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留学で学んだこと,フィード・バックしたこと
-――後編
花岡 英彌
1
1井上記念病院名誉院長
pp.266-266
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei77_266
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- 文献概要
鎖骨骨折に対しては,米国では成人にも胸を張らせて徒手整復した後,ギプスで8字帯に固定していた.当時,日本では胸全体までかかるチョッキ式のギプス包帯が行われていた.このギプス包帯は腋窩が開いているため,寝ると頭の方向へずれ上がり鎖骨に対する固定が緩んでしまう欠点があった.出張先の足利日赤病院である朝,出勤したら鎖骨骨折の若い男性の患者がいて,米国で習ったように整復し8字帯ギプスを巻いた.当時,敢えて教室のやり方に反発しようという意図ではなく,米国で習った方法しか十分身についておらず自然とこの方法を用いたのであるが,丁度その時出勤してきた医長がギプスを見て,「誰がこんなギプスを巻いた?」とひどく怒った.怒られている最中にギプス固定後のX線フィルムが出来上がってきたが,骨折がこれ以上ないというくらいに完璧に整復されており,医長も怒りを収めざるをえなくなった.唯,私には短い大学病院での研修期間の間には上述のようにチョッキ式にギプス固定された鎖骨骨折を見たことはない.したがって,そのようなチョッキ式のギプス固定法は知らなかった.なお,8字帯ギプス包帯については7年後の本誌「診療余卓」欄にY・K氏の同じ手技の記述がある(第20巻,p725,1969年).また,チョッキ式のギプス包帯についてはオリジナルの『神中整形外科学』(南山堂)の図509,510に写真入りで載っている.
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