臨床雑誌整形外科 71巻8号 (2020年7月)

  • 文献概要を表示

は じ め に

 超高齢社会を迎えたわが国において,高齢者の転倒・骨折は生活の質(ADL)や生命予後などに及ぼす影響が大きい.転倒は高齢,転倒歴,認知症,視力障害,骨粗鬆症など多くの要因によって引き起こされる1).その要因の一つに,転倒のリスクを増加させる薬剤(転倒リスク増加薬)が報告されている2).転倒による大腿骨近位部骨折の予防対策を検討するには,大腿骨近位部骨折患者の服薬状況の調査が必要である.

 本研究では,大腿骨近位部骨折手術目的で入院した患者の術前の転倒リスク増加薬と骨折予防効果のある薬剤(骨折予防薬)の服薬状況を比較・検討した.

誌説

COVID-19の大波の中での船出 斎藤 充
  • 文献概要を表示

 COVID-19が国内外で猛威をふるっている.東京都港区にある東京慈恵会医科大学(慈恵医大)附属病院(本院)は,感染症指定病院ではなく協力病院であるが,2020年2月11日にダイヤモンドプリンセス号で発症した新型コロナウイルス感染症患者を収容し治療にあたっていた.その後も積極的に患者の入院治療を担当した.同時に,本来の特定機能病院としての使命,すなわち科の専門性を活かした高度な手術や研究も遂行してきた.本院の整形外科学講座の年間手術件数は1,398件であり,膝および股関節の人工関節手術,脊椎手術の症例数は大学病院の中でもトップ5に入る件数である.予定待機手術も3ヵ月先までびっしり埋まっていた.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 腰椎疲労骨折の早期診断はMRIが有用であるが,骨折の進行度評価に関してはCTのほうが優れている.しかし,MRIによって診断されたもののなかには骨折線が明らかでない場合もあり,横断像分類では超初期,分離前期など1,2),矢状断像では大場分類3)の0型やⅠa型に分類されており,骨折が生じる前の状態と考えられているが,経時的な変化について検討した報告は少ない.われわれは,骨折線が生じていない症例における経時的変化について検討したので報告する.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 腱板断裂修復術の術後疼痛はほかの部位の術後疼痛と比べて強いといわれている1).比較的低侵襲とみなされる鏡視下腱板修復術(ARCR)ですら約30%の患者に強い痛みを経験したと報告されている2)

 ブプレノルフィン貼付剤(BPパッチ)は,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とは作用機序の異なる弱オピオイド鎮痛薬である.われわれは腱板断裂の手術時にBPパッチを貼付し,術後鎮痛に及ぼす効果を比較・検討したので報告する.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 人工膝関節全置換術(TKA)は世界中で行われており,良好なアウトカムが得られている1,2).また,TKAは末期の変形性膝関節症(OA)に対してコストパフォーマンスの高い治療である3).しかし,初回TKAのおよそ20%の患者はそのアウトカムに満足していないとされている4).TKAのアウトカムは術者や病院の症例数を含めた多くのファクターの影響を受ける5~7).術者の経験による手術のアウトカムを比較した論文は多数散見される7~10)が,それらは患者間で比較した論文であるため,筋力や解剖学的特徴また疼痛感受性の違いなどの患者因子が結果に及ぼす影響については不明瞭である.われわれはこの患者因子を最小限にするため,両側TKAを受けた同じ患者の左右で比較するのがもっとも適切であると考えた.

 KneeAlign2(Zimmer Biomet社,Warsaw)は手術時に膝にとりつけ,上下左右に動かすことで,内蔵の慣性計測装置が骨の軸を把握し適切な骨切り角度を割り出す,TKA用ポータブルナビゲーションシステムである.これにより従来法より正確な角度の骨切りを可能にすると考えられている13).術後のhip-knee-ankle angle(HKA)が180°±3°であれば良好な長期成績が得られるとされている14)

