疹は軽快したが,PSLを10mgまで減量したところ嚥下時疼痛が出現した.上部消化管内視鏡検査では食道下部に全周性の粘膜剥離がみられ,生検所見から尋常性天疱瘡の食道病変と診断した.PSL40mgに増量したところ速やかに症状は軽快した.尋常性天疱瘡における食道病変は時にみられるが,他部位の病変とは平行せずに生じることがあり注意を要する.

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 67歳,女性.既往歴にCD20陽性濾胞性B細胞性非Hodgkinリンパ腫と重症筋無力症,胸腺腫がある.結膜充血,口腔内や口唇のびらん,体幹の紅斑が出現した.病理組織や蛍光抗体法,免疫ブロット法の所見より腫瘍随伴性天疱瘡と診断した.プレドニゾロンを投与するとともに,天疱瘡とB細胞性非Hodgkinリンパ腫の両者に効果が期待できるリツキシマブを用いた化学療法を選択した.治療開始後3か月で臨床症状は改善し,退院となった.プレドニゾロンとともにリツキシマブを用いる治療法は,リンパ腫と腫瘍随伴性天疱瘡の両者の症状に対して有効であると考えられた.

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 56歳,男性.30年前より陰嚢に小結節が出現し,増加してきたため切除した.病理組織学的に嚢腫壁が重層扁平上皮から形成される通常の表皮嚢腫,壁が異物肉芽組織で構成されており内腔の角化物間に石灰沈着像が散見される嚢腫,さらには両病像が混在する嚢腫の3型が確認された.これは,表皮嚢腫から2次的に石灰沈着をきたしたとする続発説を裏付ける所見と考えられた.

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 5歳,女児.出生時より前額部に黒褐色で平坦な色素斑があった.4歳頃から色素斑は急速に隆起してきたため,当科を受診した.初診時,前額部に11×10mmの半球状に隆起した黒褐色の結節を認めた.結節の色調は一様でなく濃淡もみられたが,境界は明瞭で染み出しは認められなかった.悪性黒色腫も否定できないため全摘した.病理組織学的に腫瘤は左右対称の構築を有し,異型性を伴わない母斑細胞が表皮真皮境界部から真皮にかけて増生していた.複合型の先天性色素性母斑と診断した.臨床像や急激に隆起した経過が非定型的であった.さらに,B型母斑細胞とC型母斑細胞の境界が比較的明瞭であった点,膠原線維様の線維束が著明に増生している点,真皮深層にリンパ球の密な浸潤が認められる点が特異であった.

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 78歳,女性.約1年前より右手掌に疼痛を伴う皮疹を自覚し,以後疼痛が増強したため当科を受診した.初診時,右小指球部に径6mmの,紫紅色調を呈しドーム状に隆起する硬い結節を認めた.病理組織学的に真皮浅層から中層に腫瘍塊があり,腫瘍内は1層の内皮細胞を有する管腔と,その周囲に好酸性の細胞質をもつ細胞が増殖し,間質ではムチン様物質が沈着していた.腫瘍細胞はα-SMA染色陽性,AE1/AE3染色陰性で,グロムス腫瘍と診断した.アルシアンブルー+PAS染色ではムチン様物質は淡青色に染色され酸性ムコ多糖の沈着と考えた.さらに一部の腫瘍細胞はCD34陽性であった.CD34陽性のグロムス腫瘍の報告は稀で,粘液沈着との組織学的関連性を検討した.

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 66歳,男性.左第1指の爪甲下に腫瘤が出現した.病理組織学的に有棘細胞癌も否定できなかったが,ケラトアカントーマの可能性も考え,ブレオマイシンの局所注射を行った.腫瘤は徐々に縮小して消失し,爪甲下に生じたケラトアカントーマと確定診断することができた.爪甲下のケラトアカントーマに対して,診断と治療を兼ねてブレオマイシンの局所注射を行うことで必要以上の外科的治療を加えることなく治癒させることができた.

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 41歳,女性.初診の1年ほど前から左手掌面に限局して茶褐色斑が10数個出現した.茶褐色斑を2か所切除したところ,いずれもBowen病に特徴的な病理組織所見であったため,Bowen病の多発例と診断した.一部の生検組織においてhuman papilloma virus (HPV)染色陽性,PCR法でHPV16,51の感染を認めた.砒素の曝露歴はなく,毛髪の砒素は正常範囲内であった.外陰部に疣贅やbowenoid papulosisを認めなかった.extragenital bowenoid papulosisとの鑑別が問題となった.

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 77歳,女性.右臀部に12×13mm大の茶褐色調角化性腫瘍が存在し,その中央には光沢を有する青黒色調結節を伴っていた.病理組織上,腫瘍辺縁部は脂漏性角化症であり,腫瘍中央部の青黒色調結節は基底細胞癌であった.これまで自験例も含めて本邦では,脂漏性角化症と基底細胞癌の合併は29例の報告がある.両者の合併例について若干の文献的考察を含めて報告する.

