Japanese
English
経験と考察
股関節後方支持組織を温存し関節包切開の異なる後方アプローチ人工骨頭置換術の比較
Comparison of bipolar hemiarthroplasties using posterior approach preserving posterior hip supporting structures
植木 慎一
1
,
堀 淳司
1
,
住元 康彦
1
,
藤本 英作
1
,
益田 泰次
1
,
笹重 善朗
1
S. Ueki
1
,
J. Hori
1
,
Y. Sumimoto
1
,
E. Fujimoto
1
,
Y. Masuda
1
,
Y. Sasashige
1
1中国労災病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Chugoku Rosai Hospital, Kure
キーワード:
CPP
,
hemiarthroplasty
,
femoral neck fracture
,
joint capsule preserving
Keyword:
CPP
,
hemiarthroplasty
,
femoral neck fracture
,
joint capsule preserving
pp.313-316
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_313
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は じ め に
大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術において,一般的に選択される後方アプローチは簡便で安全な術式であるが,合併症として術後の後方脱臼があげられる.従来の術式では外旋筋および関節包の切離が広範囲に及ぶため(図1a),術後の脱臼制動性が低下し,脱臼発生率はガイドライン上2~7%とされている.認知症や術後せん妄を認める症例では,脱臼予防肢位の遵守が困難であるため,術後脱臼のリスクが上昇する.
近年,大腿骨頚部骨折に対する後方アプローチ人工骨頭置換術において,脱臼予防を目的として後方支持組織を温存する術式が注目を浴びている.上島らは後方支持組織のうち,梨状筋および上双子筋,内閉鎖筋,下双子筋からなる共同腱を温存し,関節包を下双子筋尾側縁に沿ってL字に切開する短外旋筋共同腱温存法(conjoined tendon preserving posterior:CPP)を施行し,良好な成績を報告している1)(図1b).われわれは,このCPPアプローチを改変し,後方関節包の切開を縦割のみとする新たな術式を考案した2)(図1c,d).本術式は関節包切開を最小限とし,強靱な坐骨大腿靱帯を温存することにより,脱臼制動性を高めた術式である.今回,股関節後方支持組織を温存し,関節包切開の異なる術式の成績を比較検討したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2019