 本研究の目的は,TKAにポータブルナビゲーションシステムを用いた場合の指導医と若手医師の手術時間や術後の機能的アウトカム,インプラント設置の正確性を比較・検討することである.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 わが国では高齢化がすすみ,人工膝関節全置換術(TKA)の症例数も増加の一途である.しかし理学療法士の数やリハビリテーション実施期間には限界があり,入院中においてもリハビリテーション室のみでは,必ずしも十分量の理学療法を提供できない可能性がある.そのために患者自身が行う自主トレーニングの必要性が生ずる.運動器疾患に対する自主トレーニングの効果について,理学療法士による自主トレーニング指導が身体機能向上につながったとの報告があり,その有用性が期待されている1)

 しかし,TKAにおいて自主トレーニングが有用かどうかは検討されていない.当院では2015年2月に関節疾患の治療を統一化する目的で関節センターを開設し,術後患者に対して身体機能向上を目的として通常のリハビリテーションに加えて,自主トレーニングを指導してきた.

 本研究では,TKA術後患者において自主トレーニングの実施頻度の差が身体機能および満足度に影響を与えるか検討したので報告する.

  • 文献概要を表示

 びまん性特発性骨増殖症(DISH)は,65歳以上の高齢男性に多く,椎体前方を架橋する骨棘形成,骨結合性変化を呈する疾患である.主に下位胸椎から発生し,上位胸椎や腰椎へと骨化が波及し,靱帯や靱帯付着部の骨化,強直により可動域が減少する病因不明の疾患とも報告されている.

 DISHを伴う脊椎骨折は不安定性が強く,急速な麻痺の出現がしばしば問題になる.高齢化がすすむ日本社会においてDISHを伴う脊椎骨折例は増加傾向である.特に広範囲に後縦靱帯骨化症(OPLL)を合併し高度変形を伴うDISHは骨折が不明瞭で,画像所見のみでは骨折の診断が困難であることもあり,診断の遅延につながってしまう.また,患者の全身状態によっては正確な身体所見をとることに難渋することがある.病院搬送直後に意識障害があれば画像所見のみで判断せざるをえない場合もある.多発外傷であれば,ほかの病変部に注意がいき,重大な脊椎骨折を見逃す可能性がある.本例は遅発性麻痺の出現があり,後方固定による手術的治療を行ったが,明らかな麻痺の改善が得られなかった.今後も同様の事象が起こる可能性があり,診断の遅れにより遅発性麻痺を生じたDISHを経験したため警鐘をならす意味で文献的考察を加えて本症例を報告する.

  • 文献概要を表示

 脊椎手術における合併症の一つとして,術後の硬膜外血腫による麻痺があげられる.胸椎後縦靱帯骨化症(OPLL)に対する後方除圧固定術を施行後に硬膜外血腫を生じ,2回の血腫除去術を必要とした症例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 化膿性仙腸関節炎は比較的めずらしい疾患であり,関節炎のなかで1~4%と報告されている1).多彩な症状を示し,初期には画像検査上異常がない場合も多く,診断に難渋することも少なくない.

 われわれは明らかな外傷や先行感染がなく発症し,MRIで診断した化膿性仙腸関節炎の1例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 Hume骨折とは橈骨頭脱臼に転位を伴わない肘頭骨折を合併する外傷のことで,1957年にHumeにより報告されている1).近年は尺骨塑性変化を伴う症例も多く報告されており,Monteggia脱臼骨折の一つとしてみなされることが多いが,まれな病態である.当センターで2016~2019年に3~8歳のHume骨折を3例経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 最近の人工股関節全置換術(THA)は,ライナーのpolyethyleneの材質の向上により,摩耗が減ってきている1~4).これに伴い,脱臼対策の観点からより大きなinner headの使用が増えてきている.しかし,ライナーの厚みが薄くなることなどからライナー破損の報告も散見される5~8)

 THA後,転倒によりライナー破損をきたし,早期に再置換術を施行した1例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 腓骨偽関節は,腓骨骨折の0.3~5.4%1,2)に生じるまれな合併症である.これまでのところ,その報告は少なく3),経過や治療成績についてはいまだ不明な点が多い.

 受傷から7年間疼痛が持続した肥大型の腓骨偽関節に対し内固定術を行い,良好な治療成績を得た症例を報告する.

