臨床雑誌整形外科 70巻4号 (2019年4月)

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は じ め に

 術中硬膜損傷は,適切な処置が施されなければ,術後の下肢症状増悪や頭痛の発症,手術部位感染やまれに頭蓋内出血にいたる場合がある1~8).われわれは,腰椎手術における術中硬膜損傷と術後髄液漏に関して検討した.

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は じ め に

 経頭蓋電気刺激複合筋誘発電位(brain-evoked muscle-action potential:Br(E)-MsEP)[以下,MEP]刺激電極の位置は,国際脳波10/20法によるCzから左右7cm,前方2cmが推奨されている1).しかし,小児や女性など頭囲長の異なる患者に同じ刺激位置を使用してよいのか否かには疑問が残る.患者個々の頭囲長に応じて刺激位置を調整し刺激を行うほうが,MEP波形の導出率,波形振幅が増大するのではないかと考えた.患者個々の頭囲長に応じた刺激を行い,刺激電極の位置がMEP波形振幅に与える影響について検討した.

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は じ め に

 近年,高齢者の骨粗鬆症による骨折はquality of life(QOL)を著しく低下させ寝たきりになる危険性があり,さらに死亡のリスクが高まるため大きな社会問題となっている.医療費の増大という問題も抱え,今後の少子高齢社会で骨粗鬆症の早期診断による骨折予防が重要な課題となっている.早期に骨折リスクを評価できれば,転倒予防の指導,リハビリや薬物治療を行うことで骨折を予防することが可能となる.通常,骨粗鬆症診断は主に二重エネルギーX線吸収法(dual energy X-ray absorptiometry:DXA)法で行われているが,不適切なポジショニング,動脈硬化,椎間板変性や骨折などによる二次性変化に測定精度が影響され,測定結果の信頼性,再現性が問題となる.CTは二次性変化の影響が少ない領域で計測ができるため,より再現性,信頼性の高い評価が可能と考えられる.われわれは,種々の疾患で撮影された既存の腹部,骨盤,股関節CTデータを活用して,骨粗鬆症の程度や骨折リスクを評価する目的で大腿骨近位部骨折の評価のために撮影された股関節CTデータからL5 CT値の解析を行い,骨粗鬆症の評価について検討したので報告する.

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は じ め に

 大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術において,一般的に選択される後方アプローチは簡便で安全な術式であるが,合併症として術後の後方脱臼があげられる.従来の術式では外旋筋および関節包の切離が広範囲に及ぶため(図1a),術後の脱臼制動性が低下し,脱臼発生率はガイドライン上2~7%とされている.認知症や術後せん妄を認める症例では,脱臼予防肢位の遵守が困難であるため,術後脱臼のリスクが上昇する.

 近年,大腿骨頚部骨折に対する後方アプローチ人工骨頭置換術において,脱臼予防を目的として後方支持組織を温存する術式が注目を浴びている.上島らは後方支持組織のうち,梨状筋および上双子筋,内閉鎖筋,下双子筋からなる共同腱を温存し,関節包を下双子筋尾側縁に沿ってL字に切開する短外旋筋共同腱温存法(conjoined tendon preserving posterior:CPP)を施行し,良好な成績を報告している1)(図1b).われわれは,このCPPアプローチを改変し,後方関節包の切開を縦割のみとする新たな術式を考案した2)(図1c,d).本術式は関節包切開を最小限とし,強靱な坐骨大腿靱帯を温存することにより,脱臼制動性を高めた術式である.今回,股関節後方支持組織を温存し,関節包切開の異なる術式の成績を比較検討したので報告する.

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 現在,われわれは整形外科診療において何らかのコンピュータ技術を使用している.コンピュータ技術は,いつの間にかわれわれの診療に入り込み,今ではなくてはならないものとなっている.挙げればきりがないが,例えば電子カルテは現在では主流であり(現在でも紙カルテを使用している施設もあるかもしれないが),若い世代は紙カルテの存在を知らないかもしれない.私が医師になった約30年前は電子カルテなど存在せず,紙カルテが使用されていた.非常に独特な筆跡で書かれたカルテなど解読が困難なものもあったが,カルテが読めないなどということは現在では考えられないであろう.カルテに使用されていた言語も,非常に高尚な日本語からドイツ語,英語まで様々であったが,現在の電子カルテではさすがにドイツ語で入力される先生はいらっしゃらないと思う.

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 比較的まれな脊髄硬膜下血腫の1例を報告する.

