Japanese
English
問題点の検討
しびれ考
-――考察に基づく新たな語義の提案
Proposition of a semantic of “shibire(numbness)” based on the consideration of sensation and motion
髙橋 弦
1
Y. Takahashi
1
1山王整形クリニック
1Sannoh Orthopedic Clinic, Chiba
キーワード:
numbness
,
semantic
,
sensation
,
motion
Keyword:
numbness
,
semantic
,
sensation
,
motion
pp.351-358
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_351
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は じ め に
運動器疼痛の診療において「しびれ」は「痛み」に次いで多い愁訴である.痛みの語義は「体組織に対する実質的あるいは潜在的な損傷によりもたらされる,またはそのような言葉をもって表現される,不快な感覚と情動の体験」という国際疼痛学会の定義1)が定着している.一方,しびれの語義は確立しておらず,解釈は患者ごと,診療者ごとにさまざまである2,3).
本論では,しびれという言葉によって人(患者)が表現している状態について考察し,しびれの語義を提案する.
しびれは痛みと一緒に論じられることが多い2).本論ではさらに「しびれであって痛みではないもの」,「しびれかつ痛みであるもの」,そして「しびれではないが痛みであるもの」,を明らかにする(図1).しびれに対応する英語はnumbness4),palsyなどがあるが,しびれに限らず医学用語の語義は両言語間でしばしば一致しない.本論文では日本語の「しびれ」に限定して考察する.
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