  • 文献概要を表示

 Os subtibialeは内果下端にみられる余剰骨であり,非常にまれながら後脛骨筋腱とインピンジメントをきたすことが報告されている.またos subtibialeの手術的治療は直視下での骨接合術や骨切除術が主流であるが,近年では関節鏡視下での手術が報告されている.われわれは,後脛骨筋腱とインピンジメントをきたしたos subtibialeの1例を経験し,関節鏡視下骨切除術を行い良好な成績を得たので報告する.

私論

医師と働き方改革 今井 浩
  • 文献概要を表示

 2019年4月から労働安全衛生法第66条の8の3および労働安全衛生規則第52条の7の3を関連法案とした労働時間適正把握の義務化が導入されることになった.働きすぎを防ぎながらワークライフバランスと多様で柔軟な働き方を実現するということが目的である.義務として残業時間の上限規制(原則として月45時間,年360時間以内)が加えられ,残業が一定時間を超えた労働者に対しては医師による面接指導が義務化された.医師においても健康管理の観点から対象とされ,2024年4月から残業時間の上限規制(年間1,860時間)が適用されることになっている.しかし実際に医師の労働時間の上限を規制するとなると,ギリギリの人数で医療を支えている地域の病院では医師の新たな雇用が求められる.

カラーフォーラム

  • 文献概要を表示

 対照的な経過をたどった肩甲部壊死性軟部組織感染症の2例を報告する.

  • 文献概要を表示

 地球上の微生物の大部分は,バイオフィルムと呼ばれる集合体として環境中や生体内などに存在する1).バイオフィルムは微生物が固体表面に接着し,自身が産生するextracellular matrix(ECM)に覆われながら形成される.バイオフィルムが形成されると免疫系や抗菌薬に対し抵抗性を獲得する.初回人工股・膝関節全置換術の0.5~1%にインプラント感染が生じると報告されており2),その代表的な原因菌は黄色ブドウ球菌である.黄色ブドウ球菌は菌株によりさまざまな性質のバイオフィルムを形成し,タンパク質が主成分の株では分泌タンパク質,細胞壁アンカータンパク質,細胞質タンパク質が重要な役割を果たす3).東京慈恵会医科大学附属病院で分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌臨床分離株のMR23株はタンパク質が主成分のバイオフィルムを形成し,そのECM中に分泌タンパク質extracellular adherence protein(Eap)を多量に含む4).Eapは黄色ブドウ球菌にのみ存在する分泌タンパク質でありバイオフィルム形成を促進し,病原性に関与する5).細胞壁アンカータンパク質であるStaphylococcus aureus surface protein G(SasG)は菌体間の接着を促進し,バイオフィルム形成に関与する6).本研究では,MR23株のバイオフィルムの解析を通し,黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成メカニズムを解明することを目的とした.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 前方アプローチにあたる腰椎側方椎体間固定術(lateral lumbar interbody fusion:LLIF)が近年,脊柱管狭窄症や変形矯正に対し応用され急速に普及している1,2).その手技は後方要素を傷つけることなく椎体間固定を行えることであるとともに,大きな椎体間ケージを挿入することで硬膜管を間接的に除圧(indirect decompression)できることにある.

 硬膜嚢の改善には,一般的にケージの設置位置を後方にすることが有用であるといわれる3).しかしながら,C-armを用いた手技では腰神経叢の影響や開創器との干渉もあり,術前にプランニングした位置よりも最終的に前方にケージが設置されてしまうことがあった(図1).そこで術中3D撮影を用いたreal-timeナビゲーションによるextreme lateral interbody fusion(XLIF:Nuvasive社,San Diego)[navigation assisted extreme lateral interbody fusion:NALIF]手術が有用ではないかと考えた.

 すでにoblique lateral interbody fusion(OLIF)などには応用されている,術中神経モニタリング(NVM5神経モニターシステム:Nuvasive社)を併用することで,より安全にアプローチできると考える.本稿では,筆者が行っているNALIFについて報告する.