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 成長期の投球による肘関節外側の障害は,上腕骨小頭離断性骨軟骨炎がよく知られている.今回,小学生ソフトボール選手に生じた上腕骨外顆骨折の1例を経験したので報告する.

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 骨肉腫(osteosarcoma:OS)は,原発性骨悪性腫瘍の中でもっとも頻度の高い腫瘍であるが,橈骨遠位部発生はOS全体の0.7%未満と非常にまれである1).われわれは,橈骨遠位部に発生したOSの症例に対して,広範切除後にパスツール処理骨2)を用い再建を行った1例を経験し,良好な成績を得たので報告する.

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 類骨骨腫はnidusを特徴とする良性の骨腫瘍であり,長管骨に発生することが多く手根骨の発生はまれである.われわれは,有頭骨に発生した1例を経験したので報告する.

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 全身麻酔下腹臥位で行った脊椎手術の際に,以前の腸骨採骨部から腹壁瘢痕ヘルニアが発生した症例を経験したので報告する.

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 成人に発症する化膿性股関節炎は比較的まれである.化膿性股関節炎では,骨,軟骨の破壊が進行する前に感染を鎮静化させることが重要である.われわれは,すでに骨,軟骨の破壊が進行してしまった化膿性股関節炎2例に対し股関節鏡視下洗浄術を施行したのちに感染を鎮静化させ,一期的に人工股関節全置換術(THA)を施行し良好な中期成績を得たので報告する.

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 近年,内側開大型高位脛骨骨切り術(medial opening wedge high tibial osteotomy:OWHTO)は,広く行われるようになってきている.そして,大腿骨内側顆骨壊死はよい適応であり,良好な臨床成績が散見される1)

 われわれは,大腿骨内側顆骨壊死に対して,OWHTOを施行し,二期的に骨軟骨柱移植術を要した症例を経験したので報告する.

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 高尿酸血症治療の進歩に伴い,痛風に罹患しても痛風結節を生じる症例は年々減少している.日常診療で遭遇することは非常にまれである.今回,痛風結節による著明な可動域制限および腫脹を呈した痛風性膝関節炎の症例を経験したので報告する.

私論

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 Artificial intelligence(AI)の医療への応用が徐々にすすみ,味方なのか敵なのかという極端な議論から,活用の具体的な論説(『日本医師会報』,147巻8号,2018)まで活発になされている.私は,学会発表・論文執筆に足りる程度の論文検索,医学統計の知識しかない整形外科医であり,AIについて特に深い知識があるわけでもないが,日頃感じている骨・軟部腫瘍の診療の問題点と,AI医療支援の現状から私論を述べたい.

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 股関節鏡視下手術が欧米を中心に広く行われ,技術が進歩している.本邦でも日本股関節学会から大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement:FAI)の診断指針が示され,股関節鏡技術認定制度もスタートし,その重要性は増すものと考えられる.股関節鏡視下手術における術前評価として,関節唇の評価は不可欠であり画像診断の役割は大きいがその信頼性には改善の余地がある.従来,関節唇の評価は侵襲を伴う関節造影MRIで行われることが一般的であった.一方でMRI技術の進歩に伴い,非造影の3.0 T MRIを用いて関節唇を評価した報告を散見する1,2)

Vocabulary

PEG10 篠原 直弘
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 軟骨肉腫と内軟骨腫,そして軟骨肉腫のgrade 1と2,これらの鑑別は治療方針決定に重要であるが,病理組織像が酷似することがしばしば問題となり,鑑別分子マーカーの同定が急務である.一般に腫瘍の悪性度と組織としての分化度は反比例することから,われわれは,軟骨腫瘍において,軟骨細胞分化に重要なトランスフォーミング増殖因子/骨形成蛋白質(TGF-β/BMP)シグナルとその下流標的遺伝子が,鑑別マーカーになる可能性を研究した.内軟骨腫と軟骨肉腫において,軟骨分化マーカー(SOX9,COL2A1)の発現量は悪性度と反比例したが,TGF-β/BMPシグナルそれぞれの下流伝達因子SMAD3およびSMAD1/5のリン酸化レベルは,予想に反し悪性度に比例して増加していた(図1).

問題点の検討

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は じ め に

 運動器疼痛の診療において「しびれ」は「痛み」に次いで多い愁訴である.痛みの語義は「体組織に対する実質的あるいは潜在的な損傷によりもたらされる,またはそのような言葉をもって表現される,不快な感覚と情動の体験」という国際疼痛学会の定義1)が定着している.一方,しびれの語義は確立しておらず,解釈は患者ごと,診療者ごとにさまざまである2,3)

 本論では,しびれという言葉によって人(患者)が表現している状態について考察し,しびれの語義を提案する.

