整形トピックス
重度脊髄損傷に対する人工多能性幹(iPS)細胞を用いた再生治療
大垣 瞭
1
,
名越 慈人
1
1慶應義塾大学整形外科
pp.244-244
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_244
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
1.は じ め に
脊髄損傷は中枢神経である脊髄に対し,外傷などによる脊椎安定性の破綻を起因として,永続的な麻痺,感覚障害,膀胱機能障害といった重度の身体障害を呈する病態である.本邦では年間で約5,000例が新規発症しており,慢性期患者数は15万例以上に達するといわれている.損傷後の治療は脊椎固定術とリハビリテーションに限定されており,不可逆性変化を生じた損傷脊髄に対する根本的な治療法は確立されていない.これに対しわれわれは,細胞移植治療に着目し研究をすすめてきた.本稿では,われわれが取り組んできた,ヒト人工多能性幹(iPS)細胞から分化誘導したヒトiPS細胞由来神経幹前駆細胞(hiPSC-NS/PC)移植による脊髄損傷再生治療について,現状と今後の展望について概説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2025