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 67歳,男性.2001年頃より右下眼瞼部に腫瘤が出現し,徐々に増大した.初診時,右下眼瞼部に直径15mm大の毛細血管拡張を伴う淡紅色半球状腫瘤を認めた.病理組織像は真皮上層から深層にかけて線維性被膜に覆われた腫瘍塊がみられ,内部は粘液様物質が充満し,部分的に線維性隔壁で区画され,そのなかには大小さまざまな腫瘍細胞巣が島状に浮遊していた.全身検索の結果,他臓器の悪性腫瘍所見を認めなかったため,mucinous carcinoma of the skinと診断した.頬部側は腫瘤から水平方向5mm離して,眼側は眼瞼縁で眼瞼前葉を含めて切除した.修復は頬部皮弁で行った.術後約2年経過するが局所再発および転移所見は認めない.

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 72歳,男性.1993年に頭部右側に皮下腫瘤が出現し,1996年11月,他院にてadenoid cystic carcinomaの診断で切除,植皮術および術後電子線照射を受けた.2002年10月,植皮部辺縁の腫瘤に気づき,当科を初診した.頭頂部および右側頭部にそれぞれ植皮片に接して36×23mm,38×38mmの淡紅色腫瘤を認めた.病理組織学的に表皮と非連続性の腫瘍塊が真皮全層にわたって増殖していた.腫瘍胞巣は一部で大小の管腔を形成し,cribriform patternを呈していた.全身検索で他臓器に原発巣と思われる腫瘍性病変は認められず,本症例を皮膚原発adenoid cystic carcinomaの再発と診断した.2cmの切除縁で腫瘤を切除したが,断端の一部に腫瘍細胞を認めたため,さらに3cm離し追加切除を行った.術後2年6か月を経過するが,現在まで再発や転移の所見はない.

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 80歳,男性.神経線維腫症1型の既往はない.数年前,左前腕に小豆大の結節を生じ,徐々に拡大するも放置していた.初診時には直径11cm,高さ7cmの有茎性腫瘤で,多量の滲出液を伴っていた.生検組織で,真皮内に紡錘形~円形の胞体をもつ腫瘍細胞の増殖がみられ,腫瘍細胞の核は大小不同で豊富なクロマチンを有していた.免疫染色では,腫瘍細胞はS-100蛋白強陽性であった.以上より,malignant peripheral nerve sheath tumorと診断した.全身の転移検索では左腋窩にリンパ節転移を認めた.切除と左腋窩リンパ節郭清を行った.経過中に腎細胞癌の合併が見つかり,腎部分切除術が施行された.

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 15歳,女児.初診の約5年前に,右第1趾爪甲下の5×3mm大の黒色斑に気づいた.徐々に増大したため当科を受診した.初診時,右第1趾爪甲下に11×6mm大,境界明瞭,色むらのない歪んだ長方形の隆起性黒色病変を認めた.Spitz母斑を疑い辺縁から2mm離して切除した.病理組織では表皮から真皮中層にかけて大小不同の核異型を伴う腫瘍細胞がシート状に増殖し,一部に核分裂像および表皮内の個別性増殖がみられた.悪性黒色腫と診断し,術後21日目にセンチネルリンパ節生検を施行したところ,鼠径リンパ節にメラニン顆粒を有する大型から中型の紡錘形の細胞が密にみられた.画像検査では他部位に転移はなく,以上より悪性黒色腫stageⅢB(pT2aN2bM0)と診断した.右鼠径リンパ節郭清術および原発巣の拡大切除術後,DAV-Feron療法を5クール施行した.初診から10か月経過した現時点において,再発や転移は認めない.

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 10歳,女児.3か月前に特に誘因なく,右上腕にそう痒感を伴う結節が出現し,徐々に増大した.右上腕伸側に17×11mm,境界明瞭な暗紫紅色調の皮内~皮下結節が認められた.病理組織所見では,真皮中層から皮下組織に稠密なリンパ球様細胞の浸潤と,リンパ濾胞様構造がみられた.浸潤細胞の主体はリンパ球様細胞で,組織球様細胞,巨細胞,好酸球,形質細胞が混在していた.以上の所見よりpseudolymphomaと診断した.生検3か月後,皮疹はほぼ消退した.発症部位と発症年齢ともに稀な症例と考えられた.

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 52歳,女性.右口角外方に紅色腫瘤が出現し,急激に増大した.病理組織で多数の異型性のない小型リンパ球を背景に,大型の異型リンパ球の浸潤を認めた.免疫組織化学染色で大型の異型リンパ球はCD20陽性,CD79a陽性,κ鎖陰性,λ鎖陽性であり,背景のリンパ球はT細胞マーカーが陽性であった.他臓器に大型の異型リンパ球の浸潤は認めず,皮膚原発のT-cell/histiocyte rich large B-cell lymphomaと診断した.切除後,電子線照射を行い,現在再発は認めていない.