 しびれは痛みと一緒に論じられることが多い2).本論ではさらに「しびれであって痛みではないもの」,「しびれかつ痛みであるもの」,そして「しびれではないが痛みであるもの」,を明らかにする(図1).しびれに対応する英語はnumbness4),palsyなどがあるが,しびれに限らず医学用語の語義は両言語間でしばしば一致しない.本論文では日本語の「しびれ」に限定して考察する.

連載 X線診断Q&A

X線診断Q&A 山本 祐司
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Question

 症 例.15歳,男.

 主 訴:右手背痛.

 既往歴:13歳時に右上腕骨小頭離断性骨軟骨炎で手術した.

 スポーツ歴:野球(小学4年から中学3年まで).

 現病歴:高校入学後より硬式テニス部に入部した.入部2ヵ月後に明らかな外傷なく右手背の痛みが出現した.近医を受診し,X線像で右第2指中手骨に異常陰影を認めたため,当院を紹介され受診した.

 身体所見:右第2指中手骨骨幹部背側に圧痛があったが,同部に明らかな腫脹はなかった.指関節や手関節に異常所見はなかった.

 X線所見:図1に初診時右手X線正面像を示す.

連載 卒後研修講座

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は じ め に

 骨折は整形外科疾患のなかでも頻度が高く,卒後研修の診療においても中心的位置を占める疾患である.救急外来などで初期診療に携わる機会も多く,その初期治療や手術的治療の成否が患者の機能予後に大きな影響を与える.また近年においては重度開放骨折や関節内骨折,骨盤輪・寛骨臼骨折など高度な技術をもった専門医師による治療が必要とされる損傷(外傷)も明らかとなり,付け焼き刃的学習や対応では不十分な症例も決して少なくなくなってきている.骨折内固定法も,髄内釘固定法とプレート固定法が中心となるが,骨折型や骨折部位に応じたインプラント選択の必要性の高まりや,インプラント改良に伴い大きな発展を遂げた.本稿では骨折内固定法の変遷と現況についての基礎知識,その応用について述べ,さらには今後の展望について解説する.

連載 専門医試験をめざす症例問題トレーニング

膝・足関節・足疾患 谷口 晃
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 症 例.86歳,女.主婦.

 主 訴:左足関節痛.

 家族歴・既往歴:特記すべきことはない.

 現病歴:30歳のころから,時に足関節を捻ることはあったが,医療施設を受診することもなく治療を受けたことはなかった.足関節の不安定性を漫然と自覚することはあったが,特に整形外科を受診することはなかった.10年くらい前から長徒歩行時に足関節の疼痛が増強し,2年前からは常に荷重時痛を自覚していた.近医で鎮痛薬の処方を受けるも効果はなく,当院を紹介され受診した.

 初診時所見:左足関節は内反し,腫脹を認めた.内果関節面に圧痛を認め,荷重に伴い疼痛は増強した.足関節可動域(ROM)は背屈15°,底屈18°で内外反には著明な制限はなかった.

 図1に当院初診時X線像を示す.

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【要 旨】

 目 的:腱板断裂患者に対して保存的治療が有効であることはよく知られている.しかし,保存的治療を行う際に断裂がどのように進行するのか,断裂進行の危険因子は何かを知っておくことは重要である.一般的に若い患者,活動性の高い患者,重労作に従事している患者は進行がはやいといわれているが明らかなエビデンスはない.本研究の目的は断裂の進行がどの程度の頻度で生じているのか,またどのような患者で断裂進行がしやすいのか,その危険因子を明らかにすることである.

 対象および方法:2009~2015年に当院で保存的治療を受けた症候性腱板断裂患者225例のうち,最低2回以上MRIを行うことができた171例174肩(平均年齢66.9歳)を前向きに調査した.平均経過観察期間は19ヵ月である.断裂の大きさが2mm以上増加していたものを断裂拡大ありとし,多変量解析で患者背景(年齢,性別,利き手,肩外傷の有無,合併症,喫煙,飲酒,スポーツ歴,職種),断裂の大きさ,断裂タイプ(不全・完全断裂)と断裂進行との関係を調べた.

 結 果:断裂サイズの拡大を認めたのは174肩中82肩(47%)であった.最終経過観察時に断裂の長さは平均5.8±5.6mm拡大,幅は平均3.1±5.2mm拡大しており,断裂拡大の平均速度(/年)は長さ3.8mm,幅2.0mmであった.完全断裂は不全断裂に比べ有意に拡大していた(p<0.0001).中断裂はその他の断裂サイズに比べて有意に進行していた(p<0.0001).ロジスティック回帰分析では喫煙(smoking index)に有意差があった(p=0.026).年齢,性別,利き手,外傷の有無,合併症,飲酒,スポーツ歴,職種に関して進行群と非進行群との間に差はなかった.