  • 文献概要を表示

 本書が今年も発刊された.1977年の初版から毎年改訂を重ね,今回で第42版となる.私が医師になり30年が経つが,駆け出しの研修医のころから外来や病棟でお世話になったロングセラー書籍である.変わらないB6判のビニールカバーを手にすると,悪戦苦闘していた研修医時代を思い出す読者諸氏も多いのではないだろうか.相互作用注意を自動的に警告し,drug information(DI)をすぐに参照できる電子カルテの普及で,その活躍の場は少なくなってきたが,各病棟や診察室に1冊は常備されているベストセラー書籍でもある.

関連基礎知識

  • 文献概要を表示

は じ め に

 骨系統疾患の分類・命名法,いわゆる国際分類が改訂された1).前回(2015年)の改訂2)以来4年ぶりの改訂である.1970年発表の初版3,4)から数えて第10版になる.

 この国際命名法は,はじめ1969年に欧州小児放射線学会の後援下に,Pierre Maroteauxが発起人となってパリで行われた会議に集まったグループによって作成されたものである.グループのメンバーはHerbert J. Kaufmann, Kazimierz Kozlowski, Frederic N. Silverman, Jürgen W. Spranger,そしてMaroteauxであった.本命名法の発表当初の意図は,混乱していた当時の骨系統疾患の用語,疾患名の標準化であった3).当初,「1つの命名法の試案」(a nomenclature)として発表された本命名法であるが,時の試練のなかで次第にその優秀さが広く認められ,権威あるものとなっていった.1993年から,世界の骨系統疾患の専門家の集う学会,International Skeletal Dysplasia Meetingが開催されるようになると,隔年で開かれるこの学会の隔回ごと,すなわち4年ごとにワーキンググループをつくって議論して,学会で公表されることとなった.1999年にInternational Skeletal Dysplasia Society(ISDS)が設立されると,ISDS Nosology Committee,もしくは “nosology group” と称する指名されたメンバーがInternational Skeletal Dysplasia Meetingの際に集まって改訂を行うことになった.

連載 X線診断Q&A

X線診断Q&A 中村 順一
  • 文献概要を表示

Question

 症 例.71歳,女.

 主 訴:右股関節痛.

 家族歴:特記すべきことはない.

 既往歴:Parkinson病(63歳)であった.70歳ごろから腰痛が持続し,薬物療法は無効であった.L4/L5レベルでの変性側弯・後弯変形と腰部脊柱管狭窄症を認めた.71歳で脊椎手術を受け,Parkinson病を合併しているためTh4から腸骨まで長範囲固定となった.術後1年経って右股関節から大腿前面痛を生じ,靴下をはくのが困難になった.

 身体所見:小刻み歩行であるが独歩可能であった.歩行時痛はなかった.右股関節の動きで疼痛誘発があった.

 X線所見:脊椎固定術後の全脊柱正面像(図1a)と側面像(図1b)を示す.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 世界有数の超高齢社会である日本は今後さらなる長寿化の一途をたどり,加齢とともに進行する運動器疾患は健康寿命の延伸を阻む大きな社会問題となるであろう.とりわけ下肢の軟骨変性疾患である変形性関節症(OA)は,保存的治療に抵抗すれば手術的治療となる可能性が高く,年々手術件数も増加傾向である.しかし術後に疼痛が残存する症例や,明らかにover indicationであるような症例もあり,しっかりとした病態の評価と保存的治療を行わずに手術にいたる症例も少なくないと考えられる.そこで本稿では,変形性膝関節症(膝OA)や変形性股関節症(股OA)の患者を外来で診療するにあたり,疼痛メカニズムを考慮した保存的治療について述べたい.

連載 専門医試験をめざす症例問題トレーニング

  • 文献概要を表示

 症 例.75歳,女.

 主 訴:腰背部痛.

 既往歴:40歳ごろより糖尿病を指摘され,内服治療中であった.65歳時に両側変形性股関節症で人工股関節全置換術(THA)を受けた.70歳時に今回と同様のエピソードでTh12の椎体骨折を受傷し,以後5年間ビスホスホネート製剤を服用していた.その後,骨折は生じていなかった.

 現病歴:屋内で特に誘因なく下部腰痛が出現した.痛みが強く体動困難であるため,12日後に当科を受診した.