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 60歳,女性.初診の約1年前より左下腿に腫瘤が出現し徐々に増大,その後右下腿にも同様の腫瘤が出現した.初診時,両下腿にドーム状に隆起する境界明瞭な紅色の腫瘤を認めた.組織学的に,表皮直下にgrenz zoneを認め,真皮全層にわたりCD10,CD20,bcl-2陽性の大型異型細胞が稠密に浸潤していた.全身検索にて,皮膚以外に病変を認めなかったことより,自験例をprimary cutaneous diffuse large B-cell lymphoma, leg typeと診断した.CHOP療法を開始したところ腫瘤は速やかに消退し,6クール終了後10か月が経過した時点において,再発および転移を認めていない.本症は原発性皮膚B細胞リンパ腫のなかでも比較的予後が不良とされている.特に自験例のように病変が両側に存在することや,腫瘍細胞がbcl-2陽性であることは予後不良因子とされている.

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 61歳,女性.3年前より,頸部に痒みを伴い発汗時に増大する多発性丘疹に気づいた.初診時,頸部に米粒大までの多数の小結節を散在性に認めた.皮膚生検にて汗腺への浸潤・破壊を伴う真皮全層の結節状リンパ球浸潤を認め,浸潤細胞はCD20・CD79a陽性のB細胞が主体であった.フローサイトメトリーにてκ鎖優位で,免疫グロブリンH鎖遺伝子が再構成しており,cyclin D1陰性であったことより,MALTリンパ腫と診断した.内視鏡にて十二指腸・直腸などに1cmまでの多発性粘膜下腫瘍があり,その生検組織より消化管MALTリンパ腫と診断した.骨髄・脾臓にもリンパ腫浸潤をみた.抗ヘリコバクターピロリ抗体・尿素呼気試験が高値を認めたため除菌療法を開始したが,除菌は成功するもリンパ腫は不変であった.そこでリツキシマブ併用CHOP療法を開始したところ1クールにて皮膚病変は消失し,3クールにて消化管・骨髄・脾病変もすべて消失した.8クール終了現在,CRと判定した.

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 67歳,男性.10年前に胆嚢炎手術の際に輸血歴があった.初診の約2年前より両前腕,大腿に皮疹が出現し,近医で処方されたステロイド外用で軽快・再発を繰り返していた.約1年前より消退しなくなった.初診時,両前腕および大腿に暗紅色から暗紫紅色の浸潤を触れる紅斑や結節が散在性に多発していた.一部は辺縁が堤防状に隆起し,環状ないし馬蹄形を示していた.血液検査では,RPR128倍,TPHA20,480倍であった.病理組織では,真皮内に多核巨細胞を伴う類上皮細胞肉芽腫が存在し,好中球,リンパ球,形質細胞が混在していた.第3期梅毒のうち結節性梅毒と診断した.アモキシシリン1,500mg/日を6か月間投与し,皮疹は瘢痕を残して治癒した.現在まで解離性大動脈瘤や脊髄癆はない.

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 52歳,男性.埼玉県在住.5月初旬にホタルイカを生食し,翌日より,下腹部に一部小水疱を伴う,わずかに隆起し,曲折する紅色線状の皮疹が出現した.腹部症状なし.皮疹の先端部付近から生検し,皮膚組織に虫体断面を認め,形態学的に旋尾線虫typeⅩ幼虫の特徴を示した.免疫血清学的に旋尾線虫幼虫抗体陽性であった.生検後,皮疹は速やかに消失し再発を認めない.ホタルイカの生食による寄生虫症は,一時期,ホタルイカの生食が控えられたために患者の発生は減少したが,近年また患者数は増加する傾向にある.

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 2003年1月から2004年12月までの2年間の,糖尿病に伴う足の深部細菌感染症で入院した12例をまとめた.症例は33~79歳.男9例,女3例,すべて初診時は蜂窩織炎と診断された.そのうち1例は入院後ガス壊疽になり3日目に,もう1例は壊死性筋膜炎になり5日目に,それぞれ下腿を切断した.糖尿病患者では,はじめ蜂窩織炎と診断しても,入院治療後48~72時間の臨床症状,臨床検査所見を注意深く観察する必要があると考えた.改善がなければ切断を含めた積極的な外科的治療が必要である.

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 日本人成人男性の男性型脱毛症(AGA)患者414例に対し5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬であるフィナステリドを投与した,プラセボ対照の多施設共同二重盲検比較試験(1年間)成績をすでに報告している1).今回,その試験を終了し,治験責任医師などが適格と判断し,同意の得られた患者374例を対象に,全症例に継続して2年間フィナステリド1mgを投与した長期投与試験(計3年間)を実施した.その結果,長期投与試験においても副作用発現率の増加傾向は認められず,フィナステリドの安全性が確認された.また,有効性の面でも,フィナステリド1mgを3年間継続投与することにより,写真評価において98%に抜け毛進行抑制効果あるいは脱毛改善効果が認められた.以上より,フィナステリドは,日本人成人男性のAGA患者に対して,有効かつ長期にわたり安全に投与できる薬剤であると結論した.

基本情報

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臨床皮膚科
60巻6号 (2006年5月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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