 結 語:症候性腱板断裂の約半数は1年半で拡大しており,拡大速度は1年で長さ3.8mm,幅2.0mmであった.拡大の危険因子は中断裂,喫煙,完全断裂であった.

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【要 旨】

 背 景:中心性の腰部脊柱管狭窄症に無症候性の椎間孔狭窄を合併した症例に対しては,椎間孔狭窄は残したまま開窓術などで中心性の除圧のみ行うことがある.そのような手術では術後に脊椎の退行性変化が進行することにより,椎間孔狭窄が遅発性に症候化して再手術を要する危険性がある.しかし,そのような中心除圧後の遅発性症候性椎間孔狭窄に関する報告は乏しい.

 目 的:無症候性椎間孔狭窄を要する腰部脊柱管狭窄症に対して,中心除圧のみ行った症例における術後遅発性症候性椎間孔狭窄による再手術率,およびその危険因子を調査した.

 対象および方法:2009年1月~2014年6月に当科で開窓術などの中心除圧を行った連続208例を,術前に無症候性椎間孔狭窄を有していた群と有していなかった群に分け,中心除圧後の遅発性症候性椎間孔狭窄による再手術率を比較・検討した.また,遅発性症候化椎間孔狭窄による再手術の危険因子ついてロジスティック回帰分析とreceiver operating characteristics analysis解析(ROC)で調べた.

 結 果:術前に118例(56.7%)が無症候性椎間孔狭窄を有していた.そのうちの18例(15.3%)が初回手術から平均1.9年後に遅発性椎間孔狭窄による再手術を受けていた.中間位での後方すべり,さらに中間位から後屈位での後方すべり増大が有意な危険因子であり,カットオフ値はいずれも1mmであった.術前にいずれのカットオフ値も満たしていた症例の66.7%が再手術を受けていた.

 結 語:本研究でわかったことは,無症候性椎間孔狭窄を有する症例に中心除圧を行うと術後平均1.9年で遅発性椎間孔狭窄による再手術を要したこと,さらに術前の後方すべりがその危険因子であることである.これらの知見は中心性狭窄に無症候性椎間孔狭窄を合併する症例に対する治療方針確立の一助になるであろう.

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【要 旨】

 目 的:特発性膝骨壊死(SONK)に対し,楔状開大式高位脛骨骨切り術(opening wedge HTO)に自家骨軟骨移植術(OAT)または骨穿孔術(BMS)を併用した手術的治療を行い,術後の軟骨修復と臨床成績を比較・検討した.

 対象および方法:SONKと診断され,opening wedge HTOとBMSまたはOATを併用した58例58膝を対象とした(BMS:28例,OAT:30例).術前および術後2年経過時のKnee Society Score(KSS)スコアおよび単純X線像での立位膝外側角(FTA)を調査し,プレート抜去時にInternational Cartilage Repair Society(ICRS)の判定基準を用いて軟骨修復の評価を行った.

 結 果:BMS群,OAT群ともにKSSスコアは術前より有意に改善したが,2群間で有意差はなかった.術後立位FTAも2群間で有意差はなかった.ICRS軟骨修復のgrade 1(normal)またはgrade 2(nearly normal)に分類された症例はBMS群が40%,OAT群が90%であり,OAT群のほうが有意に多くの例で良好な修復を認めた.また,grade 1または2の修復はBMS群では病変サイズが4cm2未満の症例でのみ観察されたが,OAT群では病変サイズが4cm2以上の症例においても確認された.

 結 論:SONKに対するopening wedge HTOに併用する術式として,BMSまたはOATを行った場合,どちらも臨床成績は良好であるが,軟骨修復はOATのほうが優れていた.

喫茶ロビー

大相撲と私 守屋 秀繁
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 私はもともと相撲をそれほど好きではありませんでした.自分でやるスポーツとしてはゴルフ,TVで見るのは野球かボクシングでした.小学生のときに校庭に円を描いて同級生と相撲を取りましたが,大変弱く勝った記憶はありません.野球をやっても,いわゆる「ライパチ」というライトで8番打者,悪くすると控えでした.そんな私が公益財団法人日本相撲協会の横綱審議委員(横審)になったのは我ながら不思議な感じがしました(絵).