 初診時所見:歩行は可能であるが,下部腰痛が強く,同部に叩打痛があった.股関節周囲に圧痛や他動時痛はなかった.下肢のしびれ,明らかな麻痺は認めず,下肢腱反射も正常であった.受傷8ヵ月前の腰椎前後方向での骨密度(DXA法)はL3,L4で76%であった(治療開始時は同部位で71%).腰椎単純X線像を図1に示す.

  • 文献概要を表示

 症 例.23歳,女.

 主 訴:左手指伸展障害.

 家族歴・既往歴:特記すべきことはない.

 現病歴:スキー中に他者のスキー板が左前腕背側に接触した.近医で洗浄・皮膚縫合を受け,当院を紹介され受診した.

 当院初診時所見:前腕背側に創(前医で縫合後)があり(図1),手指の自動伸展を指示したところ,図2のようであった.

  • 文献概要を表示

【要 旨】

 目 的:上肢骨変形に対して正確な三次元的矯正を可能とする,患者適合型骨切りガイド・プレート(patient-matched instrument:PMI)の有効性と安全性を検証することである.

 対象および方法:橈骨遠位端変形8例,上腕骨遠位端変形5例,前腕骨幹部変形3例の16例を対象とした.CTから作製した三次元骨モデルを用いて,健側を目標に三次元矯正骨切りシミュレーションを行い,PMIのデザインと製造を行った.PMIを用いて矯正骨切り術を施行した.主要評価項目は,単純X線2方向から計算される最大遺残変形角とした.副次評価項目は,2方向の単純X線における変形角,三次元矯正誤差,関節可動域(ROM),握力(健側比),疼痛[visual analogue scale(VAS)0~10.0cm],The Disabilities of the Arm,Shoulder and Hand(DASH)スコア(0~100)とした.

 結 果:最大遺残変形角は術前25.5°±9.9°が術後3.3°±1.4°に改善した(p<0.001).単純X線における変形角は1例(橈骨遠位端)を除いて5°未満に改善した.三次元矯正誤差は1mm,1°未満であった.関節ROMは全例改善し,握力,VAS,DASHスコアは有意に改善した.PMIに関連する有害事象はなかった.

 結 論:個々の症例に対して最適な形状にデザインでき,正確な矯正を簡便に行うことができるPMIは高度な治療の標準化に寄与するものである.

  • 文献概要を表示

【要 旨】

 目  的:脊柱矢状面アライメントと股関節可動域(ROM),大腿骨傾斜角の関係を調査することである.

 対象および方法:地域住民検診に参加した158名の女性を対象として,全脊柱立位側面像を撮影した.脊柱矢状面パラメータである胸椎後弯角(TK),腰椎前弯角(LL),C7垂直矢状面垂直軸と仙骨後上方からの距離(SVA),仙骨傾斜角(SS),骨盤形態角(PI),骨盤傾斜角(PT),大腿傾斜角(FOA)を計測し,股関節の伸展・内旋・外旋ROMとの関係を調査した.

 結  果:股関節外旋ROMが,LLと正の相関を,PT,SVAと負の相関を認め,FOAとSVAの間で正の相関を認めた.

 結  論:成人脊柱変形の進行による骨盤後傾が臼蓋の構造的変化をきたし,股関節の外旋制限につながると考えられた.また,FOA増加は脊柱矢状面アライメント悪化と関連していた.

  • 文献概要を表示

【要 旨】

 目 的:非造影の放射状3T 3D multiple-echo recombined gradient echo(MERGE)MRIを用いて股関節唇損傷の評価を行い,鏡視所見と比較・検討した.

 対象および方法:MERGE MRIを撮像し,鏡視下手術を施行した71股を対象とした.内訳はfemoro acetabular impingement(FAI)29股,境界型形成不全(BDDH)26股,変形性股関節症(OA)16股であった.MERGE MRIにおける関節唇所見を前方,前外側,外側の3領域で改変Czerny分類を用いて評価した.変性が著しく,従来のCzerny分類で分類できない症例をstage 4と新しく定義した.鏡視所見と比較しMERGE MRIの股関節唇損傷診断の精度を検討した.