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 足の障害で受診する外来患者が増えている,と感じる先生方は多いのではなかろうか.高齢者の絶対数が増加していることに加え,活動性の高い人が増えていることが原因なのであろう.若手で次第に多くなってきたとはいえ,足を専門とする整形外科医はいまだに多いとはいえない状況であり,一方で,足以外の関節や脊椎を専門に診療してきた整形外科医にとってはむずかしい領域といえる.実のところ,外反母趾や足関節捻挫など頻繁に遭遇する疾患,さらに外傷では治療の困難なピロン骨折,距骨骨折,踵骨骨折など,変性疾患では足根管症候群や後脛骨筋機能不全,小児では内反足など,疾患名をあげていくだけで筆者としては穏やかならざる気持ちとなる疾患が多くある.本書は日本足の外科学会監修のもと,大関覚氏,熊井司氏,高尾昌人氏の編集で刊行された最新の専門的教科書といえる.

学会を聞く

第26回日本腰痛学会 二階堂 琢也
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1.は じ め に

 2018年10月26日(金)~27日(土)の2日間,松山幸弘会長(浜松医科大学)のもと第26回日本腰痛学会がアクトシティ浜松で開催された(図1).本学会では,「腰痛の真理追究と明るい未来へ」というテーマが掲げられ,指定演題27演題,公募演題212演題,あわせて239演題(うちポスター46演題)という多くの演題が取り上げられ,密度の濃い,充実した内容の学会となった.学会前日の会長招宴では,松山会長から,学会の前身である日本腰痛研究会から現在の日本腰痛学会にいたるまでの歴史についてのプレゼンテーションがあった(図2).過去の学会で会長を務められた先生やその時のテーマや主題,演題数,抄録集の表紙,そして学会の写真などを織り交ぜながら紹介があり,たいへん興味深く拝聴した.日本腰痛学会の紺野愼一理事長(福島県立医科大学)からあいさつがあった(図3).ホスピタリティに溢れる,とても温かい会長招宴であった.

 翌日からの学会は,松山会長の開会のあいさつから始まり(図4),第1会場から第4会場まで講演会場4つ,ハンズオンセミナー会場1つ,ポスター会場1つの計6会場と大規模に開催された.学会初日の夜の全員懇親会は,学会場近くの「はままつ地ビールレストラン・マインシュロス」で行われ,美味しい地ビールと料理を楽しんだ.

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1.は じ め に

 2018年11月16日(金)~17日(土)の2日間にわたり,第45回日本臨床バイオメカニクス学会が,島田洋一会長(秋田大学大学院),巖見武裕会長(秋田大学大学院機械工学)のもと開催された(図1).会場はJR秋田駅からほど近い秋田アトリオンであり,秋田空港からのアクセスも良好であった.冬の秋田での開催であり,九州から空路参加した筆者には肌寒く感じたが,会場は研究者たちの熱気に包まれていた(図2).

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1.は じ め に

 2018年12月6日(木)~7日(金)の2日間,大阪国際交流センターで本学会は開催された.会長は五谷寛之氏(大阪掖済会病院副院長)[図1]が務められた.大阪での本会の開催は山野慶樹名誉教授(大阪市立大学)が第23回大会を開催されて以来,22年ぶりとなった.本会のテーマは「創新と融合」であり,形成外科と整形外科の相互協力のもと,新しい知見を得ると同時に,技術と経験を共有する意味が込められた.特にマイクロサージャリーの技術と経験は紙面上で伝承することはむずかしく,これまで本学会の発展に寄与されてきたパイオニアの先生方から学ぶ事柄はきわめて重要である.本学会では「マスターに聞く」という企画を2日間にわたって作っていただき,マイクロサージャリーでは世界的なパイオニアである8名の先生方による技術と経験の伝承が行われた.一方で学会や学術誌で取り上げられることが少なくなってきたケースレポートにもスポットライトがあてられ,“Case report Award” が企画された.革新的な仕事はケースレポートからはじまるといっても過言ではなく,テーマの創新にも通じる興味深い企画であった.また,本学会では多くのマイクロサージャンが若手の先生に指導するマイクロ講習会も併設されており,日頃指導を受けている先生とは違った作法を体験できるよい機会となった(図2).初日の夜には全員懇親会も催され,大学や科の垣根を越えた交流を行うこともできた(図3).最終的な本学会の参加者は706名に達し,盛会となった.

基本情報

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臨床雑誌整形外科
70巻4号 (2019年4月)
電子版ISSN:2432-9444 印刷版ISSN:0030-5901 南江堂

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