 結 果:MRI所見では前外側での断裂が有意に多かった.MRIと鏡視所見の比較では改変Czerny分類stage 4は術中における変性断裂(MAHORN分類)と有意に相関があった.鏡視所見との比較におけるMERGE MRIの感度,特異度は全体で85%,56%であった.領域別には前方で79%,50%,前外側で96%,50%,外側で70%,57%を示した.

 結 論:MERGE MRIは関節唇損傷診断において良好な感度を示した.改変Czerny分類のstage 4は関節唇の変性所見と相関した.MERGE MRIは股関節唇損傷診断において従来の関節造影MRIの代替となる可能性を有している.

Vocabulary

軟骨減少マーカー 小田邉 浩二
  • 文献概要を表示

 軟骨減少マーカーとは体液中に分布する軟骨・滑膜由来分子のうち,軟骨の摩耗損傷による絶対量の減少を反映し,さらに変性に伴う代謝低下などの病態生理も反映することで将来の軟骨量減少の予測を可能とするような代謝産物のことを示す.世界中で軟骨減少マーカーの探索が進んでおり,本稿ではその一部を紹介する.

学会を聞く

第50回日本人工関節学会 栗山 新一
  • 文献概要を表示

1.は じ め に

 第50回日本人工関節学会は,2020年2月21日(金)~22日(土)の2日間,愛媛大学整形外科教授,三浦裕正会長のもと,福岡国際会議場,福岡サンパレス,福岡国際センターの3施設をふんだんに活用して,盛大に開催された(図1).本会に掲げられたテーマは,「半世紀の軌跡と未来への提言」と,第50回の節目にふさわしいものであった.プログラムには,本邦における半世紀の人工関節の発展を振り返りつつ,新たな50年の未来に向けたメッセージを発信するために,今までにないさまざまな工夫が凝らされており,愛媛大学プログラム編集委員の皆様の,創意に富んだ構成に感銘を受けた.

 一方,同時期に新型コロナウイルス感染の影響が,開催地,福岡でも出始めており,本会の開催が危ぶまれた.しかし,決断のむずかしい中,三浦会長の統率力により,参加者一同が新型コロナウイルス感染症対策を最大限行いながら,協力して会を進行することで,無事成功へと導かれた.

喫茶ロビー

  • 文献概要を表示

 定年を過ぎ,大学を離れると随分時間的余裕ができるものである.数多い会議から解放された安堵感はあるが,時間があるのは大層な趣味をもたなかったことも原因の一つであろうと後悔もしている.その中で,30歳ごろから我流で始めたゴルフにはいろいろな思いがあり,それに少し時間をつぎ込もうと決心した.ゴルフを始めたころ,名のある一流プロがNHKの番組でレッスンしていたので,そのビデオをみて練習したものである.若いころは馬力でそこそこのスコアを出して満足していたが,練習もせずコースにもたまにしか行けない時を長らく過ごすと,恐ろしいほど酷いことになっていたので,再出発しようと思った.最近は多くのレッスンプロがさまざまの状況に応じたレッスンビデオを出している.その内容は驚くほど進化しており,素人にも理解しやすいように指導方法も上達している.そこにはゴルフの技術的基本が存在していることが素人にもわかる.直接プロに習うわけではないが,それらの技術的基本を学び直そうと決心し,基本的にビデオ学習・練習場通いを週1回行い,コースも週1回まわることを目標にした.独学ではあるが我流脱却である.昔のビデオは講師独特の我流が入っていたように思う.したがって,Aプロ,Bプロで同じことを伝えているが,表現が異なるので,素人は異なった技術と錯覚する.最近の指導法には統一感を感じる.2年ほど経過しスコアも著しく改善したのは嬉しいことであり,さらに嬉しいのは人のフォームだけをみてなんとなく長所・短所がわかるようになったことである.技術的基本を少し理解し,みる目が育ち始めた証拠なのであろうと自己満足している.ここでは私のたどった我流ゴルフはダメであるという結論に至った.

基本情報

24329444.71.8.cover.jpg
臨床雑誌整形外科
71巻8号 (2020年7月)
電子版ISSN:2432-9444 印刷版ISSN:0030-5901 南江堂

文献閲覧数ランキング(
11月16日~11月22日
)